菊花賞的中、日々成長するAI予想基地に潜入

ダービーウイークの連載「ケイバラプソディー~楽しい競馬~」で、福娘平本記者が(株)GAUSSに潜入。日刊スポーツと共同開発する「ニッカンAI(人工知能)予想」がどのように競馬予想をしているのか、探った。

AI予想って結局どうなの? 本当に当たるん? そんな疑問を抱く読者の皆さまのため「ニッカンAI予想」を調査してきた。

先週、東京・渋谷にある(株)GAUSSさんの本社に潜入した。社内はカフェのようにおしゃれだが、奥の部屋にはズラッと並ぶデスクトップ。人間の脳にはとても記憶できない膨大なデータをここに取り込み、最ももうかる可能性の高い馬券の買い目を導き出す。昨年菊花賞では、7番人気のフィエールマンに◎を打って的中させるなど大反響を呼び、有料サイト「極ウマ・プレミアム」では会員数が一気に1・5倍に増加した。

ニッカンAI予想の特徴は「日刊コンピ指数」も取り入れていること。馬の能力指数を数値化したもので、毎週金曜夕方にインプットする。約1時間かけて翌土曜日の全レースの印、馬連の買い目7点、自信度、単複馬を予想。これが「前日予想」で、レース当日発表された馬体重と天気のデータもプラスしたものが「直前予想」。レース30分前にガラッと印が変わることも少なくない。

3月の高松宮記念週からは「ハイブリッド予想」もスタート。「人間と同じような考えが出来るようになりました」とGAUSSのシステム開発本部・難波宏明主任(41)は話す。堅い低配当のレースか、はたまた荒れやすい高配当のレースかを予測できるようになり、回収率がアップした。直前予想の回収率はハイブリッド化の前後で80・2%→93・1%と大幅アップ。進化は数字にもはっきりあらわれている。

オークス週の土日、前日予想の回収率は138・9%、直前予想は134・6%をマークした。まだ100%を下回る日もあるが、日々成長しているAIなら、常に100%を超える時代もきっと来る。とはいえ、人間の予想が不必要になる日もきっと来ない。取材でしか得られない情報が、間違いなく存在するからだ。AIと新聞記者は共存しながら、競馬をより盛り上げていきたい。

GAUSSと日刊スポーツの会議の様子(写真は一部加工)
GAUSSと日刊スポーツの会議の様子(写真は一部加工)