日刊スポーツ

セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」

久保のRマドリードトップ昇格はお預け/セルジオ越後

<南米選手権(コパ・アメリカ):日本0-4チリ>◇17日(日本時間18日)◇1次リーグC組◇ブラジル・サンパウロ

日本対チリ チリに敗れ、悔しそうに引き揚げる久保(左)(撮影・河野匠)

あるべき差が出た試合だった。0-4なのにチャンスをつくっただけで「ポジティブ」と喜んでいることが、チリとの差だ。シュート数は互角でも、枠内シュートの割合は低い。1対1で大きな差がある。体格は大して変わらない相手に、簡単にボールを奪われる。GKとの1対1でシュートを決めきれない。

ダブルボランチが守備に追われ、効果的な攻撃に絡める機会が少なかった。9日の親善試合エルサルバドル戦とは相手が違う。後半に失点を重ねたのは、守備陣の疲れからだろう。

久保も完全フリーにならないと、持ち味が出し切れなかった。Rマドリードへの移籍で騒がれているが、この試合を見る限りはトップチームへの昇格はお預けだな。レアルはこの日のチリ代表よりもレベルは高い。同じくレアルに加入するベルギー代表のアザールに失礼だよ。

現在のチリ代表はメンバーが定着したこともあり、高年齢化で今大会が“卒業式”だ。サンチェスやビダル、バルガスは若い頃から結果を出して、世界トップの選手。一方で目立たないが、守備陣は手堅い。2点リードして、そこから途中出場の選手が機能するという選手層の厚さ、試合運びのうまさもあった。身体能力や個人技に飛び抜けているというわけではないだけに、日本代表が見習うところは多いと思う。

今回の日本代表は東京五輪世代中心で、チャレンジしに行く立場だ。これを「いい経験になった」で終わらせてほしくない。結果を出さなければ、真の「いい経験」にはならない。次戦のウルグアイも南米選手権にはこだわりを持つチームだ。1次リーグで勝ち点をもぎ取れるか? 今大会の戦いが東京五輪で生かされるか? 早くも正念場だ。(日刊スポーツ評論家)

日本対チリ 後半、決定機を逃し悔しがる久保。左は中山(撮影・河野匠)

ドイツこぼれ話

ニュルンベルク 昇格候補の筆頭ではない理由

2018-19シーズンを勝ち点19の最下位で終え、ハノーバーやシュツットガルトとともにブンデスリーガ2部へ降格することが決まったニュルンベルク。1シーズンでの1部復帰を目指して来季を戦う同クラブだが、大衆紙「ビルト」によると、現時点での彼らは昇格候補の筆頭ではないという。

同紙が挙げたその理由は「予算規模」。ブンデスリーガ各クラブに割り当てられるTV放映権料は、過去5年間の成績が反映される仕組みとなっており、1部在籍の長いほうがポイントを多く稼ぐことができる。したがって直近5シーズンのうち4シーズンを2部で過ごしたニュルンベルクは、シュツットガルトやハノーバー、ハンブルガーSVよりも分配金が少なくなってしまう。

そもそも今季のニュルンベルクは1部在籍だったにも関わらず、年間予算は2600万ユーロ(約31億7200万円)で、2部所属ハンブルガーSV(2850万ユーロ=約34億7700万円)を下回っていた。また、同じ降格組のシュツットガルトは約6000万ユーロ(約73億2000万円)、ハノーバーも約5000万ユーロ(約61億円)と、資金力には大きな隔たりがある。もちろんお金が結果を決めるたった一つの要因ではないが、「あるに越したことはない」のは言うまでもない。

果たして、史上最多8回の1部昇格を経験してきたニュルンベルクは来年の今頃、どのようなシーズンオフを過ごしているのだろうか。

サッカー現場発

鹿島安部を育てた「瀬戸内高」安藤監督苦悩の20年

鹿島FW安部裕葵(2019年2月19日撮影)

鹿島FW安部裕葵(20)が南米選手権(コパ・アメリカ)に臨む日本代表に初選出された。プロ3年目で、チームでは今季から10番を背負う。スター性抜群の逸材は、東京で生まれ15歳までを地元で過ごしたが、広島県瀬戸内高校に単身サッカー留学して、プロ入りを勝ち取った。

インターハイ常連の同校は、18年に念願の全国高校サッカー選手権初出場を果たした。近年こそ安部のほか2人のプロ選手を輩出した瀬戸内高も、ほんの10年前までは無名に近い学校だった。その裏には、安藤正晴校長(昨年までサッカー部監督)の、20年にわたる努力があった。

◆地区予選で勝てない弱小

安藤氏は00年、瀬戸内高監督に就任。当時男子校だった瀬戸内は、やんちゃな生徒が大勢いたという。「放課後、生徒たちは瀬戸内高校の制服をカバンに入れて、私服で帰っていた。自分の学校に誇りを持てずにいた」と安藤氏は当時を振り返る。

サッカー部員もご多分に漏れず、「トランクスをはいてグラウンドに現れる部員もいた」。当然地区予選に勝ったこともない弱小校で、安藤氏が赴任した際は「せめて“お荷物クラブ”にはならないように」といったレベルの期待しかかけられていなかった。

◆「サッカーでプライドを」

「サッカーでプライドを持たせたい」。安藤氏は人間教育に着手した。部のスローガンは当時から変わらず「全心一丸」。良い選手を連れて来られるわけでもないから、全員で心をひとつに、チーム一丸となって戦おう-部員たちに雑草魂を植え付けていった。

地道な努力が功を奏し、就任11年目、10年のインターハイで全国大会初出場。そこから4年連続でインハイに出場し、14年にはそこに目を付けた安部が入部してきた。現在はサッカー部のほか野球部、ゴルフ部なども強豪校として名をはせ、一方で東大進学者を輩出するなど文武両面で実績をあげている。

そして今回、ついに日本代表を輩出するに至った。安藤氏の「20年史」に、新たな1章が加わった瞬間だった。

◆杉山理紗(すぎやま・りさ)1993年(平5)10月4日生まれ、岐阜県出身。入社4年目、19年鹿島担当。

Get toto

仙台アウェー連敗ストップ「2」第1099回

松本-仙台戦はアウェー仙台勝ちの「2」。仙台は前節1日のホーム名古屋戦で、球際の強さを示し3-1で勝利した。今季新加入のFW長沢とMF吉尾がそろって2試合連続ゴールをマークするなど、ここから巻き返しそうな雰囲気が漂った。今季の仙台は16位に低迷しているが、対する12位の松本はエースFW前田が日本代表の南米選手権に参加しているため不在。仙台は今季開幕からアウェーで7戦全敗だが、今回の松本戦で敵地での連敗をストップするとみた。

◆日刊予想

(1)清-横0

(2)松-仙2

(3)分-名0

(4)浦-鳥1

(5)東-神1

(6)磐-G0

(7)宮-岐1

(8)千-児1

(9)形-水1

(10)京-琉0

(11)甲-V1

(12)金-媛0

(13)新-栃1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

解析料理

アタッキングサードで輝き放った久保建英/解析料理

アタッキングサードでのプレー数(90分換算)上位

<キリンチャレンジ杯:日本2-0エルサルバドル>◇9日◇宮城

90分フル出場なら、敵陣ゴール前で40回はボールに絡む勢いだった。サッカー分析会社「データスタジアム」のデータで久保のプレーを分析し検証した。

際立ったのが「アタッキングサード」(敵陣攻撃エリア)でボールに絡んだ回数の多さ。ロスタイムを含めた実際の出場時間は27分で、総プレー数は20回。そのうちアタッキングサードだけで12回を数え、1試合90分平均に換算すると40回。これはピッチに立った33人の中で最多だった。

もちろん、90分フル出場なら、疲れからそのペースは落ちるかもしれない。確かにエルサルバドルの守りもゆるかった。だが、この限られた時間でこれだけ相手ゴール前でボールに絡めば、当然ながら18歳のMFが主役に見える。

それも味方のパスを引き出す「立ち位置」、ポジショニングがしっかりしているがゆえ。そうして久保に自然とボールは集まった。最終的に計13本のパスを送り、成功は9本。常に前を意識してプレーし、極端なバックパスは1本もなかった。ペナルティー内へのラストパス4本は味方との呼吸が合わず失敗に終わったが、今後への期待が大きく膨らむ27分間だった。【石川秀和】

日本対エルサルバドル 後半、シュートを放つ久保(2019年6月9日撮影)
日本対エルサルバドル 後半、DF2人を置き去りにしてシュートを放つ久保(2019年6月9日撮影)
熱血秋田塾

2選手置き去りシュート、久保建英のすごさ/秋田豊

エルサルバドル戦の後半、DF2人を置き去りにするMF久保建英(2019年6月9日撮影)

サッカー日本代表MF久保建英(18=FC東京)が、9日の国際親善試合エルサルバドル戦(ひとめぼれスタジアム宮城)で待望のA代表デビューを果たした。史上2番目となる18歳5日の年少出場記録。後半22分に出場すると、6分後には相手2選手をかわして「名刺代わり」の左足シュートを放った。

本紙評論家で「秋田塾」塾長の秋田豊氏(48)が、そのシュート場面を振り返り、久保のすごさを解説するとともに今後への期待を寄せた。

   ◇   ◇   ◇

大迫勇から出た右サイドへのパス。縦へ走った久保が受ける瞬間、左前に1人、後ろからもう1人が挟みに来た。守る側としては2人で挟みサイドへと追い込んだわけだから「もらった」と思ったはず。この場面でDFが一番気にするのが2人の間を抜けられること。2番目は、縦に走られてクロスを上げられることだ。

久保は相手の心理状態が分かっていた。「間は抜けられない」と見せかけるため、左足で細かくボールタッチしながら一瞬、縦に走るフリをした。相手に「こいつは2番目の選択をしたな」と見せることで、前にいた選手が縦を切るためのポジショニングを取ろうとした。その一瞬、DF2人の間にスペースができた。久保は迷わず、左足アウトサイドを使い、その間を抜けた。そして左足を振り抜いた。一瞬の駆け引きでシュートチャンスをつくったことを高く評価したい。

2年前から久保のプレーは気にして見てきた。以前の久保なら、間違いなく今回の場面ではボールを持った大迫勇のところに寄っていったはず。足元の技術には自信があったため、自分でボールをもらってから局面を打開しようとする傾向が強かった。皮肉にも、最も得意とするプレーが成長の妨げになった昨季、東京で出番に恵まれなかった。長谷川監督の親心だったはず。この挫折があり、スペースに走り込めるようになり、守備も積極的にこなせるようになり、自然と足元の技術も生きてきた。

あのシュート場面ではちょっとしたミスがあった。2人の間を抜け出し、シュート体勢に持ち込むために左足で1度ボールをコントロールしている。このタッチでやや内側にボールを運んでしまい、ゴールへの角度を狭くした。本来ならもっと外側、中央寄りにボールを置きたかったはず。あのタッチで左足の強振しか選択肢がなくなり、GKは守りやすくなった。理想を言えば、中央寄りにボールを運んで左足で巻いてファーサイドの左上の隅を狙えば、ゴールの確率は高まったのではないだろうか。

30分弱の時間だが、久保は代表レギュラーともイメージを共有できることを証明した。堂安-南野-中島の2列目3人の代役としての可能性は示した。今後は、この一角を崩すには? の疑問にぶつかるはず。現段階で3人と久保の一番の違いは最後のクオリティー。3人がそろった時の質の高さは実証済みで、3人は最後に決めきるためのフィジカルを持っている。

これからは、相手選手の久保へのプレッシャーが高まるはずだ。デビュー当時のメッシは相手に削られて負傷退場、離脱を繰り返した。相手の削る行為に逃げることができなかったからで、今はそれを予測してうまく逃げることができる。久保も同じ目に遭うことが考えられる。逃げる技術と最後の質を高めれば、久保は間違いなく日本の10番を背負う選手に成長するはずだ。(日刊スポーツ評論家)

◆久保デビュー戦VTR 後半22分にMF南野に代わって登場。トップ下に入ると、28分には右サイドからバルセロナFWメッシを想起させる鋭く細かいステップのドリブルで、DF2人をかわして左足で代表初シュート。34分にはペナルティーエリア右から右足でクロスを送り、好機をつくった。37分にMF橋本からの縦パスを左足アウトサイドでボールを浮かせ、FW大迫勇につなげた。38分にはファウルを受けながらも倒れずに2人を突破。ロスタイムにはMF中島のパスをワンタッチで前線の大迫勇につなげ、中島が抜け出す絶好機も演出するなど、随所に高い技術が光った。

エルサルバドル戦の後半、DF2人を置き去りにしてシュートを放つMF久保建英(2019年6月9日撮影)

セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」

久保建英の真価は南米選手権での結果/セルジオ越後

<キリンチャレンジ杯:日本2-0エルサルバドル>◇9日◇ひとめS

日本対エルサルバドル 後半、ドリブルで攻め上がる久保(撮影・たえ見朱実)

出場した時間帯と相手のレベルを考えると、この日のプレーで久保を評価するのは難しい。彼のせいじゃない。チームの悪い流れに巻き込まれた感じだ。チームは前戦に続き、ボールを回すだけ。サイドのコンビネーションなど、何をしたいのか伝わらなかった。勝ちはしたが、格下相手に圧倒的な差を見せつけられない。テレビ中継でベンチの様子が何度も流れるのは、試合内容が悪いからだ。

こういう試合は興行としては成り立っても、強化にはならない。チーム状態がいい時にデビューさせてあげたかったくらいだ。

むしろ親善試合という興行ならば、久保を先発か、せめて後半開始から使った方がよかった。最後のFKも、久保に蹴らせればよかったんだ。選手任せでは久保も遠慮するから、森保監督が「久保に蹴らせろ」と指示すればいい。その方が盛り上がったし、そういう場を演出することも、育てることにつながる。もったいない。

次からは結果が必要だ。彼はドリブルやシュートを打つだけで評価される選手じゃないだろう。南米選手権でマスコミやファンの期待を背負って、それに応えられるか。そこで真価が問われる。(日刊スポーツ評論家)

日本対エルサドバドル 「可能性は無限大」の大段幕前でポーズを決める日本MF久保(撮影・たえ見朱実)

永島昭浩「スーパーゴォ〜ル」

久保建英は上々デビュー、DF陣は緩急を/永島昭浩

日本対エルサルバドル 試合を終え笑顔でピッチを1周するMF久保(右から3人目)ら日本代表の選手たち(撮影・横山健太)

<国際親善試合キリンチャレンジ杯:日本2-0エルサルバドル>◇9日◇ひとめS

元日本代表FWの永島昭浩氏(55=日刊スポーツ評論家)が、日本の収穫と反省点を分析した。

   ◇   ◇   ◇

18歳でデビューした久保に関しては、クラブとは違う環境と舞台で普段の力を出せたと思う。エルサルバドルが後半途中の時点で体力を消耗していたことを差し引いても、久保はパス、シュートといった自分の特長を出していた。上々のデビューだった。これだと森保監督も、今後も使いたくなるだろう。

日本全体に突きつけられた課題もあった。2得点で勝ったが、世界と互角に戦うには、まず決定力不足以前の問題として、決定機を作るための好機作りが少ない。そのベースとなるのがDF、この試合でいえば3バックからの攻撃の組み立てにバリエーションが足りない。

確かに永井の1点目は冨安、2点目は畠中のフィードが起点になった。共通するのは、ゆっくりとした攻撃から相手の裏を狙ったパスだったこと。これはこれでいいのだが、例えば両サイドの原口や伊東らへの足元への速いパスが圧倒的に少なかった。

遅攻だけではなく、速攻も交えないと。何なら中盤を飛ばして一気に前線へ高速パスを出してもいい。電車に例えるなら日本には各駅停車が多く、急行、特急が少なかったという事実だ。緩急自在に攻撃することで相手守備は的を絞れなくなる。勝ったからこそ反省してほしい。(日刊スポーツ評論家)

ドイツこぼれ話

バイエルンのヘーネス会長がフランクフルト監督称賛

監督交代の噂がささやかれつつも、終わってみれば今季国内2冠を手にしたバイエルン・ミュンヘン。2018-19年シーズン最後の公式戦ドイツ杯決勝を終えた後、ニコ・コバチ監督の来季続投を明言したウリ・ヘーネス会長だが、そもそも同監督との契約を締結する以前は別の指揮官へ狙いを定めていたようだ。

その人物とは、Bミュンヘンへの移籍が決まったコバチ監督の後任として、昨年夏に長谷部誠が所属するフランクフルトの新指揮官となったアディ・ヒュッター監督。ミュンヘンの地元紙「tz」や専門誌「フォーカス」など複数ドイツメディアが報じたところによると、ヘーネス会長はオーストリアのリンツで行われたイベントに出席した際、「実は我々も、アディ・ヒュッターのことを“レーダー”に捉えていたんだ。しかしまだ当時の彼はあまりにも無名だったから、Bミュンヘンに引っ張ってくることができなかった」と明かしており、「そのヒュッター監督は今、フランクフルトで非常に良い仕事をしている」と続けたという。

Bミュンヘンをドイツ最大のクラブに育て上げた辣腕家はさらに、イベントの開催地が隣国オーストリアだったためか、同国出身の指導者についても言及。「一般的にオーストリア人の監督は、良い仕事をしてくれると確信している。特に、基本的なことをみっちりと練習させるイメージだ。練習量が少ないばかりに選手がしっかりボールを止められないようでは、どんなに良い戦術哲学を持っていてもすべて台無しになってしまうからね」と、その指導法を称賛した。

Get toto

ホーム甲府の勝ち「1」/第1098回

3位甲府と首位山形のJ2上位対決は、ホーム甲府勝ちの「1」をマークする。甲府は現在3連勝中で、FWピーター・ウタカとFWドゥドゥの外国籍選手2人が絶好調。連勝期間中はそろって3戦3発だ。2人は今季新加入だが、ウタカが得点ランク3位タイの8ゴール、ドゥドゥも6位タイの6ゴール。MF曽根田とともに前線の連係も徐々に高まっている。山形も最近6試合負けなしで首位に立つが、好調甲府のアタッカー陣が山形の堅守をこじ開けるとみた。

◆日刊予想

(1)甲-形1

(2)長-岡1

(3)岐-新2

(4)宮-京1

(5)徳-町0

(6)口-浜2

(7)琉-金0

(8)水-福0

(9)栃-千2

(10)児-V2

(11)媛-柏2

(12)八戸-藤枝0

(13)群馬-鳥取1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

解析料理

シュートにつながらない最多27本クロス/解析料理

日本対トリニダード・トバゴ 後半、懸命にボールを追う日本代表の選手たち。右からMF南野、FW大迫勇、1人おいてMF伊東(撮影・横山健太)

<キリンチャレンジ杯:日本0-0トリニダード・トバゴ>◇5日◇豊田ス

森保ジャパン最多となる27本のクロスも不発に終わった。サッカー分析会社「データスタジアム」によると、無得点で引き分けた5日のトリニダード・トバゴ戦でのクロスは、監督就任15試合目で最多の27本。だが、味方につながったのは6本だけで、複数回成功した選手は1人もいなかった。

シュートに直結したクロスは4本にとどまり、そのうち枠内に飛んだシュートは前半24分にDF酒井のグラウンダーのクロスをFW大迫が右足で合わせた1本だけだった。

チームは初めて3バックで臨んだ。森保監督がJ1を3度制したサンフレッチェ広島時代に採用したシステムだが、サイドに厚みを持たせた布陣ゆえ、攻撃の「幅」は確かに広がった。当時の広島同様、数多くのクロスを放った。だが、その精度は低く、相手にはね返され続けた。出し手と受け手の呼吸は合っていなかった。

もちろん、その質の低さはこの試合に限ったことではない。2月のアジア杯決勝カタール戦でも19本のクロスを放ちながら成功は2本だけだった。クロスの精度は森保ジャパンの課題の1つ。上げる前段階でひと工夫ほしいところだ。【石川秀和】

日本対トリニダード・トバコ 後半、ヘディングシュートでゴールをねらうDF畠中(撮影・森本幸一)
Get toto

好調甲府の勝利「1」/第1098回

3位甲府と首位山形のJ2上位対決は、ホーム甲府勝ちの「1」をマークする。甲府は現在3連勝中で、FWピーター・ウタカとFWドゥドゥの外国籍選手2人が絶好調。連勝期間中はそろって3戦3発だ。2人は今季新加入だが、ウタカが得点ランク3位タイの8ゴール、ドゥドゥも6位タイの6ゴール。MF曽根田とともに前線の連係も徐々に高まっている。山形も最近6試合負けなしで首位に立つが、好調甲府のアタッカー陣が山形の堅守をこじ開ける。

◆日刊予想

(1)甲-形1

(2)長-岡1

(3)岐-新2

(4)宮-京1

(5)徳-町0

(6)口-浜2

(7)琉-金0

(8)水-福0

(9)栃-千2

(10)児-V2

(11)媛-柏2

(12)八戸-藤枝0

(13)群馬-鳥取1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」

日本代表は梅雨入り…格下に情けない/セルジオ越後

<キリンチャレンジ杯:日本0-0トリニダード・トバゴ>◇5日◇豊田ス

日本対トリニダード・トバゴ 試合を終え、悔しそうな表情で天を仰ぐ大迫(撮影・横山健太)

「日本代表は愛知から梅雨入りしました」という感じだ。ベストメンバーを出しながら、結果も内容も情けない。格下の相手に引いて守られ、崩せない。アジアの戦いで何度も見てきた形だ。ワールドカップ(W杯)予選に向けて不安になる。

3バックにして長友と酒井の位置を上げ、クロスを放り込んでもゴール前には大迫しかいないし、相手には高さがある。中島や堂安はその中で勝負するタイプじゃないだろう。シュート数は多かったが、相手を脅かす決定的な場面は少なかった。

ホームでの6人交代の親善試合では途中まで苦しんでも、相手が疲れた終盤に途中出場のフレッシュな選手が得点に絡み、何とか勝つことも多かったが、今回はそれもできなかった。最後に原口を投入するあたりは「22年W杯へのテスト」ではなく、とにかく得点したかったからと映る。そもそも今回の相手は、W杯への準備にふさわしい相手だったのか? 次戦も似たような試合になるだろう。香川が出てくるか、久保にもチャンスが巡ってくるかもしれない。(日刊スポーツ評論家)

日本対トニリダード・トバゴ 前半、冨安(右)に指示を送る森保監督(撮影・河野匠) 

熱血秋田塾

森保ジャパン初3バックはまだ第1歩の段階/秋田豊

日本対トニリダード・トバゴ 前半、冨安(右)に指示を送る森保監督(撮影・河野匠) 

<キリンチャレンジ杯:日本0-0トリニダード・トバゴ>◇5日◇豊田ス

就任15戦目で初めて「広島時代の代名詞」3バックを試した。「森保さんの代表での3バックはどんなんだろう?」。最初3-4-3で並んだ時、ファンだけではなく、我々サッカーに関わっている関係者もワクワク感があった。今まで4バックで一定の結果を出してきたので、ステップアップのためにも3バックでぜひ成功してほしいという気持ちで見守った。

広島時代のように、もっと両サイドを積極的に使って、ワイドでダイナミックな展開を期待した。しかし現実はそんなに甘くない。前半44分、左に開いた長友がフリーでボールを待っていたのに、守田は中央へくさびのパスを入れて取られた。極端な例えだが、まだ第1歩の段階なので、これから十分修正はできる。

最も気になったのは、90分間同じリズムが続いたこと。流れを変えるリーダーが不在だった。リーダーの一声で11人が瞬時に動きを変えられるようになれば、チームは進化する。さらに3バックと4バックが自在に繰り出せれば、日本は次のステージに進むことができるはずだ。(日刊スポーツ評論家)

サッカー現場発

札幌ベテランFWジェイが若手に伝えたい思いとは

札幌対G大阪 後半、ゴールに迫る札幌FWジェイ(2019年5月25日撮影)

北海道コンサドーレ札幌FWジェイ(37)の若手への思いが伝わった。

ジェイ 若い選手にはモチベーションに変えて欲しいと思った。自分がシャドーの選手なのに、ボランチの選手がそのポジションに出ているってことを考えないと。もしかしたらミシャ(ペトロビッチ監督)に「自分が試合に出られるには、どうすればいいですか」って直接声を掛けた方が良かったかもしれない。俺ならそうすると思う。ミシャはそういうことをネガティブじゃなくて、ポジティブに捉える監督だよ。怖くないんだから。

自身は3月に右太もも裏とふくらはぎを痛めていたため、離脱中の言葉だ。戦線から離れ、チームを見つめて感じたことだった。

5月は主力にケガ人が続き、チームの布陣が変動した。4月25日磐田戦で左膝を負傷したFWアンデルソン・ロペス(25)が開幕から務めたシャドー(1・5列目)の代役に、次の試合で入ったのがMF荒野拓馬(26)だった。本職はボランチだ。ジェイは若手FW陣に危機感を持って欲しかったのだろう。

練習後、ピッチでジェイとペトロビッチ監督が話し込む姿をよく目にする。感じたことや疑問はすぐにぶつけている様子だ。監督と選手という立場を考えると、そんなに本音をぶつけて大丈夫かと心配になることもある。それでも、確かにペトロビッチ監督はジェイの言葉に真剣に向き合っている。

若手選手が経験のあるジェイのような行動をすぐに取るのは難しいだろう。しかし、ジェイが言うように、悔しさは持つべきだ。成長につなげて欲しいと、私も思う。

そんな熱いストライカーが5月25日G大阪戦から2カ月ぶりに試合に復帰した。若手FW陣はさらに練習に力を入れないと、ポジション奪取は簡単ではない。だが、そんな争いが起こることをジェイも願っているのではないか。

◆保坂果那(ほさか・かな)1986年(昭61)10月31日、北海道札幌市生まれ。13年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、16年11月からプロ野球日本ハム担当。17年12月から北海道コンサドーレ札幌担当。

ドイツこぼれ話

大迫ブレーメンが首位 公式HP充実度ランキング

今季ブンデスリーガ1部全18クラブの「公式ホームページ充実度ランキング」が発表され、大迫勇也の所属するブレーメンが首位に輝いた。

企業のデジタル広告やHPなどに特化したWebコンサルティング会社「Net Federation」が行った今回の調査「リーガ・ベンチマーク2019」では、ブンデスリーガ各クラブ公式HPの中身を72の項目に分け、それぞれ1~3点でポイント化し、その合計点で満足度が争われた。また、いわゆる“ファン目線”のみならず、「メディア用」「スポンサー用」といったように、3つの用途に分けて調査されている。

今回の調べで1位の座を獲得したブレーメンについて、Net Federation社のマティアス・エベン氏は「記者会見の予定が毎回しっかりとウェブサイトに書かれ、サステナビリティ戦略についても具体的に論じられている。そして、クラブの殿堂入りした人物の経歴、eスポーツ部門のこと、アウェーファンのためのスタジアムへの行き方、スタジアムのバリアフリーに関することなども詳しく掲載されている」と、高く評価した。

また残念ながら最下位となってしまったフライブルクの公式HPに関して、この調査を報じた一般紙「ベルト」は、「“降格組”であるフライブルクのHPは、多くの面で情報が不足している」とし、また「“(調べたい情報の)発見のしやすさ”も欠けている」と記している。

※「リーガ・ベンチマーク2019」の結果。

1位 ブレーメン

2位 ドルトムント

3位 バイエルン・ミュンヘン

4位 ニュルンベルク

5位 シャルケ

6位 シュツットガルト

7位 ウォルフスブルク

8位 マインツ

9位 フランクフルト

10位 アウグスブルク

11位 ハノーバー

12位 デュッセルドルフ

13位 ヘルタ

14位 ボルシアMG

15位 ライプチヒ

16位 ホッフェンハイム

17位 レーバークーゼン

18位 フライブルク

永島昭浩「スーパーゴォ〜ル」

G大阪に有望株 度胸満点FW食野楽しみ/永島昭浩

G大阪対鹿島 後半、ゴール前でパスに追いつくことができず悔しがるG大阪FW食野(撮影・前田充)

<明治安田生命J1:G大阪1-1鹿島>◇第14節◇1日◇パナスタ

2年連続でJ1残留争いに巻き込まれたガンバ大阪。14年度には3冠タイトルを独占するなどJリーグ屈指の名門クラブになったが、この数年は低迷を続ける。クラブOBで元日本代表FWの永島昭浩氏(55=日刊スポーツ評論家)が生観戦し、この日の鹿島アントラーズ戦を分析した。

   ◇   ◇   ◇

この試合で2戦連続で引き分けとなるなど勝ち星に恵まれていないが、サッカー自体は悪くはない。最終ラインからの攻撃の組み立ても開幕当初より確実によくなっている。高江ら若手のボールへの激しいチェックといい、自分たちの役割や仕事をきっちりこなしていた。

得点した20歳の食野(めしの)も同じだ。なかなか楽しみなストライカーが現れたと思う。アデミウソンからのパスに右足を振り抜き、ふかすことなく右隅に決める得点センス。何より先輩たちに遠慮することなくボールを要求する度胸や責任感は、なかなかのものだった。

一方でG大阪がサイド攻撃を仕掛けた際に、食野がサイドに寄りすぎたり、引きつけられたりし、ゴール前が無人になる場面が見受けられた。肝心の仕事は得点すること。パスをもらいたいのは分かるが、ピッチ全体を冷静に見てバランスをとってほしい。動くだけではなく、ゴール前にとどまる我慢も大切だ。せっかく好機をつくってもゴール前が無人になっては本末転倒。求められるのは、この試合でいえば2点目だし、状況判断を高めることが大切だ。

14位磐田以下、15位G大阪を含めて、18位清水まで勝ち点13で5チームがひしめく混戦状態だが、有望な若手が増えてきたG大阪に関しては、夏以降に結果が出ると見ている。(日刊スポーツ評論家)

サッカー現場発

5位横浜けん引する“クリリン”愛される理由は…

ポステコグルー体制2年目を迎えた横浜F・マリノスが、リーグ戦の約3分の1となる13節を終えて5位とまずまずの順位につけている。

けん引役の1人が、今季加入したブラジル人FWマルコス・ジュニオール(26)。U-20(20歳以下)ブラジル代表に選出経験がある助っ人は現在、リーグトップタイの7得点を記録している。

「元気玉」のパフォーマンスをする横浜FWマルコス・ジュニオール(左)

167センチ66キロと、体格は日本人と交じっても小柄な部類に入る。足元の技術の高さを生かしたボールコントロールに優れ、チャンスメークが得意。自身の決定力も高く、攻撃の「何でも屋」だ。最前線、トップ下、ウイングと、複数ポジションをこなせる器用さも武器。「自分はポジションがどこであっても、試合に出ることができればいい」と謙虚に話す。攻撃だけでなく猛然とプレスを繰り返す姿からも、献身性の高さが伝わる。

愛称は「クリリン」。日本の人気漫画「ドラゴンボール」に登場するキャラクターで、自身も頭をそり上げていることから、ブラジルでプレーしている頃に呼ばれるようになった。自身も大ファンで、幼少期からブラジルでアニメを観て育ったという。左腕にも、クリリンのタトゥーが入っている。

マルコス・ジュニオールのクリリンタトゥー

前所属のフルミネンセ時代から、ゴールパフォーマンスは主人公・孫悟空の得意技「かめはめ波」。横浜に加入してから、得点力とともにドラゴンボール愛が爆発している。4月5日のアウェー浦和戦では2得点。パフォーマンスはクリリンの技「気円斬」になった。続く13日の名古屋戦で得点した際は、孫悟空の必殺技「元気玉」。隣ではFW仲川輝人が登場キャラであるピッコロの「魔貫光殺砲」をアドリブで披露するなど、チーム内でも愛されキャラであることをうかがわせた。

気円斬ポーズをするマルコス・ジュニオール(左から2人目)

4月28日の鹿島戦後には、自身のSNSでパフォーマンスを公募した。5月18日の神戸戦で得点した際には、1番人気だったトランクスの「バーニング・アタック」を披露。そして直近の26日ホーム磐田戦では、FW仲川とともに合体技「フュージョン」をやって見せた。

ドラゴンボール好きという親日ぶりは縁でもあるが、外国人選手の中でも目立つひたむきさが愛される理由でもあろう。この男がゴールパフォーマンスの回数を増やせば増やすほど、横浜の躍進につながっていく。シーズンが終わったとき、マルコス・ジュニオールがいくつの技を披露したか…。ずらっと写真を並べて眺めるのが、小さな楽しみである。【岡崎悠利】

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材。16年11月からはサッカー担当で今季は主に横浜とFC東京、アンダー世代を担当。

Get toto

決定力高く相性良い神戸「2」/第1097回

磐田-神戸戦はアウェーの神戸が勝つと予想する。神戸は前節の湘南戦で4-1で勝利し、リーグ戦の連敗を7でストップ。ウェリントンが2点、ビジャが1点を挙げ、2人はともに今季通算5ゴールとした。ポドルスキの調子は上がらないようだが、連敗期間中も2人の決定力の高さは光っていた。対する磐田は前節の横浜戦に0-4で大敗。自慢の守備が大きく崩れた。過去3年のJ1リーグ戦の対戦成績は神戸が5勝1敗とリード。神戸勝利の「2」をマークする。

◆日刊予想

(1)仙-名2

(2)磐-神2

(3)鳥-C0

(4)松-清2

(5)川-浦1

(6)札-広2

(7)東-分1

(8)G-鹿2

(9)岡-媛0

(10)柏-岐1

(11)水-口1

(12)福-宮2

(13)形-児1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

サッカー現場発

2度目代表の東京橋本拳人、柴崎岳の言葉で意識変化

東京橋本(16年撮影)

今度は少し、笑顔があった。6月のキリンチャレンジ杯2試合に臨む日本代表に選出されたMF橋本拳人(25=東京)。リーグ戦で首位をひた走るチームの、守備の要となるボランチ。発表日の朝、選出のしらせを受けた。「よかったっす」と、謙虚に笑った。

代表デビューを果たした3月のボリビア戦(ノエスタ)は記憶に新しい。突破を試みる相手のドリブルをことごとくストップ。スタンドからは、驚きも交じったような歓声を受けた。「自分の特徴はボール奪取力とか、守備のところ。1発目だったし、変にいろいろやろうとしないでとにかくまずはそこを出そうと」。落ち着きを持ったプレーを見せた。引き続きの選出。前回は追加招集だったが、今回ははじめからメンバーリストに名前が入った。森保一監督から、ひとまず“合格”をもらった。

ボリビア戦は上出来。そんな印象だったことを伝えると、橋本は首を振った。

「きっと、『あれくらいやってもらわないと』と思っているのではないか。自分の想像ですが」

対戦したボリビアに、戦術らしい戦術はなかった。「全員が個のアピールに集中している、そんな印象でした」。監督の目にとまろうと、しゃにむにつっこんできた。パスコースは、あって1つか2つ。対応はむしろ、Jリーグの試合よりもシンプルに感じた。森保監督は、現役時代は自身と同じボランチ。同じポジションを専門としていた指揮官は、自分が抱いた感覚を分かっているのではと感じていた。代表活動後に何度も口にした「代表にまた入れるとは思っていない。東京でいいパフォーマンスを続けたい」という言葉の源は、ボリビア戦がアピールになったとは思わないという自覚にあった。

代表活動中、MF柴崎岳(ヘタフェ)に聞いた言葉がある。「代表に入れば見られ方も変わるし、より高いものを要求されるようになる」。代表に選ばれるということは、日の丸を背負うことに恥じないプレーを常に求められるようになるということ。東京に戻ってから、橋本は「その実感はある」と短い言葉で話す。

重圧をはね返すためにどうするか。

「まず、自分への要求をより厳しくすること」

日本代表を経験したことで、柴崎らのプレーを同じピッチで見た。自分には見えない、または見えても選択しないような狭いところに次々とパスが通った。「ここで生き残るには、改善の余地がたくさんある」。そう自然と感じた。

「これまでだったら『正解』としていたプレーを、すべて疑問の目で見るようになった」。

プレスがないからといって判断に時間をかけすぎていないか。なにげないパスが実は味方の仕掛けを無駄にしていないか-。自身の映像を見返すのにかかる時間は大幅に増えた。「自分に対して『なぜできないんだ』と感じることがかなり多くなりました」。

ただ、これはフラストレーションではない。

「壁にぶち当たることってしんどいですけど、それを喜べずに逃げたらプロじゃないし、先はない」

前節アウェーC大阪戦では0-1で敗れたものの、自陣から前線へ鋭い縦パスを通すなど、「自分の課題」とする攻撃への意識の変化がピッチでも出始めた。守備での貢献という根幹はぶれないまま、また1つ上の次元に突入しようとしている。

前回の活動から約2カ月。パフォーマンスを維持し、ふたたび代表への挑戦権を得た。

「すぐに答えが見つかるとは思っていませんが、代表が終わってから感じて取り組んできた部分もある。それを少しでも出せたら」

短い期間でも成長を示し、新たな壁を見つけることを心のどこかで楽しみにする。屈託のない笑顔の奥に飽くなき探求心をたずさえて、2度目の日本代表に向かう。【岡崎悠利】

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材。16年11月からはサッカー担当で今季は主に横浜とFC東京、アンダー世代を担当。

ドイツこぼれ話

100年に1人の逸材・ゲッツェが激動の4年を語る

14年7月13日、W杯ブラジル大会決勝のアルゼンチン戦の延長後半8分、左足ボレーで決勝ゴールを決めるゲッツェ、右はアルゼンチンGKロメロ

まだ10代だった2011年に、鬼軍曹として知られるフェリックス・マガト氏から「100年に1人の逸材」と称賛され、来月3日に27歳の誕生日を迎えるドルトムント所属マリオ・ゲッツェが、これまでのキャリアを振り返った。

ゲッツェは米国のスポーツ系ネットメディア「ザ・プレイヤーズ・トリビューン」に寄稿する形で自身のサッカー人生を語っており、「メディア(からの情報)を聞けば、僕は裏切り者から英雄になり、さらに失望を与える人間となって、(病気のため)一時サッカーから離れてしまった人物だね。しかもこれは全部、たった4年の間に起こった出来事なんだ」と記している。

同選手がドイツメディアから“英雄”と評されたのは、アルゼンチン代表と激突したブラジルW杯ファイナルで決勝点を決め、祖国を24年ぶりの戴冠へと導いたことに起因する。それについて当の本人は「おそらくあのゴールは100年後も人々に見てもらえるだろう」と前置きしながらも、「僕にとってポジティブな点は見当たらなかった。僕は主力選手ではなかったし、決勝の前の僕は『試合に出るチャンスはない』と、明らかに意気消沈していたから」と回想した。

また、この試合の後半43分に、ヨアヒム・レーウ監督がゲッツェをピッチに送り出す際、「お前がメッシより優れていることを世界中の人々に見せつけてやれ!」と伝えたことは有名な話。しかしこれに関してゲッツェは「実は(交代時にレーウ監督が自分に何を言っていたのか)よく聞こえなかったんだ。試合後の記者会見でレーウ監督が、僕に何を伝えたのかを明らかにしたことで、大々的にメディアに報じられるようになった。僕はすでにバイエルン・ミュンヘンで多くのプレッシャーにさらされていたが、その(メッシとの)比較は(交代時に仮に聞こえていたとしたら)ベストなものではなかっただろう。なぜなら僕は、まだあの時22歳という若さだったから」とコメントしている。

セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」

久保建英は結果出すことが求められる/セルジオ越後

南米選手権に参加する日本代表に選出され、取材に対応する東京MF久保建英(撮影・岡崎悠利)

今回の南米選手権に向けた日本代表メンバー発表で、やっと東京五輪対策が本格的に動きだしたという印象だ。遅すぎるくらいだ。

五輪代表は予選がないだけに、しびれる試合の経験が足りない。今回はオーバーエージ(OA)の選手を入れて、南米の強豪との真剣勝負、いい機会だ。

今回の南米選手権はテレビの地上波放送がないと聞く。大会後にテレビ関係者に「放送すればよかった」と言わせ、悔しがらせてほしい。最終順位はともかく、金星を挙げるとか、何ゴール奪ったとか、東京五輪が楽しみになるような内容の試合を見せてほしい。

メディアの注目は久保建英に集中する。彼が崩れたら、報道する方も“軸”を失ってしまう。久保はきっちり結果を出すことが求められる。年齢は関係ない。南米には久保レベルの17歳、18歳はたくさんいる。日本はちょっと騒ぎ過ぎだ。

南米選手権である程度の結果を出し、メンバーを固定できる段階にしないといけない。本番まで残り約1年でまだチームの基盤ができていないとしたら、それこそ森保監督にA代表と五輪代表を兼任させた協会の責任が問われる。

せっかくなら、南米選手権前の親善試合から五輪代表メンバー主体で戦えばいい、という意見もあるかもしれない。ただ、現実的には親善試合は興行で、観客動員や視聴率の面も考慮され、人気選手も必要なんだろう。

また、南米選手権は国際Aマッチデーではないから、クラブに派遣義務がない。森保監督が招集したくてもできなかった選手もいたはずだ。この日本サッカー協会とJリーグとの「綱引き」は今に始まったことじゃない。ならば欲しかったのはどの選手か、派遣要請を断ったのはどのクラブか、はっきり表に出したらどうかな? クラブ側も異論があれば出せばいい。衝突が起きればマスコミが動いて、議論になる。忖度(そんたく)ばかりでは前に進まない気がする。

Get toto

アウェー仙台の負け「1」/第1096回

清水-仙台戦はホーム清水勝ちの「1」をマークする。ホームの清水が勝つというよりは、アウェーの仙台が負けると言った方がいいかもしれない。今季の仙台はリーグ戦3勝1分け8敗。ホームでは3勝1分け2敗と白星が先行していながら、アウェーでは6戦全敗となっている。ホームではサポーターの声援を背に奮闘するも、アウェーでは守備陣のミスからの失点が目立つなど結果を残せていない。清水は18位に低迷しているが、ホームで仙台に勝って最下位を脱出すると予想した。

◆日刊予想

(1)札-G1

(2)清-仙1

(3)C-東2

(4)浦-広1

(5)鳥-鹿2

(6)横-磐1

(7)名-松1

(8)神-湘2

(9)分-川2

(10)京-口1

(11)V-千1

(12)琉-新2

(13)児-福0

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

データが語る

川崎Fチョン・ソンリョンGK通算防御率首位なるか

GKのJ1通算防御率10傑

川崎フロンターレのGKチョン・ソンリョンが、Jリーグのアンタッチャブル・レコードの1つである「GK通算防御率」でトップに立つ勢いだ。J1通算105試合に出場し92失点。1試合90分あたりの失点数は歴代2位の0・891点となる。00~03年にジュビロ磐田の黄金期を支えた歴代1位ヴァン・ズワムの0・885点に0・006差。2700分以上出場したGKで0点台はこの2人だけとなっている。

01年からJリーグの公式記録に採用されたGK防御率だが、これまでヴァン・ズワムの数字に迫るGKはほとんどいなかった。更新の難しい記録だった。そんな中、元韓国代表GKが16年に川崎Fに加入し、安定したセービングで移籍2年目からリーグ連覇に貢献。次節26日の大分トリニータ戦(昭和電ド)で完封なら、90分換算の失点は0・882点となり、一時的ではあるが、16年ぶりにGK通算防御率の首位が入れ替わる。(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

ドイツこぼれ話

最大警戒レベルのボルシアMG-ドルトムント戦

5月18日のブンデスリーガ1部最終節ボルシアMG対ドルトムントの試合に、地元警察が神経をとがらせている。

バイエルン・ミュンヘンを勝ち点差2で追うドルトムントが逆転優勝を飾るには、この試合で3ポイントを獲得するしか道はなく、またボルシアMGにとっても欧州チャンピオンズリーグ出場がかなう4位の座を守るため、勝利は必須。そんな重要度の高い一戦だけに、スタジアム外でのファン同士の衝突も危惧されており、大衆紙「ビルト」によると、開催地メンヘングラードバッハの警察はこの試合を、ケルンとのダービーマッチ開催時に等しい“最大警戒レベル”に設定しているという。

同紙によれば、この“最大警戒レベル”まで引き上げられた場合、キックオフ前からヘリコプターが上空を巡回するだけでなく、暴動を鎮圧するための放水車や騎馬隊なども配置されるという。さらに、試合開始5時間半前の10時から試合終了2時間半後の20時まで、スタジアム周辺では瓶や缶などの持ち込みも禁止されるようだ。

当局は「警備上の理由から具体的な数は明かせない」と発表しているが、通常のダービーと同じく1000人以上の警察官がこの試合の警備にあてられると、ビルト紙は予想している。

Get toto

G大阪がダービーで意地の「1」/第1094回

G大阪-C大阪のダービーマッチは、G大阪勝利の「1」をマークする。過去のJ1リーグ戦通算対戦成績はG大阪が22勝5分け9敗と大きく勝ち越し。7試合連続負けなしで現在3連勝中となっている。今回のようにG大阪のホームでの対戦に限れば、通算14勝1分け3敗で、03年7月に0-2で負けたのを最後に○○○○○△○○○と8勝1分け、9戦負けなしだ。今季はここまでリーグ戦7試合連続勝ちなしのG大阪だが、C大阪には意地を見せて勝つと予想した。

◆日刊予想

(1)横-神1

(2)東-札1

(3)磐-仙0

(4)鹿-松1

(5)分-清1

(6)G-C1

(7)児-浜1

(8)水-柏0

(9)徳-形2

(10)福-甲2

(11)宮-栃1

(12)新-媛1

(13)金-長2

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

サッカー現場発

代表選出でJクラブとの交渉難航 現強化体制に不安

サッカー日本代表新監督就任会見 サッカー日本代表新監督就任会見を行い田嶋幸三会長(右)、関塚隆技術委員長(左)と手を合わせる森保一監督(2018年7月26日撮影)

平成から令和へと元号が変わり、時代の変化を感じる出来事があった。

日本代表メンバーの選出。過去には代表に呼ばれることを最大の栄光と思い、日の丸を目指して汗を流し、技を磨いた。チームも所属選手を代表に派遣することが光栄で、快く送り出した。代表選手が何人所属しているかが、そのチームのステータスでもあった。Jリーグの創立理由として「日本代表の強化」が挙げられるほどだった。

しかし時代は変わり、代表よりクラブ事情が優先される事例が起きている。今回の南米選手権のメンバー選考。特別招待された日本は、代表招集の強制力がなく、海外クラブに所属する選手は、その選手と所属クラブの同意が必要だ。それは国際サッカー連盟(FIFA)が定めたルールなので仕方のないことだ。

しかし今回、Jリーグにも、所属選手を出し渋るクラブが現れた。実際にJクラブもFIFAルール上、断る権利はある。代表活動に協力してきた、今までの慣習を覆る現象は、日本サッカー協会にとっては大きな衝撃だ。しかも招集に否定的なのは1クラブではなく、複数存在する。

南米選手権の期間中もJリーグは実施される。主力選手を抜かれると、大きな戦力ダウンは否めない。J1残留圏内で選手層の薄いクラブは、勝ち点1は死活問題。代表に主力を送ったことが、のちに大きな衝撃として返ってくることもある。当然、日本サッカー協会はその責任は取らない。そのため、今回の南米選手権は若手主体のチーム構成を図ったが、若手の中にもクラブが出せない主力選手はいる。

さらに今回の南米選手権は、U-20(20歳以下)W杯と時期が重なるため、若手選手の振り分けにも細心の注意が必要だ。U-20W杯ならレギュラーで全試合出場できる選手が、A代表として南米選手権に選出された場合、大半の時間をベンチで過ごすこともある。

クラブと交渉を任されているのは、関塚隆技術委員長。各クラブに「レベルの高い国際大会を経験することで若手が伸びる。協力してほしい」と説得しているという。しかし、成績向上と若手育成が同時進行するプロのクラブに対して、これは落とし文句にはならない。大半の時間をベンチに座って、実力がどれだけ伸びるかは未知数だ。説得力はないし、交渉能力を疑ってしまう。

1年後は東京五輪。MF堂安、DF冨安ら主力のほとんどが海外クラブに所属している。FIFAルール上、拘束力はない。Jクラブとの交渉が難航し、決定力を欠く現体制で、海外クラブとの交渉がまとめられるか。田嶋幸三会長は「東京五輪は最強メンバーで挑む」と話しているが、現状では不安が募る。くれぐれもその心配が杞憂(きゆう)で終わることを祈る。【盧載鎭】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆盧載鎭(ノ・ゼジン)1968年9月8日、ソウル生まれ。96年入社。2年間の相撲担当を除き21年間サッカー担当。最近の関心事はJが展開中の「Jリーグをつかおう」企画。88年は地元ソウルで、来年は東京五輪と、人生2度も身近で五輪が開催される幸運に恵まれた。五十知命というが、いまだに座右の銘も家訓も決めきれない優柔不断な性格。2児のパパ。

サッカー現場発

「ジャンボ」大久保哲哉“7部”でもこだわる現役

神奈川県社会人リーグのFIFTY CLUBでプレーするFW大久保哲哉(手前左から2人目)

「ジャンボ」の愛称で知られ、横浜FCなどでプレーしたFW大久保哲哉(39)が、今季から神奈川県社会人1部のFIFTY CLUBで現役を続けている。

同クラブでは、FW永井雄一郎(40)とともにプロ契約選手としてプレー。大久保は既に5試合に出場し、5得点3アシスト。ほぼフル出場を続けている。「メチャメチャ、体がキレてます(笑い)。これだけ先発で出るのは16年以来。毎試合出ることで、体もキレてくる。体重は変わっていませんが、自分の体を見て変化を感じます」と充実した笑顔を見せた。

   ◇   ◇   ◇

大久保は駒大卒業後の03年に横浜FCからプロ生活をスタートさせた。柏レイソル、アビスパ福岡、モンテディオ山形などを経て、昨季はJ3ザスパクサツ群馬でプレーした。190センチの長身を生かし、J通算で99得点を挙げたが、昨年末に群馬との契約が満了。「100得点を達成するまではやめられない」とJでの活動の場を求めトライアウトも受けた。しかし、3月初旬まで待っても、Jクラブからのオファーは届かなかった。現役引退もささやかれた中、神奈川県社会人リーグでの現役続行を決意した。J1から数えれば「7部」に相当するカテゴリーだ。それでも現役にこだわった理由を聞くと、こう答えた。

大久保 最初は自分もJしか探していませんでした。Jが開幕してもオファーはなかった。それでもFIFTY CLUBからお話をいただいて。自分をプロとして必要としてくれるクラブがあるならと。活動場所が横浜であることも大きかった。現役をやめれば、Jでの100得点の可能性は0%になりますが、続けることで、もしかしたら0・1%にはなるかもしれない。自分はプロに入ったころ、39歳までやれるとは夢にも思わなかった。毎年積み重ねていってだと思うし。FWなので、結果を出し続けなければいけないし、助っ人で補強されるポジションでもある。残っていくのは大変ですけど、まだやれる自信もあるという思いで決めました。

練習環境はJリーグとは異なる。FITY CLUBはプロ契約の大久保と永井以外は、昼間に仕事を抱えている選手がほとんどだ。タクシーの運転手、学校の教員など、職種もさまざまだという。Jリーグでは午前練習が主流だが、チームの練習は火曜日と木曜日の2回。午後8時、もしくは午後9時開始だ。「午後9時からの練習では、午後11時終了です。自分は、そこから居残りでシュート練習をやるので、午後11時半に終わるんですよ。その後は、普通に寝られない(笑い)。厳しいですけど、与えられた環境の中でどう結果を出すかというところで、やると決めています」。横浜FC時代も、居残りシュート練習を欠かさなかった。環境が変わっても、大久保のFWとしてのルーティンは変わらない。

現役選手の一方で、今年から、コーチとして活動の場を広げている。神奈川・三浦学苑サッカー部のテクニカルアドバイザーに就任し、高校生の指導を始めた。今年、A級ライセンスの取得を目指しており「自分でやって見せたり、どうやったら(生徒に)伝わるかなど、気付くことがたくさんありますよ」と話す。

特に高校生には「武器を磨くこと」を伝えたいという。大久保自身、横須賀高校時代に長身が際立っていたが、ヘディングが苦手で、コーナーキックではキッカーを務めていたほどだった。だが、高校2年の時、当時の横須賀高校のコーチだった元日本代表の藤島信雄氏が「高さは武器になる」と助言し、そこから徐々にヘディングを練習するようになった。この武器は大久保をプロの道へと導いた。「何かに突出した選手の方が魅力があると思う。下手でも足が速かったら魅力だし。うまい選手は、自分が子供のころから多かったけど、うまいなら、うますぎ、ぐらいにならないといけないと思うんです」。さらに、こう続けた。「プロとは違いますけど、勝ち取っていくことで見えない景色が見られる。僕もやっぱり、プロになれたから、カズさんや自分がテレビで見ていた人たちとプレーできた。勝ち取っていかないとプロになれないわけだし。それが何の道でも、勝ち取っていくことで、自分が想像していなかった景色が見える。勝ち続けても、後悔はつきもので、その後悔を最小限にするために頑張っているわけで。やらないで逃げるのでなく、チャレンジしないと次に進めない。1歩踏み出す勇気も伝えられれば」。

FIFTY CLUBに活動の場を移したが、横浜FCなどかつて所属したクラブのサポーターが引き続き、応援に駆けつけてくれる。プロ契約選手としての自身の役割を「全試合出て、チームを勝たせること」と即答した。「試合出て活躍することが一番。そのために、監督も契約してくれたと思うし。(関東リーグに)上がるために必要だと思うから取ってくれたと思う」。39歳。同学年の選手たちがユニホームを脱いでいく中、まれな存在になったが、現役にこだわる気持ちは増している。「Jリーグの夢は持ち続けようかなと持ち続けます。契約してくれるクラブがあるならいけるところまでいきたいですね。今年で最後とは言わない。そのために、プロとして試合で結果を残すことで自分も長くできるし、それは勝ち取っていくものだと思うから」。高校生を指導し、初心に戻ったジャンボが再び輝き始めている。(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 名古屋市生まれ。95年、入社し主に文化社会部で芸能、音楽を担当。11年11月、静岡支局で初のスポーツの現場に。現在、川崎Fなどを担当。

神奈川県社会人リーグのFIFTY CLUBでプレーするFW大久保哲哉(中央)

サッカー現場発

戦列復帰の鳥栖新主将福田、おとこ気で低迷脱出誓う

鳥栖MF福田(17年撮影)

腰の骨折から復帰したサガン鳥栖MF福田晃斗主将(27)が、J1最下位から浮上のキーマンの1人になりそうだ。4月6日仙台戦で「おう突起という腰の骨が3本折れた」と明かす重傷で戦線離脱。今も「まだ完璧にはくっついていない」という状態だ。

だが「もう痛みはないんで大丈夫かなという感じ。同じことがなければ、また折れることはないと思う」と言い、5月11日G大阪戦で5試合ぶりに復帰し、チームの今季2勝目に貢献した。

鳥栖は、G大阪戦の前まで5連敗中で、10試合で1勝1分け8敗だった。しかも総得点はわずか「1」という目も当てられない状況。その間、福田主将は「もどかしい思いだった。いち早く試合に出て自分がバランスを整えたり、気になっていることをやれればと感じていた」と振り返った。

そして5月7日、金明輝(キム・ミョンヒ)新監督(38)の就任と同時に新主将に就任。任命され「迷いなく『やります』と返事しました」と、鳥栖生え抜き7年目のおとこ気で低迷からの再起を誓った。

これまでサイドハーフが主戦場だった。だがG大阪戦は、新指揮官により、高校、大学でもこなしたボランチで起用され、慣れ親しんだポジションで暴れた。

「真ん中の選手がうるさいくらい『わー、わー』言って、試合中も整えられたらと思っていた。僕がバランスを整えることで、ボールを取られても、すぐ守備ができるように考えてやっていました」

献身的な姿勢を見せ「どの試合も、守備でしっかりゼロに抑えた上で得点を狙っていけば、チームはいい方向に行く」と覚悟を決めた。

次節は5月17日広島。攻略のイメージについて「バイタルエリアやペナルティー付近の崩しが大事になると思う。逆にカウンターで1点取られると相手の思うつぼなので、バランスを整えまずは失点しないこと。根気強く攻撃したい」と語る。

昨季は元スペイン代表FWフェルナンドトーレス(35)の来日初得点や、リーグ戦初得点をアシストし存在感を示した新主将は、次節広島戦を「(G大阪戦は)浮上のきっかけになったが、負けたら意味がない」と位置づける。再生・鳥栖の真価が問われる大一番も死力を尽くしてもらいたい。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。

サッカー現場発

神戸30万円VIP券初購入者ゼロも郷家ら今後期待

神戸FW郷家友太(2018年8月19日撮影)

世界的なプレーヤーを見ようと駆けつけたサポーターが多くいたのか、12日のJリーグヴィッセル神戸-鹿島アントラーズが行われたノエビアスタジアムの観客席は約2万人で埋まっていた。私(記者)は仕事ではあるが、ビッグ3を見られるうれしさで舞い上がっていた。

この日は神戸が鹿島を迎えてのホーム戦だ。ここまでリーグ戦5連敗中の神戸。1席30万のVIPチケットが、この日初めて購入者ゼロとなった。しかし、このサポーターの多さは、ビッグ3(VIPトリオ=ビジャ、イニエスタ、ポドルスキ)の期待値と比例しているだろう(=この日はポドルスキがベンチ外)。

そんな試合で、気になる選手がいた。神戸のMF郷家友太(19)だ。

郷家は高卒2年目で、U-20ワールドカップ(W杯)日本代表に選出された将来が楽しみな選手。相手DFを背にしても倒れない体幹の強さ、正確なパス。どれをとっても19歳とは思えないプレーで目がくぎ付けになった。

試合は鹿島に敗れ、神戸の6連敗となったが、試合後のコメントがまた印象に残った。

「先に点を取られると相手の勢いにのまれやすいのが今のチーム。1人1人がやる気、気迫を持ってやらないと相手の思うツボ」

硬い表情ながら、きっぱりと言い切り、チームのことを全力で考えていた。19歳ながらチームを引っ張る1人。さとり世代と呼ばれるこの世代は、もっと淡泊に物事を考えるのかと思っていたが、郷家からは「俺がチームを勝たせる」という熱い思いが感じられた。

郷家は「チーム(神戸)を勝たせずに(U-20W杯に)行くのは申し訳ない」と責任を感じていたが、気持ちを切り替えて「日本のために自分たちのサッカーができるように頑張っていきたい」と語った。

神戸の30万VIPチケット。20年東京オリンピック(五輪)開会式の最高額のチケットと同じ値段だ。23日にポーランドで開幕するU-20W杯で活躍して、神戸のVIPチケット購入で「アクセスがしにくい状況が続いております」という文言が出ることを期待している。そして、私はそこにまた取材に行きたい。【南谷竜則】

神戸対鹿島 鹿島に敗れ、肩を落とし整列する神戸イレブン(撮影・前田充)