あっという間の小倉開催4週間、6週間に戻せないか

あっという間に終わった感のある夏の小倉開催。例年より短い4週間の日程は競馬の最前線にどう影響したのか。短すぎる夏の終わりを惜しむ。

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夏の小倉開催が早くも終わった。4週間というのはさすがに短い。近年も、小倉に滞在して調教に騎乗するほど“ナツコク”に思い入れが深い太宰騎手は「短いですね。あっという間だった。もっと長くしてほしい」と残念がっていた。

そもそもナツコクは2010年までは8週間の日程で行われていた。11年からは6週間に短縮され、毎年7月20日前後まで行われている小倉祇園太鼓を聞けなくなった。

さらに前の20世紀には、小倉で出走する馬や騎乗する騎手は現地に滞在するのが一般的だったので、担当記者も小倉に長期滞在していた。連続50泊という人もいたぐらいだ。滞在は楽しかった。仕事後に海水浴に行ったり遅くまで飲み歩いたりで解放感があった。現地の女性とロマンスが生まれゴールインする厩舎関係者や記者も少なくなかった。

馬券で「おいしい」思いもした。調教後、情報通として知られた助手の元へ行き、今週「おすすめの馬」を聞くのだ。その助手は自身が所属していた厩舎の馬だけではなく他厩舎の馬にも詳しかった。「小倉にいるといっぱい情報が集まってくるんや」。おすすめの馬は、とにかくよく好走した。

騎手時代、夏はどっぷりと小倉で過ごすことが多かった西園正都調教師が思い出を語ってくれた。

「調教が終わった後、調整ルームで記者の人たちとビールを飲みながらわいわいと話していた。あれでは取材にならなかったんじゃないかな。ガハハハ」。1980年代の、おおらかな時代だった。

今年はコロナ感染対策で小倉も無観客開催となったが、馬券はよく売れた。前年の2回小倉(第5日から12日)と比較してトータル111・4%。8日間のうち6日間が前年比プラスだった。ネット購入者が増えた影響だろう。これがナツコクの開催日増加への追い風にならないだろうか。今年の開催が4週間になったのは東京五輪に配慮した日程だけに、五輪が開催されれば来年も4週間となる可能性がある。だが再来年以降は6週間に戻してほしいものだ。