日刊スポーツ

【春高バレー】就実が2年生スパイカー押川結衣らの活躍で2年ぶり決勝「最後はみんなで楽しむ」

就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ就実の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

5度目の頂点を目指す就実(岡山)が、2年ぶりの決勝へ駒を進めた。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会準優勝の誠英(山口)を3-0のストレートで退けた。

準々決勝の金蘭会戦で躍動した2年生エース福村心優美(こゆみ)だけに頼らない、多彩な攻撃で攻め立てた。高橋凪、押川結衣ら同じく2年生のスパイカー陣が奮起。第1セットから強気に打ち抜き、34年連続44度目の出場の同じ中国地方の名門校に、付け入る隙を与えなかった。

3連覇を狙った前回大会は出場がかなわず、この試合で初めてセンターコートに立った押川は「テレビで見てきた舞台。入った瞬間は緊張よりもワクワクが強かった」と楽しんだ。得意のバックアタック4本を含む20得点で、60%を超えるアタック決定率を記録。「ここ(準決勝)まできたら、ただ打つだけでは決まらない。コースを狙ったり、パワーを生かして思いっきり打つことを意識した」と振り返った。

8日の決勝は、旭川実(北海道)-下北沢成徳(東京)の勝者と対戦する。同じく2年生を中心とする下北沢成徳には、今季のインターハイ(全国高校総体)準々決勝でストレート負けを喫している。「悔しさをぶつけたい。今までやってきたことを信じて、最後はみんなで思いっきり楽しみたい」。今季の集大成を、満開の笑顔で飾る決意だ。【勝部晃多】

就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ就実の選手たち(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、ガッツポーズする就実・福村(左)(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、スパイクを放つ就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ボールに食らい付く就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、打ち返す就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ポイントを奪い喜ぶ就実・福村(右奥)(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ボールに食らい付く就実・井上(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】福井工大福井が昨年準V鎮西破り決勝進出 堤凰惺「井坂太郎に立ち向かいました」

福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

インターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が、男女通じて県勢初の決勝進出を決めた。準決勝で2年連続準優勝の名門、鎮西(熊本)と対戦。3-0のストレートで破り、初優勝へ王手をかけた。

昨年の準々決勝でフルセットで破れ、センターコート出場を阻まれたライバルに雪辱しても、キャプテン堤凰惺(おうせ、3年)の顔は引き締まっていた。「勝ったことは本当にうれしいんですけど、自分たちが目指しているところは日本一なので喜べない」。試合後はすぐに、初対戦となる強敵、駿台学園との決勝戦へ目線は向いていた。

前日6日、先輩たちが成し遂げられなかったベスト8の壁を越えた。この日、まだ見ぬ景色へメンバーに緊張はあったが、堤は「思い切りやって、自分に(ボールを)持ってくればいいよ」と鼓舞。主軸の声掛けに、チームメートが奮起した。

第1セット(S)は、2年生オポジット山本快が得点を量産すれば、第2Sは勝負どころで丸山英祐(3年)が2連続ブロックを決めて逆転に導いた。追いかける展開となった第3Sも森本泰地(2年)が、ブロックで流れを寸断。出場したメンバーがことごとく見せ場を作り、全員でストレート勝ちを引き寄せた。

今回は、絶対に負けたくない。エース堤は、その気持ちをボールに乗せた。昨年の準々決勝で苦杯をなめた、鎮西・井坂とのエース対決でリベンジを果たし、「去年(の準々決勝)は自分のミスで負けてしまった。負けたくないという気持ちで、井坂太郎に立ち向かいました」と拳を握った。

「凰惺」という名には「貴重な存在になってほしい」との想いが込められている。血液の持病を持ち、「子供は1人しか産めない」と言われていた母に名づけられた。幸いなことに「結局3人産んだんですけど(笑い)」という母は、この日も応援に駆けつけてくれた。名前通りの貴重な存在には? 「わからないですけど、それに近づいてきてるのかな?」と、白い歯を見せた。

初優勝へ-。唯一無二のエースが、県勢の夢をかなえる。【勝部晃多】

福井工大福井対鎮西 第2セットを取り、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・山本(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・能美(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第2セット、スパイクを放つ鎮西・井坂(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】2年連続準Vの鎮西は4強敗退 エース井坂太郎「すべて出せた。後悔ない」

福井工大福井対鎮西 第2セット、スパイクを放つ鎮西・井坂(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

2年連続準優勝の鎮西(熊本)は準決勝で敗退。福井工大福井に19-25、23-25、16-25のストレートで敗れた。

右肩痛のエース井坂太郎(3年)は第1セット(S)途中から出場。強烈なバックアタックを繰り出すなど得点を重ねたが及ばなかった。チームを最後まで鼓舞した主将は「3年間のすべてを出せた。後悔はないです」。

昨秋、鹿児島国体の事前合宿中に右肩を亜脱臼。春高予選を戦う中で患部が悪化し、靱帯(じんたい)損傷と診断された。今大会は痛みと付き合いながら出場。ベストの状態ではなかったが、言い訳にはしなかった。

「自分は打ち分ける技術がそれほどない。その分、相手に立ち向かっていこうと気持ちでスパイクを打った」

日本代表として活躍する宮浦健人(パリ)など、数々の名選手を送り出してきた名門チーム。しかし自らが主将を務めた今季はインターハイ、国体とベスト16で敗退した。「『今年は勝てない』『厳しい』と周囲から言われた」。その悔しさをぶつけて、最後の大会では準決勝まで勝ち進んだ。

3年連続となる決勝の舞台には立てなかった。それでも、みんなと力を合わせてつかんだ銅メダル。井坂は「悔しいのは悔しいけれど、最後にこのチームで、センターコートで試合をできた。それだけで、自分はものすごくうれしい」と胸を張った。

福井工大福井対鎮西 福井工大福井に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の鎮西の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 福井工大福井に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の鎮西の選手たち(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】昇陽は準決勝敗退、駿台学園に高校総体の雪辱できずも「大きく進化した」斉藤主将

駿台学園に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の昇陽の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

初の春高バレー4強進出を果たしたインターハイ3位の昇陽(大阪)が、準決勝で力尽きた。

前回大会覇者で昨夏の全国総体優勝との2冠を狙う駿台学園(東京)に、0-3のストレート負け。全国総体でも準決勝で敗れた相手に、リベンジを果たすことはできなかった。

全セットで序盤はサイドアウトの応酬となったが、中盤、終盤の勝負どころでの連続失点が響き、徐々に点差を広げられる展開となった。第1、第2セット(S)はアタック決定率が上がらなかったエース小山海皇(みこと、3年)が、第3Sに軟打を交えたアタックで得点を重ねて一時は2点リードしたものの、見せ場はここまでだった。

「サーブで崩されて的を絞らせてしまった」と斉藤拓海主将(3年)。それでも、昨夏からの成長を感じさせる内容だった。「攻撃面で通用するようになった。ブロックとレシーブの関係が大きく進化した」と、胸を張った。初めての春高バレーのセンターコートには「とても楽しかった。ここでバレーができたことはこれからのバレー人生がとても大きく動かされるし、心に残る」と、かみしめた。【勝部晃多】

駿台学園に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の昇陽の選手たち(撮影・鈴木みどり)

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春高バレーに狩野舞子さんら元女子代表レジェンド集結「最強非現役メンバー」「美女倶楽部」の声

狩野舞子さん(2019年撮影)

元バレーボール女子日本代表の新鍋理沙さん(33)が7日までにインスタグラムを更新。現在開催中の春高バレーで解説を務めた元女子日本代表のレジェンドたちとの集合写真をアップした。

2012年ロンドンオリンピック(五輪)銅メダルメンバーの狩野舞子さん(35)、佐野優子さん(44)、江畑幸子さん(34)と、21年東京五輪代表の石井優希さんの5人。

レジェンドたちの集結にフォロワーからは「最強メンバー」「最強非現役メンバー」「みんなの笑顔が最高」「美女倶楽部」などの声が寄せられた。

新鍋理沙さんのインスタグラムから
新鍋理沙さんのインスタグラムから
新鍋理沙さんのインスタグラムから
新鍋理沙さんのインスタグラムから

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【春高バレー】福井工大福井、男女通じて県勢初の決勝進出 昨年準Vの鎮西をストレートで破る

福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

男女通じて県勢初の優勝を目指すインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が、2年連続準優勝の名門、鎮西(熊本)を破り、決勝進出を果たした。

第1セット(S)。11-12のビハインドで、オポジット山本快が気を吐いた。アタックやブロックなど、一気の7連続得点で逆転に成功。2年生が流れを引き寄せると、エース堤凰惺主将(3年)がセットポイントからアタックを決め、25-19でセットカウントを先取した。

第2Sは、相手エース井坂太郎主将の鋭いスパイクに苦戦。追いかける展開が続いたが、最後まで集中力を切らさなかった。19-20の場面で、丸山英祐(3年)が2連続ブロックで逆転に成功。さらに長谷川翔大(3年)がサービスエースを決めて一気にリズムに乗ると、24-23で山本がブロックアウトを決めて連取した。

第3Sも立ち上がりから追いかける展開となったが、中盤にミドルブロッカー森本泰地(2年)の3本のブロックを含む6連続得点でひっくり返すと、完全に主導権を握った。最後はマッチポイントで1年生の能美偉時が井坂をブロックで仕留め、25-16でこのセットを取り、勝負を決めた。

出場した全選手が攻守にわたる活躍を見せ、完成度の高いバレーを披露した福井工大福井。県勢初の2強進出を決めた。決勝では、先に駒を進め、全国総体との2冠を狙う駿台学園と激突する。

福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ堤(右)ら福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第2セットを取り、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・山本(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・能美(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】東北1日2試合の「鬼門」突破できず 坂本アンディ世凪は主将務め人間的に成長

東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートの肩に手を添える東北・坂本(撮影・相沢孔志)

<全日本高校バレー(春高バレー)>◇6日◇男女3回戦、準々決勝◇東京体育館

昨年全国高校総体8強の東北(宮城)が、準々決勝で昇陽(大阪1位)に0-2のストレート負け。坂本アンディ世凪主将(3年)が打点の高いスパイクでチームをけん引したが、勝利には届かなかった。前回大会優勝の古川学園(宮城)は3回戦で金蘭会(大阪1位)に1-2で敗れ、5大会連続8強入りを逃した。照井莉子主将(3年)が1年生主体のチームを引っ張り、新チームに日本一を託した。これで東北勢はすべて敗退した。

東北は3回戦で習志野(千葉)に逆転勝ちしたが、1日2試合の「鬼門」は突破できなかった。準々決勝は同総体4強の昇陽と激突し、第1セットは一時23-22とリードしたものの、そこから痛恨の3連続失点。同Sを奪取され、第2Sは要所でのサーブ失敗、サウスポーの小山海皇(みこと、3年)の切れのあるスパイクに苦しめられた。吉田康宏監督(53)は「要所で全部いいところを決めきられたことが敗因。一枚上手だった」と脱帽した。

前回大会は3回戦の鎮西(熊本)戦でフルセットにもつれ、26-25とマッチポイントと迎えたが、痛恨の連続失点で涙をのんだ。坂本を中心に再び東京体育館に戻り、昨年を超える1大会3勝を挙げた。試合後、涙を見せずに悔しげなチームメートに語りかけた主将は「自分が最後決めきれなかったことが一番。ここまで支えてくれたことにすごく感謝している」と前を向いた。

岩手から宮城の名門に進み、最終学年は主将を務めて人間的に成長した。02年以来となる悲願成就を後輩に託し、自身は大学でさらなる高みを目指す。「将来的には攻守ともに安定したプレーヤー。最後の1本やチームが必要な1点の時に取りきれる選手になりたい」。チームが苦しい時は得点を期待され、ボールが集まった。新天地でも高く跳び、打点の高いスパイクで坂本アンディ世凪の名をとどろかせる。【相沢孔志】

20年から4大会連続で準決勝進出を果たし、センターコートを経験した古川学園が3回戦で敗退した。第1セット(S)は昨年国体準V校に押され、磨いてきたレシーブ力が発揮できず、8点差で先取された。だが、照井は「もう1回、自分たちがやってきたことを信じて、出し切ろうという言葉を全員でかけ合った」。チームを鼓舞し、挑んだ第2Sは、17-16から5連続得点でリードを広げ、Sカウントをタイに。逆転勝利に望みをつなげた。

勝負の第3S。相手はVリーグ1部PFUに24年度の加入が内定した上村杏菜(3年)が本領を発揮。スパイクで得点を許し、苦しめられた女王は勝負どころで粘れず。岡崎典生監督(55)は「当たり前のことができなくなり、落ち着いてバレーができなくなった」。最後も上村の得点で勝敗は決まり、前チームの主力だった1学年先輩が観戦する中、連覇を阻まれた。

先発出場6人のうち、4人が1年生。全国大会の経験を積み、伸びしろや楽しみしかない新チームだ。妹南(1年)と戦う最後の大会が終わった姉は「この3年間で経験したことや岡崎先生に教えてもらったものを南に託し、南にこの東京体育館で輝いてほしい」と期待を寄せた。「(1年生は)目標をちゃんと持っている。来年は来年のいいチームをつくり、必ず帰ってきたい」と岡崎監督。涙や悔しさを糧に、全国屈指の名門が王座奪還に向かう。

昇陽に敗れ涙を流すチームメートに声をかける坂本(右)
東北対昇陽 第2S、サーブで狙いを定める東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 第2S、雄たけびを上げて得点を喜ぶ東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートに語りかける東北・坂本(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】4強入り逃すも浜松修学舎は初出場で3勝の快進撃 富士見は昨夏に続く8強進出

男子 浜松修学舎対西原 スパイクを決める浜松修学舎・関屋(撮影・横山健太)

バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)◇6日◇男女3回戦、準々決勝◇東京体育館

県勢2チームが準々決勝で力尽きた。4強入りを逃したが、両チームは過去最高のベスト8で大会を終えた。男子の浜松修学舎は3回戦で西原(沖縄)に2-1で辛勝。準々決勝では、2年連続準優勝の鎮西(熊本)に0-2。敗れはしたが、初出場で「全国3勝」の快進撃を見せた。女子の富士見は、3回戦で習志野(千葉)にストレート勝利を収め、昨夏全国総体に続く8強進出。準々決勝は、前回準Vの誠英(山口)に0-2で敗れた。

   ◇   ◇   ◇

浜松修学舎の快進撃が止まった。強豪・鎮西の前に第1セットから互角の展開を見せた。3回戦で20得点を挙げて勝利に貢献したエースOH扇谷暉琉(2年)や、勝負強さの光るOH赤堀悠人(1年)が得点を重ね、終盤まで点の取り合いが続いた。さらに3回戦に続き、ブロックとクイックで攻撃にアクセントを加えた188センチMB大塚奨(3年)も活躍。23-24まで追い詰めたが、第1セットを失った。

3回戦が終了し、短いインターバルで臨んだ準々決勝の第2セット。さすがに選手に疲れが見え始める中、セッター若杉宙(1年)は巧みにボールを散らし、同じ1年生のOP關屋幸馬も奮闘。最後まで粘りを見せたが16-25で終戦となった。

初出場ベスト8。新たな歴史を刻んだ技術集団は来年、1年生カルテットを中心に、再び春高の舞台でリベンジを果たす。

浜松修学舎・MB大塚奨(3年) 楽しむことは忘れず、3年間やってきたことを出し切った。1、2年生には感謝です。

浜松修学舎対西原 懸命にボールを拾う浜松修学舎・谷(撮影・横山健太)
浜松修学舎対西原 西原に勝利し歓喜する浜松修学舎の選手たち(撮影・横山健太)
浜松修学舎対鎮西 鎮西に敗れ肩を落とす浜松修学舎の選手たち(撮影・横山健太)
富士見対誠英 円陣を組む富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
富士見対誠英 準々決勝で敗退し、悔し涙を流す富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

【春高バレー】旭川実、92年以来31大会ぶり4強 U19代表エース笠井季璃がチームに勢い

旭川実対都市大塩尻 スパイクを決め雄たけびを上げる旭川実・笠井(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:旭川実2-1都市大塩尻>◇準々決勝◇第3日◇6日◇東京体育館 

旭川実が2-1で都市大塩尻(長野)を下し、準優勝した1992年(平4)以来、31大会ぶりの4強進出を決めた。U19日本代表で、エースの笠井季璃(りり)主将(3年)が3回戦で37点、この日2試合目の準々決勝で29得点の計66点を挙げ、チームをけん引した。

グインと、たてに鋭く曲がり落ちるドライブサーブで、笠井がチームを勢い付けた。準々決勝第1セット7-4の場面から10本連続で相手コートに入れ、4本のサーブポイントを稼いだ。気が付けば17-4の大量リード。「目標」という日本代表男子の石川祐希(28=ミラノ)と同じ練習法で身につけた必殺技で、自身とチームの夢をつかんだ。「1年生の時から春高のセンターコート(準決勝)は、私にとって特別な場所です」と、にこやかな表情で言った。

2試合とも第2セットを落としたが、動じなかった。流れが相手に行きかけると鋭角なクロスで逆サイドギリギリにボールを打ち込んだ。ミスをして表情を硬くする後輩には「えがお、えがおー」と声をかけ続けた。谷川星奈(2年)は「苦しい時、必ずなんとかしてくれる頼もしい先輩」と、大エースを持ち上げた。

7日の準決勝は、高校総体、国体を制し、今大会で3冠を狙う下北沢成徳(東京)が相手になる。180センチ台の身長の選手が3人もいるが、一昨年はU18アジア選手権、昨年はU19世界選手権で、世界と渡り合ってきた経験がものを言う。「ここまで来たら楽しんだもの勝ち。壁をぶち抜かないと上にはいけない」と笠井。1年間言い続けた「日本一」まで、駆け上る。【中島洋尚】

大阪国際滝井・国際対旭川実 得点を奪い笑顔を見せる旭川実・笠井(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
旭川実対都市大塩尻 都市大塩尻に勝利し歓喜する笠井(手前)ら旭川実の選手たち(撮影・横山健太)

【春高バレー】富士見は8強で力尽きる…甲斐監督「自分も感動するような最高の試合だった」

富士見対誠英 準々決勝で敗退し、悔し涙を流す富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<全日本バレーボール高校選手権:誠英0-2富士見>◇6日◇準々決勝◇東京体育館

県勢2チームが準々決勝で力尽きた。4強入りを逃したが、両チームは過去最高のベスト8で大会を終えた。女子の富士見は、3回戦で習志野(千葉)にストレート勝利を収め、昨夏全国総体に続く8強進出。準々決勝は、前回準Vの誠英(山口)に0-2で敗れた。男子の浜松修学舎は3回戦で西原(沖縄)に2-1で辛勝。準々決勝では、2年連続準優勝の鎮西(熊本)に0-2。敗れはしたが、初出場で「全国3勝」の快進撃を見せた。

  ◇  ◇  ◇

初のセンターコートには1歩及ばなかった。前回準Vチームを相手に、最後まで互角の戦いを見せたが、0-2で敗退した。

第1セットを落とした富士見は、第2セットで反撃に出た。17-18の場面からOH八田舞花(3年)が4得点を挙げると、今度は20-21の場面で福元さやか(1年)が4得点。ここまで活躍した2人が、最後までチームをけん引した。24-24の勝負どころで、2失点を許し万事休す。最後まで諦めないバレーを見せて、東京体育館を沸かせた。

前回大会はコロナ禍で大会直前に出場を辞退。先輩から託された思いを背負った選手が、見事に期待に応えた。平均身長170センチのチームは、全員が攻めのサーブを駆使し、全国総体に続くベスト8。スタメンに1年生4人を擁する若いチームが来年、雪辱を果たして新たな歴史を刻む。

富士見・甲斐健吾監督 選手は1番いい試合をしてくれ、自分も感動するような最高の試合だった。負けたことは悔しいが相手が1枚上。しかし、この子たちが、ここまでやってくれるとは思わなかった。

富士見対誠英 円陣を組む富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】2連覇狙う駿台学園が4強進出、3回戦では国体覇者の高川学園に逆転勝利

駿台学園対川崎橘 準決勝進出を決めタッチをかわす駿台学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-0川崎橘>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

前年覇者で今季インターハイ(全国高校総体)優勝の駿台学園(東京)が4強入りを決めた。

午前の3回戦で国体優勝の高川学園(山口)に2-1で逆転勝ち。優勝候補同士の一戦を制して勢いづくと、午後の準々決勝では川崎橘(神奈川)をストレートで下した。

ヤマ場を1つ乗り越えた。昨秋の国体で敗れた高川学園にリベンジ。駿台学園の梅川大介監督は、「高川学園との試合をモチベーションとして、この数カ月をやってきた。4強入りしたことよりも、(3回戦で)高川学園に勝てたことに、彼らは喜びを感じているのでは」と選手たちの思いを代弁した。

強豪が激突した注目カード。約1カ月前の抽選会で、順当なら3回戦で高川学園と顔を合わせることが決まったあと、選手たちは「完全ネガティブだった」と梅川監督は振り返る。組み合わせをどう感じているか、「良い」「普通」「悪い」の3段階で選手に尋ねたところ、8割が「悪い」に手を挙げた。しかし指揮官の見立ては異なった。高川学園は初戦から気の抜けない相手との対戦が続く。会場の東京体育館は自分たちにとって練習でも利用する“ホームコート”でもある。「自分たちのほうがアドバンテージがある。そんなことを伝えて、少しずつポジティブに変えながらやっていった」。

指揮官の言葉を胸に、選手たちは自信を持ってプレー。第1セット(S)を21-25で失っても、慌てることはなかった。ローテーションを大胆に変更しながらリズムを取り戻し、第2Sを25-19でタイに戻すと、最終3Sはさらに勢いづいて25-17で勝利をつかんだ。

鹿児島国体では現地入り後に発熱した影響で出場機会が限られていた川野琢磨(2年)が、その鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように躍動。196センチの長身を生かし、攻守で存在感を示した。「セッターが1対1の状況をつくってくれたので、ブロックを見て打ち切るだけだった。役割をしっかり果たせた」。インターハイとの2冠へ、そして大会連覇へ。このまま一気に駆け抜ける。【奥岡幹浩】

駿台学園対高川学園 試合に敗れた高川学園・門田(後方)は駿台学園・亀岡と抱き合う(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 サーブを放つ駿台学園・秋本(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 サーブを放つ駿台学園・秋本(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 準決勝進出を決め喜ぶ駿台学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 スパイクを放つ駿台学園・荒井(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】東北が昇陽にストレート負け 坂本アンディ世凪「3年間は決して無駄にならない」

昇陽に敗れ涙を流すチームメートに声をかける坂本(右)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:昇陽2-0東北>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

昨年全国高校総体8強の東北(宮城)が、同4強の昇陽(大阪1位)にストレート負けした。これで東北勢は男女ともにすべて敗退した。

第1セット(S)は23-22から3連続失点で先取されると、第2Sは接戦でのサーブ失敗が響き、相手サウスポーの小山海皇(みこと、3年)の切れのあるスパイクに苦しめられた。先にマッチポイントとされ、身長193センチの坂本アンディ世凪(せな)主将(3年)がスパイクを打つもブロックされた。

試合後、涙を見せる選手や肩を落とす選手に語りかけた坂本は「チームに対して、最後決めきれなかった部分で申し訳ない気持ちになった。ここまで支えてくれたことに関してすごく感謝している」と振り返った。

岩手・雫石中から宮城の東北へ。02年以来の優勝には届かなかったが、大きく成長した。「きつい時もあったが、みんなで支え合ってきた。この3年間は決して無駄にはならない。今の3年生は上のカテゴリーでプレーする選手も多いので、この悔しさをバネにやっていきたい」と前を向いた。

東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートに語りかける東北・坂本(撮影・相沢孔志)
スパイクを放つ坂本
東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートの肩に手を添える東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 第2S、雄たけびを上げて得点を喜ぶ東北・坂本(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】“コロナ棄権”で3連覇逃した就実4強 エース福村心優美「強い就実証明したい」

金蘭会対就実 準決勝進出を決め喜ぶ就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実2-0金蘭会>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

2年ぶりの頂点を目指す就実(岡山)が、5年ぶり4度目の優勝を狙う大阪の名門、金蘭会を2-0のストレートで破り、準々決勝を突破した。

3連覇を目指した前回大会は、直前の「コロナ陽性」で棄権。昨年出場を果たせなかった先輩たちが応援席で見守る前で、センターコート進出を果たす万感の勝利を届けた。

試合を決めたのは2年生エース、福村心優美(こゆみ)の一撃だった。セットカウントを先取して迎えた第2セット。4連続失点を喫し、14-16と追いすがられた場面で、ギアを入れ直した。3枚ブロックの徹底マークを受けながらも「負ける気はしなかった」と右腕を振り抜く。強烈なアタックを決めて流れを引き戻すと、マッチポイントでもエンドラインぎりぎりに打ち抜いた。自身初の春高。センターコートへの切符をつかみ取り、「決めべき場面で決めきれて良かった」とうなずいた。

「マークの中でも打ち抜くのが就実のエース」。大会前、西畑美希監督から幾度となく説かれてきた。その信条を、大一番となった難敵との戦いで体現。現役時代、Vリーグユニチカなどで活躍した監督が「びっくりした。どんだけ打てるんだ」と驚く、満点のできだった。

それでも、慢心はまるでない。成長を続ける主軸は、まだ「70点」と評した。「苦しい時に自分が決められなかった場面がある。そこで決め切れたら」と力を込めた。昨年、大会直前の棄権で悔し涙を飲んだ岡山王者。福村は、先輩たちの思いも背負う。「就実は強いんだというところをもう1度いろんな人へに証明したい」。勝負と語る準決勝へ、迷い無く腕を振る。

金蘭会対就実 円陣を組む就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 ポイントを奪い喜ぶ就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 トスを上げる就実・河本(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 スパイクを放つ就実・福村(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】東京学館新潟8強ならず 強豪鎮西に攻守で粘り接戦に持ち込むもあと1歩届かず

東京学館新潟対鎮西 スパイクを放つ東京学館新潟・斎藤(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:鎮西2-0東京学館新潟>◇6日◇男子3回戦◇東京体育館

新潟の男子代表、東京学館新潟(2年ぶり15度目)は、2年連続で春高準Vの鎮西(熊本、15年連続36度目)と接戦を演じたが、0-2で敗れ、07年以来の8強入りを逃した。

試合開始から一進一退の攻防戦。エースのOH皆木海人(3年)ら攻撃陣と、持ち前の守備力で粘った。だが、今大会注目アタッカー井坂太郎(3年)を擁し過去3度Vを誇る強豪校撃破へは、あと1歩届かなかった。それでも主力2年生が多数残る新チームへ、望みはつないだ。

  ◇  ◇  ◇

東京学館新潟は最後まで粘りを見せた。チームを41年間率い、今年3月で定年退職を迎える石山雅一総監督(65)が与えた「挑戦者!~こんにゃく魂~」のスローガンの下、まさに柔軟に鎮西に対応し、「粘り強いディフェンスからのコンビバレー」で36度の出場回数を誇る相手に真っ向勝負を挑んだ。

試合開始から激しい主導権争いを演じた。取っては取られのシーソーゲーム。そのなかで2年生セッターの相田悠一郎がクイックや左右、真ん中と使い分け、アタッカー陣も相田のトスに応えた。第1セット、20-23からはエース皆木も得点を重ね、4連続得点を奪い、逆転で先にマッチポイントを取った。だが鎮西の粘りでジュースに持ち込まれると、第1セットは25-27で落とした。

第2セットも点の取り合いだった。MB小林裕太(3年)が磨き上げてきたブロード攻撃も決まり出し、自慢のブロックも相手エースの井坂を要所で止めるなど「粘りのバレー」で食らいついた。それでもセットを奪うことは出来なかった。渡辺健太郎監督(39)は「ディフェンスは割としつこくやれていたと思いますし、攻撃もそれなりにできていた。だが鎮西が粘り強かった」と振り返った。

県3冠を達成し、乗り込んだ春高の舞台。「日本一」にこそ届かなかったが、確かな手応えもつかんだ。主将の高橋快(3年)は「残った悔いは1、2年生が春高に戻ってきて返してくれると思うので、頑張ってもらいたい」と後輩に思いを託した。新チームには今大会でエース級の活躍を見せたOH斎藤寿明ら主力だった2年生が残る。悔しさと経験を糧に、さらなる進化を遂げ、全国の大舞台に戻ってくる。【大島享也】

東京学館新潟対鎮西 スパイクを放つ東京学館新潟・小林(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 得点を奪いガッツポーズの東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 試合に敗れ涙する東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 試合を終えあいさつへ向かう高橋(手前)ら東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)

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【春高バレー】旭川実、31年半ぶりのベスト8進出 笠井季璃が71得点中37点を取る活躍

大阪国際滝井・国際対旭川実 スパイクを放つ旭川実・笠井(右)(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:旭川実2-1大阪国際滝井・国際>◇6日◇3回戦◇第3日◇東京体育館

旭川実が、全日本高校選手権では、高校総体として開催され、準優勝した1992年(平4)夏以来、31年半ぶりのベスト8進出を決めた。U19日本代表でアウトサイドヒッターの笠井季璃(りり、3年)が、チームの71得点中37点をたたき出す活躍を見せ、3年前の準優勝校・大阪国際滝井・国際をフルセットで下した。

攻撃力の半減を狙った相手にサーブで狙いうちされても、笠井は全く動じなかった。正確で柔らかいレシーブでセッターに預け、上がったボールを相手コートに思い切りたたきつけた。第3セットの序盤では、柔らかいタッチで1度相手コートに入れたボールが、すぐに戻ってきたところを、そのまま強打のクロスで打ち返す離れ業も見せた。

「目標は日本一」。北海道大会から口癖のように言い続ける最高到達点へ、あと3勝に迫った。

女子3回戦 旭川実VS大阪国際滝井・国際 U19日本代表で旭川実の笠井主将は、右から強いスパイクを放つ(撮影・中島洋尚)
女子3回戦 旭川実VS大阪国際滝井・国際 U19日本代表で旭川実の笠井主将は、スパイクを決めた選手に向かって笑顔でサムアップ(撮影・中島洋尚)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)

【春高バレー】正智深谷はベスト16で敗退「超す勢いで」絶対エース白野大稀が石川祐希超え誓った

昇陽対正智深谷 スパイクを放つ正智深谷・白野(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:昇陽2-1正智深谷>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

11年ぶり2度目の出場となった正智深谷(埼玉)の夢は、3回戦でついえた。

昨年末の天皇杯で大学生を相手にフルセットまで持ち込んだ昇陽(大阪)にあと1歩及ばず、1-2で競り負け。ベスト16で敗退となった。

大会初勝利となった1回戦の東福岡、2回戦の東海大札幌(北海道)をともに2-1で撃破した勢いそのままに、この日も最高到達点347センチを誇る絶対エース白野大稀主将(3年)が、強打連発でけん引。第1セットを25-19で奪取した。

第2Sを22-25で失い、セットカウント1-1で迎えた最終第3S。終盤までサイドアウトの応酬となり、22-23となった。ここで、ここまで絶大な安定感で圧倒してきた白野のバックアタックが、アウトに。マッチポイントを握られると、再び白野のアタックがブロックに阻まれ、万事休すとなった。

ベンチ入りの3年生の平均身長は187センチ。同校を5年間指揮する鈴木康晋監督は、「最高の世代」と話す。初優勝の悲願を達することはできなかったが、白野には「最後にしっかりと思いを乗せることができて良かった」と悔いはなかった。「最後にこの舞台に出られて本当に楽しかったし、最高の舞台だった」と、かみしめた。

卒業後は順大に進学し、日本代表を目指す。「始めたときから日の丸を背負ってがんばりたいと思っていた」と目を輝かせた。理想の選手は代表の絶対エース石川祐希。レシーブからのスパイクで決めきる姿が憧れで、「動画を見て追求している」と成長に貪欲だ。「その人を超す勢いで自分もがんばりたい」。次なる目標へ、エースの躍進は続く。【勝部晃多】

昇陽対正智深谷 懸命にボールを拾う昇陽・小瀬(撮影・横山健太)

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【春高バレー】国体覇者の高川学園が敗退、連覇狙う駿台学園に逆転許す 3回戦屈指の一戦

駿台学園対高川学園 試合に敗れた高川学園・門田(後方)は駿台学園・亀岡と抱き合う(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-1高川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

国体に続く高校2冠を目指した高川学園(山口)が3回戦で姿を消した。

優勝候補対決となった屈指の好カードで、高校総体(インターハイ)王者の駿台学園(東京)に逆転負けを喫した。

敗れた瞬間、高川学園の選手たちが次々とコートに倒れ込んだ。それでもエース門田凌也(3年)だけは気丈に立ち続けた。「主将としてチームにずっと(何かを)与えることができなかった。最後ぐらいは主将として、2年生に来年への思いを託そうと思った」。悔し涙を流す仲間たちに手を差し伸べた。

前年覇者で高校総体との2冠が懸かる強敵から、第1セット(S)を25-21で先取した。しかし堅守を誇る相手にすかさず対応された。第2Sを19-25と落とすと、第3Sは17-25と力尽きた。自身のアタックも何度も拾われ、「最後は自分たちがムキになってしまった。駿台はレシーブに加えてブロックの堅さもある。崩すのは容易でなかった」。それでもエースとして、最後まで打ち続けた。

駿台学園の主将、亀岡聖成(せな)とは試合後にハグを交わして健闘をたたえ合った。「お手本にしていたチーム。練習中でも駿台の名前は出る。追いかけていたその背中を国体で追い越したけれど、気持ちとしては格上と思ってやってきた。ずっといい相手として戦ってこられたかな」

3年間を通じて心身ともに成長してきた。そんなエースに対して有吉健二監督は「この試合でも意地の一本を見せてくれた。さらなる上のカテゴリーで力を発揮して欲しい」とエールを送った。

身長187センチ、最高到達点は335センチに及ぶアウトサイドヒッターは、春から大学に進学予定。「体力や技術面をもっと磨いていければ、ラスト1点を決めれるようなエースになれると思う」。次のステージで、さらに大きく成長する。【奥岡幹浩】

駿台学園対高川学園 試合に敗れ悔しがる高川学園の選手たち。中央は門田(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対高川学園 試合に敗れ泣き崩れる選手に声をかける門田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対高川学園 試合に敗れ倒れ込む高川学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】昨年優勝の古川学園が3回戦敗退 照井莉子「日本一目指して頑張ってほしい」

古川学園対金蘭会 金蘭会に敗れ、試合後に涙をぬぐう古川学園・中山(左)(撮影・相沢孔志)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:金蘭会2-1古川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

前回大会優勝の古川学園(宮城)が金蘭会(大阪1位)に1-2で敗れ、3回戦敗退した。

第1セット(S)は磨いてきた守備が崩れ、序盤に失点が増えて17-25で落としたが、照井莉子主将(3年)は「もう1回、自分たちがやってきたことを信じて出し切ろうという言葉を全員で掛け合った」。第2Sに立て直し、レシーブでボールを拾い、17-16から5連続得点でリードを広げ、Sカウントをタイに戻した。

第3Sは一進一退の展開で食らいついたが、勝負どころでの連続失点が響いた。これまで4大会連続で準決勝進出を果たし、センターコートを経験した名門の挑戦が終わった。

先発出場6人のうち、4人が1年生というフレッシュなチーム。照井莉は「今の主体は1年生で注目度も高く、期待も高まると思う。自分たち3年生の気持ちをもう1回託して、日本一を目指して頑張ってほしい」と新チームの飛躍を願った。

古川学園対金蘭会 試合に敗れ引き揚げる古川学園・照井(手前)(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 フルセットの末敗れ、肩を落とす古川学園・照井(左から4人目)ら(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 トスを上げる古川学園・照井(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 レシーブする古川学園・照井(手前)(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 第1S、トスを上げる古川学園・照井(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 第2S、福田(左)に指示を与える古川学園・岡崎監督(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 第3S開始前、金蘭会の選手を見る古川学園・岡崎監督(手前)と選手たち(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 金蘭会に敗れ、応援席にあいさつする古川学園・照井(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】金蘭会が昨年覇者を破り準々決勝進出 エース上村杏菜が勝負の第3Sに躍動

古川学園対金蘭会 フルセットの末敗れ、肩を落とす古川学園・照井(左から4人目)ら(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:金蘭会2-1古川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

5年ぶり4度目の優勝を目指す金蘭会(大阪)が、前回大会覇者の古川学園(宮城)との激戦を制し、ベスト8に進出した。

第1セット(S)は立ち上がりから点差をつけると、後半には扇谷葵衣(3年)、西村美波(2年)に連続ブロックが飛び出し、25-17でセットカウントを先取した。このまま勢いに乗っていくかと思われた第2Sだったが、王者の意地に押し返される。16-17の場面で一気に5連続得点を許し、21-25で取り返された。

それでも、第3Sはエース上村杏菜(3年)が爆発。サービスエースや要所での強烈スパイクで、180センチ超を2人擁する相手守備陣を翻弄(ほんろう)した。チームの枢軸が、故障により高校総体や国体を欠場した鬱屈(うっくつ)を晴らすかのような豪快な姿でけん引し、25-20でこのセットを奪取。午後に行われる準々決勝に駒を進めた。

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【春高バレー】鎮西エース井坂、途中出場から逆転勝ちけん引「1点1点取っていこうと」

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:鎮西2-1市立尼崎>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

途中出場のエース井坂太郎が鎮西(熊本)を逆転勝ちに導いた。

10月に右肩を痛めた影響でベンチスタート。しかし立ち上がりから劣勢を強いられ、第1セット終盤からコートに入り、巻き返しをけん引。昨年敗れた決勝でプレーしており「去年を経験していたので焦りはなく、1点1点しっかり取っていこうという気持ちだった」と涼しい表情。右肩はまだ痛む時もあると言うが「エースとしてチームを引っ張っていかないといけない」と責任感をにじませた。

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【春高バレー】就実2回戦快勝 2年生エース福村心優美ら攻撃陣圧倒も「あとは心」監督

第1セット、ポイントを決め喜ぶ就実の選手たち(撮影・浅見桂子)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実2-0高知中央>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

就実(岡山)は2年ぶり頂点へ死角はない。

4日の1回戦で7度の優勝を誇る名門、東九州龍谷(大分)を下した勢いそのまま、高知中央をストレートで下した。2年生エース福村心優美(こゆみ)ら攻撃陣が圧倒したが、西畑監督は「スパイカーがもっと気を吐いていかないと、これからの金蘭会さんとかには厳しい」と辛口評価。「あとは心の部分。ある程度の技術はついてきているので、それを出す勇気」と優勝のカギは強いマインドと説いた。

第1セット、スパイクを放つ就実・押川(左)(撮影・浅見桂子)

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【春高バレー】3冠へ下北沢成徳が快勝発進「中学時代から同じメンバー」イェーモンミャ躍動

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、チーム得点でガッツポーズを見せる下北沢成徳・イェーモン(右)(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳2-0郡山女大付>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

昨年の高校総体、国体との3冠を目指す下北沢成徳(東京)が快勝スタートを切った。初戦となった2回戦で郡山女大付(福島)をストレートで撃破。エースのイェーモンミャ(2年)が力強いプレーでけん引した。

   ◇   ◇   ◇

下北沢成徳の2年生エース、イェーモンミャが、悲願の高校3冠達成へ勢いをつけた。高さを生かしたプレーが武器のチーム内で、スタメン平均身長177センチ(リベロ除く)より低い175センチながら、パワフルなスパイクは別格。「プレーでも声でも引っ張っていきたい」という言葉通り、第2セットの先制点をたたき出すなど抜群の存在感で躍動した。

ミャンマー人の父と母を持つが、日本生まれの日本育ち。最高到達点300センチの身体能力は、元同国代表の父から受け継いだ一方で、「日本語しか話せないんです」と屈託ない笑顔で明かす。現在のスタメンは、リベロ内沢明未主将を除き2年生という若いチームだが、そのほとんどが北沢中3年時に全国準優勝した際の仲間たち。「中学時代から同じメンバーなので言葉にしなくても通じ合う部分がある」と、あうんの呼吸が強さの土台にある。

そんなメンバーと、日本代表の石川真佑らを輩出し、春高3度の優勝を誇る名門校で切磋琢磨(せっさたくま)する。だからこそ、「自分のスパイクももっと磨けるし、チームも落ちているボールが全然多い」と、プレーの精度向上にまず目を向ける。「そこ(3冠)よりも、まずは目の前のことに(集中)。『1戦1戦いこう』と話し合っている」。勝利を積み重ねた先にある栄冠へ-。仲間とともに、勝利と内容にこだわり尽くす。【勝部晃多】

◆イェーモンミャ 2006年(平成18)12月17日生まれ、東京都出身。北沢中3年時の全日本中学選手権で準優勝。父はバレーボールの元ミャンマー代表。4歳年上の兄カウンゼン・マラはサッカー東京Vユース-産業能率大。175センチ、最高到達点300センチのアウトサイドヒッター。

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、サーブを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 第1セットに臨む下北沢成徳・イェーモン(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 第1セットを奪い、喜ぶイェーモン(左後方)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 試合前、整列する下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】駿台学園が王者の貫禄 2冠&2連覇へ「スタートからいい形で入れた」

駿台学園対佐賀学園 勝利しスタンドにあいさつする駿台学園・三宅(左から3人目)ら(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-0佐賀学園>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

高校総体との2冠を目指す昨年覇者の駿台学園(東京)が、快勝スタートを切った。佐賀学園に2-0のストレート勝ち。セッター三宅綜大(2年)が“丁寧な”トス回しで攻撃陣をけん引した。

◇  ◇  ◇

2連覇を目指す駿台学園が、王者の貫禄を示した。1、2年生を含め、さまざまなメンバーを起用しながらも流れを渡さず。25-14、25-11と圧倒した攻撃陣を、2年生セッターの三宅綜大が巧みに操った。「初戦でスパイカーが気持ち良く打てば『状態がいい』と思ってくれる。いつも以上に丁寧を意識しました」とうなずいた。

全国トップクラスの守備力を軸としたつなぎのバレーを武器に、昨夏の高校総体で優勝。12月の全日本選手権では1回戦で高知工科大を破った。続く2回戦は昨季Vリーグ王者の名古屋にストレート負けを喫したが、第2セットには20得点を奪うなど健闘をみせた。

高校では圧倒的な強さを誇るが、春高はさらなる成長を示す舞台となる。同校メンバー主体の東京選抜として出場した昨秋の国体では、山口県代表の高川学園に準々決勝で敗戦。三宅は「自分のせいで負けた」と責任を背負い込んだ。この数カ月間は、悔しさを糧にトスを改善。それまでは速いテンポを重視してきたが、「スパイカーが打てないと意味がない」と息を合わせることを意識した。

大舞台で成果を披露し「スタートからいい形で入れたので明日につながる」と手応えをつかんだ。今日6日の3回戦の相手は、煮え湯を飲まされた高川学園。「最後は、やっぱり今年は駿台だったと思わせられるようなバレーができればいい」。2年生の司令塔は、頼もしく言い切った。【勝部晃多】

駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪いタッチを交わす駿台学園・三宅(右から2人目)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左から2人目)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いガッツポーズする駿台学園・亀岡(手前左)(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 2回戦に勝利した駿台学園・亀岡(手前左端)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪う駿台学園・亀岡(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】浜松修学舎 初の全国舞台で3回戦進出決める 富士見と2校そろって16強入り

前橋商対浜松修学舎 第1S、スパイクを放つ浜松修学舎・大塚(撮影・足立雅史)

バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)◇5日◇男女2回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって、16強入りを決めた。2回戦で女子の富士見は、川崎橘(神奈川)に2-0のストレート勝ち。男子は初出場の浜松修学舎が、前橋商(群馬)を2-0で退けた。今日6日は、3回戦と準々決勝が行われ、ベスト8進出を懸けて富士見は習志野(千葉)、浜松修学舎は西原(沖縄)と対戦する。

浜松修学舎 初の全国舞台で3回戦進出を決めた。前橋商に2-0で快勝。初戦に続いてOH赤堀悠人(1年)が得点を量産し、第1セットを先取。第2セットも勢いそのまま、5連続得点で試合を優位に進めた。終盤は相手の粘りに押され、24-22と2点差まで詰め寄られたが、最後はピンチサーバー榑林心海主将(3年)が、鮮やかなサービスエースを決め、「全国16強」をたぐり寄せた。

前橋商対浜松修学舎 第2S、サービスエースを決めガッツポーズする浜松修学舎・赤堀(撮影・足立雅史)
前橋商対浜松修学舎 勝利し、笑顔を見せる浜松修学舎の選手たち(撮影・足立雅史)
前橋商対浜松修学舎 敗れた前橋商(撮影・足立雅史)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見・甲斐監督(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第2セット、スパイクを放つ富士見・石川(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見の選手たち(撮影・江口和貴)

【春高バレー】富士見5年ぶり16強入り OH八田舞花が初戦に続き躍動しストレート勝ち

富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:富士見2-0川崎橘>◇5日◇2回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって、16強入りを決めた。2回戦で女子の富士見は、川崎橘(神奈川)に2-0のストレート勝ち。男子は初出場の浜松修学舎が、前橋商(群馬)を2-0で退けた。今日6日は、3回戦と準々決勝が行われ、ベスト8進出を懸けて富士見は習志野(千葉)、浜松修学舎は西原(沖縄)と対戦する。

  ◇  ◇  ◇

富士見が、5年ぶりに3回戦進出を決めた。第1セット序盤から主導権争いが続くも、相手のコンビバレーと堅い守りに苦戦。14-19と最大5点差のリードを許した。しかし劣勢でも選手たちは焦ることがなかった。初戦(2○0奈良文化)の勝利の立役者・OH八田舞花(3年)が、この日も躍動。強烈なスパイクと柔らかなフェイントで得点を重ね18-20まで追い上げた。さらにセッター野口優奈(3年)の連続サービスエースで20-20の同点。完全にゲームの流れを引き寄せた。最後は勝負強いOH福元さやか(1年)のスパイクが決まり25-23でセットを先取した。

第2セットは、序盤からサーブで相手のレシーブを崩すと、多彩な攻撃で試合を優位に進めた。なかでもMB鈴木真優(1年)のセンター攻撃やブロックが要所で決まり存在感を示した。粘る相手を振り切って25-20。ストレート勝利を決めた瞬間、選手は右手を突き上げ、オレンジコートに笑顔がはじけた。

チームはこれで同大会の過去最高成績(16強)に並んだ。昨夏全国総体で創部初のベスト8を果たし、「16強の壁」を破った選手たちが、いよいよ春高でも、8強に王手をかけた。

富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第2セット、スパイクを放つ富士見・石川(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見・甲斐監督(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】前回V古川学園が初戦ストレート勝ち 1年生主体の若いチームが連覇へ向け好発進

第2S、アタックする中川

<全日本高校バレー:古川学園2-0細田学園、東北2-0宮崎日大>5日◇男女2回戦◇東京体育館

前回大会優勝の古川学園(宮城)が、細田学園(埼玉)に2-0のストレート勝ち。リベロを含む先発出場7人の半分以上が1年生という若いチームが、初めての春高バレーで躍動。6年連続の初戦突破で「連覇」に向け、好スタートを切った。男子の東北(宮城)は、都城工(宮崎)にストレート勝ちした。

   ◇   ◇   ◇

23大会ぶり4度目の優勝を成し遂げた前チームから世代交代し、頂点に1歩前進した。3年生レギュラーは照井莉子主将、本田凜和(りんな)の2人。1年生主体のチームは第1セット(S)から強気なサーブで相手の攻撃を崩し、レシーブでボールを上げて得点を重ねる好循環を生み出した。序盤からリードを広げると、同S終盤は本田が負けじとブロックを連続で成功。第2Sも5連続得点と主導権を握り、奪った2Sはいずれも10点差をつける快勝だった。

昨年の全国高校総体、国体も同様に臨み、下級生は貴重な経験を積んできた。春高デビュー戦だったが、三浦結衣奈(1年)は「夢見ていた舞台で緊張したけど、今までやってきたことは裏切らない。自信を持って臨んだ」と冷静だった。やるべきことを全うし、タレントぞろいだった昨年とは違う強さがある。岡崎典生監督(55)は「あの子たちにとってみれば全てが初めての道。すごく緊張したと思うが、最高の滑り出し」と評価した。

待ち受ける「鬼門」を突破してみせる。6日は3回戦で金蘭会(大阪1位)と対戦。勝ち上がれば、ダブルヘッダーとなる準々決勝は、前々回大会で2連覇を達成した就実(岡山)と当たる可能性がある。岡崎監督は「1年生は伸びしろしかない。逆に苦しいけど、こんなに恵まれた組み合わせはないので、3年分くらい伸びる、成長できる1日にしたい」。フレッシュな名門が西の名門に挑戦し、新たなステージへと進む。【相沢孔志】

○…東北(宮城)は都城工(宮崎)にストレート勝ち。1回戦の高岡第一戦は初戦の硬さもあり、第2Sは31-29ともつれたが、この日はエース坂本アンディ世凪主将(3年)をはじめ、野村達稀(2年)、手嶋友哉(3年)らが伸び伸びと躍動。バックアタック、クイック攻撃、ブロックがおもしろいように決まり、先発の平均身長183・9センチと全チーム中NO’1の威力を遺憾なく発揮した。

手嶋は「最初は緊張したが、応援が力になって、自分たちが得意とするブロックや高さを生かした攻撃ができた」と感謝した。3回戦は習志野(千葉)と対戦。坂本主将は「習志野は強いチーム。うまく相手のバレーに対応しながら、しっかりと自分たちのバレーをしていきたい」と語り、鎮西(熊本)に3回戦でフルセットの末敗退した昨年超えと、同日に行われる準々決勝進出を誓った。

古川学園対細田学園 第1S、サーブを打つ古川学園・三浦(撮影・相沢孔志)
第1S、得点を喜ぶ古川学園の左から本田、照井、三浦(撮影・相沢孔志)
第2S、スパイクを打つ渋谷
第1S、ツーアタックする照井
第1S、スパイクを打つ三浦
古川学園対細田学園 第2セットに臨む古川学園の選手たち(撮影・江口和貴)
第2S、得点を喜ぶ古川学園(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第1セット、スパイクを放つ古川学園・中川(中央)(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第2セット、ブロックする古川学園・本田(左)(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第2セット、ブロックを決め、ガッツポーズの古川学園・本田(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 古川学園・岡崎監督(撮影・江口和貴)
第1S、選手たちを鼓舞する岡崎監督(中央)

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【春高バレー】長岡商、ディフェンスで長いラリーに持ち込む粘りを見せるも16強入りかなわず

金蘭会対長岡商 2回戦で敗れ、涙する長岡商の選手たち(撮影・足立雅史)

<全日本バレーボール高校選手権:金蘭会2-0長岡商> ◇5日◇女子2回戦◇東京体育館

新潟の女子代表、長岡商(2年ぶり11度目)は金蘭会(大阪<1>、13年連続13度目)に0-2でストレート負けした。昨年の全国高校総体に続く、全国16強入りはかなわなかった。

全国の壁は高かった。過去3度Vを誇り、昨年春高でも4強入りしている金蘭会。長岡商は15年の出場時にも同じ2回戦で敗れている相手だ。第1セットは高さのあるブロックとスパイクに苦戦し、流れをつかめない。それでも粘りのディフェンスで長いラリーに持ち込む展開を作り、徐々に「らしさ」を取り戻した。だが、決定機をつかみきれず、17-25でセットを落とした。

あとがなくなった第2セット。MB冨田ひかり、MB森山来実、OH加納理美ら2年生が要所で得点を奪い、サウスポーのOP吉塚光優(3年)のサービスエースも出たが、最後まで相手の高さを克服出来なかった。最終的に17-25でセットを奪えず、ストレート負け。試合後、選手の目には涙があふれた。

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【春高バレー】東京学館新潟17年ぶりに16強進出 リベロからアタッカー転向の斎藤寿明が躍動

東京学館新潟対高知 第1セット、スパイクを放つ東京学館新潟・斎藤(右)(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:東京学館新潟2-0高知>◇5日◇男子2回戦◇東京体育館

新潟の男子代表、東京学館新潟(2年ぶり15度目)が17年ぶりに16強進出を決めた。高知(8年連続23度目)に2-0でストレート勝ち。OH斎藤寿明(2年)が立て続けに得点を重ね、勝利に導いた。6日は3回戦と準々決勝が行われ、東京学館新潟は3回戦で8強入りを懸けて鎮西(熊本、15年連続36度目)と対戦する。

  ◇  ◇  ◇

東京学館新潟の背番号「11」が念願のオレンジコートで躍動した。斎藤は「(春高は)憧れの場所。めっちゃ、ワクワクしている」と心を躍らせ、大会に乗り込んだ。前日4日の1回戦、東亜学園戦(東京、2-1)では安定したフォームから力強いスパイクを放ち、過去4度Vの強豪を打ち破る勝利に貢献。この日も好調を維持したまま、高い決定率で得点を重ねて、チームに勢いをもたらした。昨年2月にリベロからアタッカーに転向したばかりだが、“エース誕生”を感じさせる成長ぶりを見せつけた。

1回戦で見せた硬さは消えていた。第1セット開始から磨き上げてきた守備力を発揮する。ブロックで引っかけて、長いラリーを制す「粘り強いディフェンスからのコンビバレー」で主導権を握り、開始から8連続得点を奪った。その後もセッター相田悠一郎(2年)の多彩なセットアップで相手ブロックを揺さぶり、25-14と大差をつけてセットを奪取。続く第2セットは追い上げを見せる高知を振り払い、25-21で逃げ切った。

チームの大黒柱、皆木海人ら3年生を中心に、新潟県勢で初の春高4強入りを果たした07年以来、17年ぶりの16強進出を決めた。3年生の背中を追う斎藤は「いつかは自分がエースになりたい」と目標を話していた。全国の舞台で新境地を切り開いた新エースの勢いは、まだまだ止まらない。【大島享也】

東京学館新潟対高知 第1セット、得点で喜ぶ東京学館新潟・坪谷(右)(撮影・江口和貴)
東京学館新潟の応援席(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 第1セット、得点で喜ぶ東京学館新潟の選手たち(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 第2セット、得点で喜ぶ東京学館新潟・小林(右)と井嶋(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 名前の書かれたカードを掲げ応援する東京学館新潟(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】大阪国際滝井、昨年4強の熊本信愛女学院に競り勝つ「独特なテンポ」敗れた堤監督

大阪国際滝井対熊本信愛女 勝利しタッチを交わす大阪国際滝井(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:大阪国際滝井・国際2-1熊本信愛女学院>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

大阪国際滝井・国際が前回大会ベスト4の熊本信愛女学院をフルセット(25-19、16-25、25-17)で破り、2回戦を突破した。

4日の1回戦で、高校生唯一日本代表に選出された秋本美空擁する共栄学園(東京)を退けて勢いに乗るチームを、粘りのバレーで振り切った。

敗れた熊本信愛女学院の堤政博監督は「うちは悪くなかったけど、独特なテンポでバレーを展開されてしまい、ブロックの位置などがマッチしなかった」と首をかしげた。

大阪国際滝井対熊本信愛女 敗れた熊本信愛女(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】大村工、V候補の洛南に劇的逆転勝ち 土井優太「自分たちが圧倒的に強いと」

大村工対洛南 第3S、得点を奪い喜ぶ大村工の選手たち(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:大村工2-1洛南>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

2年連続20度目の出場となった大村工(長崎)が、優勝候補の一角に名を連ねた洛南(京都)をフルセットの末に下し、3回戦へ駒を進めた。

第1セット(S)は、世代を代表するエース中上烈(2年)を中心とした洛南の攻撃に押され、22-25で落とした。それでも、メンバーに焦りはなかった。主将でエースの土井優太(3年)が「『2セット目を取りきろう』と話し合った」と言うように、目線はすぐに第2Sに向いていた。

朝長監督が「あんな姿見たことない」と話す気迫のプレーでチームをけん引し、このセットを25-23で取り返す。すると最終第3Sも22-23と一時リードを許しながらも、勝負どころで集中力を発揮。3連続得点で勝負を決めた。

マッチポイントでスパイクを決め、エース対決を制した土井は「今日の試合が一番のヤマ場だと思っていたので、勝ち切れたのがホントにうれしい」と笑みをこぼした。

府予選決勝で高校総体準優勝の東山をフルセットの末に破った洛南。そんな難敵が相手でも、決して「チャレンジャー精神」ではなかった。4日のミーティングでは「自分たちの方が強いと思わないと勝てない」という話をし、勝者のマインドを徹底した。「挑戦者として挑んだら絶対に負けていたと思う。俺たちが圧倒的に強い。そう思ったから勝ちにつながった」。初優勝を目指し、自信を深めていく。

大村工対洛南 勝利し歓喜する大村工の選手(撮影・足立雅史)
大村工対洛南 2回戦で敗れうつむき引き揚げる洛南(撮影・足立雅史)

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