サーパス覚醒/朝日杯FS

 朝日杯FSはここまでいかに余力を残して勝ち進んできたか。伸びしろの有無が重要になる。水島晴之記者が分析する「G1前哨戦その一瞬」は、きんもくせい特別をレコード勝ちしたマイネルサーパス(牡、高木)に注目。大外まくりも最後はソラを使って鼻差の接戦に。力を出し切った競馬ではなく、強敵相手で真の実力が引き出される。

前走初の追い込み サーパス

<きんもくせい特別>◇11月4日=福島◇芝1800メートル◇2歳◇出走12頭◇

マイネルサーパス全4戦
マイネルサーパス全4戦
前走レコード勝ちの勢いでG1に挑むマイネルサーパス
前走レコード勝ちの勢いでG1に挑むマイネルサーパス

 きんもくせい特別のマイネルサーパスは、初めて後方からの競馬をした。3角10番手から徐々に進出。4角手前で馬群の大外へ持ち出すと、一気に集団をのみ込んだ。陣営が追い込みを指示したのは理由がある。新馬は周囲に馬がいなくなって外へ斜行。2戦目は早めに先頭に立つと、内へもたれながら急ブレーキをかけた。そして未勝利勝ちの3戦目も、ゴール前の外斜行で2着馬を妨害。柴田大騎手が騎乗停止になった。

 前に目標がいた方が集中して走る。前走はこの戦法がはまった形。それでも前へ出た途端、フワッとしてソラを使った。高木師、丹内騎手とも「反応が良すぎた」と言う瞬発力。しかもラスト3ハロン11秒9―11秒7―11秒7の高速ラップを、コーナーで5、6頭分外を回って差し切ったのだから強い。2着ダノンチェイサーとはわずかに鼻差だが、仮にもう1頭前に馬がいたら、もっと伸びていたと推測できる。

 今回は無敗馬、重賞勝ち馬も出てくる。これまで戦ってきた相手とはレベルが違うが、4戦とも真剣に走った印象はない。こういうタイプは相手が強くなればなるほど、優れたパフォーマンスを見せる。好メンバーがマイネルサーパスの眠っていた潜在能力を呼び覚ます可能性は高い。

 前走で競馬の形(追い込み)もできた。気難しい馬だけに、丹内騎手が手の内に入れたのもプラス。マイルは新馬2着以来だが、阪神外回りの長い直線なら距離不足はない。前に行く有力馬を追って、どこまで差を詰められるか。頭まで突き抜けるシーンも考えておきたい。

アレグリア 瞬発力非凡

<サウジアラビアRC>◇10月6日=東京◇G3◇芝1600メートル◇2歳◇出走8頭◇

サウジアラビアRCを制したグランアレグリア(右)
サウジアラビアRCを制したグランアレグリア(右)

 グランアレグリアの圧勝だった。スタートで1馬身出遅れ、最後方を追走する形になったが、2ハロン目で一気に2番手まで進出。逃げたトーラスジェミニがラップタイムを13秒1→11秒8に上げたところで、6馬身後方から浮上したグランは、11秒台前半の脚を使ったことになる。それでも先頭に立ってからのラスト2ハロンは11秒1―11秒7でまとめた。これでは2着以下が3馬身半離されるのも当然だ。スピードだけでなく、追ってからの瞬発力も非凡だった。前半リラックスして走れれば、もっと切れる脚が使えるはず。課題があるとすれば、やはり折り合いだろう。

ファンタジスト 距離が鍵

<京王杯2歳S>◇11月3日=東京◇G2◇芝1400メートル◇2歳◇出走8頭◇

 ファンタジストが立ち回りのうまさを見せた。好スタートから3番手に控え、直線は追い出しを待って抜け出した。ゴール前は2着アウィルアウェイに鼻差まで詰め寄られたが、何とかしのぎ切った。坂路で49秒台をマークするほどのスピード馬で、マイルへの距離延長が鍵になってくる。5着アスターペガサスは大外から追い込んだが、先行有利の流れでは仕方ない。気性の幼さはあるがポテンシャルは高く、展開がはまればG1でも力を発揮する。

マーズ 競れば根性発揮

<デイリー杯2歳S>◇11月10日=京都◇G2◇芝1600メートル◇2歳◇出走9頭◇

デイリー杯2歳Sを制したアドマイヤマーズ(左)
デイリー杯2歳Sを制したアドマイヤマーズ(左)

 アドマイヤマーズが、並んでからの勝負根性を発揮した。いったんはメイショウショウブに出られたが、最後は突き放して 3/4 馬身差。新馬でもケイデンスコールに鼻差競り勝っており、ゴール前でもつれれば強さを発揮する。その半面、それほど切れる印象はなく、瞬発力勝負になった時、どこまで対応できるかは疑問。時計も中京2歳Sの1分34秒7が最速で短縮が必要だ。