エポカドーロ種牡馬入り 新たな血のドラマの始まり

18年皐月賞を制したエポカドーロ(牡5)が現役を引退し種牡馬入りする。G1は1勝のみだが、祖父ステイゴールド-父オルフェーヴルと受け継がれてきた個性派の血は貴重。これまで管理してきた藤原英昭調教師(55)も第2の“馬生”での活躍を期待する。

先週日曜の日刊スポーツ紙面で直木賞作家・馳星周さんが、札幌記念予想とともにステイゴールドの魅力を記していた。確かに不思議なカリスマ性のある馬だ。現役時はG1で惜敗を続け、最後の香港ヴァーズで劇的な勝利を収めた。

種牡馬になってからは3冠馬オルフェーヴルやナカヤマフェスタ、ゴールドシップ、オジュウチョウサン、ウインブライト、インディチャンプらを輩出。海外、障害、長距離、短距離とさまざまな分野で活躍する子を多数ターフに送り込んだ。

そんなステイゴールドも15年に天国へ召され、今では“3代目”が活躍する時代に入った。孫の牝馬ではオルフェーヴル産駒でG1・3勝のラッキーライラックが出世頭。牡馬では同じオルフェ産駒のエポカドーロが、18年皐月賞を制した。ダービーでも非凡な勝負根性で2着に入ったが、古馬になってからは思うように体調が整わず、先日引退を発表。今後は、北海道新ひだか町のアロースタッドで種牡馬となる予定だ。

オルフェ産駒はこれまでJRA重賞で10勝しているが、そのうち8勝は牝馬。牡馬で勝っているのは、エポカドーロ(皐月賞)とオーソリティ(青葉賞)しかいない。今年の2歳が4世代目でこれから大物牡馬を出す可能性はあるが、エポカドーロにかかる期待は小さくない。父オルフェはもちろん、祖父ステイゴールドの血を残すという意味でも大きな役目がある。

管理していた藤原英師は、もともとオルフェ産駒への関心が高かった。18年皐月賞後に「オルフェの子を管理してみたかった。3冠馬の遺伝子を持った馬がどんな動きをするか、パフォーマンスをするのか。手がけてみたかった」と話していた。その子エポカドーロでG1を制し、今度は種牡馬としての“第2の馬生”を見守る。母ダイワパッションも短距離重賞に2勝しており「スピードがあるし、面白いと思うよ」と種馬での活躍を楽しみにする。

祖先から脈々と受け継がれる血のドラマは、競馬の大きな魅力だ。新たな道を進むエポカドーロを心から応援したい。【木村有三】

18年の皐月賞を制したエポカドーロと指を高く突き上げる戸崎騎手
18年の皐月賞を制したエポカドーロと指を高く突き上げる戸崎騎手