馬場も他馬も関係なし 能力引き出した川田の好騎乗

<坂口正大元調教師のG1解説>

<大阪杯>◇4日=阪神◇G1◇芝2000メートル◇4歳上◇出走13頭

他馬も馬場も関係ない。川田騎手はレイパパレの力を引き出すことだけに集中していたのでしょう。ゲートでは少し横に跳ぶような形で不利がありましたが、ならばジワッと行こうか・・・といった考えはなく、持ち前のスピードを利用して迷わず前へ導きました。

レイパパレのペースで走らせる、それを遂行した位置が今回はハナでした。他に行く馬がいれば好位もあったと思いますが、とにかく大前提は“気分良く”。デビュー戦からずっと騎乗し、気性的な難しさも、その裏返しであるとてつもない能力も、川田騎手が最も理解していました。

重馬場で1000メートル通過が59秒8。スローの逃げ切りではありません。少々速くても、力んでいなければ大丈夫。信頼のペース、とでも言いましょうか。鞍上が馬の性格、能力をよくわかっていたことが最大の勝因です。422キロしかない小柄な牝馬が初めて55キロを背負い、この緩い馬場で、この相手にパワー負けしないのか。そう思って見ていましたが、終わってみれば上がりは最速タイ。相当な器だと実感しました。

もちろん、後ろの馬が速い脚を使えなかったという意味で、重馬場が味方した面もあります。3着コントレイルは中団から3角手前で上昇開始。あそこで動かなければ3着もなかったですから、福永騎手のいい判断でしたが、レイパパレに馬体を併せることさえできませんでした。ただ、16キロ増の馬体は好感です。これまで休養してもまったく増えなかった馬が、牡馬らしくひと回り大きくなりました。次こそ強いコントレイルが見られるでしょう。

4着グランアレグリアはコントレイルより前で、内でしたから、3着は確保したかったですね。馬場も向きませんでしたが、やはり距離は若干長い印象です。5着サリオスは好位から上手に競馬しましたが、勝負どころでペースが上がった時についていけませんでした。(JRA元調教師)

直線で後続を突き放し大阪杯を制したレイパパレ(左)
直線で後続を突き放し大阪杯を制したレイパパレ(左)