日刊スポーツ

【柔道】パリ五輪内定の元世界王者2人がともに敗れる波乱…橋本壮市2位、永瀬貴規は3回戦敗退

男子73キロ級、決勝で敗れ天をあおぐ橋本(右)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇2日◇第1日◇男女6階級◇東京体育館

男子73キロ級と81キロ級で24年パリ五輪(オリンピック)代表に内定している元世界王者2人が、ともに敗れる波乱があった。

73キロ級では、17年世界選手権優勝の橋本壮市(32=パーク24)が準優勝。決勝で世界ランキング1位のヘイダロフ(アゼルバイジャン)に敗れた。延長戦に突入後、巻き込まれる形の隅返しで技ありを取られ、無念そうに畳をたたく。ビデオ判定も、結果は変わらなかった。

最近の世界選手権も3年連続メダル(21年銅、22年銀、23年銅)獲得中で、パリ五輪代表にも早期内定しており「研究されている」ことを痛感。「素直に悔しい。腕を抱えられ押し切られた。受け方ミス。受けの甘さが出た」と反省した。

8月のマスターズ大会は金、翌9月の杭州アジア大会は銀。パリまでマークされる立場であり続けるが「今年はたくさんの大会に出た。パリで金メダルを取れるよう、しっかり休んで、また1ランクも2ランクも進化していきたい」と切り替えた。

81キロ級の東京五輪金メダリスト永瀬貴規(30=旭化成)は、まさかの3回戦で姿を消した。初戦の2回戦こそ突破したが、続く3回戦でタカエフ(アゼルバイジャン)に指導3の反則負け。過去2敗で、今大会を制した21歳の李俊奐(韓国)と準々決勝で当たる前に去り「申し訳ない気持ちと情けない気持ちでいっぱい」と悔しがった。

16年リオデジャネイロ五輪で銅メダル、東京では念願の金メダルも、その後は悩める日々が続く。国内は敵なしも、世界選手権は2大会連続3位、マスターズ大会も3位と頂点に届かない。

「なかなか思うような結果は出なかった」と今年を総括しつつ、勝負師は来夏を見据えている。3大会連続の大舞台へ「パリ五輪で最後に笑って終えられるようにしたい。今は苦しい状況でも、下を向かずに前だけ見て進んでいきたい」と自身に言い聞かせていた。【木下淳】

男子81キロ級3回戦、反則負けで敗れる永瀬(撮影・垰建太)
男子73キロ級、決勝で敗れ渋い表情の橋本(右)(撮影・垰建太)
男子73キロ級、決勝で敗れる橋本(右)(撮影・垰建太)
男子81キロ級3回戦、反則負けで敗れる永瀬(撮影・垰建太)

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【柔道】村尾三四郎が初優勝「王者になる実力があること証明できた」男子90キロ級パリ五輪代表

男子90キロ級・準決勝、積極的に攻める村尾(左)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム東京大会>◇2日◇第1日◇男女6階級◇東京体育館

男子90キロ級で24年パリ五輪(オリンピック)代表に内定している村尾三四郎(23=JESグループ)が、半年ぶりの復帰戦を優勝で飾った。

左膝負傷の影響で、銅メダルだった5月の世界選手権ドーハ大会以来となる実戦。決勝で世界王者ルカ・マイスラゼ(25=ジョージア)から内股で一本勝ちを収め、来夏の金メダル獲得へ復調を示した。

世界一に完勝した。毎冬の自国大会で決勝に進んだ村尾は、今年の世界選手権を制したマイスラゼを攻め立て指導2つを誘う。延長1分52秒、次の指導で反則負けの相手が出てきたところ、内股を合わせて背中を畳にたたきつけた。「半年ぶりの試合で緊張や不安はあったけど、チャンピオンになる実力があることを証明できた」と胸を張った。

今春、東海大を卒業して井上康生GM、兄智和監督の新設柔道部へ。入社2カ月目の世界選手権で3位に入った後、左膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷し長期離脱したが、復帰までの期間に組み手の速さ、手足の長い外国人対策を重ねてきた。成果を世界覇者相手の一本勝ちで示し「けがしたからこそ見えたものがある」。男子日本代表の鈴木桂治監督も「ほぼほぼパーフェクト」と納得させた。

パリ五輪に向け、来夏まで国際大会1、2戦を挟む予定。「まだ出していない技もある」と23歳には伸びしろしかない。【木下淳】

男子90キロ級で優勝し金メダルを手にする村尾(撮影・垰建太)
男子90キロ級・決勝、一本勝ちで優勝する村尾(撮影・垰建太)

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【柔道】パリ五輪代表へ高藤直寿&ウルフ・アロン、金“後遺症”に向き合い「ひと踏ん張り」の時

稽古で引き締まった表情の高藤

金メダルの先へ-。2日に開幕する柔道のグランドスラム東京大会(東京体育館)に出場する男女14階級の日本代表が1日、都内で練習を公開した。男子60キロ級の高藤直寿(30)、同100キロ級のウルフ・アロン(27=ともにパーク24)が最終調整に励んだ。ともに東京五輪の金メダリストだが、両階級ともここまでパリ五輪代表は未決定。1度、頂点を味わった“後遺症”に向き合いながら、国内ライバルとの争いに決着をつけ、パリ切符をつかみにいく。

  ◇  ◇  ◇

「ひと踏ん張りがきかないよな…」。21年の東京五輪を制し、2年以上が経過した。その間、何度そんな会話をしただろう。高藤は「奮い立たせるのが難しい。そんな話はみんなでしてましたね」と振り返る。競技人生の目標を果たしたその後。共通する苦悩を分かち合い、パリへの最終決戦へとたどり着いた。

高藤は代表レースをリードし続けながら、あと1歩で決めきれなかった。8月の国際大会で3位に敗れ、優勝した永山に逆襲を許した。「本当に五輪に出たいのか」。自問の1カ月間は柔道が嫌になりながら、結論は「気になっちゃってる」。他階級の試合などを見ている自分がいた。「本当に好き。これしかない」。再びスイッチが入った。

ウルフは「考えなくても、心の底に満足しちゃってる部分とかがあるのかな」と東京後の日々を振り返る。22年以降は国際大会での優勝なし。直近では、9月の杭州アジア大会でも準々決勝で敗退した。飯田らライバルも結果を残せず、何とか踏みとどまる。今、2度目の五輪を「応援してくれる人へのために」と動機づけし、自らを鼓舞する。

優勝すれば高藤はパリ切符濃厚、ウルフはリードする見立て。いまこそ、「ひと踏ん張り」の見せ場だ。【阿部健吾】

○…女子は2階級でパリ代表権を争う。女子63キロ級は3大会連続を狙う高市と、初出場にかける堀川が順当なら準々決勝で直接対決する。増地女子代表監督は「本当に差がない状況。優勝すれば決まる」と言及した。78キロ級は東京からの2連覇を狙う浜田も含めた三つどもえ。同監督は「試合内容も見て、もう1回ということもある」と見通した。

前日稽古に臨むウルフ
稽古でサーキットトレーニングを行う高藤(右)と永山(左)
斎藤は視察した国士舘高の岩渕監督と話す
打ち込み練習に励む阿部
稽古後に報道陣の取材に応じた阿部詩

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【柔道】5カ月ぶり試合の阿部詩が肋骨の負傷明かす「どこまで力がでるのか」

稽古後に報道陣の取材に応じた阿部詩

柔道女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(23=パーク24)が肋(ろく)軟骨を負傷していたことを明かした。

1日、国際大会グランドスラム東京へ向けた都内での日本代表合宿で稽古後、8月に肋骨(ろっこつ)を痛めていたとし、「ちょっとしたケガを挟んで、2カ月ぐらい、あんまり全力で柔道をできない期間があったので」と説明した。

稽古中に「『ボコッ』って、前に出てきた」感覚があり、痛みに襲われた。診察は受けてエックス線検査も行ったが、「軟骨は写りにくいみたいで」と正式な診断名は下されず。

以降は慎重に段階を踏んで練習内容の負荷を上げ、10月から本格的な稽古を再開。「感覚がやっと戻ってきた。自分の歯車がやっと合ってきた」と2週間前に出場のめどがたった。「どこまで力が出るのかなっていう部分が、ちょっとだけ不安要素はある」としながらも、5カ月ぶりの実戦機会はパリを見据えての重要な母国大会にもなる。

本番でのシード枠は8。「危ういっていうことだったんで、しっかり大会選んで、ポイントを考えながらっていう部分で選ばせていただきました」とにらむ。「内定して出るのが初めてなので、ちょっとだけ心に余裕を持ちながらできる大会かなって思ってたんですけど、意外と、意外と緊張してるなっていう感じ」とほほ笑んだ。

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【柔道】月曜日はリネールこない~♪斉藤立、世界王者リネールとの手合わせ“疑惑”を陽気に否定

斉藤は視察した国士舘高の岩渕監督と話す

日本で行われる柔道の唯一の国際大会となるグランドスラム東京の開幕を翌日に控えた1日、日本代表が都内で練習を公開した。

男子100キロ超級で来夏のパリ五輪(オリンピック)代表に内定している斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)は、「自分の力をしっかり出しきれることが一番大事だなと思ってて。あとはやっぱり、気負いすぎず、思い切ってやっていく」と期した。

他階級ではパリの選考対象となるが、自身は切符を手にしている。体調面も含めて万全ではないが、「やるしかない。問題ないです!」とし、「個人的な気持ちもあって。初めて出るので。自分の小学校からずっと見てた、テレビの見てた試合で、めちゃくちゃ出たかったし、去年も出れなくて、ものすごく悔しかった」と意志を説明した。

先月は世界王者テディ・リネール(フランス)が来日し、合宿を行っていた。拠点の国士舘大での稽古にも参加していたが、組み合う機会がなかった。リネール自身が「サイトウがやりたくなかったか、ケガでもしていたのではないか」と話していたが、斉藤は「めちゃくちゃやりたかったんですよ!」と声のトーンを上げて反論。

稽古に行けば、リネールは不在、逆に出稽古に出た際には、リネールは国士舘大に登場などで、入れ違い状態だったという。避けた訳ではない理由を伝えながら、「あれですよ」と少し考えると、「月曜日はリネールこない~♪」と、ロシア民謡「1週間」の替え歌まで披露し、陽気に疑惑を否定した。

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【柔道】世界王者リネールが日本での稽古を公開「目標はロス五輪」視線はパリの先も見据え

インタビューに応じるリネール

柔道男子100キロ超級で五輪2度の金メダルを誇るテディ・リネール(34)が18日、神奈川県平塚市の東海大で報道陣に練習を公開した。今年5月の世界選手権で6年ぶり11度目の優勝。来夏には現世界王者として臨む母国フランスでのパリ五輪が控えるが、「目標はロサンゼルス大会。もちろん、パリを終えてもう十分だと思ったら辞めるかもしれないですが」と28年大会も見据えてると明かした。

パリで5度目、さらにその先へ。「いまは特別の環境です。いろんな国に行けて、素晴らしい、ここみたいな素晴らしい場所で、自分のためのスタッフも周りにいる。その道を変えるのは大変ですし、いまは特別ですね」。今回で約50回目という来日には、専属コーチやトレーナーなどがそろい、「チームリネール」として競技に集中する体制が整う。

過去には総合格闘技団体UFCから当時1500万ユーロ(現在の日本円で約24億円)のオファーもあったというが、柔道に専念するために断ったこともあるという。「34歳はまだ若い。そういうチャンスがまたくれば」としながらも、いまは視線をパリに集中させる。「人生で1回しかないこと。お友達、家族も来れる。1番素晴らしい大会ですから、そこで、その環境で金メダルを取ろうとしてるのは、すごい素晴らしいテンションになる」と2度目の金メダルに挑む。

稽古で組み合うリネール
稽古で投げるリネール
稽古中に休憩するリネール

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【柔道】リオ五輪銅の羽賀龍之介、全日本柔道連盟に強化指定辞退届を提出 現役は続行

羽賀龍之介(2022年4月3日撮影)

2016年リオデジャネイロ五輪柔道男子100キロ級銅メダルの羽賀龍之介(32)=旭化成=が、X(旧ツイッター)で全日本柔道連盟に強化指定辞退届を提出したと11日までに明らかにした。強化指定から外れると、国際大会の日本代表選考で対象外になる。現役は続行し、体重無差別で争う来年4月の全日本選手権へ準備を進める。

宮崎県出身の羽賀は神奈川・東海大相模高、東海大と強豪校を歩み、10代から活躍した。切れ味鋭い内股を得意とし、15年世界選手権で初優勝。全日本選手権は20年に初制覇した。Xで「代表としての使命感、重圧、いろんな経験をさせていただきました。大きな財産です」などと記した。

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【柔道】阿部一二三&詩兄妹、斉藤立らを代表に選出 グランドスラム東京大会

阿部一二三(左)と阿部詩(2023年6月撮影)

全日本柔道連盟は6日、グランドスラム(GS)東京大会(12月2、3日・東京体育館)の代表選手を発表し、来年のパリ五輪内定者では男子66キロ級の阿部一二三、女子52キロ級の阿部詩(ともにパーク24)の兄妹や男子100キロ超級の斉藤立(国士舘大)が選ばれた。

男女各5階級の内定者では他に男子81キロ級の永瀬貴規(旭化成)、女子48キロ級の角田夏実(SBC湘南美容クリニック)らも入り、女子70キロ級の新添左季(自衛隊)だけが膝の負傷で欠場する。男子の60キロ級と100キロ級、女子の63キロ級と78キロ級は今大会の結果で内定を決める方向。

GS開催国は各階級で最大4人が出場できるが、今回は五輪内定者のエントリー階級は2人に限定。手の内を知る日本勢同士の対戦を避け、五輪シード権確保への世界ランキングポイント獲得が狙い。内定者が出ない階級は4人が出場する。(共同)

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【柔道】花木実友がBSN高校柔道選手権V2「全国高校選手権とインターハイで優勝したい」

女子78キロ超級決勝 内股でV2を決めた花木

<BSN高校柔道選手権>◇4日◇男女個人戦◇新潟市鳥屋野総合体育館

女子78キロ超級は花木実友(新潟第一2年)がV2を決めた。モンゴル人留学生のアリウンボルト・マラルジン(開志国際2年)との決勝は、開始57秒に内股での一本勝ちを決め、インターハイ8強の実力を見せた。開志国際は男女計14階級のうち10階級(男5、女5)を制した。

   ◇   ◇   ◇

花木が右足をはね上げた。104キロのマラルジンの全身が宙にふわりと浮く。そのまま体を預けながら相手を畳に沈めた。女子78キロ級決勝は開始からわずか57秒、一本勝ちで勝負がついた。パワーあふれる内股だった。「出せるチャンスに技を出したい。外れてもいいからと一発、技をかけた」。花木は生真面目に話した。

丸山剛広監督(43)は「全国のトップを狙える素材」と、花木の能力の高さを買っていた。4強入りを狙ったインターハイはベスト8どまり。夏以降はウエートトレーニングに励み、基礎から取り組んだ。「しっかり組んで、しっかり構え、しっかり技に入る」と丸山監督が言う基本を徹底的に繰り返した。そんな地味な練習から花木は逃げなかった。「意識、精神面で成長した。大人になった」と丸山監督は愛弟子の柔道への取り組みの変化を明かした。

新潟・白根北中3年時に全中70キロ超級で3位に入った。ところが花木は「メチャクチャ、柔道は下手だった。組み手。技をかけるスピード。寝技。今でも下手だけど、もっと下手だった」と振り返る。だからこそ、伸びシロはたっぷり。組み手争いに勝てば、全国の頂点も見えてくる。「来年3月の全国高校選手権とインターハイで優勝したい」と花木は3年時の全国2冠を視野に入れていた。【涌井幹雄】

○…男女で計10階級を制した開志国際の大倉太監督(55)は「全体の底上げができた」と満足そうに言った。女子57キロ級で優勝した城石佐愛里と男子90キロ級の覇者・長谷川時道はともに1年生。下級生の突き上げはチーム活性に役立つ。同校の目標は団体戦で高校日本一。今大会のテーマは「ケガをしない」だった。大倉監督は「登ったことがない富士山に登る」という言葉で、狙っている全国大会団体優勝の意志を表現した。

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【柔道】52キロ級の大森生純が講道館杯を負傷欠場、連覇ならず

大森生純(2022年12月4日撮影)

全日本柔道連盟は2日、女子52キロ級の大森生純(JR東日本)が負傷のため、2連覇が懸かっていた4、5日の講道館杯全日本体重別選手権(千葉ポートアリーナ)を欠場すると発表した。代替選手はいない。(共同)

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【柔道】朝比奈沙羅が11月の講道館杯を欠場、腰椎椎間板ヘルニアで

朝比奈沙羅(2020年12月27日撮影)

全日本柔道連盟は30日、女子78キロ超級で元世界女王の朝比奈沙羅(ビッグツリー)が腰椎椎間板ヘルニアのため、11月4、5日の講道館杯全日本体重別選手権(千葉ポートアリーナ)を欠場すると発表した。代替選手はいない。(共同)

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【柔道】男子は筑波大4度目の優勝 女子は東海大2年連続3度目の優勝

<柔道:全日本学生体重別団体優勝大会>◇22日◇兵庫県尼崎市・ベイコム総合体育館

7人制で争う柔道の全日本学生体重別団体優勝大会最終日は22日、兵庫・尼崎市のベイコム総合体育館で行われ、男子は筑波大が13年以来4度目、女子は東海大が2年連続3度目の優勝を果たした。

筑波大は決勝で明大を4-1で下した。斉藤立を擁する国士舘大は準決勝で筑波大に1-2で敗れたが、斉藤は出場3試合で全て一本勝ちした。

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【柔道】故斉藤仁さんの次男・斉藤立、来春JES入りへ 井上康生氏がGM務める新チーム

取材に応じる斉藤

柔道男子100キロ超級で来年のパリ五輪代表に内定している斉藤立(21=国士舘大)が22日、来春からJESに入ることを明らかにした。同日の全日本学生体重別団体優勝大会後に進路を表明。強化拠点は国士舘大に置くという。五輪2連覇の故斉藤仁さんの次男で、昨年の世界選手権で2位に入り、パリ五輪では金メダルを期待されている。JESはエレベーターの保守管理を手がける企業が母体で、今年4月発足の新チーム。日本男子前監督で全日本柔道連盟強化副委員長の井上康生氏がゼネラルマネジャーを務める。

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【柔道】男子の国士舘大などが3回戦進出、斉藤立は出場せず 全日本学生体重別団体優勝大会

<柔道:全日本学生体重別団体優勝大会>◇21日◇兵庫県尼崎市・ベイコム総合体育館

7階級で争う大会が行われ、男子は2016年以来5度目の制覇を狙う国士舘大や昨年初優勝の天理大、昨年2位の東海大などが3回戦に進んだ。女子は2連覇を目指す東海大が準決勝に進出。

男子では、来年のパリ五輪100キロ超級代表内定で国士舘大の斉藤立は出場しなかった。女子は東海大のほか、環太平洋大、龍谷大、帝京大が4強入りした。(共同)

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【柔道】パリ内定の斉藤立「笑けるくらいきつかった」表彰式たじたじも「五輪で一番高いとこへ」

上月スポーツ賞を受賞した、前列左から上野、東、坂本、島田、板橋、神本、2列目左から森、堀川、飯村、三浦、葛西、後列左から斉藤、村尾、乾、三木、太田(撮影・横山健太)

柔道男子100キロ超級で来夏のパリ五輪代表に内定した斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)が7日、都内ホテルで行われた23年度「上月スポーツ選手支援事業」認定式と国際大会成績優秀者をたたえる「上月スポーツ賞」表彰式に出席し、1年を切ったパリ五輪への思いを語った。

内定から2週間。その思いに変化が表れた。「電話が来た日は『オリンピックの舞台に立てるんや』っていう気持ちが強かったんすけど、次の日からは出るだけじゃ意味がないな、と。オリンピックの表彰台で一番高いところに立たないといけない。だから、『ここがスタートラインなんだ』って気持ちが切り替わった」。日に日に大きくなる使命感を明かした。

この日は、他競技の選手とも交流…のはずだったが「すごい人見知りなんで、気まずくて笑けるぐらいきつかった」と、コミュニケーションに失敗した様子。「隣に柔道の人がいたのでそこが救いだった」と、畳の上での勢いは影をひそめた。

さらに「チームジャパン」を背負う気持ちについて問われると、「他の競技? あ、柔道ですよね。すみません」とたじたじ。旗手はどうかとの問い掛けには「そんなことはない。恥ずかしいだけなんで」と大量の汗を拭った。

それでも、日の丸を背負う気持ちは人一倍強い。昨年の東京五輪中はコロナに罹患(りかん)。隔離されたホテルのテレビで仲間をたちの姿を見届け「『俺、何してんねやろう』と思って、めちゃくちゃうつ状態やった」と振り返る。「東京で日本がフランスに負けた。ものすごく悔しいことだと思うし、テレビで見ることしかできなかったので、今度は自分がパリに行って、逆にフランスに勝ってリベンジする。個人としても団体としても金メダルを持ち帰りたいなって」と力を込めた。

五輪2連覇の父で、15年に54歳で亡くなった仁さんとの日本柔道初となる親子2代での出場、そして頂点へ。「こういう立場に立たせてもらって改めて自分の父の偉大さがわかる。父の名前に恥じないような柔道を見せていく」と悲願達成を誓っていた。

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【柔道】eスポーツチーム大使高藤直寿が地位向上訴え「やっていることは僕らアスリートと同じ」

「ALBA E-sports」アンダサダーとして会見に出席した高藤。中央はプロジェクトリーダーのポルス氏、右はプロ選手のまいぽり

柔道男子で東京五輪60キロ級金メダルの高藤直寿(30=パーク24)がeスポーツの社会的な地位向上を訴えた。

4日、都内で開かれたアンバサダーを務めるeスポーツチーム「ALBA E-sports」と、木村情報技術株式会社による会見に出席。世界で5億人がプレーするゲーム「フォートナイト」の世界大会「2023 FNCSグローバルチャンピオンシップ」(10月、デンマーク・コペンハーゲン)に出場するチームメンバーの壮行会を兼ねた会で、「日本のeスポーツシーンは、今まさに分岐点いるのではないかと感じています。スポーツなのか、スポーツとして、きちんと企業や団体、国を挙げて応援してもらえるものになっていくのかと不安になる部分もあります。実際、僕もフォートナイトと出合うまでは、eスポーツはスポーツじゃないよと思っていた1人でもありました。しかし、選手たちと関わっていく中で、やっていることは僕らアスリートと同じだと感じて、応援したいなと思って、今ここにいます」と語った。

世界では有名ブランドとのコラボレーションをする人気選手が出るなど、成長著しい分野にあって、日本は後れを取っているという。22年の国内市場は前年比約1・5倍の116億円になったとされる一方で、依然としてゲームの延長との認識も根強く、支援企業などが伸びていない。

22年1月からアンバサダーに就く「ALBA E-sports」は、その状況を変えようと活動してきた。高藤自身は趣味としてゲームに携わってきたが、就任要請を受けてからは、選手たちの努力などを目の当たりにし、食事の節制などにも取り組む姿を知った。同時に、オンラインで顔を出さないで活動することが国内では主流となっており、発展の妨げにもなっている状況も知ったという。

「『子供の遊びじゃないか』『スポーツとして見えない』など、多くのご指摘があります。今、日本ではeスポーツを育てていかなくてはならない時期なのに、やり方を間違えると、日本だけが世界に置いていかれてしまう。そんな状況になってしまいます。僕は柔道家として、スポーツマンとして、この可能性に満ちた大きな、大好きなスポーツ、eスポーツを日本でスポーツとして、正しく大きくなっていってほしいなと思っています」と熱を込めた。

選手自らが主体性を持ち、社会的な地位向上を促進し、人間としても成長する場として、9月から「ALBA JAPAN SERIES CHAMPIONSHIP SCRIM featurring fortnite」が開催される。この日は世界大会に出場する選手たちも緊張した面持ちで、オフラインの場に出席した。

「選手たち自身が変えようと努力を始め、大きな流れができ始めています。選手たちがこの状況を変えなきゃダメなんだと、ついに動き出してくれたな、そういう感覚です」。柔道で培った世界舞台で戦うメンタルなど「メンター」などの役割も自認する高藤。「彼らの話に耳を傾けていただき、皆さまにいい形で世間に広げていけたら、広げていただいたら幸いです」と望んだ。【阿部健吾】

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「ビジュアルに衝撃」阿部一二三&詩にボクシング岡沢セオン驚き 丸の内にアスリート12人集結

「MARUNOUCHI SPORTS FES 2023」でりりしい表情を見せる阿部一二三(前列左)と詩(同右)(撮影・松本航)

ボクシングで21年世界選手権ウエルター級金メダルの岡沢セオン(27=INSPA)が、トークで買い物客からの注目を集めた。

4日、東京・丸ビルで「MARUNOUCHI SPORTS FES 2023」のオープニングセレモニーに参加。他競技のアスリートらと登壇した。

ゲストトークでは開口一番で「すごいところに紛れ込めた」と発し「阿部きょうだいのビジュアルに衝撃を受けています」とニヤリ。柔道で24年パリ五輪(オリンピック)代表に内定している阿部一二三(26)と、妹の詩(23=ともにパーク24)の方向を見つめた。

「丸の内といえば?」をテーマにしたトークでは、阿部きょうだいが「OL」と同じ回答で驚かせた一方、一二三は「いい距離感を保つことが(きょうだいで)仲良くいられる秘訣(ひけつ)です」とキッパリ。司会を務めたDJケチャップ氏には「イベントでは仲良くても、帰って行くときは別々ですもんね」とツッコミを入れられた。ラグビーのリーグワンで初優勝を飾ったクボタスピアーズ船橋・東京ベイの根塚洸雅(24)は「丸の内OLがピザランチ」と踏み込んだ答えを記し、会場は笑いに包まれた。

丸ビル、新丸ビル、丸の内オアゾでは4~10日に体力測定、ボルダリング体験など、各種イベントが行われる。阿部詩は「パリ五輪まで1年間準備をして、優勝を目指して頑張っていきます」と五輪2連覇を誓った。【松本航】

◆オープニングセレモニー参加者

◇阿部一二三(柔道)

◇阿部詩(柔道)

◇岡沢セオン(ボクシング)

◇君嶋愛梨沙(陸上)

◇村岡桃佳(パラアルペンスキー、パラ陸上)

◇宇田秀生(パラトライアスロン)

◇松井丈典(ラグビー/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

◇根塚洸雅(ラグビー/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

◇木田晴斗(ラグビー/クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

◇野口啓代氏(スポーツクライミング)

◇海堀あゆみ氏(女子サッカー)

◇坪井慶介氏(男子サッカー)

「MARUNOUCHI SPORTS FES 2023」のゲストトークで「丸の内といえば?」の回答がOLでそろった阿部一二三(前列左)と詩(同右)(撮影・松本航)
「MARUNOUCHI SPORTS FES 2023」に参加した前列左からサッカー坪井慶介氏、海堀あゆみ氏、柔道の阿部一二三、阿部詩、パラアルペンスキーと陸上の村岡桃佳、パラトライアスロンの宇田秀生、後列左からボクシングの岡沢セオン、陸上の君嶋愛梨沙、スポーツクライミングの野口啓代氏、ラグビー東京ベイの松井丈典、根塚洸雅、木田晴斗(撮影・松本航)

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【柔道】増山香補が男子100キロ級に転向後初試合で準V「普段より倍疲れました」

表彰式に出席した増山香補(撮影・竹本穂乃加)

<柔道:全日本実業個人選手権>◇26日◇兵庫・ベイコム総合体育館◇男子100キロ級ほか

男子100キロ級の増山香補(こうすけ、24=パーク24)が、90キロ級から階級を上げて初めての試合で準優勝した。

「練習でやってた100キロ級と、試合はまた違うなと感じました」。

2回戦から出場。階級は違うが、22年グランドスラム(GS)東京で優勝した実力の持ち主。着実に勝ち進み、5試合目となる準決勝に進出。前回大会準優勝の石山潤平(パーク24)相手に、延長戦の末、反則勝ちで決勝に進んだ。

石内裕貴(旭化成)と相対した決勝では指導3つを受けて反則負けとなったが、上位4人に入ったことにより、講道館杯全日本体重別選手権(11月4~5日、千葉ポートアリーナ)の出場権を獲得した。

試合を終え「普段より倍疲れました」と苦笑い。それでも「講道館の権利を取る」という一番の目標を達成し「講道館では同じミスをしないように、直していきたい」と次を見据えた。

次の目標は、講道館杯で勝利してGS東京(12月2~3日、東京体育館)に出場すること。海外でも1試合予定しており「3連勝できるように頑張ります」と意気込んだ。

増山は、今年2月のGSテルアビブ大会を計量失格で欠場。全日本柔道連盟の判断により、5月の世界選手権の代表権剥奪に加えて強化指定も取り消され、その後に100キロ級に転向。再出発となった。

男子100キロ級の決勝に出場した増山香補(左)と石内裕貴(右)(撮影・竹本穂乃加)
男子100キロ級の決勝に出場した増山香補(左)と石内裕貴(右)(撮影・竹本穂乃加)

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【柔道】初五輪の男子90キロ級村尾三四郎「五輪での金メダルは幼稚園からの夢であり目標」

色紙を手に意気込みを語った村尾三四郎(撮影・村山玄)

柔道のパリオリンピック(五輪)代表が内定した男子90キロ級の村尾三四郎(22=JESグループ)が24日、都内で開催された取材会で、「五輪での金メダルは夢であり目標。幼稚園からそう思っていた。ようやくスタートラインに立ててうれしい」と初の出場権を獲得した心境を明かした。

「令和の三四郎」が五輪を夢見るようになったのは、バルセロナ五輪銅メダリストの岡田弘隆氏(56)が指導するつくばユナイテッド柔道に加入してから。「名前を挙げればきりがないくらいの有名選手がいた」と練習していた筑波大の道場で抱いた「強い憧れ」が今を形作っている。

同大OBで日本代表の秋本啓之コーチ、小野卓志コーチとも交流があった。「乱取りをしてもらった」と実力者たちの技を肌で感じ力を付けていった。

みるみる頭角を現しインターハイ男子90キロ級で個人戦を2連覇。高3でグランドスラムに初出場し3位に入った。「そのあたりで東京オリンピックを意識し始めた」と確かな手応えをつかみ、夢が現実味を帯びていく。東海大入学後もグランドスラムでは3つの金を含む計6つのメダルを獲得。5月の世界選手権でも3位に入るなど世界のトップ選手へと成長を遂げた。

「目標を達成することにおいて、誰にも負けない強い意志を持ってきた」と自負する。五輪を目指す中で壁を感じることもあったが「相手がどうこうではなく、自分のやるべきことを明確にするのが大事」。幼き日に描いた「五輪で金メダル」が確かに近づいている。

パリ五輪の代表に内定した、左から村尾、橋本、舟久保、素根、永瀬、斉藤

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【柔道】パリ内定の斉藤立「相手ホームで勝つのが一番価値ある」親子2代頂点&宿敵への雪辱誓う

「奪還 雪辱」と書いた色紙を手にする斉藤

柔道男子100キロ超級で来夏のパリ五輪代表に内定した斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)が、3つの誓いを立てた。24日、都内で取材会に参加。五輪2連覇の父仁さん(享年54)との日本柔道初となる親子2代での頂点に加え、最重量級の王座奪還、そして日本柔道界の宿敵への雪辱を掲げた。会には男女6階級の内定選手が出席した。

◇  ◇  ◇  

父譲りの大きな体を丸めて、斉藤が冷や汗を流した。「緊張しますね、漢字も復習…」。パリの目標を色紙に書く場面。スマホで慎重に確認し、「文字、ちっちゃ!」と焦りながら、記した。「奪還 雪辱」、そしてその横にサイン。「お父さんのサインをパクりました。名前も一文字で一緒なんで」と決意を込めた。

吉報は強化委員会が開かれた昨夜。「びっくりで、跳び上がりました」。代表の鈴木桂治監督からの電話は、寮の仲間の部屋であきらめかけた時にかかってきた。宿願の歓喜に浮かれそうになったが、父の言葉を思い出した。

謙虚になれ-。「反抗期ほやほや」で学校で問題行動を取っていた中学1年の頃。家族での焼き肉からの帰路、ハンドルを握る父に、そう諭された。畳の上の話ではなかったが、ずっと心に残る。父子の夢がかなったが、今こそ謙虚に。「寝て起きたら、優勝しないと、と強く思って」と身が引き締まった。

「奪還」とは最重量級の責務。父の教え子で国士舘大の先輩でもある石井慧の08年北京五輪以来、頂点が遠い。「必ず奪還したい」と使命感がみなぎる。

「雪辱」とは、怪物リネール(フランス)へ。5月の世界選手権での初対決で死闘を繰り広げたが、敗れた。舞台はパリ。「相手のホームで勝つのが一番価値ある勝利。必ず勝つ」と期した。

父子での頂点。「前例にないのはすごくうれしい。誇らしく思う。お父さんの名前に恥じない柔道をしっかり見せていきたい」と歓迎する。そして…。「表彰台の一番高い所に立って、お父さんの写真を掲げて、夢を実現させたい」。その時、日本柔道界の悲願もかなう。【阿部健吾】

■男子73キロ級・橋本壮市(31=パーク24) ベテランでもやれるぞというのを見せたい。自分らしい姿で畳に上がって優勝を目指したい。

■男子81キロ級・永瀬貴規(29=旭化成) (東京五輪からの81キロ級の)連覇は自分しか成し遂げられない。勝つ準備、勝てる戦術を見いだしていく。

■男子90キロ級・村尾三四郎(22=JESグループ) 幼稚園の頃からオリンピックでの金メダルを目指してきた。ようやくスタートラインに立ててうれしい。

■女子57キロ級・舟久保遥香(24=三井住友海上) オリンピックは特別な舞台。勝っていくためには中途半端な技術ではいけない。自分を高めていきたい。

■女子78キロ超級・素根輝(23=パーク24) オリンピックで連覇のチャンスがあるのは自分だけ。金メダルを取りに行く気持ちしかない。

「漢字あってるかな」と照れながら、「奪還 雪辱」と書いた色紙を手にする斉藤
色紙を書く前に「緊張するなあ」と笑顔の斉藤
【イラスト】柔道パリ五輪代表内定選手。4階級が未発表

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【柔道】女子57キロ級舟久保遥香は五輪初出場「金メダルを取って恩返ししたい」

パリ五輪の代表に内定した、左から村尾、橋本、舟久保、素根、永瀬、斉藤

柔道のパリオリンピック(五輪)代表に内定した女子57キロ級の舟久保遥香(24=三井住友海上)が初めで挑む五輪に向け「金メダルを取ってたくさんの人に恩返ししたい」と誓った。

24日、都内で取材会に参加。ハンガリー・ブダペストで6日まで行われていたマスターズ大会では3位に終わり、気持ちを切り替えていた中で吉報が届いた。「あらかじめ準備ができる。感謝したい」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

所属する三井住友海上の道場には、先輩たちがつかんだ数々のメダルやカップが並ぶ。「三井住友海上は五輪、世界を目指す場所。そのような意識で指導してくださっている」。21年の東京五輪女子70キロ級で金メダルを獲得した新井千鶴アドバイザーの戦いは、道場でチームメートと観戦。「身近な先輩だったので自分も緊張した。勝ったときは本当にうれしかった」という喜びと同時に、「そういう先輩に近づきたい」という意識が高まった。

常に“世界”を感じながら技を磨いた舟久保がパリで飛躍する。

パリ五輪の代表に内定した選手。後列左から村尾、橋本、永瀬、斉藤、前列左から舟久保、素根

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【柔道】東京五輪78キロ超級の素根輝が連覇誓う「金メダルを取りに行く気持ちしかない」 

「必ず金メダル」を書いた色紙を手にする素根

柔道のパリオリンピック(五輪)代表が内定した女子78キロ超級の素根輝(23=パーク24)が24日、都内で発表取材に応じた。同階級の21年東京五輪金メダリストは「金メダルを取りに行く気持ちしかない」と2連覇へ力強く意気込んだ。

5月中旬にカタール・ドーハで行われた世界選手権で優勝も、6月の強化委員会での五輪内定とはならなかった。「予想していない出来事だった」と気持ちの整理に時間がかかったが「優勝はしたけど、自分の実力のなさを感じた」と弱さを認め練習に打ち込んでいる。さらなる強さを追い求め「指導を狙ってきて、なかなか前に出てこない相手に勝ち切らなければならない」と課題に向き合っている。

この階級はフランス勢の活躍が目立つ。パリ五輪は完全アウェーでの戦いが予想される。「パリは厳しい戦いが待っている」としつつも「連覇できる資格があるのは自分だけ」と強い気持ちを見せた。

パリ五輪の代表に内定した選手。後列左から村尾、橋本、永瀬、斉藤、前列左から舟久保、素根
パリ五輪の代表に内定した選手。村尾、橋本、舟久保、素根、永瀬、斉藤(左から)
【イラスト】柔道パリ五輪代表内定選手。4階級が未発表

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【柔道】斉藤立、パリ五輪内定の吉報に「驚いて跳び上がってしまって」日本初親子2代での夢舞台

取材に応じる斉藤

柔道男子100キロ超級で来夏のパリ五輪(オリンピック)代表に内定した斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)が24日、喜びの声を伝えた。

全日本柔道連盟(全柔連)が前日23日にオンラインで強化委員会を開き、全日本男子の鈴木桂治監督(43)が推薦。各委員による議論を経て承認されていた。

吉報は大学の寮の友人の部屋で聞いたそうで、日本代表の鈴木桂治監督からの連絡に「驚いて、跳び上がってしまって」と恥ずかしそうに振り返った。内定の可能性は聞いていたが、時間を過ぎても連絡なく、あきらめていた矢先だったという。

80年代に五輪を2連覇した斉藤仁さん(享年54)の次男で、日本柔道初となる親子2代での夢舞台になる。「前例にないのはすごくうれしい。そこに入れるのは誇らしく思う。お父さんの名前に恥じない柔道をしっかり見せていきたい」と言葉に力を込め、「優勝しないと」と気持ちを引き締めた。

2年連続で世界選手権の代表に選ばれ、昨年は初出場で銀メダルを獲得した。今年は7位も、怪物テディ・リネール(フランス)と初の直接対決で接戦を繰り広げた。五輪は相手の本拠地での試合になる。「相手のホームで勝つのが一番価値ある勝利。雪辱したい。必ず勝つ」と期した。

最重量級としても、国士舘大の先輩でもある石井慧の08年北京五輪以来の頂点がかかる。「自分が優勝して、必ず奪還したい」と使命感もみせた。

色紙に書いたのは「奪還 雪辱」。さまざまな立場を背負い、出陣する。「表彰台の一番高い所に立って、お父さんの写真を掲げて、夢を実現させたい」。あと1年、運命の舞台がやってくる。

◆斉藤立(さいとう・たつる)2002年(平14)3月8日、大阪府生まれ。東京・国士舘高から国士舘大。5歳から柔道を始め、父譲りのセンスで小中高すべて日本一。男子100キロ超級で18、19年のインターハイを2連覇した。21年のGSバクー大会でシニアの国際大会初制覇。22年に史上初の全日本選手権親子優勝を達成した。20歳1カ月は史上3位の年少記録でもあった(石井、山下泰裕に次ぐ20歳1カ月)。父仁さんは88年に27歳で初優勝した。得意技は仁さん直伝の体落とし、内股、足車。服は5XLで靴は35センチ。組み手は左。家族は母と兄。血液型O。

【イラスト】柔道パリ五輪代表内定選手。4階級が未発表
色紙を書く前に「緊張するなあ」と笑顔の斉藤
「漢字あってるかな」と照れながら、「奪還 雪辱」と書いた色紙を手にする斉藤
「奪還 雪辱」と書いた色紙を手にする斉藤
パリ五輪の代表に内定した選手。後列左から村尾、橋本、永瀬、斉藤、前列左から舟久保、素根
88年10月、ソウル五輪男子柔道95キロ超級で金メダルを獲得した斉藤仁

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【柔道】最重量級の斉藤立がパリ五輪代表に早期内定!2連覇した仁さん次男、日本初の親子五輪へ

全日本選手権で初優勝した斉藤立(2022年4月)

柔道男子100キロ超級の斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)が、来年7月のパリ五輪(オリンピック)代表に内定した。80年代に五輪を2連覇した斉藤仁さん(享年54)の次男。日本柔道初となる親子2代での夢舞台切符をつかんだ。

全日本柔道連盟(全柔連)が23日、オンラインで強化委員会を開き、全日本男子の鈴木桂治監督(43)が推薦。各委員による議論を経て承認された。

パリ大会を22歳で迎える斉藤は22年の全日本選手権王者。男子95キロ超級で84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪の金メダルを2大会連続で獲得した仁さんを父に持つ。5歳で柔道を始めた後、英才教育を受けていた“恩師”でもある存在は15年に亡くなった。当時、立は中学1年生。時は流れ、大学3年生になった昨年4月の全日本で史上初の父子Vを達成した。

まだ伸びている身長は192センチで、登録体重は165キロ。2年連続で世界選手権の代表に選ばれ、昨年は初出場で銀メダルを獲得した。今年は7位も、怪物テディ・リネール(フランス)と初の直接対決で死闘を繰り広げている。

五輪、世界選手権に次ぐ格のマスターズ大会では昨年初優勝、今年は3位だった。今年の世界選手権、マスターズ大会ともに5位だった影浦心(27=日本中央競馬会)との一騎打ちを多数決の賛成多数で制した。鈴木監督は「メダルの有無は大きな差」と強調した。

強化委では、一本勝ち率の高さ(斉藤83%、影浦40%)というデータも示された。賛否あったものの、信頼度の高さが推薦理由の1つに。国内大会の獲得ポイントも斉藤が大きく上回っていた。

全柔連の規定では「同じ階級の他選手と明らかな差がついた」と判断された場合、強化委を経て五輪代表を早期内定できる。この制度は自国開催の東京五輪を前に整備された。疲弊や負傷のリスクを減らし、本番に向けて十分な準備期間を確保する狙い。結果、東京大会では史上最多の金メダル9個を含むメダル12個(全14階級)を獲得した。

73キロ級の橋本壮市(31=パーク24)81キロの東京五輪金メダリスト永瀬貴規(29=旭化成)90キロ級の村尾三四郎(22=JESグループ)も内定。73キロ級に関しては今年、五輪2連覇中の大野将平(旭化成)が第一線から退いていた。

既に66キロ級は、東京五輪金メダリストの阿部一二三(26=パーク24)が6月にパリ切符を獲得。日本柔道史上最速となる五輪1年1カ月前の内定をつかんだ。今回は“第2弾”。斉藤は、国士舘大の先輩でもある石井慧の08年北京五輪を最後に遠ざかる、最重量級の金メダル奪還という大きな期待を背負う。

ここまで内定していない60キロ級と100キロ級の代表は12月のグランドスラム(GS)東京大会の結果を踏まえて決定。年内に全7階級の代表が出そろう。【木下淳】

◆斉藤立(さいとう・たつる)2002年(平14)3月8日、大阪府生まれ。東京・国士舘高から国士舘大。5歳から柔道を始め、父譲りのセンスで小中高すべて日本一。男子100キロ超級で18、19年のインターハイを2連覇した。21年のGSバクー大会でシニアの国際大会初制覇。22年に史上初の全日本選手権親子優勝を達成した。20歳1カ月は史上3位の年少記録でもあった(石井、山下泰裕に次ぐ20歳1カ月)。父仁さんは88年に27歳で初優勝した。得意技は仁さん直伝の体落とし、内股、足車。服は5XLで靴は35センチ。組み手は左。家族は母と兄。血液型O。

村尾三四郎(2022年12月撮影)
全日本選手権で初優勝してガッツポーズする斉藤(2022年4月)
88年10月、ソウル五輪男子柔道95キロ超級で金メダルを獲得した斉藤仁
斉藤立(2022年8月撮影)
橋本壮市(2016年12月撮影)
永瀬貴規(2019年11月撮影)
【イラスト】柔道パリ五輪代表内定選手

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【柔道】東京五輪金メダルの素根輝、世界選手権2年連続2位の舟久保遥香がパリ五輪代表に内定!

素根輝(左)と舟久保遥香

柔道の21年東京オリンピック(五輪)女子78キロ超級の金メダリスト素根輝(23=パーク24)と、女子57キロ級で世界選手権2年連続準優勝の舟久保遥香(24=三井住友海上)が、来年7月に開幕するパリ五輪の日本代表に内定した。

全日本柔道連盟(全柔連)が23日、オンラインで強化委員会を開き、全日本女子の増地克之監督(52)からの推薦が承認された。

素根は5月の世界選手権で優勝し、来夏の2連覇候補。東京五輪後の左膝手術から復活し、昨年12月のマスターズ大会も3位と安定した成績を残していた。増地監督は「ディフェンディングチャンピオンの経験が生きる」と期待した。

対抗の冨田若春(コマツ)は今年のマスターズ大会で初戦敗退。素根と同時出場した昨年のグランドスラム(GS)東京大会も、素根の優勝に対し自身は5位と序列を覆せなかった。

舟久保は22、23年の世界選手権ファイナリスト。2年連続で銀メダルにとどまったものの、今年のマスターズ大会3位など国内トップの実績を積んできた。一方、対抗の玉置桃(三井住友海上)がGSウランバートル大会で2回戦敗退するなど差が開いていた。

全柔連の規定では「同じ階級の(2番手以下の)他選手と明らかな差がついた」と判断された場合、強化委を経て五輪代表を早期内定できる。この制度は自国開催の東京五輪を前に整備された。疲弊や負傷のリスクを減らし、本番に向けて十分な準備期間を確保する狙いがある。結果、東京大会で史上最多の金メダル9個を含む12個のメダル(全14階級)を獲得した。

女子は、既に2人が早期内定。48キロ級で世界選手権3連覇の角田夏実(30=SBC湘南美容クリニック)と70キロ級の世界女王、新添左季(27=自衛隊)がパリ切符をつかんでいる。

今回、内定しなかった57キロ級と78キロ級の代表は11月の講道館杯、12月のGS東京大会の結果を見て決定。年内に全7階級の代表が出そろう。【木下淳】

【イラスト】柔道パリ五輪代表内定選手

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【柔道】新潟が鹿児島国体の出場権獲得 斎藤昂矢が富山・荒井大成との代表戦を制す

代表戦で優位に試合を進める斎藤(右)

<北信越国体・柔道競技>◇20日◇成年男子・女子◇上越市・謙信公武道館

新潟が成年男子が鹿児島国体(10月)の出場権を獲得した。

富山との決勝は2-2の代表戦にもつれ込む接戦。代表戦は先鋒(せんぽう)同士の対戦で、斎藤昂矢(30=新潟県警)が、荒井大成(ナカハシ)を1分45秒、横四方固めの技ありで下し、国体切符を手にした。鹿屋体育大卒の斎藤にとって、第2への故郷の凱旋(がいせん)になる。新潟女子は1回戦で福井に0-3で敗れた。

  ◇  ◇  ◇

斎藤は攻撃の手を休めなかった。先鋒戦では引き分けに終わった選手同士の代表戦。相手に反撃の隙を与えず、技を仕掛け続けた。「覚悟を決めてやるしかない。中堅が1本勝ちしたときから『代表戦はある』と準備してきた」。開始の合図から1秒45に横四方で技あり。ゴールデンスコアで国体出場をたぐり寄せた斎藤には、どうしても勝ちたい理由があった。

国体開催地の鹿児島は、鹿屋体大で4年間過ごした第2の故郷。当地で出会って結婚した美優夫人(32)は鹿児島県志布志市出身だ。「一緒に鹿児島へ行こう」と斎藤は美優夫人の里帰りを約束をしていただけに「気合が入った」と言う。「奥さんの実家の人たちが国体の応援にきてくれる」と鹿児島国体では、ますます気合は入る。

新潟市西区出身で県警機動隊の斎藤は高校時代、神奈川・桐蔭学園で腕を磨いた。同県の同学年、同階級には21年東京五輪60キロ級金メダリスト高藤直寿(30=当時は東海大相模高)がいた。高い壁を乗り越えられず、インターハイとは無縁だったが「何十回も負けたけれど、神奈川の国体予選で1回、勝ったことがある」と言う。今井敏博監督(40)は「彼はベテラン。今までやってきた柔道をやれば勝てると思った。いい柔道をしてくれた」と斎藤の奮闘をたたえた。【涌井幹雄】

代表戦で攻めまくる斎藤

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五輪3連覇の野村忠宏さんが「戦友」谷亮子さんとのツーショットを公開「呼び方は田村のまんま」

野村忠宏さんのインスタグラムから

柔道男子60キロ級で五輪3連覇を果たした野村忠宏さん(48)が8日までにインスタグラムを更新。女子柔道48キロ級で00年シドニー、04年アテネ五輪金メダルの谷亮子さん(47)とのツーショットを公開した。

野村さんが谷さんの肩を抱いたツーショットを掲載。2人が五輪で獲得した5個の金メダルの絵文字とともに「田村と野村 最軽量級コンビとして1996年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪、2004年アテネ五輪に挑んだ、言わば戦友

オリンピック5大会連続メダル獲得(金2銀2銅1)

2年に1度の世界選手権では6連覇を含む7度の優勝。

勝負への拘りと積み重ねてきた実績がスゴすぎる」と谷さんを紹介した。

最後に「そういや、谷さんになってからも呼び方は27年前と変わらず、田村のまんまだ。笑」と締めた。

フォロワーからは「オリンピックのスーパーレジェンドのツーショットですね」「息子さんの野球応援で!久々に偉大なヤワラちゃんを見れた事嬉しかったです」などのコメントが寄せられた。

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【柔道】斉藤立3位、影浦心5位…マスターズ大会の男子100キロ超級3位決定戦で明暗分かれる

斉藤立(2022年4月29日撮影)

<柔道:マスターズ大会>◇6日◇最終日◇ブダペスト◇男子100キロ超級

来夏のパリ五輪(オリンピック)を目指す22年全日本王者、斉藤立(21=国士舘大)が銅メダルを獲得した。

3位決定戦でユン・ジェグ(韓国)に一本勝ち。4分間の本戦ではポイントこそ奪えなかったが、ゴールデンスコア方式の延長戦で勝った。突入から25秒、大外刈りで背中から畳に落とした。頂点しか見ていなかっただけに笑顔はなく、一方で相手との握手では深々とお辞儀して健闘をたたえ合った。

準決勝では、この大会を制したマルッティ・プーマライネン(フィンランド)に優勢負け。背負い投げで技ありを奪われ、昨年12月の前回大会(エルサレム)に続く2連覇を逃していた。

1回戦から大内刈り、内股からのけさ固めと一本勝ちを重ね、準々決勝では東京五輪銀メダルのトゥシシビリ(ジョージア)に一本勝ち。順調に勝ち上がっていただけに悔やまれる敗戦となったが、切り替えて最低限の表彰台は守った。

影浦心(27=日本中央競馬会)も準決勝で敗れた。世界ランキング1位のテムル・ラヒモフ(タジキスタン)に一本負け。回った3位決定戦ではゲラ・ザアリシビリ(ジョージア)に屈して5位に終わった。

世界ランキング上位者らで争われる大会で、五輪、世界選手権に次いで獲得ポイントが高い。今年はパリ五輪の日本代表選考において重要な位置付けとなっていた。

斉藤は5月の世界選手権(ドーハ)で怪物テディ・リネール(フランス)との対決に敗れた後、すぐ始まった敗者復活戦でも影浦に敗れていた。ただし影浦は当時も5位でメダルを逃しており、直接対決はなかったものの、今回は3位で上回った斉藤が、再びパリ切符争奪戦のリードを広げた。【木下淳】

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【柔道】パリ五輪で兄妹同日2連覇へ「先に金で妹にいい流れ」今回は阿部一二三→詩の順で決勝戦

パリ五輪代表に内定し、会見で記念撮影を行う男子66級の阿部一(左)と女子52キロ級の阿部詩(撮影・狩俣裕三)

柔道の24年パリ五輪代表に早期内定した男女4選手が一夜明けた30日、都内の講道館で取材に応じた。

東京五輪金メダル兄妹、男子66キロ級の阿部一二三(25)と女子52キロ級の詩(22=ともにパーク24)は、前回と変わって一二三→詩の順になる決勝で2連覇を狙う。女子48キロ級の角田夏実(30=SBC湘南美容クリニック)と70キロ級の新添左季(26=自衛隊)も登場した。

   ◇   ◇   ◇

一二三と詩は前夜、神戸から上京していた家族と喜びを共有した。東京五輪は詩が20年2月に内定を受けた一方、一二三は全14階級で1人だけ、同12月の丸山城志郎との史上初ワンマッチまで代表を争った。「もし出られなかったら兄として立場ない…。家族も心から喜べなかったはず」という前回から成長し、宿敵との関係に決着をつけ、史上最速の五輪13カ月前に兄妹同時内定。「両親が喜んでくれた」と声をそろえた。

目標は兄妹同日V再現の2連覇で揺るぎない。来年7月28日に思いをはせた。パリも同日に試合を迎えるが、決勝の順が変わる。前回は詩が先に金メダルを獲得し、一二三が続いて兄の面目を保った。次は男女平等の観点などから隔日で試合順が入れ替わり、競技2日目は一二三→詩になる。

妹は「え、不安です」と苦笑い。19年グランドスラム大阪を思い出した。珍しく決勝が先だった兄が丸山を破った死闘に見入ってしまい「変な気合の入り方になって」敗戦。苦い記憶だが、無敵の今は兄と重圧を楽しむ。一二三も「妹は(後決勝に)慣れていないけど(内定で)1年以上あるので心の準備はできる。自分が先に金メダルを取って妹にいい流れをつくりたい」と約束した。【木下淳】

パリ五輪代表の内定会見で、自衛隊所属の70キロ級の新添(左から3人目)にならって、いっしょに敬礼ポーズをする、左から女子48キロ級の角田、男子66級の阿部一、1人おいて女子52キロ級の阿部詩(撮影・狩俣裕三)
パリ五輪代表の内定会見で仲良く話す男子66級の阿部一(左)と女子52キロ級の阿部詩(撮影・狩俣裕三)
パリ五輪代表に内定し、記者の質問に答える女子52キロ級の阿部詩(撮影・狩俣裕三)

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【柔道】パリ内定の新添左季「昨日とは知らず…」と天然も、過去5大会中4大会で金の継承に意欲

パリ五輪代表に内定し、記者の質問に答える女子70キロ級の新添(撮影・狩俣裕三)

柔道の24年パリ五輪(オリンピック)日本代表に早期内定した男女4選手が、全日本柔道連盟(全柔連)強化委員会の承認から一夜明けた30日、東京・講道館で取材に応じた。

先月の世界選手権(ドーハ)で初優勝した70キロ級の新添左季(26=自衛隊)は「強化委員会の日を知らなかったので『え、今日だったんだ』って驚きました。下旬とは聞いていたんですけど。ホッとしました。母親からは、明らかに無料だろうなっていう、はねて何か喜んでる絵のスタンプだけ届きました」と笑わせ、天然ぶりを発揮した。

幼少時も想像できなかったことだったといい「高校まで天理だったんですけど(12年ロンドン五輪100キロ級代表)穴井隆将さん(天理大監督)の壮行会とか出たことあります。ただ、自分が同じ立場になるとは…信じられない」という実感も口にした。

昨年の世界選手権(タシケント)は田中志歩(JR東日本)との2人代表で、階級的に心配もされている状況だったが、代名詞の内股を武器に銅メダル。そして今年の世界選手権は優勝し、一気に最速内定の1人にまで成長した。

期待は大きい。この階級は04年アテネ、08年北京で2連覇した上野雅恵、16年リオデジャネイロの田知本遥、21年東京の新井千鶴と過去5大会のうち4大会で日本勢が金メダルを獲得している。

「責任は重大ですが、でも思い詰め過ぎず、自分のペースで。1年以上、準備期間をいただいたので、大事に使って万全にしたい。世界選手権で出た課題を修正しつつ、弱点の決めの部分を磨いて、練習から隙を見せない柔道をしていきたい」と、さらなる成長を誓った。【木下淳】

パリ五輪代表の内定会見で、自衛隊所属の70キロ級の新添(左から3人目)にならって、いっしょに敬礼ポーズをする、左から女子48キロ級の角田、男子66級の阿部一、1人おいて女子52キロ級の阿部詩(撮影・狩俣裕三)
パリ五輪代表の内定会見で敬礼しながら記念撮影をする女子70キロ級の新添(撮影・狩俣裕三)

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