98年日本ダービーなどG1を4勝したスペシャルウィーク(牡、父サンデーサイレンス)が27日、北海道日高町の日高大洋牧場で死んだ。23歳だった。

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 自らが制した天皇賞・春ウイークに逝ったスペシャルウィークはドラマチックな馬だった。4歳の秋。初戦の京都大賞典でまさかの7着に敗れ、天皇賞・秋の追い切りでも本来の動きを見せられなかった。王者でありながら単勝は4番人気。だが、東京入厩後の特別調教で気配がガラッと変わった。マイナス16キロ。レース前の装鞍所、調教を担当していた白坂宗治助手が「馬に魂が入りましたな」と白井師に語りかけると、師は「俺もそう言おうと思っていたところや」。絞りに絞った勝負仕上げだった。レースでは馬場の外を豪快に伸び、1分58秒0のレコードVだった。

 次走ジャパンCを快勝したが、引退レースとなった有馬記念は宿敵グラスワンダーの2着に敗れた。完全に勝った態勢でありながら、首を上げたタイミングでゴール板を通過してしまったのだ。それもまた劇的だった。当時、TBS系のドキュメント番組「情熱大陸」で2度にわたって放送されたが、今でも印象に残っているのが、種牡馬になるため北海道へ帰るスペシャルウィークを白井師が中山競馬場で見送るシーン。涙をぬぐいながら「元気でな」と手を振る師を、記者も涙しながら見ていた。【中央競馬担当=岡本光男】

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