BCフィリー&メアターフG1

11月6日(土)[日本時間11月7日(日)早朝]第7Rデルマー競馬場
2200メートル(芝)3歳以上牝馬

米西海岸の海風に乗り「Japan!」の実況が響きわたる。米国馬2頭の間を割り、ラヴズオンリーユーが鼻先を突き出した。歴史の壁を打ち破るかのように。馬上で躍動する緑と黒の勝負服が、カリフォルニアの太陽を浴びる。半馬身差のフィニッシュ。日本人騎手&日本調教馬によるBC初制覇の瞬間だ。
クールな川田騎手も興奮を抑えられない。ゴール直後に思わず右手を握りしめた。「あまり覚えてないです。(こぶしを)握ってたのかもしれません」。下馬して矢作師と抱き合うと、熱い感情が両目にこみ上げた。夢の結実だ。
「4コーナーでもスペースがなくて、仕掛けを遅くせざるをえない中で、短い直線でしっかり脚を使ってくれました。ありがたくすばらしいこと。長いBCの歴史の中で、日本の馬の名前を刻めて、その馬上に騎手としていられたことを本当に光栄に思います」
親子で憧れた大舞台だった。「僕の中で凱旋門賞と並んで特別なレース。米国で一番の祭典ですから」。少年時代から、佐賀の元騎手の父孝好調教師が録画した「世界の競馬」(NHK・BS1の番組)を何度も見てきた。デビュー18年目で訪れた初挑戦の機会。コロナ禍で帰国後に隔離の可能性があっても「それでも行かせていただきたいという僕のわがままで、ご迷惑をおかけする方々へは申し訳ないです」と並々ならぬ覚悟で渡米した。
そんな思いに〝愛馬〟が応えた。今年はGⅠを制した香港に加えてUAEにも遠征。世界4カ国を駆け回り、偉大な父ディープインパクトの名をさらに高めた。チームそろって両手でハートの「ラヴズマーク」をつくった矢作師は「一番強いと思っていたので自信を持って送り出した。展開は決していいものではなかったけど、それだけに強さが際立っていたと思う。日本の競馬の力を見せることができてよかった」と胸を張った。
すでに香港C(12月12日シャティン)の招待を受諾し、順調なら転戦する見通し。アメリカンドリームを実現させた人馬の挑戦はまだ続きがありそうだ。

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2020年のVTR

中団を追走したブドー騎手騎乗のアウダーリャ(4歳、J・ファンショー=英国)が、直線入り口で先団に取り付き、3番手から先に抜け出したカスティリャーノ騎手のラッシングフォール(5歳、C・ブラウン=米国)を首差交わしてG1・2勝目を挙げた。3着には中団から追い込んだアルバラード騎手のハーベイズリルゴイル(3歳、W・モット=米国)が入った。
※年齢は当時のもの