川田「名誉」世界選抜主将で英シャーガーCに挑む

世界トップ騎手12人によるチーム対抗戦シャーガーC(10日=英アスコット)に川田将雅騎手(33)と藤田菜七子騎手(21=根本)がともに初出場する。世界選抜の主将という大役も務める川田騎手の秘めたる思いを連載「競馬ラプソディー」でお届けする。2人は24、25日に札幌で開催される「ワールドオールスタージョッキーズ」のJRA代表にも選出された。【取材・構成=太田尚樹】

炎は静かに燃えていた。初出場ながら世界選抜チームを率い、川田騎手がシャーガーCに挑む。過去に日本人騎手9人が出場して、主将に選ばれたのは武豊騎手だけ。大役を担う意気込みをたずねると、鋭い視線と口ぶりから並々ならぬ思いが伝わってきた。

「今年の早い時期に、この話をいただいて、よりモチベーションを高く過ごせた面もあります。騎手として名誉なこと。選んでいただいたからには、日本のトップとして行かなければならないと思っていました」

今年は96勝を挙げて首位を独走する。自らを奮い立たせる着火剤の1つが、日の丸を背負う使命感だった。自己最多(16年135勝)を上回るペースで勝利を重ね、自身初のリーディング獲得へひた走る。

「リーディングはデビューした時から目指してやってきましたが、その難しさを感じてきました。これだけのチャンスをいただいていますし、毎週末の積み重ねで、1年間が終わった時に一番上に立っていられるようにしたいです」

英国へは昨夏に約2カ月の遠征を敢行した。積み上げた4勝という数字には、日本のファンが受ける印象をはるかに超えた重みと価値がある。英レーシングポスト紙は「ジャパニーズ・エース」と紹介。レースに乗ることすら難しい環境で、ゴドルフィンやスタウト厩舎などの名門からも騎乗依頼を受けた。

「去年、英国に滞在して、それがあって、この話をいただいたんだと思います。何事も経験が大事。その積み重ねで今があります。これまでも凱旋門賞やメルボルンCなど、海外へ行かせてもらっていますが、今回も与えてもらった機会をありがたく思います」

女性選抜の藤田騎手と2人で、男女の日本代表として世界の大舞台に立つ。複数の日本人騎手が出場するのは史上初となる。

「結果として“菜七子のお供”になりましたが(笑い)、2人で世界選抜と女性選抜として行くわけなので、日本の騎手として互いにいい騎乗ができれば」

世界の名手が集う大舞台で、どんな経験を得られるのか。異国からの朗報を心待ちにしている。

◆シャーガーC 99年創設で今年が20回目。世界トップ騎手12人が英愛選抜、欧州選抜、世界選抜、女性選抜の4チーム(各3人)に分かれ、全6レースで着順による得点の合計を競う。最多得点騎手にはシルバーサドル賞が贈られる。

シャーガーCが行われるアスコット競馬場のパドック
シャーガーCが行われるアスコット競馬場のパドック
世界選抜の主将を務める川田騎手
世界選抜の主将を務める川田騎手