日刊スポーツ

ドイツこぼれ話

欧州CL大敗のシャルケファンを襲ったさらなる悲劇

3月12日に行われた欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦で、マンチェスター・シティーにアウェーで0-7という屈辱的大差で敗れたシャルケのファンに、さらなる悲劇が訪れた。

地元紙「デア・ベステン」電子版によると、現地へ応援に駆け付けたシャルケファンの男性が、ドイツへ戻るためマンチェスター発デュッセルドルフ行きの飛行機を利用。しかしその飛行機は、シャルケのライバル、ドルトムントのスポンサーを務めるユーロウイングス社のもので、さらに“特別仕様”だったという。つまり、機体はドルトムントのチームカラーである黄色と黒でペイントされ、さらに同クラブのロゴも描かれていた。

追い打ちをかけられたこの男性ファンはデア・ベステン紙に対して「これ以上の悲劇はない。飛行機に乗りたくなかったし、予約変更が可能ならば空港に残りたかった」と話している。しかし同紙によれば、最終的に男性も観念したのかこれに搭乗し、予定していた空の旅に向かったようだ。

ただし、怒りが完璧に収まることはなかったのだろう。この男性ファンは、自身のフェイスブック上で「シャルケの人間としては、公衆の面前で笑われたような気分だ」と記しており、また大衆紙「ビルト」の取材に応じた際にも「ユーロウイングス社にメールで苦情を送った。あの機体に乗っていた人間の70%はシャルケファンだったんだ。もう2度と起きてほしくないね」とコメントしている。

サッカー現場発

まさかの“ググって”たどり着いたJFL初女性監督

11日。JFL開幕戦に向けた意気込みを語る鈴鹿アンリミテッドのミラグロス・マルティネス新監督

まだ四十路(よそじ)を少し過ぎたところなのに、最近物忘れがひどくなってきた。人や物の名前、耳にした曲のタイトルなどなど。何とか思い出そうとギリギリまで頭をひねるが、なかなか正解が出てこない。結局は自分の記憶力の悪さにさっさと白旗を揚げ、スマートフォンを取り出す。検索サイトにキーワードを並べれば、すぐ答えを教えてくれるからありがたい。

同じ検索方法で、理想の指揮官を探し出したクラブがある。11日、17日に開幕する日本フットボールリーグ(JFL)全16チームの監督が、都内のJFAハウスで会見を行った。そこには鈴鹿アンリミテッドのスペイン人女性のミラグロス・マルティネス新監督(33)の姿があった。

女性指揮官の誕生はJFL(4部リーグ相当)およびJリーグで初めて。どういう経緯で招くに至ったのか。鈴鹿の吉田雅一常務取締役に水を向けると、誠実に胸襟を開いてくれた。聞けば、想像していなかった理由が返ってきた。

「あてがなくて、Google(グーグル)で検索して、佐伯夕利子さんにたどりついて、ご紹介いただいたんです。私もサッカー経験者じゃなくて、ネットワークがなかったので」

吉田常務取締役によると、流れはこうだ。昨年12月。今季からJFLに昇格した鈴鹿は「事例がないということで挑戦したい」と、女性監督に白羽の矢を立てた。だが、いかんせん、つてがない。そこでGoogle(グーグル)を開き「サッカー 女性 監督」とキーワードを打ち込んで調査を開始。数多く出てきた名前の中から、Jリーグ理事でスペイン3部女子チームを指揮した経験がある佐伯氏にたどり着いた。

佐伯氏に紹介された4人と接触。13-14年シーズンの2部だったアルバセテ・バロンピエ女子チームを1部に昇格させた実績を誇るマルティネス監督と連絡を重ね、強い意志を確認して契約した。

1月14日に中部国際空港で初めてマルティネス監督と対面した際、満面の笑みを見てホッとしたという。吉田常務取締役は「(男子クラブの)女性監督はサッカーでは珍しいですけど、経営者では女性はいます。女性の社会進出も大事。どの企業も多様性がある。サッカー界における女性の社会進出の事例として成功し、道を切り開いていければと思います」と話す。

ただの話題づくりではない。壮大なロマンを実現させたいからこそ、マルティネス監督にクラブを託していた。

すでに新指揮官は初の男子クラブの指導、初の日本での生活をスタートさせている。海外での不慣れな日々に、苦労が多いのは想像に難くない。それでも明るく前向きな性格で、アパートで暮らしながらチームにも地域にも溶け込んでいる。日本食にも積極的にトライし「トンテキ丼とうなぎが好き。でも、みそ汁は苦手です」と笑い飛ばせるタフさとポジティブさがある。

「最初は男子チームが女性の監督を探していると聞いてびっくりしました。でも挑戦が楽しみだと思いました。小さい子どもを指導している時も感じていましたが、男の子と女の子を教えるのに変わりはない。大人も同じだと思います。フィジカルの違い以外はないと思います。自分にプレッシャーになりますが、先駆者になって勝利を目指すことと(女性監督を)志している人たちに少しでも勇気を持ってもらって、日本サッカーのサポートが増えれば。(鈴鹿は)初めてのJFL参戦で勝ち点を取るのも大事ですが、アクティブなサッカーを心掛けてたくさんの観客の方が訪れてくれるようなゲームを心掛けたい。一丸となって勝利をめざしていきたいです」

開幕戦は17日、MIOびわこ滋賀戦(午後1時、東近江)。検索サイトから始まった鈴鹿とマルティネス監督の挑戦の物語は、忘れずに見守っていきたい。【浜本卓也】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆浜本卓也(はまもと・たくや)1977年(昭52)、大阪府生まれ。03年入社。競馬、競輪担当から記者生活をスタート。格闘技、ボクシング、プロ野球と巡り、18年12月にサッカー担当に復帰した。

11日、JFL開幕戦で戦うMIOびわこ滋賀の中口監督(左)と健闘をたたえ合う鈴鹿アンリミテッドのミラグロス・マルティネス新監督
Get toto

東京が名古屋止める「1」/第1077回

東京が名古屋の連勝をストップする。東京は開幕から2勝1分けで2位。対する名古屋はリーグ唯一の開幕3連勝で首位に立つ。好調チーム同士の対戦となるが、東京が堅い守りからのカウンターで勝つと予想した。過去のJ1通算対戦成績は東京が15勝7分け12敗とリードし、最近5試合は△○△○○と負けなし。東京の堅守速攻がはまる試合が多い。今季は17歳のMF久保が攻撃をけん引。前節の鳥栖戦ではJ1初アシストをマークした。名古屋戦での今季初ゴールも期待し、ホーム東京勝ちの「1」を塗りつぶす。

◆日刊予想

(1)浜-新2

(2)東-名1

(3)札-鹿1

(4)神-清1

(5)広-松1

(6)鳥-磐0

(7)川-G1

(8)C-浦0

(9)分-横2

(10)湘-仙0

(11)V-栃1

(12)形-宮2

(13)甲-長1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

セルジオ越後「ちゃんとサッカーしなさい」

選手選考にテーマ見えず…整合性なし/セルジオ越後

日本代表メンバー発表会見に臨む森保監督(右)。左は関塚技術委員長(撮影・江口和貴)

国際親善試合キリンチャレンジ杯コロンビア戦(22日、日産ス)ボリビア戦(26日、ノエスタ)に臨む日本代表メンバーが14日、東京・本郷のJFAハウスで発表された。

   ◇   ◇   ◇

国内組が多いのは、海外組の中には6月南米選手権時にクラブの理解が得られず、招集できない選手が出ることを想定したのかもしれないな。FW2人はともに初招集、DF陣は若返ったが、MF勢の復帰組は香川、宇佐美、山口らハリルホジッチ元監督時の選手ばかりだ。「平成最後の在庫セール」? テーマが見えてこない。

選手選考の基準も明確じゃない。香川はクラブでプレーできるようになって、招集された。一方で柴崎は相変わらずヘタフェで出番が少ないのに、呼ばれ続けている。アジア杯の反省は得点力不足だったから、守備ラインをいじる必要はないよね。整合性がないところに、まだ人材を探している段階であるという苦しさが表れている。

堂安、南野、中島が攻撃の核であることしか、伝わってこない。まるでつくる料理を決めずに、材料だけ集めたみたいだ。

今回の2試合は南米選手権への準備の一環だ。今回のメンバーが基盤となって本番に向かうべきだろう。せっかく南米2カ国が来るのに「お試しメンバー」では意味がない。いっそ「南米選手権へのサバイバル」と明言した方が、選手もアピールしやすいはずだ。(日刊スポーツ評論家)

<代表メンバー一覧>

【GK】

東口順昭(G大阪)

シュミット・ダニエル(仙台)

中村航輔(柏)

【DF】

西大伍(神戸)

佐々木翔(広島)

昌子源(トゥールーズ)

室屋成(東京)

三浦弦太(G大阪)

安西幸輝(鹿島)

畠中槙之輔(横浜)

冨安健洋(シントトロイデン)

【MF】

乾貴士(アラベス)

香川真司(ベシクタシュ)

山口蛍(神戸)

小林祐希(ヘーレンフェイン)

宇佐美貴史(デュッセルドルフ)

柴崎岳(ヘタフェ)

中島翔哉(アルドハイル)

南野拓実(ザルツブルク)

守田英正(川崎F)

堂安律(フローニンゲン)

【FW】

鈴木武蔵(札幌)

鎌田大地(シントトロイデン)

データが語る

名古屋・風間監督 史上初無冠の100勝に王手

監督のJ1通算勝利数10傑

名古屋の風間八宏監督(57)が、史上9人目のJ1監督通算100勝に王手をかけている。過去8人の100勝監督は国内3冠のいずれかのタイトルを獲得しているが、風間監督は無冠。今季の名古屋は開幕3連勝で首位に立っており、自身初のタイトル獲得に向けても好スタートを切った。

J1の監督として、節目の200試合目の指揮となった9日のG大阪戦に勝利し、通算99勝37分け64敗とした。今季はその采配もこれまで以上にさえ、計9得点中4点をFW赤崎、FW相馬ら途中出場の選手がマーク。「1人1人がしっかりやってくれるし、誰を出しても期待に応えてくれる感触がある」という。

次節17日の東京戦に勝って開幕からの連勝を4に伸ばせば、名古屋としては96、07年に次いで12年ぶり3度目のクラブタイ記録。風間監督としても、元日本代表監督の西野氏、東京の長谷川監督に次いで日本人3人目の大台到達となる。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

サッカー現場発

長友マネジャー近藤慎吾が32歳でJに挑戦した理由

長友佑都(右)のマネジャーを務めた近藤慎吾(左)がJ2水戸でJリーガーを目指す(長友佑都のインスタグラムより)

32歳でJ2水戸とのアマチュア契約を勝ち取った選手がいる。DF近藤慎吾。今季の開幕が差し迫ったタイミングで約2週間の練習参加し、報酬なしでのJリーグ挑戦権をつかんだ。

明大時代はJ2横浜FCの強化指定選手になり、柏からも誘いがあった。大卒でJリーガーになることはできた。ただ、近藤は一般企業への就職を選んだ。

理由は2つ。ひとつは、自信が足りなかったこと。「プロに進む他の同級生を見ると、勝ち残っていけるかなと」。もう1つは、一般企業で働く父を尊敬する気持ちだった。「平日はばりばり働いて、土日は自分をサッカーに連れて行ったりしてくれて。その姿がかっこよかった」。09年の卒業後、野村証券に入社した。

その後もサッカーは関東リーグに所属するエリース東京でプレーを続けた。ただ14年に右膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂。約1年間の治療後は母校である明大のコーチとなり、エリース東京の運営にまわった。これが実質の引退だった。

昨年9月にエリース東京側から頼まれて現役に復帰するも、うまくいくか不安はあった。そんな近藤にJリーグへの再挑戦を勧めたのが、日本代表DF長友佑都(32=ガラタサライ)だった。

近藤は14年6月に野村証券から転職し、長友のマネジャーになっていた。昨年11月、トルコ・イスタンブール。同国ガラタサライの長友のもとを訪れていた近藤はふと、長友から「話がある」と声をかけられた。長友の自宅で聞いた言葉は、予想していないものだった。

「近藤、Jリーガーを目指さないか」

冗談だろうと思った。

「そんなの、できんのかな」

さらに言葉が返ってきた。

「俺は、真剣に考えているんだぞ」

2人は明大サッカー部の同級生。長友が1年生のころはスタンドで太鼓をたたく応援役だったことは有名な話だが、上級生になってともにレギュラーを勝ち取った戦友だ。ずっと近くで見ていたからこそ、30歳をすぎてなお、長友は近藤の力を信じていた。マネジャーになったのも、長友から誘われてのこと。親友の力強い言葉に、自分の中でこみ上がるものを感じた。

「そんなチャンスがあるのなら、やりたい」

 ◇   ◇   

契約の発表から約1週間。「当たり前と言われますけど」と笑って前置きし、続けた。

「プロって、厳しい世界です」

練習は約2時間。ただ、水戸の選手はほとんどが練習の2時間前にはクラブハウスに来て準備を始めている。練習後のケアや自主トレを含めれば、帰宅までに7、8時間は費やされる。自宅でも食事に気を使うし、映像チェックを繰り返す。外から見ていたときのに周囲から何度も「プロは好きなことだけやれていていいな」という言葉を聞いた。うらやましさから自身にもあったというこの印象は、すでになくなった。

「サラリーマンは基本的に会社の名前で仕事をするので、自分の名前は出ない。プロは名前を出して、自分の身ひとつでアピールしないといけない」

選手寿命は短いが、終身雇用などない。いつクビになるかわからない中で、毎週の試合のたびに容赦なく評価される。野村証券、長友のマネジャーと会社員の世界を見たからこそ、感じるシビアな部分がある。

そんなサバイバルの世界に飛び込んだからこそ、「今の立ち位置は周りの選手の足元にも及ばない」と痛感している。1つのプレーに対する選択肢の多さ、求められる判断の速さ。「こんなに頭を使うのかと肌で感じている」。サッカーにおいて、全く同じシチュエーションは存在しないと言っても過言ではない。だからこそ臨機応変さが求められる。ポジショニング1つとっても自身の映像を何度も見返し、どうしても悩んだときは長友に電話をかけ、教えを乞うた。1年後の目標は、チームに必要とされて新たな契約を勝ち取ることだ。

 ◇   ◇   

32歳。遠回りな挑戦であることは自覚している。それでも、突き進むのには理由がある。

「同じ世代の多くのサラリーマンの方々がいる。僕のチャレンジに対して、勇気をもらったと言ってくれることも多いんです」

野村証券の社員として働いた約6年間。社会人としてあるべき姿を教えられた。入社後、任されたのは会社のオーナーといった富裕層への営業。1年目のときに聞いた先輩の言葉を覚えている。

「自分の両親が、こうしてもらっていたらいいなと思えるような営業をしよう」

いいかげんな仕事や気持ちは相手に伝わるし、なにより自分が醜い。相手を理解し寄り添うことが信頼関係の第1歩だということを理解し、常に心に置いた。

この思いは仕事の枠を超え、自然と自身の言動の軸になった。野村証券を辞めて長友のマネジャーとなってからも、元クライアントや同僚が気にかけ、協力してくれた。「今になって、しっかり行動できていたのかなと思える部分はあります」。

まずは試合に出ることを当面の目標にする。現在も長友のマネジメント会社の社員として業務はあるものの、すべて練習後の時間帯に回している。

「話題性がある自分をよく思わない人もいると思うし、周りは各世代のトップで勝ち抜いてきた選手ばかり。水戸というクラブに対しても、話題性じゃなくしっかりとした選手を獲得したんだと(周囲から)思われるようにしないといけない」

ピッチで勇姿を見せることが恩返しだ。【岡崎悠利】

◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材。16年11月からはサッカー担当で今季は主に横浜とFC東京、アンダー世代を担当。

ドイツこぼれ話

フランクフルトのロッカールーム、ようやく工事へ

長谷部誠などフランクフルトの選手たちが、トレーニング前後に使用するロッカールームを、スタジアム上階の部屋から地下室へと変更した。これまで使っていた控室は、約6週間の使用禁止に。部屋がカビに覆われていたことが、その理由だという。

大衆紙「ビルト」によると、原因は水道管の破損。漏れた水が壁や床の内部にある保温材にしみこんだまま放置されてしまったため、室内に湿気がこもってしまったという。スタジアムを管理するパトリック・マイヤー氏は「(保温材を)乾燥させたり、定期的に部屋の状態もチェックしていた。本格的な工事は(オフ期間の)夏にやろうと思っていたんだが…」と同紙にコメントしているが、フランクフルトのフレディ・ボビッチ取締役は「ブンデスリーガ1部を戦うクラブとして、このような状態になるのは好ましいものではない。これからシーズンも佳境に入ろうとしている中で、このような出来事は我々の集中力を阻害する」と激怒していたようだ。

しかしビルト紙によれば、この手の問題は今回が初めてではない。スタジアム上階のロッカールームの換気設備は長年故障したままで、シャワーからはレジオネラ属菌も検出されていた様子。近年フランクフルトで監督を務めていたアルミン・フェー、トーマス・シャーフ、ニコ・コバチなど多くの指揮官が、改善を訴えていたという。

永島昭浩「スーパーゴォ〜ル」

不安定なつなぎのG大阪と速攻名古屋に差/永島昭浩

後半、G大阪DF藤春広輝(左から3人目)は同GK東口順昭(左)がクリアしたボールにタッチし決勝オウンゴールとなる(撮影・宮崎幸一)

<明治安田生命J1:G大阪2-3名古屋>◇第3節◇9日◇パナスタ

元日本代表FWの永島昭浩氏(54)がかつて在籍したガンバ大阪と、開幕から連勝街道を走る名古屋グランパスの対戦を分析した。

   ◇   ◇   ◇

両軍が持つ戦力、顔ぶれはほぼ互角。この日のボール支配率も五分五分だったように、どちらかが攻守で大きく見劣りしたわけでもない。何が勝敗を決めたのかというと、ビルドアップ(攻撃の組み立て)の差だった。

G大阪は特に前半、最終ラインでボールを持ってもうまく前に運べない。相手ゴール前までつなげないと得点の確率は低いままだ。だったら「つなぐ」のではなく「裏へ蹴る」といった速攻を選択する手もあったのではないか。つなぐことを考えすぎて、中盤でボールを失ってはリズムを崩す悪循環だった。

さらにG大阪にはボールを保持しても落ち着きのない、名古屋から見ればおどおどしたプレーも見受けられた。対戦相手はそういった弱点、スキを見つけると、少々のリスクを負ってでも前へ出て、積極的なプレーが数多くできるようになる。

後半42分の名古屋の決勝点もそれに当てはまるかもしれない。こぼれ球をうまくつないだ名古屋が、左サイドから素早くゴール前へと運んだ。結果はオウンゴールだったが、ジョーやシミッチら攻撃陣は一心不乱にゴール前に攻め込んでいた。これは試合開始から見せていた不安定なG大阪のプレーが伏線にあったからだろう。(日刊スポーツ評論家)

Get toto

主力温存した横浜「1」/第1075回

横浜-川崎F戦はホーム横浜勝ちの「1」をマークする。横浜はJ1開幕から2連勝。人もボールもよく動く。6日にホームで行われたルヴァン杯札幌戦(1-1)でMF仲川、MF喜田、FWエジガル・ジュニオら主力を温存し、今回の試合に臨む。一方の川崎Fはリーグ初戦からホームで2戦2分け。6日のACLでは上海上港とアウェーで対戦し、ほぼベストのメンバーで臨むも0-1で敗れた。疲労は残っているはず。相手を押し込みながら、シュートの精度を欠く試合が続いている。

◆日刊予想

(1)札-清1

(2)磐-分1

(3)G-名2

(4)鹿-湘1

(5)C-広1

(6)松-浦2

(7)仙-神2

(8)東-鳥0

(9)横-川1

(10)栃-浜2

(11)徳-宮2

(12)V-金1

(13)新-柏1

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

データが語る

開幕3戦連続ゴール 湘南武富ら4人にチャンス

J1開幕からの連続ゴール

4人がJ1開幕3試合連続ゴールを狙う。横浜F・マリノスFWエジガル・ジュニオ、湘南ベルマーレMF武富、鹿島アントラーズFW伊藤、ガンバ大阪MF小野瀬。J1で開幕から2試合連続得点は昨季まで延べ100人が記録しているが、3試合連続となると26人まで達成者が減る。今季の4人が次節もゴールを決めて3試合連続に伸ばせば、クラブレベルでは快記録となる。

◆エジガル・ジュニオ(横浜) 95年のMFビスコンティ、06年のFWマグロンに次いで13年ぶり3人目のクラブタイ。

◆武富(湘南) 平塚時代を含めてクラブ初。2戦連発は武富が4人目でクラブタイ。

◆伊藤(鹿島) 96年のFW長谷川、98年のFW柳沢、08年のFWマルキーニョスに次いで11年ぶり4人目。クラブ最長は98年の柳沢で4試合連続。

◆小野瀬(G大阪) 97年のFWエムボマとFW松波以来、22年ぶり3人目のクラブタイ。

開幕4試合以上連発は、17年の浦和レッズFWラファエル・シルバが最後で過去5人だけ。98年のセレッソ大阪FW森島の7試合連続が1位。今季の4人はどこまで記録を伸ばせるか注目だ。【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

解析料理

仙台は前方パスミス連発、全力疾走が不足/解析料理

<明治安田生命J1:横浜2-1仙台>◇第2節◇2日◇日産ス

2日、横浜戦はパスがつながらずFW石原が孤立する場面も

前にパスがつながらなかった。ベガルタ仙台が1-2で敗れた2日の横浜F・マリノス戦。データスタジアムの統計によると、ベガルタ仙台の前方へのパス成功率はJ1第2節の全18チームでワーストの47・7%。2本に1本は失敗していたことになる。それによって「なかなか攻撃に出ていく時間がつくれなかった」と渡辺監督。では、なぜ、うまくいかなかったのか?

データからさらに分析を進めると、「スプリント」の少なさという結論にたどり着く。時速24キロ以上で走ったスプリント数は、仙台の153回に対して横浜は211回。その差は58回にのぼった。ボール保持率で34%対66%と大差がついたように、仙台は守備重視の戦いだったが、ボールを奪ってから攻撃に転じようとしてもパスの受け手の動きだしが遅い。だからパスコースが見つからない。結果、パスミスが増える。

攻守の切り替えが遅い仙台と速い横浜。これがスコアの差か。前半39分の失点シーン。横浜のMF仲川が全速力でペナルティーエリア内に進入し、味方のスルーパスを引き出した。仙台はこうしたパスを受けるための全力疾走が明らかに不足していた。【石川秀和】

解析料理

新潟快勝もセットプレー守備不安解消せず/解析料理

<明治安田生命J2:千葉1-4新潟>◇第2節◇3日◇フクアリ

先制ゴールを決めたFW田中を迎える片淵監督(2019年3月3日撮影)

勝ってかぶとの緒を締めよ。アルビレックス新潟は3日のジェフ千葉戦に4-1で快勝したが、今季最初の失点は、最も気をつけなければいけないはずの「セットプレー」からだった。後半29分、CKをDF増嶋にヘディングで合わせられた。J2降格の主要因となり、昨季も大きな課題となっていたセットプレー時の守備。失点の場面だけでなく、相手のプレースキックからヒヤリとさせられるシーンが数多く見られた。

千葉戦での被シュートは計7本。そのうちCKをダイレクトで合わせられたものが3本あった。さらにCKの一連の流れからも2本あり、7本中5本がセットプレー絡み。前半16分、右からのCKを191センチのDFエベルトにヘッドで打たれ、同26分には逆の左からのCKをDF増嶋にまたも頭で合わせられた。ともに失点にはつながらなかったが、セットプレー時の守備はまだまだ不安定だ。

次節は開幕2連勝と勢いのある柏レイソルと9日にホームで対戦。1年でのJ1復帰を目指す実力上位の柏はセットプレーを武器の1つにする。今季の主戦CKキッカーは左利きのMF手塚で、FK時にはFWクリスティアーノのパンチ力抜群の右足にも注意が必要。セットプレー時の守備では極限まで集中力を高め、J1昇格を争うであろうライバルをここで蹴散らしたい。【石川秀和】

◆3日千葉戦VTR アウェーでは10年ぶりに1試合4ゴールを挙げた。前半30分にFW田中のミドルシュートで先制すると、後半25分にはMF高木が移籍2年目で初ゴール。セットプレーからの失点で1点差に迫られるも、試合終了間際に途中出場のFW矢野、さらには新人DF新井のプロ初ゴールで突き放した。

デビュー2試合目でゴールを決め、田中(左)とサポーターの声援に応える新潟DF新井(2019年3月3日撮影)

永島昭浩「スーパーゴォ〜ル」

ビジャの特長引き出した山口のパスに◎/永島昭浩

<明治安田生命J1:神戸1-0鳥栖>◇第2節◇2日◇ノエスタ

後半、来日初のゴールを決める神戸FWダビド・ビジャ(撮影・上田博志)

Jリーグ初得点を挙げたFWビジャを含めたヴィッセル神戸のチーム力を、元日本代表FWで神戸にも在籍した永島昭浩氏(54)が解説した。

   ◇   ◇   ◇

ビジャの特長は(1)1タッチで前を向いてのうまさ、速さ、決定力(2)相手守備と駆け引きして競り勝った上での決定力。この2つを挙げるが、この日のJリーグ初得点は、まさに(2)の要素を引き出した山口のミドルパスが抜群だった。

古橋からのバックパスをもらった山口は、その瞬間にビジャの位置取りを確認していた。前線のビジャの周囲に相手DFが2人。山口はちょうどそのエリアにミドルパスを蹴り込んだ。ビジャも自身の技術で抜け出そうと待っていた。まさにFWが欲しいと思っているタイミングでパスが届いたわけで、FWはそういう時こそ得点率が上がる。相手のミスが出たのはあくまでも結果論。ビジャを知り尽くすイニエスタではなく、日本人の山口がビジャの特長を引き出したことに価値がある。

もう1つ大きな収穫もあった。神戸は4-3-3に近いシステム。最終ラインからの攻撃の構築力が予想以上にあった。特にセンターバックで新加入のダンクレーは前半に縦パス1本でビジャへの好機を演出していたし、大崎はラインの押し上げ、コーチング、両足の技術力など非常に安定感があった。攻撃力はJリーグ屈指の神戸だけに、この最終ラインがうまくかみ合えば勝利の確率はグンと上がる。

相変わらずイニエスタはボールコントロールがうまいし、視野が広い。そこにビジャが加わり、ビジャを生かせる日本人が続けば末恐ろしいチームになる。(日刊スポーツ評論家)

サッカー現場発

吉田麻也はハンド?VAR判定導入しても異なる解釈

国際サッカー連盟(FIFA)が導入したビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)。18年W杯ロシア大会で、サッカー界に登場した“新たな審判”が多くの人々に知られることになった。

誤審をなくす新たなテクノロジーとして期待される一方、メリットだけではなかった。実際に試合を裁く主審は、この新技術をどう見ているのか?

日本人の主審として国際大会でVARを使用したのは現在わずか2人。その1人で、昨年12月のクラブW杯UAE大会の開幕戦などで主審を務めた佐藤隆治国際審判員(41)に、VARについて聞いた。

日本対カタール 後半、吉田のプレーがVARでハンドを取られる(撮影・河野匠)

■判定するのは4つ

まず、VARが判定するのは以下の4つの場合のみだ。

<1>ゴール判定 ゴールラインを割ったかなど、得点に直結する場面が不明確だったとき

<2>PK判定 ペナルティーエリア内でのプレーが、PKを与えるべき反則だったかが不明確なとき

<3>一発退場 レッドカードが妥当な反則だったかが不明確なとき

<4>選手への処分 主審が選手を退場処分などにした際、人違いなどが起きていないか不明確なとき

そしてVARを使用するのはいずれも「明白な判定ミス」が疑われる場合のみとされている。つまり、映像で試合を監視するVAR審判にとっても、確認を勧める際にはそれだけの根拠が必要になる。

佐藤氏は「技術を入れて(信頼性が)100%になるのはゴールラインテクノロジーだけだと僕は思う」と話す。ゴールか否かの判定はラインを越えたかどうかの事実だけなので、明白化される。ただ、反則はそうはいかない。

佐藤氏によると、特に難しい判断を迫られるのがハンドだという。

FIFAが定めるハンドの反則の規約はこうある。

「ボールを意図的に手または腕で扱う(ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内にあるボールを扱う場合を除く)」。

この「意図的」という判断基準には、どうしてもグレーゾーンが残るものだという。

最近、わかりやすい例があった。アジア杯決勝のカタール戦で日本代表DF吉田麻也主将(30)がPKを取られたハンドである。相手CKからDFハサンと競り合い、ハサンがヘディングしたボールが左腕に当たった。これがVARを利用した判定でPKとされ、決められて1-3と2点差に。勝負を決定づける瞬間になった。

このシーンは海外でも物議をかもした。米FOXスポーツでは、故意的なものではないからPK判定はおかしいとする海外ファン批判や疑問の声が紹介された。テレビ中継で解説をしていた松木安太郎氏は「(競り合い時に)目をつぶっているのに意図なんかねえだろう」と声を大にしていた。

試合後、吉田はハンドについてこうコメントしている。

「どうですかね。どうしたらいいんでしょうか。ハンドが起きたこと自体、僕自身は正直どうしようもない」

判定を受け入れつつも、わざとではないがゆえの歯がゆさがにじんだ。

ここに“意図的”という基準のグレーゾーンがある。

佐藤氏は決勝を自宅で観戦していたという。もし佐藤氏があの試合の主審だったらどうしていたか。

「僕が主審でもPKにしていました」

一方で、吉田の心情も察する。

「あそこで吉田選手が手に当てようとするわけはないですよね」

そして、誤解を恐れない言葉で説明を続けた。

「意図って、場合によっては本人にだってわからない。無意識に反応することだってあるじゃないですか。そうすると、意図があるかないかって、誰にもわからないんです」

日本対カタール 後半、VARでハンドを取られイエローカードを受ける吉田(撮影・河野匠)

■客観的事実をつかむ

かつてはルールにある文言のもとで「予測できたか」「ボールがきたのか、手がボールに向かったのか」などのざっくりとした見方で判定されていた。判定にその場では不満が出ても、なんとなく受け入れられ、流されるのが自然だった。「意図的」という言葉が持つあいまいな部分が“うまく残っていた”とも言える。それがVARの登場により、変わっていない現行ルールの文言では判定しきれない領域まで、ジャッジを求められるような環境になったと言っていい。

それでも、主審は決定を下さなければならない。

「じゃあなにをもって判断するかというと、客観的事実をつかんでいくしかない」

吉田の例における客観的事実はこうだ。

<1>吉田はボールにチャレンジしている

<2>競り合いには若干遅れている

<3>ヘディングはできなかった

<4>ジャンプするときには手は自然と上がるもの

<5>相手との距離は非常に近い

さらに、当時の状況を見極めるための解釈が加わる。佐藤氏の場合は以下のとおりだという。

<1>シュートを狙っていることは分かっている

<2>相手が競り勝った場合、どこにボールがいくかは予測ができる

<3>手がシュートコース上にある

<4>左右の手のバランスが悪く、余計にコースに手を出しているように見える

意図の存在が明白にわからない以上、意図があった(またはなかった)といえる根拠を論理立てて見つけることが要になる。その部分で、事実と解釈に頼らざるを得ないのが現状だ。佐藤氏は説明の最後に付け加えた。

「ハンドにしないといけないつらさはあります」

吉田のプレーはハンドではないという意見を持つ主審もいるという。主審それぞれの解釈が加わるため、同じ現象でも判定が変わってしまう可能性があるのが現状なのだ。佐藤氏は話す。

「選手にとっては、この主審で損した、得したという感覚にもなると思う。主審のさじ加減と言われてしまうと苦しいのですが、少なくとも主審は、こういう事実があるから判断した、という解釈がちゃんとある。どちらも受け入れてもらわないと、誰も決められなくなってしまうのです」

VARは優れたテクノロジーである一方、使うのはあくまで人間なのだ。

主審によって判定が変わるものをルールと言っていいのか。「サッカーにあいまいさはあっていい」というのが持論だが、ならばどこまでのあいまいさを良しとするか。そもそも、そんなものを定義できるのか-。佐藤氏の言葉を聞きながら、さまざまな思考を巡らせた。

W杯ロシア大会ではPK数が過去最多の29回に。前回大会より16も増えた背景にはVARの存在が大きい。アジア杯では日本にも大きな影響を与えた。今季は国内でも、ルヴァン杯の決勝トーナメントなどで導入が決まっている。

だが佐藤氏の話を聞く限り、VARを違和感なく見られるようになるのはまだ先になりそうだ。【岡崎悠利】

佐藤隆治主審

Get toto

堅守・地力上回る東京「2」/第1073回

湘南-東京戦はアウェー東京勝ちの「2」。東京は開幕戦で昨季王者の川崎Fを相手に0-0で引き分けたが、日本代表の右サイドバック室屋、韓国代表DFチャン・ヒョンス、元日本代表DF森重と、今季も最終ラインは盤石。ボール保持率で38%と相手に押し込まれる時間は長かったものの、粘り強い守りで無失点に抑えた。17歳のMF久保は攻撃だけでなく、献身的な守備も光った。J1リーグ戦の通算対戦成績は東京が7勝1分け2敗と大きく勝ち越し。地力で湘南を上回る。

◆日刊予想

(1)横-仙1

(2)名-C1

(3)神-鳥0

(4)浦-札1

(5)湘-東2

(6)清-G0

(7)分-松1

(8)柏-町1

(9)福-長2

(10)宮-琉1

(11)京-児1

(12)水-栃0

(13)浜-形0

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

サッカー現場発

大分最高のスタート 大きいティティパンの加入

大分ティティパン

6年ぶりのJ1復帰の大分トリニータが、2月23日のリーグ初戦で昨季ACL覇者の鹿島を破る大金星を挙げた。今季は6試合を1クールとして勝ち点8ずつを積み上げていく計画。目指す勝ち点45での残留へ最高のスタートを切った。

鹿島戦から松本、磐田、横浜、広島、札幌と続く最初の1クール。勝ち点上積みのカギを握るのは、就任4年目の片野坂知宏監督(47)が「攻撃の時間が相手を上回れば勝つチャンスはある」と、こだわってきた昨季J2最多得点から健在の攻撃面だ。今季はJ1経験豊富な前湘南のFW高山薫(30)や昨季J2で9得点のMF伊藤涼太郎(21)らの加入で厚みが増した。

中でもタイ代表MFティティパン(25)の加入が大きい。豊富な運動量を武器に攻守で広範囲をカバーでき、球際にも強く鋭いタックルでボールを奪取する。来日当初は「ボールをもらって出すスピードが速く、個々のレベルより組織的に戦うところがタイと大きく違う」と言う日本サッカーへの戸惑いもあった。だがアジア杯後の1月下旬に来日以来、「戦術を理解して自分らしくできるようになってきた」と既にチームにフィット。鹿島戦はフル出場しアジア王者撃破に貢献した。

取材では人なつっこい笑顔を見せる。コーヒーが好きで趣味はカフェ巡り。大分でもお気に入りの店で気分転換を図ってきた。今週は将来結婚も視野に入れるガールフレンドがタイから来日予定で、さらにモチベーションは高まっている。タイでは和食を食べる機会が多く、日本での食生活も問題なさそう。

Jリーグ移籍に際し、横浜DFティーラトン(29)や札幌MFチャナティップ(25)から助言をもらい、挑む新天地で「たくさん試合に出られるよう努力して、大分をリーグ10位以内に導きたい」と覚悟を決めている。J1残留への救世主になってみせる。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。

サッカー現場発

人生初WBでビジャ封じ、奈良出身若手につい私情が

京都MF中野克哉(左)とC大阪DF舩木翔

平成最後のJリーグ開幕戦が終わった。関西在住のみなさんは金土日と3日間も楽しめた今年の開幕。

J1では注目カードとなった金曜開催のセレッソ大阪-ヴィッセル神戸が4万2221人で最多入場者だった。2番目がガンバ大阪-横浜F・マリノスの2万7064人、J2では京都サンガFC-アルビレックス新潟が1万4069人で最多。会場の収容人数はもちろん違うが、金土日といずれも関西の開催地で動員1位だった。

関西の盛り上がりを感じてもらったところで、今年の開幕戦でデビューした関西出身の2人の選手に注目したい。1人目は東京オリンピック(五輪)世代のC大阪DF舩木翔(20)。左サイドバック(SB)が定位置だが、J1デビューとなった神戸戦は「人生初」という右ウイングバックでフル出場した。慣れない位置でいきなり同サイドで対戦したのは元スペイン代表FWビジャ。世界的スターのクオリティーに圧倒されながらも、結果は無失点に抑えた。「やられまくったけど、後半に修正できた」と手応えを得た。

17年U-20ワールドカップ(W杯)にも出場した東京五輪の主力候補。C大阪下部組織育ちの20歳は「初戦でああいう選手と戦えるのは自分にとってプラス。東京五輪に向かう中でトップスターとマッチアップできた」。スペイン人のロティーナ新監督でなければ、開幕戦でいきなりプレーすることのなかった位置だろう。この日は、同世代のDF初瀬が神戸の左SBでプレー。初瀬はもともと両サイドでき、舩木も両サイドこなせるようになれば東京五輪世代にとってもプラスだ。舩木も「代表でも『あいつは右でもできる』と思ってもらえたやろうし、幅が広がった」とうなずいた。東京五輪まで1年半。舩木の今季の活躍を期待させる日となった。

2人目は京都MF中野克哉(22)。関学大卒の新人で3年時には関西学生リーグ得点王に輝いたレフティーのドリブラーだ。新潟との開幕戦では右FWでフル出場。序盤は「緊張もあった」とかたかったが、チーム最多のシュート3本を放つなど、攻撃の主力を担う可能性を感じさせた。

地元の京都橘高出身で全国高校選手権には3大会連続で出場。1年から主力で、この日一緒にピッチに立った高校時代の先輩のMF仙頭、小屋松とは準優勝(12年度)も経験した。「3人同時に出られて良かった」。高校時代は1年から主力だったが、大学時代は負傷に悩まされ、なかなかピッチに戻ることができなかった。苦悩も知る男が、プロデビュー戦で堂々とプレー。人なつこい性格の22歳は「緊張もしたけど、試合に入ってしまえば、大丈夫。性格的にいいところかな。あとは結果を出さないと」。会場を沸かせる初ゴールは遠くなさそうだ。

注目の2人を挙げたが、実は2人とも奈良県出身。個人的な話だが、私も同郷で私情が入ったコラムになってしまった…。昨季限りで奈良のスター楢崎正剛さんが現役を引退したため、同郷の若手を紹介した。Jリーグの19年シーズンの開幕。また各地で熱戦が繰り広げられる。今年はどんなドラマが待っているのか、楽しみだ。【小杉舞】

◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。W杯ロシア大会、アジア杯UAE大会を現地で取材。担当クラブはG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。奈良生まれ、奈良育ち、大阪在住のバリバリの関西人。

データが語る

名古屋FWジョー、次戦2発ならJ初快挙

J1連続試合複数得点記録

Jリーグのデータを独自の視点で分析する「データが語るJリーグ」。今季の第1回は得点王の大本命、名古屋グランパスFWジョー(31)を取り上げます。

昨季のJ1得点王、名古屋FWジョーが開幕からエンジン全開だ。23日のサガン鳥栖戦(4-0)で2得点。昨年12月1日の最終節湘南ベルマーレ戦(2-2)でも2ゴールを挙げており、リーグ戦では2試合連続の複数得点となった。昨季は第24節から史上7人目の3試合連続「マルチゴール」を決めたが、2度目の3試合連続2得点以上となれば、Jリーグ史上初の快記録となる。

鳥栖戦の1点目は左足、2点目はヘッドで決めた。昨季の24ゴールの部位別内訳を見ると、右足9、左足10、頭5とバランス良く量産したことがわかる。利き足は左だが、右足でも正確に射抜く。192センチの高さが武器で、ポストプレーも巧み。Jリーグ史上最高の万能型ストライカーといっていい。

さらに特筆すべきは90分フル出場の多さ。昨季からリーグ戦で32試合に先発し、途中交代は1試合(途中出場2試合)。途中交代が多いFWにあって、昨季からの通算2962分の出場は最長だ。10年ワールドカップ南アフリカ大会の得点王、元スペイン代表FWビジャがヴィッセル神戸に加入するなど、外国籍選手が史上最多となった今季。得点王の本命は名古屋の大黒柱、元ブラジル代表FWジョーだ。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

サッカー現場発

外すと負けなし!川崎Fの始球式ジンクス今年は…?

始球式を行う仮面ライダーエグゼイド(2017年7月1日撮影)

川崎フロンターレの試合日のスタジアムのイベントに、著名人による始球式がある。PKスポットから、始球式の出演者がボールを蹴るスタイルだ。記者が担当してから、映画「シンゴジラ」のプロモーションを兼ねて出演した俳優長谷川博己が美しい弾道のシュートを決めるなど、エンターテインメント性あふれるイベントになっているが、ごくまれに、PKを失敗する出演者もいる。

記者が覚えているのは、お笑いユニット、パンサーの尾形貴弘と、3人バンド・SHISHAMOだ。16年3月に、中央大サッカー部出身の尾形は蹴ったボールがポストに直撃し失敗。SHISHAMOは3人で、フェイントキックを入れる「トリックプレー」を取り入れ、クロスバーに当ててしまった。ちなみに、ともに川崎Fの試合結果はドロー。「始球式で外すと勝てない」とのイメージが個人的に強くなっていた。

そして今季。2月23日のホーム開幕戦で、川崎市出身のヒップホップアーティストのT-Pablowが始球式に登場した。ゴール左隅を狙ったボールはネットを揺らせず、左に外れてしまった。その瞬間「これはもしや…。今回も引き分け?」と、過去の記憶がよみがえる。そして、結果は東京と0-0のスコアレスドロー。引き分けだった。

でも、考えてみれば、尾形、SHISHAMO、T-Pablowはいずれも、ホーム開幕戦に“登板”。リーグの中でも一番、緊張感が高まる試合で大役を務めているのだ。緊張もするだろう。それでもわずかに枠を外れる。いかに、PKが難しいのかよく分かる。始球式でPKを外すと「勝てない」のジンクスはあるかもしれないが、裏を返せば「負けない」。SHISHAMOが外した年は、最終節で川崎Fがリーグで初優勝を果たした記念すべき年なのである。さて、今年は??? 今後も、開幕戦の始球式に注目したい。

◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 1972年(昭47)、名古屋市生まれ。95年入社。主に文化社会部で芸能、音楽を担当。11年11月、静岡支局に異動し初のスポーツの現場に。13年1月から(当時)J1磐田を担当。15年5月、スポーツ部に異動し主に川崎Fを担当。

海外サッカーよもやま話

ルーニーは人間ATM?女性と2次会に妻は物扱い

ウェイン・ルーニー(撮影・PIKO=14年4月10日)

毎度のことだが、元イングランド代表FWウェイン・ルーニー(33=米MLS・DCユナイテッド)とコリーン夫人の離婚が回避されたもようだ。

昨夏、ルーニーの米移籍とともにワシントンDCに転居してきた一家。夫妻と男児4人の子供たちは仲良く暮らしていた…はずだった。

ところがルーニーは今月上旬、DCユナイテッドの仲間たちとフロリダ州クリアウオーターでパーティー。さらに途中から地元ウエートレスの女性と別のバーに移動して“2次会”を開催するなど約10時間も痛飲した。

英サン紙(電子版)によると、ルーニーは最終的に午前2時30分にその女性と別れて帰路に就き、男女の関係になるようなことはなかったという。ただこれまでも女性と2人で車に乗り込む姿を報じられたり、飲酒によってさまざまな問題を起こしてきた。フロリダ州での一件後、バレンタインデーの14日にはコリーン夫人の左手薬指から20万ポンド(約2900万円)もする結婚指輪がなくなっていた。

ところがコリーン夫人は考え直したようだ。夫人と彼女の両親、そして4人の子供たちは先ごろ、メキシコやケイマン諸島、ジャマイカなどを巡る豪華クルーズ旅行に出発。米国に戻ってきた夫人の手にはちゃんと指輪がつけられていた。

愛する4人の子供たちがいる以上、簡単には離婚できないのかもしれない。まあルーニーの行動に嫌気がさしたとしても“人間ATM”とでも思えば、これほど大金の入っているATMもなかなかない。サン紙も記事の中で「旅行から帰ってきた夫人は11個もの荷物を抱えていたが、ルーニー型のスーツケースはどこにもなかった」と、元イングランド代表FWを物にたとえて小ばかにしていた。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

ドイツこぼれ話

ブンデス月曜開催に反対のファン一部が警察沙汰

ブンデスリーガの月曜開催に反対するファンの一部が、警察沙汰を起こした。

今回、事件に巻き込まれたのは、2月18日に行われた第22節ニュルンベルク-ドルトムント戦の中継を担当した「ユーロスポーツ」。同局の発表によると、スタジアム内にあるガラス張りの中継スタジオの背後で、ファン数人が月曜開催を決定したドイツ・フットボールリーグ(DFL)やドイツサッカー連盟(DFB)をやゆするバナーを掲げたという。

しかしそれでも飽き足らなかった2人のファンは、ユーロスポーツの解説を務めるマティアス・ザマー氏らがいるスタジオ内への突入も試みた。これは警備員らが阻止することに成功したが、そのうち1人が腕と指、さらに肩を負傷。大衆紙「ビルト」によれば、この件を重く受け止めた同局は、乱闘騒ぎを起こしたファン2人を告訴すべく、警察に被害届を提出したという。

ニュルンベルクの財務取締役ニールス・ロッソウ氏は同紙に対し「今後はTV中継のスタジオ周りも厳重に警備していくつもりだ。メディアへの攻撃は、決して受け入れられないタブーだからだ」とコメントしている。

2017-18年シーズンからブンデスリーガは、これまでの金~日曜のみならず、限定的に月曜にもリーグ戦を開催するようになったが、各クラブのサポーターは「ファンの応援文化を破壊する」とし、月曜開催試合のたびに抗議活動を続けていた。そして最終的にはDFL側がこれに屈し、昨年11月末に「2021-22年シーズンから月曜開催の試合をなくす」と発表していた。

Get toto

開幕戦に強い仙台「1」/第1071回

27年目のJリーグが開幕する。J1開幕節の仙台-浦和戦は、ホーム仙台勝ちの「1」をマーク。仙台はシーズンの開幕戦にめっぽう強く、15年から2-0、1-0、1-0、1-0と4年連続無失点での白星発進を飾っている。開幕戦で4年連続完封勝ちはJ1記録だ。一方の浦和の過去10年のJ1開幕戦成績は4勝1分け5敗と黒星先行。アウェー浦和勝ちの「2」が本命視されているが、「仙台は開幕戦に強い」というデータから大穴の「1」で勝負する。

◆日刊予想

(1)川-東1

(2)広-清2

(3)仙-浦1

(4)G-横1

(5)鹿-分1

(6)湘-札0

(7)鳥-名2

(8)磐-松1

(9)町-V1

(10)長-浜1

(11)宮-甲1

(12)栃-金2

(13)京-新2

※左がホーム。1=ホーム90分勝ち、2=ホーム90分負け、0=その他

サッカー現場発

鹿島期待の背番10安部裕葵、味のある発言にも注目

鹿島安部裕葵(2019年2月19日撮影)

2月上旬、鹿島アントラーズのスポンサー&報道関係者を集めたキックオフパーティーが行われた。会場は、「FNS歌謡祭」の収録や北川景子&DAIGO夫妻披露宴の会場としても知られる、グランドプリンスホテル新高輪「飛天」。歓談時には、選手の前に記念撮影やサインを求める人だかりができた。中でも会場を横切るほどの長蛇の列を作っていたのは、2人の選手。1人は今季主将に就任したDF内田篤人。もう1人は、今季10番を背負うFW安部裕葵だ。

チームの顔である内田と人気を二分するとは、今季の彼への期待が表れた光景だったように思う。積極果敢なプレースタイルが多くの人々を魅了しているのだろう。ただ安部を取材していると、彼の魅力はピッチ外にもあるように思う。発言が味わい深いのだ。

場の雰囲気に流されず、自分が思ったことを即座に言葉で紡げる賢さがあるように感じる。日本人特有の無駄な謙遜や遠慮をしないところもいい。19日のACLプレーオフ試合後には、記者に囲まれてこんなやりとりがあった。

-相手の守備が緩いと思ったから、積極的にシュートを打ったの?

「いや、自信です。自信があるから行きました」

先日、昨年のクラブ・ワールドカップ(W杯)でレアル・マドリードに敗れた経験から得たものについて尋ねた時も、らしさあふれる答えが返ってきた。

「負けた試合で『何か得ました』みたいなのはあんまり言いたくないですけど、まあ、価値のある1日だったんじゃないですか」

字面だけで見ると、少々ふてぶてしく見えてしまうかも知れない。でも安部は、飾らずおごらず、普段の調子でさらりと言ってのけるから嫌みがない。本心を素早く言葉に昇華させる能力が高いのだ。

何もなければ「ない」と言うタイプ。安部なりに、あの試合から感じたものはあったのだろう。しかしそれを「良い経験」として語るにはまだ早いと感じたのではないか。Rマドリードを圧倒できるような選手になったとき、その答えを教えてくれるはずだ。

安部裕葵。プレーだけでなく、その口から発せられる味わい深い言葉についても、注目してみてほしい。

◆杉山理紗(すぎやま・りさ) 1993年(平5)10月4日、岐阜県生まれ。16年に入社し、芸能記者を経て18年12月からサッカー記者。19年シーズン鹿島担当。今季の目標は「免許の取得」

恒例の「キックオフパーティー」開催(2019年2月4日撮影)

サッカー現場発

堂安&長友がパクった?アジア杯のピースパフォは…

日本対ベトナム 後半、PKを決めポーズを決める堂安と長友(19年1月24日撮影)

国内シーズン最初の公式戦となる富士ゼロックス・スーパー杯も終わり、Jリーグはいよいよ開幕モード。キャンプで分かった課題を洗いだし、各チーム最終調整に入っている頃…だけど、すみません。ちょっとアジア杯を思い出して下さい。

1月24日、決勝トーナメント準々決勝ベトナム戦。MF堂安がビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR=ビデオ判定)によって獲得したPKを自ら決めて1-0で勝利した。

そのゴール後のパフォーマンス、堂安は“師匠”のDF長友と即興で作った胸の前で手をクロスしてピースをするポーズで喜んだ。試合後、長友は「ゴールパフォーマンスは『やろう』と言ってたけど、結局何も決まらなくて。これでいいかって、あの場で決まった」と説明。それから選手は写真を撮る時の決めポーズにこのピースを採用するなど、話題になった。

実はこのパフォーマンス、“先駆者”がいた。UAEでゴールパフォーマンスが行われた後、今季熊本からG大阪に加入したMF田中達也(26)の携帯にメールが届いた。昨季まで田中と同じ熊本でプレーし、今季から韓国の水原へ移籍した北朝鮮代表FW安柄俊(アン・ビョンジュン)からだった。

内容は「あれ、パクられた?(笑い)」と冗談交じりに書かれていた。このパフォーマンス、2人が熊本時代にやっていたもの。元は、安が家族の記念日を思いメッセージを込めたポーズで、次第に田中も一緒にやるようになった。

熊本サポーターの間では「タナタツポーズ」とも言われていたという。田中は「最初はビョン君をちゃかしてまねしていた。でも自分がゴールを決めたら、段々サポーターから求められるようになって、やるようになった」と明かした。

たまたま堂安、長友と同じポーズになってしまったが、熊本サポーターからは「ガンバで点を決めたらやって欲しい」と頼まれているそうだ。もちろん田中も「タナタツポーズ」で喜ぶつもりだが「(堂安と長友を)パクったみたいにならないかな(笑い)」と不安そう…。

なので、一言。堂安、長友と同じゴールパフォーマンスでも、それは「タナタツポーズ」。ぜひ、スタンドのみなさんも一緒に初ゴールを「タナタツポーズ」でお祝いしてみて下さい。【小杉舞】

◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。W杯ロシア大会、今年のアジア杯を現地で取材。担当クラブはG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。

ドイツこぼれ話

完敗したドルトムント、試合前日の散髪が議論対象に

完敗を喫したドルトムント(AP)

欧州CL決勝トーナメント1回戦ファーストレグで、トットナムに0対3の完敗を喫したドルトムントが、議論の対象になっている。

舞台となったのはドルトムントの選手、スタッフ、関係者らが宿泊していたホテル「ヒルトン・ロンドン・ウェンブリー」。大衆紙「ビルト」など複数ドイツメディアによると、同クラブの選手数人が試合前日の晩に、ロンドン在住の有名美容師シェルドン・エドワーズ氏を宿泊先へ招き、部屋での散髪を依頼したという。その場にいたのは、アクセル・ビツェル、ラファエル・ゲレイロ、アブドゥ・ディアロ、ダン=アクセル・ザガドゥ、そしてヤコブ・ブルーン=ラルセンら5人だった。

同紙によれば、最終調整とミーティングが終わった後にエドワーズ氏が訪れることを知っていたドルトムント首脳陣は一人もいなかったようで、要するに「大事な試合まで24時間を切ろうとしているのに、遠征先でわざわざ美容師をホテルに招いて散髪するな」というところが、このテーマの根幹のようだ。ただし、3対2で勝利した今季第11節Bミュンヘン戦、4対0という圧勝に終わった欧州CLのAマドリード戦の前にも、エドワーズ氏はドルトムントを訪れ、選手の散髪を行っていたという。

この事実を知ったハンス=ヨアヒム・バツケCEOはビルト紙に対し「髪を切ることが、チームのパフォーマンスに影響を与えることはないだろう。敗戦の原因はもっとスポーツ的な面にあり、我々はそれを客観的に分析していかなければならない」と前置きしながらも、「試合に敗れたこともあり、その前の晩に美容師をホテルに呼んだことについて批判的な目を向けられるのも当然だ。(SDの)ミヒャエル・ツォルクと(チームマネジャーの)セバスティアン・ケールは、該当する選手と今後話し合っていくだろう」とコメント。そしてバツケCEOから任務を受けたツォルクSDは「現在の我々は、マティアス・ザマーや私とは異なる世代の選手と仕事をしている。今の選手の(試合前日の)準備の仕方は、私やザマーが現役だった頃のそれとは明らかに違う」と、ジェネレーションギャップに触れつつ、「もちろん散髪のせいで試合に負けたわけではない。だが、このようなことは今後なくしていきたい」と話している。

同紙によると、宇佐美貴史が所属するデュッセルドルフのフリートヘルム・フンケル監督も15日、ブンデスリーガ第22節レーバークーゼン戦に向けた前々日会見に臨んだ際、この話題について「我々のチームでは、こういう問題は起きない。なぜなら私の選手は全員、地に足がついているからだ。確かに時代は変わった。しかし2人(ジェイドン・サンチョとディアロ)が(ロンドンへ飛ぶ際に)パスポートを忘れ、1人(エーマー・トプラク)が搭乗券をなくす…『欧州CLでトットナムと戦う』という気持ちはあるのだろうか?そして試合前日の20時に美容師を部屋に呼ぶことなどありえるのか?決して起こってはならないことだ。そもそも髪を切りに行く時間なんていくらでもある」と言及。宿泊先での試合前日の散髪に、否定的な見解を示した。

しかし一方、フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は「試合前日の晩に髪を切ったからって、『試合に集中できない』なんてことはない。むしろ真逆で、見た目が良くなった状態でピッチに立てること、そしてさらに良いサッカーをやってやろうと、選手は喜ぶんじゃないか?それとも我々は皆、いつも月曜日に髪を切りに行かなければならないとでも?」と話しており、今回のことは不問に付すべきだとしている。

サッカー現場発

あと4ヶ月!なでしこ主将熊谷に聞くW杯への覚悟

日本対オーストラリア W杯出場を決め、ハイタッチする熊谷(中央)ら選手たち(2018年4月13日撮影)

スポーツ界にとって、2019年は何の年だろうか。

9月に行われる日本開催のラグビーW杯や、サッカー界で言えば1月にアジア杯があった。

2020年東京五輪へとつなぐ大事な1年。そんな中で、当時の熱狂を再び取り戻そうと奮闘しているのが、今年6月にW杯フランス大会をむかえる女子サッカー界だ。

“なでしこフィーバー”を巻き起こした11年W杯ドイツ大会の優勝からは早8年が過ぎ、選手の顔触れも変わった。16年リオ五輪出場を逃したため、世界との真剣勝負は4年ぶり。そんな、なでしこ復活の年にしたいとの願いも込め、今年の新年企画で代表の主将を務めるDF熊谷紗希(28)にインタビューを行った。自身3度目となるW杯への強い思い、そしてあのドイツ大会を知る者としての覚悟を紹介する。

熊谷が普段プレーしているのは、W杯が行われるフランスの強豪リヨン。リーグ12連覇中に加え、欧州女子CLで史上初の3連覇も達成した世界屈指のチームで、レギュラーとして活躍している。実はW杯本大会では、そのリヨンの本拠地である「スタット・ド・リヨン」で準決勝と決勝が行われる。そこまで勝ち進めば、熊谷にとっては“ホーム”で試合ができる。「そこでプレーできたら最高ですね。できれば決勝でフランスと当たって倒したい」。当然、そこへの思いは人一倍強い。

高倉麻子監督体制になってからは主将も任された。かつてMF澤穂希や宮間あやらが務めてきた大役。自身の思い描くキャプテン像については「もちろん言うことは言う。でも、キャプテンだから何かするというよりは、プレーで引っ張っていきたい」と話した。「澤さんや、あやさんには尊敬するところ、学ばせていただいたところがたくさんある。その中で、自分は自分でできる形でチームを引っ張っていきたい」。

本番まであと4カ月にせまる中、なでしこは2度の海外遠征で最後の調整を行う。2月下旬からの米国遠征では総当たり戦で米国、ブラジル、イングランドという強豪国と対戦。4月の欧州遠征ではドイツとフランスという、いずれも世界ランク上位国と親善試合を行う予定だ。熊谷は「いよいよですね。W杯で優勝するためには強い国を倒さないといけない。(海外遠征での)相手は申し分ないというか、いい相手と戦えるなと思います」と強豪との手合わせを歓迎した。

代表では4年間なかった真剣勝負のブランクだが、熊谷にとっては関係ない。「海外でやっているので、個人的な不安は全くないです。逆にそこの不安や恐怖よりも、やるしかないというところの方が大きい。恐怖とかを感じていたらきついなという部分はあるので、それがないような準備をしたい。経験ある選手が引っ張っていかないといけないし、うまくやりたいなと思います」。主将としての頼もしい顔ものぞかせ、2大会ぶりの世界一奪還を誓った。

◆熊谷紗希(くまがい・さき)1990年(平2)10月17日、札幌市生まれ。真駒内南小3年時にサッカーを始め、真駒内中から女子サッカーの強豪、宮城・常盤木学園高へ進学。同校2年時にA代表初選出。09年の筑波大進学と同時に浦和レディース入り。11年W杯ドイツ大会では決勝米国戦で優勝決定のPKを蹴った。同年にドイツ1部フランクフルトに移籍し、13年からリヨンに所属。15-16年シーズンから欧州女子CL3連覇中。18年11月11日のノルウェー戦で国際Aマッチ通算100試合出場を達成。家族は両親と兄。173センチ、63キロ。血液型O。

◆松尾幸之介(まつお・こうのすけ) 1992年(平4)5月14日、大分県大分市生まれ。中学、高校はサッカー部。中学時は陸上部の活動も行い、中学3年時に全国都道府県対抗男子駅伝競走大会やジュニアオリンピックなどに出場。趣味は温泉めぐり。

女子サッカー界について語る熊谷紗希

サッカー現場発

記者まで黒鷲ポーズを再現…香川に熱狂する理由

練習を終え、クラブのエンブレム前に立つベシクタシュMF香川(撮影・木下淳)

ワールドカップ(W杯)ロシア大会日本代表のMF香川真司(29)が、ドルトムントからトルコ1部ベシクタシュに期限付き移籍しました。3日のアンタルヤスポル戦では出場「16秒弾」あり、約9年ぶり「直接FK弾」あり。2分半で2発という衝撃デビューには、本人も「ここまでは想像していなかった…。夢みたい」と驚くしかありません。トルコリーグで初めてゴールを記録した日本人にもなりました。

ドイツからトルコ最大の都市イスタンブールへ入った1月31日。チャーター機を降りたアタチュルク国際空港でメディアやサポーターに、もみくちゃにされた映像からも分かるように、入団直前から香川フィーバーが続いています。新聞は連日カラー面で動向を報じ、テレビは香川の起用法について専門家が議論。ユニホームは数千枚が飛ぶように売れ、9日の本拠地デビュー戦(対ブルサスポル)も約4万2000席が完売しました。あまりの人気に、本人も今は街に出ることを自粛しています。

その熱狂ぶりを感じようと現地へ入りました。ホームスタジアムのボーダフォン・アリーナはもちろん、空港でもタクシーでも路面電車でも飲食店でも、あらゆる所で「シンジ・カガワ」と声をかけられ、握手を求められます。「シンジは兄弟」「カガワは将軍」と肩に手を回された時には、謎のトルコランプを買わされてしまいました。

ホーム初戦の前には、ベシクタシュ地区にあるサポーターの“たまり場”も訪れました。クラブの象徴、黒鷲の像が建つ繁華街の広場には、白黒のユニホームを着た人、人、人。先述の通りチケットが完売しているためか、文化なのか、午後7時キックオフなのに昼すぎからサポーターが集まって応援歌を合唱していました。ここでも「よくぞ来てくれた、カガワ」と大歓待。トルコの代表料理ケバブを買わされてしまいました。

スタジアムは、さらに熱狂。同じ日本人ということで記者の自分まで撮影攻めに遭い、香川が入団会見で披露していた「黒鷲ポーズ」を“仕方なく”再現。試合中は、西ドイツ発祥の名曲「ジンギスカン」を基にしたもので、香川も「トルコではすごく有名な曲らしい。仲間から事前に聞いていた」と楽しみにしていた応援歌(シン、シン、シンジカガワ~♪)を聴きました。

一方、相手チームへのブーイングでは記者席の隣にいた弊社オルムシュ由香通信員の声が聞こえなくなりました。収容4万人クラスのスタジアムで、この現象を味わったのは初めて。倍の8万人が入るドルトムントの本拠ジグナル・イドゥナ・パークにも、体感レベルでは負けないほどの大声援でした。なるほど、ガラタサライ長友の「トルコの熱量は異次元」という発言にも納得できました。

香川人気は試合後の取材エリアでも。地元メディアが殺到しましたが、囲むのではなく並び始めました。どうやら目的は、コメント取りではなく記念撮影。携帯電話を手にした記者の“突撃”を受けました。翌10日の練習には、非公開にもかかわらずサポーター数十人が詰めかけ、クラブハウスの門外で待ち構えていました。香川も思わず送迎の車を降り、その場にいた全員にサイン。記念撮影にも丁寧に応じると、最後は「アイ・ラブ・ユー・カガワ」の大合唱です。さらに心をつかんだ様子でした。

つらつら書いてきましたが、なぜ、ここまで人気なのでしょうか。衝撃の2発デビューを飾ったから? 欧州のビッグクラブで結果を残してきたから? 本人は「(デビュー前の段階の)ここに着いた日からリスペクトを感じている。ある程度、素晴らしいキャリアを持った選手がトルコに来ると、気持ち良くプレーさせてもらえる感じがしている」。スナイデル、ドログバ、ポドルスキ(ガラタサライ)ロベルトカルロス、ファンペルシー(フェネルバフチェ)グティ(ベシクタシュ)-。過去の大物加入時の盛り上がりが自分にも起きている、と肌で感じているようでした。

それを念頭に、クラブに人気の理由を尋ねてみると「有名だけではなく、勝てる選手だから」と返ってきました。香川はドルトムントで10-11年、11-12年シーズンに2連覇。マンチェスター・ユナイテッドでも12-13年にプレミアリーグを制覇しました。しかも、ともに入団1年目に達成しているのです。

昨夏から獲得を熱望していたギュネシュ監督も、その1人。「来てくれたことで、練習から雰囲気が変わった」と言います。香川移籍前は首位バシャクシェヒルと勝ち点11差の6位に沈んでいましたが、加入後は2連勝で同9差の3位に浮上。まだ数字上は離れていますが、クラブの広報責任者アルトゥ氏も「シンジが来る前のチームには『今年は無理か…』という感情が少なからずあったが『いけるかも!』に変わった」と証言。「意気消沈していたサポーターのモチベーションも高まってきた。だから(ガラタサライ、フェネルバフチェとの)イスタンブール・ダービー以外では久々にチケットが完売したのも、シンジへの期待だろう」と付け加えました。

ボーダフォン・アリーナでは16年12月、自動車爆弾テロで死傷者が200人を超えた、痛ましい事件も起きています。アルトゥ氏は「チームとして負のイメージをぬぐい去ろうと努力している中、シンジが来てくれたことは本当に明るいニュース。いい方向に変わっていけるはずだ」とも。それほどの存在、希望として迎えられている中で優勝に貢献すれば、確かに意味あるものになるでしょう。

この活況にも、香川は地に足をつけています。「非常にありがたいし、環境も申し分ないけど、甘えちゃいけない。これだけの歓迎は当たり前じゃないし、逆に、いいプレッシャーにしたい。きっと彼らは優しくしてくれるけど、甘えたら意味がない。いかに結果に変えていくか。周りを気にせず、常に自分自身の状況を把握しながら厳しく問いただしていきたい」と。

そう強調するのは、やはりトルコが通過点だからでしょう。今夏には、夢のスペイン移籍に再挑戦すると思われます。イスタンブールの方々には残念ですが「居心地の良さに、染まっちゃいけない」が香川の覚悟です。その代わり、レンタル期間が終了するまでの4カ月間は“優勝請負人”として全精力を注いでくれるはずです。

日本人初となる欧州3クラブ目の優勝へ。ベシクタシュを逆転Vに導けば、自身の価値はさらに高まります。トルコのファンから快く送り出される形での、念願のリーガ・エスパニョーラ挑戦につなげられるか。個人的には半年で2ケタ(残り13試合で8得点)も目指してほしいと思う中、初先発の可能性がある今夜の敵地マラティヤスポル戦(15日深夜2時30分)から結果に注目です。【木下淳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆木下淳(きのした・じゅん)1980年(昭55)9月7日、長野県飯田市生まれ。早大4年時にアメフトの甲子園ボウル出場。04年入社。文化社会部、東北総局、整理部を経てスポーツ部へ。鹿島、東京に続いて今季から浦和を担当。

ベシクタシュ対ブルサスポル 後半22分から本拠地デビューしたベシクタシュMF香川(19年2月9日撮影)
海外サッカーよもやま話

治安最悪の町で希望の光放つメキシコのFCフアレス

リオ・グランデ川をはさみ米テキサス州エルパソと国境で接しているのがメキシコのシウダー・フアレス(以下フアレス)。この町は「murder capital of the world(世界の殺人の首都)」とも呼ばれ、麻薬カルテル同士の抗争などで毎年数千人規模の死者を出してきた。最悪だった10年には3500人以上が殺された。

抗争が沈静化してきたことや警察当局の努力によって10年をさかいに殺人件数は徐々に低下。だがここ数年、再び治安が悪化傾向にあるという。17年のフアレスの人口10万人あたりの殺人事件発生件数は56・16。日本は0・5にも満たないのだから、いかに同市で日常的に殺人が起きているかがわかる。

そんなフアレスでも、サッカーは希望の光だ。かつてこの地にはインディオスというクラブがあり、メキシコ1部で戦ったこともある。だが財政難から12年に解散。「フアレスに再びプロサッカークラブを」という声に応え、3年後の15年に「FCフアレス」が設立された。

エルパソで建設業に従事するトマス・アグエロさん(23)は同クラブの熱狂的サポーター。英BBC電子版によると、自分の時間と給料のほとんどを応援のために使うという。FCフアレスは現在、メキシコ2部でプレーする。2部クラブのアウェー戦にまで足を延ばすサポーターは多くはなく、アグエロさんは敵地でたった1人で声援を送ったこともある。

アグエロさんはFCフアレスのサポーターグループ「エル・カルテル」のメンバー。「名前を見て暴力を助長するグループなのかと思うかもしれないけど、正反対なんだ。僕らは平和とサッカーを広めていく」という。エル・カルテルはイベントや街中での行進などを通じて平和の重要さを訴えている。

「いたるところに殺人や死体があるけど、試合の日は全てを忘れて現実から逃れることができる。サッカー、そしてFCフアレスを応援することが僕を幸せにしてくれるし、生きるモチベーションになる」とアグエロさん。FCフアレスは平均9000人の観客を集め、先月22日のメキシコ杯1次リーグでは1部プエブラに2-1と逆転勝ち。明るい話題を振りまいている。

さらにクラブには新スタジアム建設計画もある。クラブ副社長のアルバロ・ナバロ氏は「このクラブはフアレスの生活と町のイメージを変えようとしている。国内外でね」と話す。FCフアレスの活躍によって、人々の生活に活気が生まれ、より安全な暮らしができるようになれば素晴らしいこと。サッカーにはそれだけの力があると思う。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)

サッカー現場発

長友発言でよみがえったジョホールバルとカズの記憶

日本対イラン 後半アディショナルタイム、冨安へのファウルからもめる両選手たち(2019年1月28日撮影)

乱闘騒動となったアジア杯準決勝のイラン戦の翌日、日本代表DF長友佑都がツイッターで発信した内容を紹介した本紙の記事を読んでいたら、ふと遠い記憶がよみがえった。

以下抜粋記事 3-0になった後半ロスタイムにイランの選手との小競り合いから、両チーム入り乱れる騒動が起きた。長友も相手MFハジサフィに後ろからつかまれてなど、多くの選手が激高していた。だが、自身のツイッターで「終了間際の乱闘は腹立った」と記した。だが「エレベーターでイランの選手と一緒になり、昨日はごめんねって謝ってきた」と謝罪があったことを明かした。さらに「自分も挑発したから謝った。熱くなってたものがすっと消えた。ピッチ上は国を背負いプライドがぶつかり合う」と和解した。最後に「ピッチ外では同じ人間で仲間だ。スポーツの素晴らしさを感じた瞬間」と記し、改めてスポーツの良さを実感していた。

エレベーター内での心温まるエピソードに触れた瞬間、記憶の扉が開いた。エレベーターから降りてきたのは車椅子に乗ったアジジだった。97年11月16日、マレーシア・ジョホールバル。日本代表が初のワールドカップ(W杯)出場をかけてイランと戦ったフランスW杯出場第3代表決定戦。その前日に選手宿舎となっていたホテルのロビーで待機しているとエースFWアジジが右ひざに包帯を巻き憔悴(しょうすい)仕切った姿で車椅子で運ばれてきた。慌てて肩にかけていたカメラで連写した。だが、何だか様子がおかしい。包帯の巻き方が不自然だし取り巻く関係者のそぶりも怪しい。行く手を遮るようにフラッシュを浴びせる日本人カメラマンの姿を見て薄ら笑いを浮かべた瞬間、フェイクだと悟った。勝ち抜くため、下手な芝居もいとわないイランの徹底ぶりに驚かされ、苦笑いしながらシャッターから指を離したことを思い出した。

そんな思いを巡らせながら21年前の記憶をたどるように宮崎・日南キャンプを打ち上げた横浜FC・FWカズ(51)の元を訪れた。延岡市でキャンプを張っていた担当チームのベガルタ仙台の練習が完全非公開となり、レンタカーで東九州道を120キロ南下しJ2アビスパ福岡との練習試合を取材した。グアム島での自主トレでは体幹をみっちり鍛え上げ、キャンプインから3試合実戦をこなし、仕上がりも上々な様子だった。試合では、後半途中出場し終了間際に訪れた決定機を福岡FW森本貴幸(30)に阻まれた。こぼれ球に左足で反応しシュートを放ったが、間一髪のタイミングで「かわいい後輩」の左足が伸びゴールはならなかった。カズさんの「今季初ゴール」を狙ってレンズを向けていたカメラマンは「森本! 空気読めよ」と嘆き苦笑い。カズも「余計なことしてくれたよね。分かってませんね。あいつにも意地がありますから」と冗談交じりで悔しがり、場を和ませた。

くしくも偶然ここに居合わせカメラマンこそ、「ジョホールバルの歓喜」で撮影チームを組んだ懐かしの戦友たちだった。週刊プレイボーイの仕事でカズを密着取材しているフリーカメラマンの梁川剛氏と本紙写真部のたえ見朱実カメラマンだ。この2人と再び肩を並べ、カズにレンズを向けるとは想像もしなかった。

数奇な出会いに再びジョホールバルでの記憶がよみがえる。歓喜の瞬間やアジジの猿芝居ではなく後半途中交代を告げられたカズさんの姿だ。ベンチに向かい自らの胸を指さし「俺?」とつぶやいたシーンだ。駆け出しカメラマンだった自分のロード・トゥ・フランスはこの地で終了したが、まさかカズさんが最終メンバーから外されるとは思わなかった。イタリア・ミラノから傷心帰国したカズさんを成田空港で撮影しながら、あのシーンがダブって見えたことを思い出す。あれから20年以上の時がたった今も、目の前にいるカズはキングを貫いている奇跡。世界最年長プロサッカー選手として未知なる領域に踏み出す勇姿に触れ、遠い記憶を呼び覚まされた。【下田雄一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

W杯アジア最終予選・アジア第3代表決定戦 日本対イラン シュートを放つFWカズ(三浦知良)(1997年11月撮影)

97年W杯アジア地区最終予選 日本対イラン 車椅子に乗ったアジジ(1997年11月撮影)

ドイツこぼれ話

勝利の美酒も飲酒運転で御用のシャルケファン家族

スタジアムで味わった勝利の美酒。その酔いは早々に覚めることになった。

ドイツ杯3回戦が2月6日に開催され、シャルケは宇佐美貴史のデュッセルドルフに4-1で快勝。本拠フェルティンス・アレーナに詰めかけた観客は、攻撃陣の爆発に歓喜したが、試合終了から約40分後、観戦に訪れていたシャルケファンの家族3人が、警察のお世話になっている。

大衆紙「ビルト」など複数ドイツメディアによると、その家族3人は全員が酒に酔っており、まずは49歳の父親がハンドルを握って、駐車場から出口を目指していたという。ところが、その途中で他のファンと車内から口論になり、父親は下車。ケンカに発展しそうになったところで、たまたま現場にいあわせた非番の警官が仲裁に入り、その場はひとまずおさまった。

だが、話はここで終わらなかった。その場を去ろうとした父親はそのまま後部座席に座り、19歳の息子と運転を交代。すると、さきほど仲裁に入った非番警官が応援を要請していたため、大勢の警官が現場へ到着した。それを見た息子は、自分が酒に酔っていることを自覚していたのだろう。すぐに48歳の母親と座席を交代したという。

しかし一部始終を目撃していた非番の警官が仲間に事情を話したことで、家族は血中アルコール濃度のテストを受けることに。その結果、彼らのパーミル値は、父親が1・42、息子が0・42、母親が0・74だった。

これが決定打となり、彼らはそのまま御用になってしまった。ビルト紙などによれば、今後3人が何らかの処罰を受けることは確実だという。