米競馬の祭典ブリーダーズカップ ジュベナイル&ジュベナイルターフの1週前展望をお届け

米国競馬の祭典、ブリーダーズカップが11月4日(金曜)、5日(土曜)にケンタッキー州のキーンランド競馬場で行われます。日本からはチェーンオブラブが5日のフィリー&メアスプリントに出走しますが、残念ながら日本での馬券発売はなし。それでも各カテゴリーのトップホースがしのぎを削る一戦は見応え十分です。

今週は5つの2歳G1が行われる「フューチャーズスターズフライデー」の中から2歳(牡、セン)の最強馬を決めるBCジュベナイルと、その芝版のBCジュベナイルターフの1週前展望をお送りしましょう。

◆BCジュベナイル

キーンランド競馬場のダートコース1700メートル戦で行われる。このコースで行われた15年はナイキスト、20年はエッセンシャルクオリティが優勝、いずれも向正面8番手から直線で先頭に躍り出て栄冠をつかみました。1番人気が予想されるケイヴロック(牡2、父アロゲート、B・バファート厩舎)は西地区でデビューから3連勝中の大器です。ゲート、二の脚ともに速く、1300メートルのデビュー戦は6馬身差、2戦目のG1デルマーフューチュリティ(1400メートル)も5馬身4分の1差で連勝。前走のG1アメリカンファラオS(1700メートル)は距離延長も難なくこなしてまたも5馬身4分の1差で完勝し、ものの違いを見せつけています。対抗馬は前走、キーンランド競馬場で行われたG1ブリーダーズフューチュリティ(1700メートル)を首差で制したフォルテ(牡2、父ヴァイオレンス、T・プレッチャー厩舎)ですが、スピードで勝るケイヴロックの優位は揺るぎそうもありません。父アロゲートは一昨年6月に急逝しており、この馬が後継種牡馬になる可能性が高そうです。首尾良く勝てばエクリプス賞(最優秀2歳牡馬)は確実。3冠も視野に入る大物ですが、薬物使用問題でチャーチルダウンズ競馬場から“出禁”となっているバファート調教師は、来シーズンも管理馬をケンタッキーダービーに送ることは出来ません。

◆BCジュベナイルターフ

牡馬とセン馬による芝1600メートル戦。ダートコースの内にある芝コースは1周約1400メートルの小回りで、スタートしてすぐに最初のコーナーを迎えます。先行争いが激しくなるからなのか、差し、追い込みが決まりやすく、15年は大外枠を引いて最後方を追走した欧州馬ヒットイットアボムが直線強襲、20年は内ラチ沿いの3番手をキープした伏兵ファイアアットウィルが直線半ばで抜け出して優勝しています。

今年の1番人気は英国から遠征するゴドルフィンのシルヴァーノット(牡2、父ロペデヴェガ、C・アップルビー厩舎)です。7月のデビューから5戦3勝で、前走のオータムステークス(芝1600メートル)など重賞に2勝。欧州からこれ以外にもA・オブライエン厩舎のカイロ(牡2、父クオリティロード)とヴィクトリアドーロ(牡2、父サクソンウォリアー)の重賞勝ち馬も参戦します。米国勢は3戦全勝で臨むパックスアワーロップ(牡2、父クリエイティヴコーズ、J・マーリンズ厩舎)と、芝転向初戦のG2ピルグリムステークス(芝1700メートル)を制したメジャーデュード(牡2、父ボルトドーロ、T・プレッチャー厩舎)がツートップとなって迎え撃ちます。後者の母はJRAで3勝を挙げたのちに米国へ移籍したアンバウンドの全妹、曽祖母はBCディスタフなど13戦不敗で引退したパーソナルエンサインという良血です。

(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2022年10月27日現在

たたずむサイです
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いななくゾウ
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