騎手によって違う騎乗フォームを見ると新しい発見も

こんにちは。今週のコラムは、以前もお話させていただいた騎手の騎乗フォームについて、より分かりやすくイメージできるようご紹介させていただきたいと思います。

まず、ヨーロピアンスタイルと言われるフォームですが、膝をしっかり締めるのが特徴的で、膝から下の足の部分の脚力を利用して馬を動かそうとするフォームです。今の日本の若手騎手には主流になりつつあるフォームです。海外ではムーア騎手、マーフィー騎手、ビューイック騎手、日本では、横山武騎手、石川騎手、岩田望騎手、団野騎手などが代表的な騎手です。

次に、アメリカンスタイルというすごくアグレッシブに騎乗するスタイルです。大事なのは腕と足の筋力です、腕と足の短さを筋力でカバーし、力強く追いまくるのが特徴です。海外ではオルティス・ジュニア兄弟、日本では内田騎手などが代表的です。

次に、アメリカンスタイルのフォームをベースにヨーロピアンスタイルのテイストを混ぜているような騎乗フォームです。特徴的な点は、ヨーロピアンスタイルほど膝を絞めず、スクワットをするようなフォームで体全体のバランスとブレを最小限にし、上半身がしっかり動いていても、下半身の中では特に足が動かない所が特徴的です。海外ではデットーリ騎手、スミヨン騎手、日本では武豊騎手、ルメール騎手、田辺騎手、横山典騎手、松山騎手、池添騎手などが代表的な騎手達です。

最後に、世界で1人だけの騎乗フォームを確立した騎手が、日本の岩田康誠騎手です。彼の騎乗フォームを初めて見た人は驚きますが、それ以上に結果が素晴らしい事により驚きます。

私が、感じる大まかな騎乗フォームを分けさせていただきましたが、なぜ各騎手のフォームがいろいろあるのかと言うと、ゴルフでも野球でも同じ事が言えますが、各自それぞれで、力の伝達方法が違い、それが個性となっているからです。それぞれまずは憧れた騎手のマネから入り、自分にフィットするフォームを見つけていくのだと思います。中には、武豊騎手のようにデビュー当時から今の騎乗フォームが進化している場合もあり、若い頃から世界各地で世界トップジョッキー達と渡り合った進化の表れだと私は感じます。その影響は、ルメール騎手が受けていると感じます。

今の若手騎手たちがこぞってヨーロピアンスタイルになっているのは、ムーア騎手が短期免許で来日した際の活躍を見て刺激を受けた事と、直線の追い比べの時の迫力がどのフォームよりも迫力がある事も関係していると感じます。マーフィー騎手も、日本の若手騎手と同じ動機だったそうです。

次にアグレッシブなアメリカンフォームですが、主に背の低いラテン騎手に多い傾向がありますが、日本の騎手では、内田騎手しかいないと感じますが、今後同じような体形を持つ若手騎手もぜひまねて欲しいと感じます。なかなか、日本の若い騎手に浸透しないのは、北米を代表する騎手達が日本へ短期免許で来ない事が影響していると感じます。岩田康騎手は、騎乗フォームが他の騎手とは異なりますが、馬との折り合いの付け方は天才だと私は感じます。息子の岩田望来騎手でもまねできていないので、今後もまねできる人は出て来ないと思います。

皆様も、レースを観戦しながらどのスタイルの騎乗フォームか確認してみて下さい。新たな発見があるかもしれません。

最後に、今週から東京競馬場開催が始まりますが、気候が寒く芝状態が硬くなりやすいことで高速馬場になりがちなので、ぜひディープインパクト産駒に注目して馬券を買ってみて下さい。(レースホースコーディネーター)

ヨーロピアンスタイルの横山武騎手
ヨーロピアンスタイルの横山武騎手
アメリカンスタイルの内田騎手
アメリカンスタイルの内田騎手
世界に1人だけの騎乗フォームを確立した岩田康騎手
世界に1人だけの騎乗フォームを確立した岩田康騎手