馬だって熱中症になるんです。/坂井コラム第19弾

皆様、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。今年はお盆を過ぎても「なんじゃ、この暑さは」という感じですね。

暑さに弱い私は、具合が悪くなってお家から出られない状態が続いております。

実家にいた時は、クーラーのない生活を18年もしていたというのに(まあ、最近の暑さはその頃の比ではないようですが・・・)。「熱中症」で搬送される方も多く報道されているので気を付けなければ・・・と思っている矢先に私の母も仕事場に向かう途中で気分が悪くなり、救急搬送され、慌てて病院に走りました(慌てすぎて、運ばれた病院の隣の病院に駆け込むという大ボケをかましましたが)。何とか母は無事でほっとしましたが、身近な人間にそのようなことが起こると、人ごとではないなと思いました。

そう考えると、こんな炎天下の中、働く競馬関係の方や走ってくるお馬さんたちが心配になります。

「何言うてんねん、2年前までは現役厩務員さんやないの」と思わはる方もいはるでしょうが、有り難いことに毎年北海道出張に行っていましたので、こちらの40度近い炎天下の中でパドックをひいたことがなかったんですよね。

札幌は暑いと言っても、31~32度くらいやし。それでも、暑くてフラフラしていたし、お馬さんも熱中症になる子もいましたよ。

「馬も熱中症になるの?」と思わはりましたか? そうなんです、馬も熱中症になるんですよ。お馬さんは人間よりも体温が1度前後高い(平熱が37度後半~38度前半です)というのもありますし、何より全身がびっしり毛で覆われています。

私はお馬さんではないのでほんまのところはわからないですが、そりゃ暑いよなって思いますし、個体差はありますが、お馬さんは寒さには強いですが、暑さには弱いです。

この時期、厩務員さんたちは自分も熱中症になるわけにいかんけど、担当馬が暑さに弱いとなると気を使いますね。

普段の調教時、今の暑い時期は調教馬場が朝5時に開くので(だから、担当厩務員さんは朝3時前に起きるんですよ・・・って、朝ちゃうやん!)担当馬2頭のどちらかが暑さが苦手なタイプであると、なるべく日が昇りきる前の時間に乗るようにしたり、乗り終わった後に「参った」と訴えていたらクーリングダウンに入る前に鞍をおろして水浴びをさせてあげたりと、いろいろ工夫をしたりします。

もちろん、厩務員さんだけでなく、調教師さんも厩舎それぞれの対策を工夫されてはります。

私がいた厩舎では、裏戸にすだれをかけて日陰にしたり、天井についている扇風機(多分どこの厩舎でも扇風機はおいていますが)をまわしたり、ハナマエにミストの出る扇風機をまわしたり、こまめにハナマエに水をまいたり、屋根に水をまいたり。

また、知人の厩舎に遊びに行くと、時間ごとに天井からミストが出るようになっていたり、これは実際に見たことがないのですが、厩舎にエアコンがある所もあるなんてうわさを聞いた事があります(使用しているのかはわかりませんが・・・)。

お馬さんたちを元気な状態で競馬に連れて行けるように、皆さん厩舎それぞれに工夫されています。

もちろん、競馬の時も競馬会でも無事に競馬が開催できるようにいろいろ工夫をされています。

パドックなどでミストが噴射されていたりするのを、テレビや現地で見られた事があるのではないでしょうか。

あのミストがついたのもここ何年かの暑さ対策として付けられたと記憶しています。私が厩務員さんになりたての頃はまだなかった。

ただこのミスト。中には見たことがない子もいるので、ビックリして飛んでいく子もいますが・・・。炎天下の中、ずっと歩いているのでお馬さんにも厩務員さんにも有り難い設備ですね(この前、ミストの勢いが強すぎて、お馬さんの外側を引いていたら頭から靴下までビショビショになったと、先輩厩務員さんが言うてはりましたが・・・。結構な勢いでまいてくれたはったんでしょうね)。

もちろん、ミストはパドックだけでなくて装鞍所もついています。装鞍所には、ミストのほかに、人も水分補給ができるようにお水も用意されています。

正直初めて見たときは驚きました。

私は学生時代「なんでも根性で乗り切る ! 」と思っていた世代(スポ根世代と言うんですかね?)やったので、馬をさわっている途中で水分補給なんてしてはいけない気分になって、なかなか飲むことはできませんでした(変な話ですが)。

このように競馬場でもいろいろな暑さ対策はされています。

いろいろ工夫していても、「熱中症」になってしまう子(なりかけてしまう子)はもちろんいます。そんな時、厩務員さんは、お馬さんの息遣いや発汗の状態や歩様(結構フラフラしだします)で判断しています。

それは毎日毎日担当馬をよく観察しておかないと気づけないので、厩務員さんはささいなことでも見逃さないようにしています。

「おや、いつもと違うぞ。おかしいな」と感じたときは、人間と同じで獣医さんに診てもらいます。

獣医さんの指示を受けて、身体にお水をかけて熱をとってあげながら(ずっと身体に水をかけるので、ここは人間と違うと思いますが)点滴をしてもらいます。

たいていの子は、そうした処置でだんだん落ち着いてきます。中にはショック症状(前にも書きましたが、私が担当していたメッチャンがそんな状態になったことがあります)になってしまう子は入院をしたりして、復帰するまでに時間がかかるときもあります。

やはり、お馬さんにとっても、人間にとっても「熱中症」は要注意です。

いよいよ、秋競馬がはじまります。ここでやっと出てきましたね(笑い)。まだまだ暑い日が続いていますが、お馬さんたちも負けないぐらい熱~いレースを魅せてくれると思います。

皆さんも「熱中症」には気を付けて、競馬を楽しんでくださいね。

さてさて、今回はこの辺りで。皆さんごきげんよう。

「馬も熱中症に」と話す坂井千晃さん
「馬も熱中症に」と話す坂井千晃さん