東レ4連勝でファイナル進出「次の週も勝つ」監督
バレーボール・V1リーグ男子5位の東レは17日、富山・氷見市ふれあいスポーツセンターで大分三好と戦い、3-1で今季初の4連勝を飾った。
勝ち点を46(15勝10敗)に増やし、レギュラーシーズン6位以内が進むファイナルステージ(3月9日開幕)進出を決めた。小林敦監督は「ファイナル6進出は確定しましたが、1つでも高い順位につけたいので、次の週も勝ち続けたい」とコメントした。
バレーボール・V1リーグ男子5位の東レは17日、富山・氷見市ふれあいスポーツセンターで大分三好と戦い、3-1で今季初の4連勝を飾った。
勝ち点を46(15勝10敗)に増やし、レギュラーシーズン6位以内が進むファイナルステージ(3月9日開幕)進出を決めた。小林敦監督は「ファイナル6進出は確定しましたが、1つでも高い順位につけたいので、次の週も勝ち続けたい」とコメントした。
<イタリアリーグ・セリエA1部:ミラノ3-0チステルナ>◇14日(日本時間15日)◇ミラノ
バレーボールのイタリアリーグ・セリエA1部の第14戦が14日(日本時間15日)に行われ、石川祐希(28)のミラノはホームでチステルナに3-0のストレート勝ちを収めた。石川は全セットでスタメン出場し、両軍通じて2位の13得点。チームの24年のリーグ戦初勝利に貢献した。
第1セット(S)は序盤から相手にリードを許す展開となったが、石川はサービスエースを決めるなど好調。3-8と一時5点差をつけられたが、カジースキのエースで14-14の同点に追い付いた。その後はサイドアウトの応酬となったが、21-20で石川がハイセットをブロックアウトにし、ブレークに成功。25-22でセットカウントを先取した。
第2Sも立ち上がりから一進一退の攻防。それでも石川の強烈なスパイクなどで中盤以降に突き放すと、そのまま25-17で連取した。第3Sも終盤までもつれたが、石川が難しい体勢から体をねじらせながら決めて19-19の同点に追い付くと、20-20では勝ち越しのスパイク。その後相手に追いすがられたが、23-23では正確なトスで味方のスパイクを演出。マッチポイント先取をアシストし、最後は相手のスパイクがアウトとなり、25-23で勝利した。
石川は「ストレートで勝てたことは良かった」としながらも、「特にレセプションなどのミスも多々あったので、満足できる内容では決してなかった」と、14%にとどまったレシーブ成功率の改善を挙げた。
8勝6敗で5位としたミラノ。リーグ戦の次戦は21日(日本時間22日)に4位のチビタノーバと対戦する。また、チームは欧州バレーボール連盟が主催する「CEVカップ」を勝ち進んでおり、18日(同19日)にはホームでザビエルチェ(ポーランド)と準々決勝第2戦を行う。石川は「しっかりとパフォーマンスを発揮してゴールデンセットに持ち込んで勝利し、次に進んで残り試合も戦いたい。まずは、ザビエルチェ戦にコンディションをベストに持っていく」と意気込んだ。
<Vリーグ1部女子:久光3-1アランマーレ山形>◇14日◇茨城・ひたちなか市総合体育館
アランマーレ山形が、皇后杯準Vの久光に1-3で敗れ、開幕15連敗となった。第1セット(S)は25-18で先取したものの、以降は修正を加えた相手の攻撃に苦しみ、逆転負けした。攻守の要・木村友里主将(28)が11得点とチームを引っ張った。チームは20、21日、山形・天童市でJT、埼玉上尾と対戦する。
◇ ◇ ◇
平均身長が約8センチ高い、久光に食らいついた。第1S、採用したブロックシステムが奏功すると、粘り強いレシーブから流れを呼び込んで同Sを先取。第2S以降は対策してきたプレーに対応しきれず連取され、Sカウント1-2の第4Sは5-11と一時6点差に。それでも19-20と1点差に追い上げ、最後は振り切られたものの、V1初参戦チームの成長を実感できる時間になった。
チームは今季、身長180センチ超えは1人。同190センチの選手もいるV1で、リベロを除く登録16選手の平均身長171・5センチは小柄だ。高さがある相手に対抗すべく、開幕前に掲げたのが「3Dシンクロコンビバレー」。前衛と後衛の縦と横を広く使い、多くの選手がシンクロすることで、ブロッカーに狙いを絞らせない攻撃を目指した。15試合を消化し、木村は「バックアタックが少なくなると前だけのコンビになり、すごく苦しい展開になる。劣勢の時にどれだけチャレンジして(同アタックを)使えるか」と課題を挙げた。
レギュラーラウンドのホーム戦は20、21日が最後。JTとは第1戦と皇后杯を合わせ、今季3度目の対戦だ。古巣戦となる北原勉監督(43)は「何か1発『ワッ!』というものを見せたい」と気合十分。木村は「1勝をほしい気持ちはファンの皆さん、私たちも強い気持ちを持っている。アランマーレにしかできないバレーを、ぶつける姿をお見せできれば」。開幕15連勝で首位を走る強敵に、声援の後押しを受けて迎え撃つ。【相沢孔志】
<バレーボールVリーグ1部女子:JT3-1NEC>◇14日◇神奈川・とどろきアリーナ◇観衆3125人
3年ぶりの優勝を目指す首位のJTマーヴェラスが、開幕から無傷の15連勝を飾った。
9連勝中だった2位のNECレッドロケッツとアウェーで対戦。昨季覇者を3-1で退けた。昨年末の全日本選手権準決勝で0-3のストレート負けを喫した相手に雪辱を果たし、リーグ戦首位突破へ弾みをつけた。
両チーム合計25人がコートに立つ総力戦となったが、JTが「攻める姿勢」で上回った。第1セット(S)から、和田由紀子、林琴奈の日本代表で活躍するアウトサイドヒッター2人が躍動。中盤に5連続得点で突き放し、セットポイントでも林がアタックを決め、セットカウントを先取した。第2Sは26-28で失ったものの、一時は6点差を追いつくなど、終盤に粘り強さを発揮。この流れを第3S以降につなげた。精度の高いディフェンスで、日本代表のエース古賀に会心のスパイクを打たせず、第3Sを25-18で奪取。第4Sも序盤から5連続得点で突き放した。マッチポイントから林がアタックを決め、25-20で勝負を決めた。
この日、全セットスタメン出場の和田は「始まる前から全体で『どんなことがあっても前を向こう』という話しをしていた」と明かした。持ち味とするジャンプサーブと強打を武器に、林に次ぐチーム2位の17得点でけん引。「チームを信じて1人1人が常に攻めた気持ちで戦うこと。今日はその意味が一番わかった試合だった」と、手応えをつかんだ。
昨年代表デビューの22歳は今季、米国代表オポジットのアンドレア・ドルーズら層の厚い攻撃陣の中でも、スタメン機会が増加中。前日13日のKUROBE戦では、両軍最多24得点でMVPを獲得した。吉原知子監督からは「本当に真面目で『もういいんじゃないか』という程練習する。自分の役割を把握して取り組めている」と、期待を受ける。「現状に満足せず、常に足りないところを探して昨年よりも大きく成長できる年にしたい」。悲願へ向け、さらなる飛躍を誓った。【勝部晃多】
<バレーボールVリーグ1部女子:JT3-1KUROBE>◇13日◇神奈川・とどろきアリーナ
3年ぶりの優勝を目指す首位のJTマーヴェラスが、11位のKUROBEアクアフェアリーズを3-1の逆転で退け、開幕から無傷の14連勝を飾った。
試合前まで2勝11敗と下位に低迷していたチームに、思わぬ苦戦を強いられた。第1セット(S)は、序盤から相手の粘りの守備に翻弄(ほんろう)され、アタック決定率を上げられず。ビハインドからジュースに持ち込んだものの、25-27でセットカウントを先取された。
第2Sは中盤に米国代表オポジットのアンドレア・ドルーズが奮起。4連続アタックを決めて流れを引き寄せると、25-22で取り返した。第3、4Sはサイドアウトの応酬となったが、日本代表でも活躍する林琴奈、和田由紀子のアウトサイドヒッター2人が要所で得点。それぞれ、25-22、25-17で取り、勝利を引き寄せた。
地力で上回ったJTだったが、コンビなどに課題を残す内容。この日、両軍トップ24得点でMVPに輝いた和田は「焦ってしまう時もあった」とし、「課題のブロックディフェンスを修正して、攻める姿勢を忘れずに頑張りたい」と引き締めた。
14日には同会場で2位のNECレッドロケッツと対戦する。日本代表のエース古賀紗理那を擁する昨季の覇者には、昨年末の全日本選手権で0-3のストレート負けを喫している。代表で古賀とアウトサイドヒッターの対角を組む林は「(古賀は)自分で取って打ちに行くスタイル。プレーでも声でも引っ張るタイプなので、その姿勢に私も負けないように」と意気込んだ。【勝部晃多】
<バレーボールVリーグ1部女子:NEC3-1デンソー>◇13日◇神奈川・とどろきアリーナ
昨季のVリーグ覇者で昨年末の皇后杯を制した2位のNECレッドロケッツが、5位のデンソーエアリービーズを3-1で下した。
今年初のホームゲームでリーグ戦の連勝を「9」に伸ばし、14日に同会場で行われる首位JTマーヴェラス戦へ弾みをつけた。日本代表でも活躍するエース古賀紗理那が、両チームトップの24得点でこの試合のMVPを獲得。「たくさんの声援に背中を押されて試合ができている。試合ができることに感謝して明日も戦いたい」と、かみしめた。
第1セット(S)はキャプテンでリベロの小島満菜美を中心に、ファインレシーブを連発。守備から攻撃のリズムをつかむと、5連続得点を3度含む猛攻を見せ、25-13で先取した。しかし、第2Sは一転。10-5から5連続失点で同点とされると、そこから粘り切れず。21-25でこのセットを落とした。
それでも第3S以降は「自分たちの理想的なバレーは想像できている。そこへ向けて精度を上げていくだけ」(小島)と、1本への意識をチーム内で再確認。古賀が要所でバックアタックを決めて25-23で第3Sを取ると、第4Sも勢いそのままに25-14で奪取し、勝利した。
14日は、ここまで開幕から13戦無敗で、首位をひた走るJTと対戦する。皇后杯準決勝では3-0で破った相手だが、古賀は「オフェンス力もディフェンス力も高いチーム。苦しい時間帯は絶対にできると思う」と警戒。2年連続2冠達成へ、ヤマ場となる一戦に向け「いかに失点を抑えて仕掛けられるかがカギになる。声をかけあって、足を止めずに戦いたい」と気を引き締めた。【勝部晃多】
日本バレーボール協会(JVA)の川合俊一会長が、今夏のパリ五輪での男女アベックメダルを目標に掲げた。
12日、2023年に活躍したスポーツ選手、団体を表彰する「第57回テレビ朝日ビッグスポーツ賞」の表彰式に出席。昨年のW杯バレーで五輪出場権を獲得した男子日本代表が「特別貢献賞」に選出され、受賞を喜ぶとともに今季への意気込みを語った。
男子W杯について「1試合負けてしまって『まずい』かなと思ったけど、地力があって(米国戦まで)全勝して切符が取れてよかった」と回顧。代表のキーマンにオポジット西田有志の名を挙げ、「西田という感情的になる選手がいるんだけど、ものすごくガッと引っ張っていってくれて助かっています」と、そのリーダーシップに助けられていることを明かした。
五輪については「監督としていきたかったけど…」と漏らして笑わせつつ、「会長として監督と一緒に現場に行って頑張りたいと思います」とにっこり。W杯で惜しくも出場権を逃し、今年のネーションズリーグでの獲得を狙う女子については「出場権を取って」と鼓舞。「(男女)アベックメダルを目標に頑張ります」と力強く言い切った。【勝部晃多】
ホームで24年の好スタートを切る。Vリーグ2部(V2)女子のリガーレ仙台が11日、仙台市内の榴岡天満宮でリーグ後半戦の必勝祈願を行った。宮田あかり主将(25)ら選手、関係者20人が参加し、決意を新たにした。チームは20、21日、宮城・富谷スポーツセンターで大野石油、GSS東京と対戦する。
◇ ◇ ◇
晴天の午後。リガーレ仙台の選手たちは、それぞれが抱く思いをかみしめながら1歩ずつ石段を上った。必勝祈願を終えた就任1年目の雑賀雄太監督(36)は「気が引き締まる。今年も始まり、気持ちを新たにできてすごく良い時間だった」と振り返った。
全10チームによる2回戦総当たりのV2。ここまで3勝4敗の6位で、連勝はまだないが、宮田主将は「全部ネガティブに捉えることが全くない。1つ1つの試合に学びがあり、成長を実感した」と前向きだ。翌週に24年最初の試合をホームで控え、全体練習は5日から再開。絵馬には「もう絶対負けない」としたためた。「1試合1試合全力で臨む。順位が高いチームにどう勝つかを念頭に置きながら戦い、土日とも勝った姿を見せたい」と意気込んだ。
新天地で輝きを見せる。この日誕生日の立石沙樹(28)は大学卒業後、誠英(山口)で5年間コーチを務め、昨年は全日本バレーボール高校選手権決勝で古川学園(宮城)と対戦。「バレーボールがどうしてもやりたい」という思いを教員時代から抱えており、一念発起して今季からチームの一員となった。宮城との縁を感じながら全力でプレーする。「もう少しやれるのではないかという、自分の中で心残りがあった。そういう気持ちを絶対に残さない後半戦、1年にしたい」。悔いを残さず、シーズンを駆け抜ける。【相沢孔志】
<パリへGO!>
パリ五輪を目指す各競技の北海道関連選手を紹介する企画6回目は、バレーボール男子元日本代表の古田史郎(35=DOTsー函館大有斗高)。
◇ ◇ ◇
古田がビーチバレーボールでのパリ五輪出場に急接近中だ。21年5月に、当時Vリーグ男子2部(V2)のヴォレアス北海道を退団し、ビーチバレーに転向。今年の6、7月に予定される五輪予選の結果次第で、本戦に手が届く。昨秋に再結成した辰巳遼(28=DOTs)との元ヴォレアスペアで、夢の舞台に挑む。
小3の時、担任の先生に誘われ、古田はバレーボールを始めた。ビーチバレーはジェイテクト所属時代にエキシビションに出場したことはあっても、公式戦経験は1度もなかった。転向わずか2年半で、夢だった舞台が目標に変わった。
古田 根拠はありませんが、小さいころから今まで「キャリアの最後はビーチバレーで(五輪の)メダルを取るんだ」という強い思いがありました。世界で挑戦し続けるという思いを表現できる競技ですし、過去にこの競技で五輪出場者のいない北海道から「こんな競技があるということを発信したい」という思いもありました。
転向から半年は、旭川から週末だけ石狩のビーチに通い、社会人の愛好家と一緒にプレーした。対戦結果は五分五分。慣れない砂浜に足を取られ、毎日のように両方のふくらはぎがつった。その冬、横浜で開催された国内大会に初出場。1回戦で敗退した。
古田 当時の日本のトップランカーと言われるペアと対戦して、ボコボコにやられました。(バレーで培った)プレー自体は鈍っていませんでしたが、勝負の嗅覚といいますか、ビーチバレーで勝つための基礎が全くありませんでした。
22年に高橋巧(32)、昨年は黒川寛輝ディラン(25) と、ともに日本代表選手と組んで世界各国の大会を回り、0だったランキングを一気に上げた。昨年8月のパリ五輪アジア予選の第1フェーズは黒川とのペアで2位に入り、今年6月に予定される予選第2フェーズの日本代表枠を獲得した。その後、黒川とのペアを解消。転向時の想定通り、辰巳とのコンビで、五輪シーズンを迎えることに決めた。
古田 最初から「辰巳とだから勝負できるな」と思って、この世界に飛び込んだので、昨年の10月から元に戻しました。それからジャパントップツアーに2戦出場し、世界で男女15チームずつしか出られないキング・オブ・ザ・コートという(カタール)ドーハの賞金大会にも日本人ペアで唯一出してもらい、貴重な経験を積みました。
16年リオデジャネイロ五輪金メダルのアリソン・セルッティ(38=ブラジル)は、35歳で出場した東京五輪でも5位入賞。経験がものを言う競技だけに、同じ35歳の古田にも十分チャンスはある。2月にはブラジルに辰巳と遠征し、コンビの成熟度を高め、パリ五輪出場権をかけた戦いに挑む。
古田 「この風の中なら、こういうボールタッチだな」といった個人的な細かい感覚は大分つかめています。あとはゲームの組み立てや、呼吸、コンビネーションの確立。ブラジルで鍛錬してきます。1年の半分ぐらい日本にいなくて、1歳半の息子には寂しい思いをさせていますが、スポンサーの方々や、練習場所を提供してもらっている旭川工業高校の皆さんに報いるためにも、まずは本気でパリ。そして次のロサンゼルス(五輪)でメダルを取ります。
元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん(39)が10日、インスタグラムを更新し、ピラティスに取り組む、最新動画をアップした。
両腕を足元の器具に置く。右足を前方、左足を後方に極限まで伸ばす。両膝立ちで、両腕に負荷をかけながら、四つんばいの状態になり、そこからまた上方に体を持ち上げていく。両腕を左右に伸ばし、右足を前、左足を後ろに伸ばしながらバランスを取る。トレーナーとともに真剣に激しいトレーニングに励んだ。
「今年はもっとピラティスを深めていきたい」
昨年8月にはファッションショーのモデルとしてランウェイに挑戦。2019年6月に現役を引退してから今年で5年になるが、187センチの10頭身で、抜群のスタイルは変わらない。ピラティスを含めた、自分磨きがスタイル維持につながっているようだ。
フォロワーからは「めぐみさん、綺麗な姿勢」「とっても素敵ですね」などのコメントが寄せられていた。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
女子・下北沢成徳(東京)はストレート負けを喫し、昨年の全国高校総体、国体との3冠を逃した。
0-2で迎えた第3SではOP河俣らを軸に6連続得点で逆転。この試合で初めてリードを奪ったが、反撃もここまでだった。直後に再逆転を許し、点差を広げられた。主将のリベロ内沢は「単発のミスが多かった。(ボールの)つなぎが就実より劣っていた」と反省。主力のほとんどが2年生で、来季も経験者が数多く残る。「さらに強くなるはず。3冠は意識せず、1戦ずつ力を発揮してほしい」とエールを送った。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。最優秀選手賞は、福村心優美(こゆみ、2年=就実)が受賞した。
◇ ◇ ◇
福村心優美を中心とした2年生スパイカー陣がアタックで得点を量産した。第1Sを25-17で先取すると、第2Sも中盤に5連続得点で突き放し、25-17で連取。第3Sはこの日初めてリードを許したが、エースの強打で押し切り、25-21で勝利を引き寄せた。チームが挙げた54得点中50得点が下級生。両軍トップタイの14得点を挙げた福村は「強さを最高の形で証明できた」と胸を張った。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。最優秀選手賞は、福村心優美(こゆみ、2年=就実)が受賞した。
◇ ◇ ◇
「やったよって。恩返しできたよ。ありがとうって伝えたい」。就実のセッター河本菜々子の頬に、涙が伝った。このコートに立つことができなかった1学年上の先輩たちの姿が浮かび、万感の思いがあふれた。リベロ井上凜香主将とともに3年生のレギュラー。下級生が中心の強力攻撃陣を多彩なトスワークで支え、昨年のインターハイで苦杯をなめた難敵撃破へ導いた。初戦から1セットも落とさず頂点まで駆け上がり、「一番いい恩返しができた」とほほ笑んだ。
河本はあの日のことを忘れない。3連覇を目指した前回大会。直前の「コロナ陽性」で棄権となった。当時の主将で同じセッター岩本沙希が涙した横顔は脳裏に焼き付いている。その先輩は集大成の場がなくなったにもかかわらず、気丈に「頑張るんだよ」と声をかけてくれた。「自分たちが気にしないように接してくれたのだと思う」。引退後も相談や練習に何度も付き合ってくれた。後悔のような言葉は聞かなかった。強かった「憧れの人」の思いも胸に刻み、春高の舞台へと返ってきた。
井上も前主将の思いを背負う1人。昨年まで寮の同部屋だった間柄で、卒業時には2足の試合用ソックスを託された。今大会は先輩の汗が染み込んだ靴下を試合ごとに交互に身に着けた。決勝前日にも、岩本から「明日は全力で頑張って」とエールを送られた。「すごく心強かった」。この日も先輩の靴下で、苦しい時も踏ん張った。
棄権を通達された翌日も、試合出場の望みを捨てず朝6時から試合会場に立った西畑監督。寮の側に住み、自ら選手たちに夕食を振る舞うなど、頂点へ返り咲くべく生活面からも支え続けた。「誰かのための感謝、人への思い。すごく強い力を生み出してくれた」とかみしめた。悲劇を乗り越えるため、日本一だけを見据えて練習に明け暮れたメンバーたち。悔し涙は上がり、虹が架かった。【勝部晃多】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。最優秀選手賞は、亀岡聖成(せな、3年=駿台学園)が受賞した。
◇ ◇ ◇
わずか75分の完勝劇で優勝を決めると、選手たちは笑顔でコートになだれ込んだ。昨夏の全国高校総体を制しながら、秋の国体では準々決勝敗退。その悔しさを連覇で晴らした。亀岡主将(3年)は「最高のチームと最高の結果が出てうれしい」と胸を張った。
大黒柱こそ不在だが、チームワークで勝ち上がってきた。相手の強力なアタックに食らいつき、攻撃のリズムを生み出す。チームのアタック決定率は49・5%をマークし、相手を10%以上も上回った。観客からは「高校生のレベルじゃないぞ」との声ももれた。
その根源には、セッター三宅綜大(2年)が「日本一」と胸を張るほどのデータ活用術がある。4年前からトレーニングの専門コーチを招聘(しょうへい)し、試合では心拍数を計測するアームバンドを着用。緊張や疲労度などをリアルタイムでチェックするようにした。練習前後には垂直跳びの数値を測り、その差に基づいてリカバリーのメニューを決定する。「見ただけで誰が今どのような状態かが分かる」と三宅綜。科学的な知見がチーム力を引き出した。
強固な土台に加え、明るい雰囲気も好循環を生んだ。国体での敗退後は「俺たちは王者じゃないぞ」と繰り返し、挑戦者の立場であることを確認。一方で試合前夜のミーティングでは、仲間のプレーに対し「これは何をしているんだ?」と笑い合いながら指摘。決勝でも前向きさは健在。亀岡は「特に連覇は考えなかった」と平常心を貫いた。データとチーム力とを融合させ、“最高のチーム”で戴冠をつかんだ。【藤塚大輔】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。
◇ ◇ ◇
駿台学園は3年生だけで47得点を量産した。第1Sは、21-21から3連続得点で差を広げた。第2Sで6連続得点で突き放すと、第3Sもそのまま押し切った。チーム最多の15得点を挙げたOP三宅雄は身長177センチと決して大柄ではないが、存在感を発揮。「筋力が大事だと思い、ウエートトレーニングに取り組んできたおかげ」と誇った。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)>◇8日◇最終日◇男女決勝◇東京体育館
女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。
最優秀選手賞は、女子は福村心優美(こゆみ、2年=就実)、男子は亀岡聖成(せな、3年=駿台学園)が受賞した。
受賞は以下の通り。
◇最優秀選手賞
〈男子〉亀岡聖成(駿台学園)
〈女子〉福村心優美(就実)
◇優秀選手賞
〈男子〉秋本悠月(ゆづき、駿台学園)、亀岡聖成、堤凰惺(おうせ、福井工大福井)、丸山英祐(えいち、福井工大福井)、仲村正也(昇陽)、井坂太郎(鎮西)
〈女子〉福村心優美、高橋凪(就実)、イェーモンミャ(下北沢成徳)、後藤ビビアン愛音(下北沢成徳)、上村日菜(誠英)、笠井季璃(りり、旭川実)
◇ベストリベロ賞
〈男子〉谷本悦司(駿台学園)
〈女子〉井上凜香(就実)
◇勝利監督賞
〈男子〉梅川大介(駿台学園)
〈女子〉西畑美希(就実)
◇ベスト応援賞
習志野、福井工大福井、金沢商、明秀日立
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井0-3駿台学園>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
昨年8月のインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が0-3(22-25、15-25、21-25)で駿台学園(東京)にストレート負けを喫した。男女を通じ、福井県勢初優勝を逃したが、過去最高の準優勝を収めた。
◇ ◇ ◇
0-2で迎えた第3セット(S)。序盤に6点差をつけられながらも、諦めずに迫った。最後は21-25で力尽きたが、確かな進歩を示した。チームトップの19得点をマークした主将でアウトサイドヒッター(OH)の堤凰惺(おうせ)は「どんなに弱くても成長できると証明された」とうなずいた。「最弱」と呼ばれた世代でも、県勢初の決勝の舞台へたどり着くことができた。その誇りが胸を占めた。
入学当初は「春高出場」が現実的な目標だった。1年時は初戦で散り、2年時は8強敗退。年を重ねるごとに力をつけてはいたが、日本一は遠かった。
変化の兆しがあったのは昨春。同校OBの鈴木聖也さん(現愛知学院大)をアナリストとして迎え入れたことで、戦術の幅が広がった。昨夏のインターハイでは3位。セッター丸山英祐(3年)は「自分たちは基礎がなっていなかったが、バックアタックやクイックの決定率を高めることができた」と実感する。秋以降は選手主体でディフェンス強化に目を向け、守備練習の時間それまでの3倍以上となる1時間ほどに増えた。
今大会はその努力が結果に表れた。初戦から4試合連続でストレート勝利。堅実な守りがさえ、準決勝でも前回準Vの鎮西を3-0と圧倒した。この日の決勝では1セットも奪えなかったが、第3Sでは6点差から一時は2点差へと追い上げもみせた。
前回王者に力負けこそしたが、西田靖宏監督(47)は「もう1度スカウトできるなら、彼らをスカウトする」と最上級生をたたえた。試合前には、教え子たちにこう語りかけていた。
「ここまで来ると思っていなかった。駿台さんもいい選手がいっぱいいる。でもこの3年で伸びた量は負けていない」
堤主将はかみしめるように、指揮官の言葉を心に刻んでいた。
「監督が仰っていることは間違いない。試合前に自信にもなりました。その言葉のおかげで最後まで強きでプレーできたと思う」
最弱の世代が見せた進化。成長の跡を示した冬になった。
元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん(39)が8日、インスタグラムを更新。「メグカナ」コンビとしてプレーした元女子日本代表の大山加奈さん(39)、2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンとオリンピック(五輪)3大会出場のセッター竹下佳江さん(45)との3ショットをアップした。
元日本代表の3人は、この日閉幕した春高バレーのテレビ解説で、東京体育館に集結していた。「決勝戦を解説という形でご一緒したテンさんとカナと写真を撮ってもらうこともできて
個人的にも嬉しい締めくくりとなりました」と竹下さんのニックネームのテンさんと、大山さんのニックネームのカナを入れながら2人に感謝した。
続けて、優勝経験のある春高について「高校生バレーボーラーたちの熱い試合に
年始から心が洗われるような素敵な時間を過ごさせていただきました」とつづった。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳0-3就実>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
下北沢成徳(東京)が0-3(17-25、17-25、21-25)で就実(岡山)にストレート負けを喫した。昨年のインターハイ(全国高校総体)、国体との「3冠」を逃した。
第1セット(S)では中盤以降に失点を重ね、最後は4連続失点で落とした。
第2Sでも前半で6連続失点。中盤はオポジット(OP)河俣心海(2年)を軸に得点を重ねる場面もあったが、相手の強打を返せず、流れを引き寄せられなかった。
第3Sでは6-11から6連続得点で逆転し、この試合で初めてリードを奪ったが、反撃もここまで。その後は再逆転を許し、点差を広げられた。
スタンドからの大声援を背に、アウトサイドヒッター(OH)後藤ビビアン愛音(2年)、同じくOHのイェーモン・ミャ(2年)、リベロ内沢明未主将(3年)らを軸に奮闘したが、最後まで相手の勢いを止められなかった。
勝利した就実は2年ぶり5度目の優勝。前回大会では無念の欠場となったが、その悔しさを乗り越え、2年ぶりに王座を奪還した。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
就実(岡山)が頂点に返り咲いた。決勝でインターハイ、国体との3冠を狙った下北沢成徳(東京)を3-0で撃破。3連覇を目指した前回大会の初戦直前に「コロナ陽性」とされ、棄権を余儀なくされたチームが、2年ぶり5度目の優勝を飾った。
コートを踏めなかった先輩たちの無念を晴らした。第1セット(S)から、エース福村心優美(こゆみ)を中心とした2年生スパイカー陣が自慢のアタックで得点を量産。勝負どころで2度の4連続得点を記録し、25-17でセットカウントを先取した。
第2Sは、立ち上がりから押川優衣(2年)のアタックなどで3点を先制して主導権を握ると、167センチの高橋凪のスパイクなど一気の5連続得点で突き放した。後半にも3連続得点でダメ押しし、セットポイントから岡崎杏(3年)がアタックを決めて25-17で連取した。
第3Sは11-6から6連続失点を喫しこの試合初めてリードを許したが、焦りはなかった。福村、押川が要所でアタックを決めてコンスタントに得点。マッチポイントで相手のアタックがアウトとなり、25-21で優勝が決まった。
昨年のインターハイ準々決勝でストレート負けを喫した相手に、ストレート勝ちでリベンジ。同じく2年生を中心とする名門に付け入る隙を与えなかった。
今大会全試合でストレート勝ち。相手に20得点台に乗せられたのも準々決勝金蘭会戦の第1セットと、準決勝誠英戦の第2セット、この試合の第3セットの3度のみと、圧倒的な強さを誇示した。
3連覇を目指した前回大会は、直前の「コロナ陽性」で棄権。初戦直前で、ウォーミングアップをしていた選手たちは泣き崩れた。その後、同高が行った検査では全員陰性だったが、大会規定で、棄権による不戦敗の判断は変わらなかった。そんな悲劇を乗り越えるため、頂点を目指して練習に明け暮れた。昨年出場を果たせなかった先輩たちが応援席で見守る中で、選手たちは栄光をつかみ、うれし涙を流した。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝を果たした。決勝で福井県勢初の頂点を目指した福井工大福井と対戦し、3-0で勝利。昨夏のインターハイ(全国高校総体)との2冠を達成した。
超高校級バレーで最強を証明した。第1セット(S)は、序盤からハイレベルなサイドアウトの応酬を繰り広げた。15-13の場面で3連続失点を喫し、一時は逆転されたものの、最後まで集中力を切らさず。21-21の同点に戻すと、荒井貴穂(ひで、3年)が3連続アタックを決めてセットカウントを握った。最後も、荒井。コート中央に落とす技ありの軟打で、25-22でセットカウントを先取した。
第2Sは、立ち上がりから高沢大馳(だいち、2年)にサービスエースが飛び出すなど、3連続得点で先制。勢いに乗ると、中盤には高沢の2本のブロックなど6連続得点で一気に突き放し、そのまま得点を重ね、25-12で連取した。
第3Sも勢いそのままに序盤から抜け出すと、亀岡聖成(せな、3年)主将が要所で鋭いスパイクを連発。19-17と終盤に2点差まで追い上げられたが、振り切った。マッチポイントで三宅雄大(3年)がスパイクを決め、25-21で優勝をつかんだ。
勝利の瞬間、メンバーはコートになだれ込み、大の字になった。胴上げで3度宙に舞った亀岡は「今までくるしかった思いが報われた。自分が今までやってきた中で最高のチーム。最高のチームと最高の結果ができてうれしい」と白い歯を見せた。
全国トップクラスの守備力を軸としたつなぎのバレーを武器に、インターハイを制した。しかし、同校メンバー主体の東京選抜として出場した昨秋の国体では、山口県代表の高川学園に準々決勝で敗戦。今年の春高バレーは、梅川大介監督が「高川学園との試合をモチベーションとしてこの数カ月をやってきた」と話すように、連覇ではなく「打倒・高川学園」に狙いを定めてチームを作り直してきた。
昨年末の全日本選手権では1回戦で高知工科大を撃破。続く2回戦は昨季Vリーグ王者の名古屋にストレート負けを喫したが、第2セットには20得点を奪うなど健闘した。そして今大会3回戦で宿敵、高川学園を2-1の逆転で退けて加速すると、一気に頂点まで駆け上がった。この冬、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)でさらなる力を蓄えてきた王者が、2連覇&2冠をつかみとった。【勝部晃多】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館
昨年8月のインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が0-3(22-25、15-25、21-25)で駿台学園(東京)にストレート負けを喫した。男女を通じ、福井県勢初優勝を逃した。
前回王者の相手の勢いを止められなかった。第1セット(S)を接戦の末に落とすと、第2Sでは5-7から6連続失点。強打をブロックされたり、コートギリギリを狙ったボールが拾われたりするなど、流れを引き寄せられなかった。
スタンドからの大声援を背に、アウトサイドヒッター(OH)で3年生主将の堤凰惺(おうせ)や左利きのオポジット(OP)山本快(2年)らが奮闘をみせたが、相手の堅守に阻まれた。【藤塚大輔】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
男子はインターハイとの2冠がかかる前回大会覇者の駿台学園(東京)が昇陽(大阪)を下し、連覇にあと1勝とした。
◇ ◇ ◇
三宅兄弟のコンビネーションが光り、駿台学園が大会2連覇、そしてインターハイとの2冠に王手をかけた。セッターの弟綜大(2年)のバックトスを、オポジットの兄雄大(3年)がライトからたたき込む。「相手レフトの2人が身長があまりないので、そこから攻めるのを考えた」(綜大)。昇陽のブロックが身長170センチと172センチの選手になるコート右の穴を狙い、兄にチーム最多32本を打たせた。兄も20本を決めて62・5%の高い決定率で応え快勝に導いた。
小学校に入る頃から競技を始めた2人。177センチでサウスポーの兄雄大は「一緒にプレーするのは多分、明日が最後。2人で優勝できたら、家族に一番の恩返しになる」と力を込める。思いは172センチの弟綜大も同じ。ここまでの競技人生の大半が兄と同チームで、セッターとして数え切れないほどのトスを上げ続けてきた。「最後も兄弟で思い切り楽しみたい」とうなずいた。
ずっとコンビを組んできたからこそのあうんの呼吸だ。雄大は「自分が細かく要求したことに対して素直に応えてくれる。本当に助かる」と感謝。一方でコートを離れると「素直じゃなくて生意気」と笑う。綜大は2人の性格は「正反対」と言い「雄大は真面目で、もうばか正直って感じ。自分は好き勝手やっています」。そんなやりとりにも息の合ったところをみせる。
今日8日の大一番は2人にとっての集大成でもある。三宅兄弟が肩を組み“ファイナルゲーム”に臨む。【奥岡幹浩】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
男子はインターハイ3位の福井工大福井が、男女通じて県勢初の決勝進出を決めた。2年連続準優勝の鎮西(熊本)を3-0のストレートで撃破。昨年の準々決勝で敗れたリベンジを果たし、初優勝へ王手をかけた。
◇ ◇ ◇
県勢の歴史を塗り替えても、福井工大福井のキャプテン堤凰惺(おうせ、3年)は表情を崩さなかった。「勝ったのは本当にうれしいんですけど、自分たちが目指しているのは日本一。まだ喜べない」。昨年の準々決勝で敗れた難敵に雪辱した直後。その目線はすでに、駿台学園との決勝戦へ一直線に向いていた。
この日も一戦必勝の思いだった。6日の準々決勝で清風(大阪)に快勝。福井県の先人たちが越えられなかった8強の壁を打ち破った。しかしチームには、手応えと同時に過度の緊張感が漂った。堤は「思い切りやって、自分に(ボールを)上げてくれればいい」と先頭で鼓舞。落ち着きを取り戻した仲間たちとともに、全員バレーをぶつけた。
サーブレシーブ成功率は相手を15%上回る67・9%をマーク。ブロックでは脅威の13得点を挙げた。粘りの守備からリズムを作り、堤はチームトップの14得点。鎮西・井坂とのエース対決も制し「去年は自分のミスで負けた。今年は絶対に負けたくないという気持ちで、井坂太郎に立ち向かいました」と拳を握った。
「凰惺」という名前には「貴重な存在になってほしい」との思いが込められている。血液の持病を持ち「子供は1人しか産めない」といわれていた母に名付けられた。幸いなことに「結局3人産んだんですけど(笑い)」という母は、この日もスタンドから見守ってくれた。名前通りの男になれているかは、まだ分からない。それでも「近づいてきてるのかな」とうなずいた。唯一無二のエースになるために県勢の悲願、頂点に立ってみせる。【勝部晃多】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
女子は、5度目の頂点を目指す就実(岡山)が昨年準優勝の誠英(山口)を退けファイナル進出。決勝ではインターハイ、国体との3冠を狙う下北沢成徳(東京)と顔を合わせる。
◇ ◇ ◇
就実の枢軸を担う2年生トリオが、2年ぶり5度目の頂点へ弾みをつけた。スーパーエース福村心優美(こゆみ)と、押川結衣が強打を連発。同じ177センチの2人が、ともにアタックだけで両軍トップの20得点をたたき出すと、167センチの高橋凪はブロック2本、サービスエース1本を含む13得点で攻守に貢献した。
この日チームが挙げた71得点の9割となる64得点を下級生が稼ぎ出した。34年連続出場で、同じ中国地方のライバル誠英に付け入る隙を与えず。60%を超えるアタック決定率をマークした押川は「ここ(準決勝)まできたら、ただ打つだけでは決まらない。コースを狙ったり、パワーを生かして思いっきり打つことを意識した」と胸を張った。
先輩たちの無念を晴らす舞台だ。3連覇を目指した昨年大会。新潟中央との初戦(2回戦)直前に選手にコロナ陽性判定者が出たため、規定で欠場を余儀なくされた。チームは体育館に入ることなく春高を去っただけに、今大会へかける思いは強い。2学年上の先輩たちが全国制覇する姿をテレビで観戦し、同校への入学を決めた福村もその1人。「就実は強いということを改めて証明したい」と誓っていた。
8日の決勝の相手は、高校3冠を狙う下北沢成徳。同じく2年生を中心とする強豪には、昨年のインターハイ準々決勝でストレート負けを喫している。「悔しさをぶつけたい。今までやってきたことを信じて、最後はみんなで思いっきり楽しみたい」と押川。1年前の悔し涙を、うれし泣きに変える。【勝部晃多】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館
女子は、5度目の頂点を目指す就実(岡山)が昨年準優勝の誠英(山口)を退けファイナル進出。決勝ではインターハイ、国体との3冠を狙う下北沢成徳(東京)と顔を合わせる。
◇ ◇ ◇
2年生たちが躍動した下北沢成徳が、高校3冠達成まであと1勝とした。リベロを除く先発6人を占め、アウトサイドヒッター(OH)のイェーモンミャは13得点、同じくOHの後藤ビビアン愛音は12得点をマーク。そして183センチのミドルブロッカー(MB)柳千嘉は、ブロック3本を含むチーム最多14得点を挙げてストレート勝ちに導いた。
それでもエースのイェーモンミャは反省を忘れず。
「個人的には『これ』というプレーができなかった。明日はもう少しできるように頑張りたい」と引き締め直した。後藤は初めて体験するセンターコートでスコアを重ねた中、「天井が高いので、トスとのタイミングを合わせるのが大変と思った。試合前にしっかり打ち合わせて入れた」と、正確なトスで試合を組み立てたセッター小山明に感謝。オポジット河俣心海、MB中田藍美の身長180センチ台の2人も、要所で存在感を発揮した。
そんな2年生たちを150センチの主将、内沢明未(3年)がまとめ上げる。先発メンバーで唯一の最上級生。リベロとして旭川実のエース笠井季璃の強打を何度も拾い、流れを渡さなかった。そして競り合いとなった第3セットも、大きな声でメンバーを鼓舞し続けるリーダーシップで引っ張った。7年ぶりの大会制覇へ「最後はみんなで笑顔で終わりたい」。チーム一丸で3冠を成し遂げる。【奥岡幹浩】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
大会2連覇とインターハイ(全国高校総体)に続く今季2冠が懸かる駿台学園(東京)が、昇陽(大阪)をストレートで下して決勝に進んだ。直近5大会で4度目の決勝進出となった。
三宅兄弟による息の合ったコンビネーションが光った。セッターの弟綜大(2年)がトスを上げ、オポジットの兄雄大(3年)が次々と打ち込んだ。
小学校に入るころから競技を始めた2人。177センチでサウスポーの兄雄大は「一緒にプレーするのは、たぶん明日が最後。2人で優勝できたら、家族に1番の恩返しになる。頑張りたい」。
172センチの弟綜大も「兄弟でコートに立てるのは、春高が人生で最後になると思う。思い切り楽しんで優勝したい」と声をそろえた。
兄雄大はセッターの弟に、「自分が細かく要求したことに対して、素直に応えてくれる。本当に助かる」と感謝。一方でコートを離れたときの性格については「素直ではなくて、ぜんぜん生意気」と笑った。
弟の綜大も、2人の性格は「正反対」と断言。「雄大は真面目で、もうばか正直って感じ。自分は好き勝手やっています」と、こちらも笑顔で口にした。
仲の良い兄弟が、肩を組んでファイナルに臨む。【奥岡幹浩】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館
旭川実が今季総体・国体の2冠を制し、3冠を狙う下北沢成徳(東京)に0-3で敗れた。U-19日本代表でエースの笠井季璃(3年)は、両チーム最多の22得点を挙げたが、身長180センチ台の大砲を3人そろえる女王を崩しきれず、準優勝した1992年(平4)以来31大会ぶりの決勝進出はならなかった。
決まれば同点。外れれば敗退-。セットカウント0-2、24-25で迎えた相手のマッチポイント。フルパワーで笠井の放ったバックアタックが、ボール下半分だけネットにかかって自コートに落ちた。「まだまだできたことはあったんじゃないかと思うので、これは後輩に引き継ぎたいと思います」。主将が涙をこらえながら言った。
競り合いになった第3セット中盤には「あとはすべて任せてほしい」と、セッター井関芹花(3年)に声がけし、ボールを自分に集中させた。全体練習後も2人で居残ってタイミングを合わせ、寮ではトランプを楽しんだ。かけがえのないパートナーに、高校生活最後のわがままを言い、2冠女王に立ち向かった。
ラストショットを失敗し、一瞬だけ悔しい表情を見せ、すぐに笑顔を取り戻したエースには、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。「集中していたので歓声は味わえませんでしたが、試合後の拍手を見て、『応援されてたんだな』と感じました」と言った。
岡本祐子監督(45)は「堂々とベストを尽くし、堂々と帰れる結果。先輩の背中を見た後輩たちが、必ず何かを引き継いでくれる」と次世代に期待を寄せた。この日4得点を決めた堀田柚音(ゆね、2年)は「季璃さんのようなエースはいませんが、全員で点を取るチームを作って、またセンターコートに来ます」。大エースの残した余韻は、必ず次の時代の挑戦に、継承される。【中島洋尚】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館
旭川実(北海道)はストレートで下北沢成徳(東京)に敗れ、92年以来31大会ぶりの決勝進出はならなかった。
U19日本代表で、エースの笠井季璃(りり、3年)は、0-2と追い込まれた第3セット終盤に、強烈なスパイクやバックアタックを連発。得点のたびに、ほぼ満員のスタンドを沸かせたが、24-26で競り負け、セットを奪うことはできなかった。
第3セット最終盤の24-25の場面。1度目のアタックが決まり切らず、ボールが自コートに戻ってきた。セッター井関芹花(3年)が上げた2度目のトスを強打したが、惜しくもネットにかかり、試合が終わった。火の玉のような渾身(こんしん)のバックアタックで、会場全体を味方につけ、両チーム最多20得点をマーク。活躍及ばずコートに倒れこむエースの姿に、涙ぐむ観客もいた。
「自分に託してくれてありがとう」。あふれる涙を抑えながら、笠井は井関らチームメートに、感謝の言葉をかけて、コートを去った。卒業後はVリーグ女子1部のトヨタ車体に入部する。試合後は早くも「目標は男子の石川祐希(28=ミラノ)さんのように、苦しい時に頼れる選手。日本(代表の)メダルに貢献できる選手になりたい」と、次のステップを見据えた。【中島洋尚】
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
昨年のインターハイ(全国高校総体)と国体を制した下北沢成徳(東京)が決勝進出を決め、高校3冠に王手をかけた。準決勝で旭川実(北海道)を25-18、25-14、26-24のストレートで下した。
身長150センチの主将、内沢明未(3年)は先発メンバーで唯一の最上級生。リベロとして相手の強打を何度も拾い、大きな声でチームを鼓舞し続けた。
7年ぶりの大会制覇へ向けて、「最後はみんなで笑顔で終わりたい」。先頭に立って、チームを引っ張る。
<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館
前年準優勝の誠英(山口)は、2年ぶり頂点を目指す就実(岡山)に18-25、20-25、18-25のストレートで敗れた。
高さで劣るチームは「泥んこバレー」をキャッチフレーズに勝ち上がって来た。この日も相手の強打を何度も拾い、粘り強く戦った。エースとして奮闘した上村(かんむら)日菜(3年)は「去年の3年生は1人1人の技術が高かったけれど、自分たちはそうではない。だから1人で戦うのではなく、全員で戦うバレーを意識してやって来た」。
新チーム結成後は、なかなか思うような結果を残せなかった。しかし苦しい時期を経験したことで、個々の成長につながったと上村は強調する。「勝つためにはどうすればよいか。1人1人が考えることで、チームワークが高まった。そんな1年だった」と胸を張った。【奥岡幹浩】