【坂口正大元調教師のG1解説】重馬場でも内有利!好走呼んだ坂井瑠星の読み/高松宮記念

<坂口正大元調教師のG1解説 トップ眼>

<高松宮記念>◇24日=中京◇G1◇4歳上◇芝1200メートル◇出走18頭

ひと口に「重馬場」といっても、雨量や含水率、また降る前の馬場状態によってコンディションはさまざまです。勝ったマッドクールと2着ナムラクレアはともに、内ラチ沿いを通ってきました。普通、道悪になれば内の方が悪くなるものですが、前日土曜、また当日の芝戦では内を通った馬が活躍していました。坂井、浜中両騎手が重でも内がいいと読んで競馬をしたことが好走の要因でしょう。

それにしてもマッドクールはしぶとかったですね。+18キロという数字だけを見ると、太いのかなと思ってしまいますが、実際には前走の香港遠征時に10キロ減っていましたし、5歳牡馬ならまだ成長もあります。昨秋のスプリンターズSからすると+8キロですから、成長分を加味すれば太めはなく、きっちり仕上がっていました。そのスプリンターズSは鼻差2着。その時点でG1を勝つだけの能力も備えていました。

鞍上の坂井騎手は、前日の毎日杯もメイショウタバルで強気に逃げて圧勝を飾っていました。騎乗馬にもよりますが、前に行けるというのは騎手の技術ですし、大きな魅力です。われわれ競馬関係者にとって、ゲートは非常に重要で難しいポイント。出すのが上手だなと思う騎手がいれば、1度乗せてみたいと思うものです。そんな好循環も今の坂井騎手にはあります。

ナムラクレアは惜しい競馬でした。スタート、位置取り、進路取り、どれをとっても、ああしていれば・・・といった後悔のない、いい騎乗でした。競馬を教えてきたことで、若駒時代とは違い、上手に差す競馬ができていました。どこかで1つタイトルを取ってほしい、そう願ってやみません。

3着の香港馬ビクターザウィナーは、ハナを切って平均より遅めのペースに持ち込めたことが大きかったです。とはいえ左回りを苦にせず、強い競馬でした。1番人気ルガルは10着。まだ4歳になったばかりですし、強敵相手に好位から堂々と勝負を挑んだ経験が今後に生きるでしょう。(JRA元調教師)

高松宮記念を制したマッドクール。手前は2着ナムラクレア(撮影・前岡正明)
高松宮記念を制したマッドクール。手前は2着ナムラクレア(撮影・前岡正明)
マッドクールで高松宮記念を制してガッツポーズで引き揚げる坂井騎手(撮影・白石智彦)
マッドクールで高松宮記念を制してガッツポーズで引き揚げる坂井騎手(撮影・白石智彦)