お馬さんは飛行機には乗りません/坂井コラム第21弾

皆様、いかがお過ごしでしょうか。いよいよ、スプリンターズS。ワクワクしますね。

私はこの夏、じっくり休養にあてたので、そろそろ本気出して行こうかと思います(何も戦うことはないですが)。

この夏は、毎週末お家で競馬観戦をしていました。現場の迫力には負けますが、涼しいお家のソファーでひっくり返りながらTV観戦も、悪くなかったです。

実は私、パドックを見るのが好きなんです。

「パドックで何を見るの?」とか「どこを見るの?」なんて聞かれる時があるのですが、多分私の見方は少し変わっていると思います。

まず、ひいている厩務員さんを見ます。お友達の厩務員さんを見つけて「あ、この馬担当してはんのや。」と思いながら、次に馬を見ます。

たてがみや、尾っぽがきれいに結ってあったり、きれいに手入れされてる馬に、ついつい目がいきます。その上、担当厩務員さんがビシッとした格好(例えばスーツや、厩舎でそろえたお洋服など)でひいていはると、「かっこええな」と思って見てしまいますね。

「なんやねん、見た目ばっかりやんか」と思わはりますよね(笑い)。

でも、これは厩務員さんの時の考えが今でも残っているからやと思います。

お友達の厩務員さんを見るのは、そのお馬さんの話を後日聞いたりして勉強できるからということや、勝った時に「おめでとう」と言えるというのもあります。

手入れされたお馬さんや、ビシッとした厩務員さんに目が行くのは「競馬は晴れ舞台で、パドックは皆さんに担当馬を見てもらうお披露目の場なんやから自分の馬が一番すてきに見えるように。お馬さんは一生懸命走ってくるのだから、失礼な格好でひかない方が素敵やろ?」と現役の頃に教えてもらいました。

そういう考え方ってすてきやなと思い、私もそれから手入れやたてがみを結うのを工夫したり、スーツなどビシッとした格好で競馬にむかうように心がけていました。

しかしながら、私は残念なくらい手先が不器用で、たてがみを編んでもあまりきれいに仕上がらなくて(自分の髪の毛もきれいに結えないんです)結構何度も何度もやり直しをしました。

だから、たてがみや、尾っぽをすてきに結っているお馬さんを見ると、すてきな厩務員さんやなと思ってみてしまいますね。


中には、今では珍しく「ワタリ(長い毛糸でたてがみ全体を編む日本伝統のやり方)」を編んでいる厩務員さんを見ると、「すごいな」と思って見てしまいます。

私も競馬学校時代に習って練習したのですが、きれいにまっすぐ編むことが出来ずガッタガタで落ち込み、諦めました(笑い)。

私がお世話になっていた「昆厩舎」では、競馬の時は必ずたてがみを結っています(たてがみが短すぎて結えない馬以外ですが)。

これは「きれいに見せる」というだけでなく、別の意味もあります。

それは、レースに乗る騎手さんの邪魔にならない様にという、実用的な意味を持っています。

例えば、ゲートを出るとき、手綱と一緒にたてがみを握る方もいはります。(馬と一体になってゲートを出られるように)その時、たてがみが絡まらないように。そして、勝負どころで手綱やステッキを持ち替えたりする時にたてがみが絡まったりしてスムーズにいかないというようなことがおこらないように。

特に勝負どころではコンマ何秒でレースの流れが変わります。その時に、最高のパフォーマンスができるようにと、先生に教えてもらいました。

だから、昆厩舎のお馬さんたちはレースの時、たてがみを結っていますよ。

話が少しそれてしまいましたね。ですが、これらの理由以外にもパドックを見るのが好きなワケがあります。

それはTVでのパドック解説を聞くのが楽しみなんです。

解説される方によって、いろいろな馬の見方があるんやなと勉強になるし、中には聞いていて楽しくなる解説をされる方もいて面白いなと思うのです。

「元厩務員なんやから、勝つ馬とか見たらわからへんの?」と思わはるかもわかりませんが、正直そんな才能があれば厩務員さんでなくてトラックマンさんを目指していたと思います(笑い)。

この馬は調子良さそうやなとか、馬体がパツパツでよく見えるなと思って見ていても勝てなかったり、逆に歩様が硬く見えたり、おなかが巻き上がって見えても勝つ子もいるし。このテンションはアゲアゲでパニックのチャカチャカなのか、気合がよくのっているチャカチャカなのか・・・など感じ取れるものはあったとしても、パドックの気配だけではわかりません(私の場合はですよ)。

だから、パドック解説をされてる方ってすごいなと思いながらみています。あの何周かまわっている間に感じ取れる情報を集めてそれをわかりやすく言葉にして伝えていはるのですからね。

現役の頃、自分が競馬の時はパドックからレースまでを録画予約して競馬に向かっていました。

そして帰って来てから、パドックではどの様に見えるのか、どの様な解説をされているのか・・・とチェックしていました。

自分の担当馬が世界一かわいいと思っている私にとって、客観的に見られる機会やし、他の人の意見を聞こうと思っていたからです。

とは言いつつ、結局娘ちゃんや息子ちゃんが良い評価をされてたら「この人、わかってるー」なんて機嫌よくなって、あまり良い評価をされてないと「この子の何を知ってるねーん!」なんてTVに向かってブーブー言うてるんですけどね(笑い)。

今回のスプリンターズSもパドックから楽しもうと思います。皆様はどんな楽しみ方をされるのでしょうか?

それでは今回はこの辺りで。皆様、ごきげんよう。

昨夏、北海道に旅行し、馬を愛でる坂井千晃さん
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到着するとこんな感じで馬運車から出てきます(写真はクラリティスカイ)
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5月のNHKマイルCに向け、東京競馬場の出張厩舎に到着したせた馬運車
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