1コーナーで勝負した丸田騎手の好判断/フラワーC

<フラワーC>

ホウオウイクセルの丸田騎手は、1コーナーで勝負に出た。逃げ馬が抜け出した後ろ。外から3、4頭がラチ沿いを目がけて殺到するが譲らない。仕掛けて3番手の内。「狙っていた」ポジションを手に入れた。

少しでも迷いがあればイズンシーラブリー、オレンジフィズに前をとられて一列後ろに。苦しい競馬を強いられていただろう。行く気になっても、馬の後ろなら折り合う。デビューからコンビを組み、性格や癖をつかんでいるから分かる。パートナーを信じた積極策が功を奏した。

先週の大雨で芝は荒れてきたが、それでも内が残る馬場。中団から外を回って差し切れたかどうか。後方待機組で掲示板に載ったのは、G13着の実績があるユーバーレーベンと、直線勝負に懸けたクールキャットの2頭だけ。それでも連対圏には届かなかった。前半の位置取りが勝敗を分けたことになる。

仕掛けのタイミングも絶妙だった。4角で逃げ馬の外に出して進路を確保すると、追い出しを待たずにゴーサイン。一気に後続を突き放した。前半1000メートルは61秒8のスローペース。瞬発力勝負になれば、決め手のある馬にやられる。早めにスパートすることで、後続に「ため」を作らせず、切れを奪った。

410キロ台の牝馬だが勝負根性は一級品。直線は後ろから追いかけられる形になったのも良かった。

<スプリングS>

ヴィクティファルスは上位入線馬の中で、一番最後に追いだした。これがゴール前の逆転劇を呼んだ。池添騎手は3角でアサマノイタズラが動いた時も、4角手前で外からロードトゥフェイムにかわされても我慢した。大外を回されるのは覚悟の上。他馬よりワンテンポ仕掛けを遅らせて、息の長い末脚を引き出した。

直線は馬場のいいところを通って、1完歩ごとに差を詰める。坂を上がってもうひと伸びできたのは、勝負どころでの「ため」が利いていたから。少し敏感なところがあり、前半から出していくと良くない。スタートを決めて、道中は馬の後ろへ。折り合い重視でリズム良く走らせたのも勝利を引き寄せた要因だ。