サリオス強い馬の資格 無理なく好位置/朝日杯FS

サリオスの強さが際立った競馬でした。逃げたビアンフェがつくり出したのは、半マイル45秒4という速い流れでした。ですが、サリオスはスタートから無理せず、楽に好位につけました。難なくいい位置が取れる、これは強い馬の“資格”です。この競馬ができれば今後、距離が延びても心配ありません。

超のつく大型馬だけに、また驚きです。サリオスの当日の馬体重は538キロ。2歳馬としては相当に大きい部類です。それなのに素軽さ、器用さがあります。普段はおっとりしているのかもしれませんが、ゲートが開くと違うのでしょう。これも強い馬の資格です。

これまではスローペースの経験しかありませんでしたが、速い流れにも対応し、直線は独壇場でした。直線半ばまでは一瞬、2着のタイセイビジョンに差されるかと思いましたが、坂を上がってから逆に突き放しました。それにしてもムーア騎手は完璧に乗ってきますね。この秋は目立っていませんでしたが、決めるところは決める。ミスのないさすがの騎乗でした。

2着タイセイビジョンの武豊騎手もさすがでした。掛かるタイプですが、前半は中団でそろっと乗って、いい脚を引き出しました。最後に突き放されたのは現状でのサリオスとの力の差でしょう。勝てばJRA・G1完全制覇に王手でしたが、大変な偉業だけにやはり簡単ではありません。来年にまた期待です。

14番人気で3着に来たグランレイにはびっくりしました。最後方付近からいい脚を使いましたが、いわゆる前崩れの展開もありました。それだけに、好位から抜け出したサリオスの強さがより際立ちました。(JRA元調教師)

朝日杯FSを制したサリオスとR・ムーア騎手ら(撮影・外山鉄司)
朝日杯FSを制したサリオスとR・ムーア騎手ら(撮影・外山鉄司)