日刊スポーツ

【高校ラグビー】準V東福岡NO8高比良恭介主将は明大へ/高校ラガーマン主な進路

前半、こぼれ球を拾い、トライを決める桐蔭学園WTB田中健想(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。

“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。花園出場選手の主な進路は以下の通り。

◆東福岡 高比良恭介(明大)松崎、利守、井上(青学大)西浦(早大)松尾(帝京大)隅田(同大)

◆佐賀工 柴田(近大)井上(筑波大)服部(早大)大和(明大)

◆大阪桐蔭 西野(立命大)野村(明大)林田(帝京大)

◆中部大春日丘 福田(帝京大)浜浦(筑波大)

◆流通経大柏 阿部(明大)

◆東海大大阪仰星 和田(東海大)

◆名護 宮里(京産大)

◆尾道 杉本(明大)

◆静岡聖光学院 小野沢(慶大)

◆川越東 寺山(筑波大)

帝京大に進学する東福岡WTB松尾佳大(2024年1月6日撮影)
早大に進学する佐賀工SO服部亮太(2023年撮影)
帝京大に進学する大阪桐蔭主将の林田力(2024年1月4日撮影)
慶大に進学する静岡聖光学院FB小野沢謙真と父で元日本代表WTB小野沢宏時氏

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】決勝トライの桐蔭学園・田中健想「『あー、トライしたんだ』って」喜び語る

桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決めるWTB田中健想(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が接戦の末に東福岡を破り、3大会ぶり4度目の優勝。フィフティーンが喜びを語った。

相手のこぼしたボールを奪い返し、決勝点となるトライを奪ったCTB田中健想(3年)は「相手の選手がノックオンした瞬間に取る気持ちでした。(トライの)実感はわかなかったんですけど、味方が寄ってきて『あー、トライしたんだ』って素直にうれしかった」と白い歯を見せた。

貴重な先制PGを決めたFB吉田晃己(3年)は「1点2点を争うところでは自分のキックは大事。後半は完全に相手のペースでしたが、最終的には自分の3点が響いて良かった」と責任を果たし、ホッとした表情を見せた。

後半に負傷退場したWTB諸田章彦(3年)は「3年間、仲間に支えてもらった。決勝も最後までできなくて悔しいところはあるんですけど、仲間がここまで連れてってくれました」と仲間に感謝していた。

桐蔭学園対東福岡 前半、右中間へ飛び込みトライを決める桐蔭学園WTB田中(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、桐蔭学園WTB田中健想(右から3人目)のトライに喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】V桐蔭学園・藤原監督「意志あるところに必ず道あり」他業種の人とも積極的交流

桐蔭学園対東福岡 優勝を飾り、スタンドから花束を贈られた桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。

◇  ◇

4度目の優勝を果たした藤原秀之監督は、4度胴上げされた後に「桐蔭学園の歴史をつくってくれた」と成長した選手たちをたたえた。

藤原監督がラグビーと出会ったのは中学時代だった。元々野球少年だったが「やんちゃな生徒が多かった」という野球部が中2で廃部に追い込まれた。その後はバスケ部に誘われたり、卓球部に所属していたが「力を持て余していた」。悶々とする日々の中で、担任から教えられたのが、ラグビーだった。テレビで大東大一の試合を見て、進学を決めた。入部当初は「だまされた。なんてきついクラブなんだろう」と退部も考えたというが「芯を通そう」と続け、全国制覇まで成し遂げた。

日体大卒業後は指導者の道へ。90年に桐蔭学園コーチに就任し、02年から監督を務めてきた。指導者として最もやりがいを感じるのは「できなかったことを、できるようになっているのを見た時」。その思いで20年以上桐蔭学園を率いてきた。

名将と呼ばれる域に達しながらも、現状維持には満足しない性分。「教員は狭い世界」と考え、積極的に社会に出たOBと会話する。「うちには焼き鳥屋でミシュランを取ったOBがいるし、銀行の常務もいる。いろんな人種がいるからおもしろい」。ビジネスマンや職人とのコミュニケーションから刺激を受け、自身をアップデートしてきた。練習メニューを工夫したり、30分以内の補食摂取を徹底するなど、新たに取り入れることも多い。

座右の銘は「意志あるところに必ず道あり」。その道はこれからも続いていく。

桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園の藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 笑顔で記念写真に納まる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を贈られる桐蔭学園白井(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 胴上げされる桐蔭学園・城主将(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め喜びを爆発させる桐蔭学園フィフティーン(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園の選手、監督ら(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決めるWTB田中健想(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、桐蔭学園WTB田中健想(右から3人目)のトライに喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、バックスにパスを出す桐蔭学園SO萩井(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、突進する桐蔭学園NO8城(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、先制のPGを決める桐蔭学園FB吉田(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、先制のPGを決める桐蔭学園FB吉田(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、右中間へ飛び込みトライを決める桐蔭学園WTB田中(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 後半、ボールを持って突進する桐蔭学園NO8城(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、攻め込む桐蔭学園SO萩井(左)(撮影・藤尾明華)
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績
【イラスト】高校ラグビー・花園優勝回数ランキング

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園、今季15人制全勝で“春冬2冠”藤原監督「久しぶりに味わった感動」

桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園の藤原監督(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。

   ◇   ◇   ◇

ラストプレーまで目が離せない激戦だった。桐蔭学園が前半はトライとPGで8点リードしたが、後半3点差に迫られ、終盤は東福岡に押し込まれた。「冷静に!」と声をかけ合いながら必死に体を張り、粘り強く守り続けた。ノーサイドのホイッスルの瞬間、選手は跳びはねて喜びを爆発させ、藤原監督は「感慨深い。久しぶりに味わった感動」とスタッフと握手をかわした。

3大会ぶり4度目の大会制覇には、悔しさが原動力になった。過去3度花園で頂点に立ちながら、前回は県大会決勝で東海大相模に敗れた。指揮官の耳には「桐蔭はこのまま落ちていく」という関係者の会話も入ってきた。選手は敗戦当日から練習を開始し、直後のミーティングでは意見をかわして再スタートを切った。

花園出場が途絶えたことで、次年度につながる経験の蓄積がなくなったことも痛手だった。そのため22年12月26日から28日まで関西遠征を敢行。東海大大阪仰星や京都工学院と練習試合をするだけでなく、出場できなかった花園にも足を運んだ。花園初心者として、トイレの位置から確認した。SO萩井は「なんでここ(スタンド)にいるのかと思った」。悔しさをかみしめながら、1年後への思いを強めた。

藤原監督が「しんどいことも笑顔で乗り越えられる」と評す選手たちは、春の選抜大会で優勝。夏には少しゆるみも出たが、菅平合宿での東福岡戦の夜に「このままでいいのか」と引き締め直し、再び花園切符をつかんだ。たどり着いた聖地では最後まで強さを見せつけた。

屈辱の敗戦からはい上がっての2冠に中森は「あの負けがなかったら優勝できなかったと、はっきり言える」。試合後に4度宙を舞った指揮官は「知らないと思ってたけど、胴上げのDNAが残っていましたね」。一度は途切れかけた歴史を、たくましさを増した選手たちが再びつないでみせた。【永田淳】

桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を飾り、スタンドから花束を贈られた桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 笑顔で記念写真に納まる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 胴上げされる桐蔭学園・城主将(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を贈られる桐蔭学園白井(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め喜びを爆発させる桐蔭学園フィフティーン(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園の選手、監督ら(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決めるWTB田中健想(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、桐蔭学園WTB田中健想(右から3人目)のトライに喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、バックスにパスを出す桐蔭学園SO萩井(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、突進する桐蔭学園NO8城(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、先制のPGを決める桐蔭学園FB吉田(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、先制のPGを決める桐蔭学園FB吉田(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、右中間へ飛び込みトライを決める桐蔭学園WTB田中(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 後半、ボールを持って突進する桐蔭学園NO8城(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、攻め込む桐蔭学園SO萩井(左)(撮影・藤尾明華)
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績
【イラスト】高校ラグビー・花園優勝回数ランキング

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園のV支えたミーティング「広さでは勝っているけど近江牛は負けている」

桐蔭学園対東福岡 優勝し、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。

“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。

  ◇  ◇  ◇

桐蔭学園の優勝を陰で支えた取り組みの1つが、相手の戦力や対策と別に「学校紹介」として行われる一風変わった独自のミーティングだ。

そのミーティングでは、相手校の創立年や校訓、監督の経歴などについて、担当が回ってきた2選手がスライドを作成し、プレゼンする。クイズが散りばめられるなど工夫され、最後には自分たちの勝っているところと負けているところ挙げることになっている。1日の光泉カトリック(滋賀)との3回戦前には「学校の広さでは勝っているけど、近江牛という名産品では負けている。これで1勝1敗。試合に勝って2勝1敗にしましょう」と締められた。

元々は2度目の優勝を果たした19年度大会で、藤原監督が浦和(埼玉)との3回戦前に行ったのがはじまり。前評判では戦力差が大きいとみられていたが、指揮官は相手を警戒。「勉強、部活、行事に力を入れている、おとこ気ある学校」と選手に伝え、試合に臨んだ。「よく『相手をリスペクト』と言うけど、本当にわかっているのか」。その疑問から、指揮官が取り入れ、以降は選手が順々に役割を担うことになった。

経験を重ねるうちに発表者がユーモアも加えるようになったことで、より欠かせないものになった。藤原監督は「効果があるかどうかわからないけど、ミーティングは和みますよね」とだけ話したが、選手からは「雰囲気が良くなって、意見を言いやすくなった」と声も出る。この“儀式”なしに、日本一はなかったかもしれない。

桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園の選手、監督ら(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 胴上げされる桐蔭学園・城主将(撮影・藤尾明華)
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績
桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園の藤原監督(撮影・藤尾明華)
前半、こぼれ球を拾い、トライを決める桐蔭学園WTB田中健想(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園・藤原監督にあいさつをする東福岡・高比良主将とフィフティーン(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決める桐蔭学園WTB田中健想(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を受け取る桐蔭学園CTB白井(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園SO萩井と東福岡FB隅田はともに大阪出身「代表で一緒にプレーしたい」

桐蔭学園対東福岡 前半、バックスにパスを出す桐蔭学園SO萩井(撮影・上田博志)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。

    ◇    ◇    ◇

桐蔭学園SO萩井と東福岡FB隅田は、ともに大阪出身。小学生の頃から吹田RSでともにボールを追いかけた仲だ。

萩井は「日本一のスタンドオフになる」と宣言し、桐蔭学園の門をたたいた。前回大会は花園に出場できず悔しい思いをしただけに「大阪の地に帰って来れて優勝できてうれしい」と笑顔。送り出してくれた両親に「桐蔭に行かせてくれてありがとうっていうのと、有言実行したよって言いたい」と感謝した。

東福岡に進んだ隅田とは昨春の選抜大会などでも会話を交わし、「誠太郎が頑張ってるから俺も頑張れる」という存在。「負けたくはなかったし、花園の決勝の舞台でマッチアップしたいと思って誠太郎の前に立ってました」。中学時代と比べ「10倍レベルアップしてる」と評した東福岡のキーマンを封じた。

一方、隅田は「勝つビジョンで挑みましたけど、桐蔭学園さんが一枚上でした」。萩井との対決については「頼もしくなってた。試合中も何回も目が合った。楽しかった」とうれしそうに振り返った。

今春、萩井は明大、隅田は同大に進学する。2人は異口同音に「次のステージでも負けたくない。そして、各世代の代表に入って一緒にプレーしたい」。物語は続く。

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園が3大会ぶり制覇 城主将は「みんなが頑張ってくれたおかげ」

桐蔭学園対東福岡 後半、ボールを持って突進する桐蔭学園NO8城(撮影・上田博志)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が、3大会ぶり4度目の頂点に立った。

激しい攻防を制して3点差で勝利。強力なFW対決で体を張ったプロップ前田麟太朗(3年)は「1年前からずっと準備してきた者がすべて出せた。優勝は、自分の人生の中でも最大の財産になると思う」と歓喜。前回王者に競り勝ち「1対1で勝負できた」とうなずいた。

27日に開幕してから12日。NO8城央祐主将(3年)は全試合を終えて「すごく短かった」と、振り返った。

12日間で5試合のスケジュール。中1日の日程をこなして疲労もたまっていたが「それは東福岡さんも一緒。70~80%の力でのやり合いが花園だと思うので、そこで勝てるかは自分たちしだい」と冷静にコメント。

終盤には、疲労から足が動かなくなる場面もあったが、試合前のミーティングで話し合った「すべて出し切って。とにかく頑張って走ろう」を全員で持ち続け、60分間懸命に走りきった。

昨春の選抜大会に続く制覇で2冠を達成。NO8城は、信頼できるメンバーと、集大成となる大会で最高の結果を残し「みんなが頑張ってくれたおかげ」とうれしそうに目尻を下げた。

桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園の藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 胴上げされる桐蔭学園・城主将(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を贈られる桐蔭学園白井(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園フィフティーンは笑顔でポーズを決める。左は藤原監督(撮影・上田博志)
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績
【イラスト】高校ラグビー・花園優勝回数ランキング
【イラスト】高校ラグビー過去10大会の決勝戦

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】史上最多55人の3年生引っ張った東福岡・高比良恭介主将「ありがとうしかない」

桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園・藤原監督にあいさつをする東福岡・高比良主将とフィフティーン(撮影・上田博志)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

前回王者・東福岡が桐蔭学園(神奈川)に競り負け、花園連覇を逃した。現3年生は中学3年時にコロナ禍が直撃。不完全燃焼のまま入学した最上級生は同校史上最多の計55人が集まった。背中で語るNO8高比良恭介主将(3年)が大所帯をけん引。集大成の冬は涙の準優勝も完全燃焼でやり遂げた。

    ◇    ◇    ◇

無情のノーサイドの笛が鳴った瞬間、東福岡・NO8高比良主将は花園の冬空を見上げた。「高校最後の試合が終わった…」。口元を震わせ、目には悔し涙を浮かべる。「ただ、ただ、悔しいのひと言」。周りを見れば控えメンバーも全員が目頭を押さえている。頂上決戦はたった3点差が明暗を分けた。互角勝負だっただけに「この敗戦があったから良かったと、今後は思えるようにしないといけない」。歓喜する桐蔭学園の光景を目に焼きつけ、フィールドを後にした。

5-8の後半29分。敵陣ゴール前まで攻め込むも、あと5メートルが届かない。1トライで逆転の場面だったが、相手の堅守に阻まれた。藤田監督は「日本一のFWだからね」と勝者をたたえた。高比良も「あそこで守り切れる桐蔭学園さんの強さ。完敗だった」。前回王者に言い訳はない。敗戦を潔く認めた。

現3年生は“ヒガシ史上最多”の55人が集結した。中学3年時にはコロナ禍に見舞われ、大会は軒並み中止になった世代。藤田監督は「来る者は拒まない」と“親心”のような気持ちで大所帯を歓迎した。高校で一花咲かせてやりたい-。その一心だった。結果は準優勝となったが、「最後にピークパフォーマンスを持ってきてくれた。チームの誇りですね」と選手たちをねぎらった。

懐の広い絶対的リーダーが高比良だった。仲間とは絶妙な距離を取る。多くは語らない。背中で引っ張るタイプ。BKリーダー利守はこう証言する。「誰よりも体を張ってる。試合を見れば分かりますけど、誰よりも痛いところに頭を入れている。控え選手も含め、僕たち全員が見ている」。練習前の準備、練習後の後片付けも率先して参加。誰からも信頼され、みんながついて行った。高比良は「ありがとうしかない」と声を震わせ、チームメートに感謝した。

現チームのスローガンは「彩」を掲げていた。「無地のキャンバスに1人1人の個性を彩る」ことを指針とした。最後の冬もチーム一丸で戦い抜き「1人1人が強みを出して、自分色を出して、グラウンドを彩れたと思う。やり切った」と胸を張った。真っ白だったキャンバスは、色鮮やかな唯一無二の絵に仕上がった。【佐藤究】

桐蔭学園対東福岡 表彰式で整列する東福岡フィフティーン(右)(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 連覇を逃した東福岡フィフティーンは悔しそうな表情で整列に向かう(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 東福岡は桐蔭学園との接戦に敗れ惜しくも連覇はならなかった(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 惜しくも連覇を逃し曇天の空を見上げる東福岡・藤田監督(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 前半、ボールを持って突進する東福岡プロップ茨木(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(左端)(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 スタンドにあいさつする東福岡フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、ボールを持って突進する東福岡NO8高比良(撮影・上田博志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園OB松島幸太朗が花園V祝福「すごく強くて、安心して見られました」

11年、第90回全国高校ラグビー大会決勝の東福岡戦でトライを決める桐蔭学園FB松島幸太朗

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前回王者の東福岡を下し、3大会ぶり4度目の優勝を飾った。3点差の接戦を制しての頂点。日本代表としてW杯に3大会連続で出場したOB松島幸太朗(30=東京サントリーサンゴリアス)がメッセージを寄せた。

   ◇   ◇   ◇  

桐蔭学園から世界へ羽ばたいた男が、母校の悲願成就を喜んだ。

松島は自身が3年だった10年度に初優勝。だが、決勝は15年W杯日本代表の藤田慶和(三重ホンダヒート)らを擁した東福岡に追い付かれ、31-31の両校優勝だった。名勝負から13年。「どっちが勝ってもおかしくない試合でしたが、桐蔭学園のみんなの絶対勝ちたい気持ちが上回ったのかな、と思いました」と後輩をたたえた。

昨夏には19、20年度の花園2連覇を祝う祝賀会が横浜市内で開かれた。W杯フランス大会に向けて代表活動に参加していた松島や斎藤直人(東京サントリーサンゴリアス)らは、そろってビデオメッセージでエールを届けた。世界で戦うトップ選手となっても母校を気にかけ、この日は「昨年は花園に出られなかった悔しさがあったと思う。今年は全部の試合を通して、すごく強くて、安心して見られました」と喜んだ。

花園での激闘は先輩の心も揺さぶった。【松本航】

【イラスト】高校ラグビー・花園優勝回数ランキング
桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園の選手、監督ら(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を受け取る桐蔭学園CTB白井(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
【イラスト】高校ラグビー過去10大会の決勝戦
桐蔭学園対東福岡 胴上げされる桐蔭学園・城主将(撮影・藤尾明華)
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】前回王者の東福岡が5-8で惜敗 CTB神拓実「悔しい思いでいっぱい」と涙

桐蔭学園対東福岡 スタンドにあいさつする東福岡フィフティーン(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

東福岡は、同校2度目となる連覇を果たせずうなだれた。点差わずか3点。互いに守備力が光るロースコアゲームは、桐蔭学園(神奈川)に軍配が上がった。

前半はボールをキープして前進してくる相手に押されて自陣でのプレーが続いた。

ただし、8点ビハインドで迎えた後半は徐々に攻撃機会を得て、16分にCTB神拓実(3年)がトライ。ゴールラインまで攻め込まれても突き返してグラウディングを阻むなど、終始粘り強いDFを貫いたが、あと1本が決めきれず優勝を逃した。

トライを決めたCTB神は、目を赤らめながら「悔しい」と何度もこぼした。昨春の選抜大会決勝で19-34で敗れた相手。

「桐蔭学園を倒そうってみんな必死で練習してきて」と1年間の努力を思い起こし「自分たちの持ち味を出せなかった。優勝だけを目標にやってきたので、悔しい思いでいっぱい」と唇をかんだ。

SO井上晴生(3年)は「完全に自分のミス」とむせび泣いた。今大会調子を上げ、監督からも「覚醒してる」と評されていた。この日も精度の高いキックでチームに貢献したが、前半24分に自陣深くでターンオーバーしたボールをこぼし、ノックオン。それが相手の先制トライにつながってしまった。

「あのトライが生まれたのは僕のキャッチミスからで。せっかく仲間が頑張ってくれたのにトライを取られて、その5点が後半響いて…」。

消化できない感情を抱えながら、聖地を去った。

桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(左端)(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 後半、パスを受け、トライを決めるCTB神(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、ボールを持って突進する東福岡プロップ茨木(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 連覇を逃した東福岡フィフティーンは悔しそうな表情で整列に向かう(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 東福岡は桐蔭学園との接戦に敗れ惜しくも連覇はならなかった(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 惜しくも連覇を逃し曇天の空を見上げる東福岡・藤田監督(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園・藤原監督にあいさつをする東福岡・高比良主将とフィフティーン(撮影・上田博志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園が3大会ぶり4度目V“横綱対決”3点差で東福岡振り切る

桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決めるWTB田中健想(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

桐蔭学園(神奈川)が前回王者の東福岡を倒し、3大会ぶり4度目の優勝を遂げた。

「東の横綱」「西の横綱」がぶつかる最終決戦は、立ち上がりから熾烈(しれつ)な攻防が続いた。ただし、1PG差でリードする前半24分。一度はボールを失ったが、相手のこぼしたボールを奪い返してWTB田中健想(けんぞう、3年)がトライ。8-0の後半には1トライを許したものの、3点差の接戦を制して頂点に立った。

藤原秀之監督は「東福岡には決勝で勝ったこと一度もない。本当に良かった。今日スタンドにいる選手、桐蔭学園のファミリーのおかげ」とコメントした。

今季の両校の戦績は、昨春の選抜大会決勝で34-19で勝利。一方、昨秋の国体では、東福岡主体の福岡相手に、桐蔭学園主体の神奈川は17-38で敗れていた。

2回戦以降、中1日で行われるトーナメント。藤原監督は、決勝前「動けるかでしょうね、5戦目は」と体力、気力の要素も重要になると予測。東福岡に対しては「FWもすごく修正してきてるし、モールでトライを取る力もあるし、BKも非常にトライを取る力がある」と分析し、自チームに得点力を求めていた。その1点を追う力が、勝利をもたらした。

決勝で両校が対戦したのは10年度以来13大会ぶり。当時は31-31の引き分けで両校優勝となったが、今回は過去7度優勝している相手から白星を奪い、単独Vをつかみ取った。

桐蔭学園対東福岡 前半、こぼれ球を拾い、トライを決めるWTB田中健想(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、桐蔭学園WTB田中(左から4人目)のトライに喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 前半、先制のPGを決める桐蔭学園FB吉田(撮影・藤尾明華)
【イラスト】高校ラグビー過去10大会の決勝戦
桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園フィフティーンは喜びを爆発させる(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝した桐蔭学園フィフティーンは喜びを爆発させる(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝旗を受け取る桐蔭学園CTB白井(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 優勝し、胴上げされる桐蔭学園藤原監督(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園の選手、監督ら(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 3大会ぶり4度目の優勝を飾った桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対東福岡 優勝を決め、喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
【イラスト】高校ラグビー・花園優勝回数ランキング
【イラスト】桐蔭学園の年度別成績

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】ついに決勝戦!前回対戦まさか両校優勝、決戦制すのは東福岡か?桐蔭学園か?

前日練習で選手に指示を送る桐蔭学園藤原監督(右から3人目)(撮影・阪口孝志)

全国高校ラグビーは7日、大阪・花園ラグビー場で、3大会ぶり4度目優勝を目指す桐蔭学園(神奈川)と2大会連続8度目の頂点を狙う東福岡(福岡)による決勝が行われる。両校が決勝で顔を合わせるのは、両校優勝となった10年度以来。両校は6日、ともに神戸市内のグラウンドで最終調整を行った。

高校ラグビー 過去10大会の決勝戦

関連するニュースを読む

【ラグビー】トヨタ姫野和樹主将「地力のなさが出た」埼玉に一時27-5から痛恨の逆転負け

埼玉対トヨタ 前半、トライを決め喜ぶトヨタWTBヴィリアメ・ツイドラキ(右)(撮影・浅見桂子)

<ラグビー・リーグワン1部:埼玉43-27トヨタ>◇第4節◇6日◇埼玉・熊谷ラグビー場◇観衆1万4544人

大型補強で注目を集めるトヨタヴェルブリッツ(トヨタ)が、強豪からの勝利を逃した。

前半はWTBヴィリアメ・ツイドラキ(26)が3本のトライでハットトリックを決め、28分には仲間を巧みな走りでフォローしたニュージーランド代表SHアーロン・スミス(35)がトライ。前半を27-8で折り返して、主導権を握った。

だが、後半は相手の控え選手も含めた圧力に屈し、5トライを献上。日本代表で先発NO8の姫野和樹(29)は「彼ら(埼玉)は後半が強いチームと分かっていた。自分たちの実力のなさ、地力のなさが出てしまった」と振り返った。

2勝2敗となったが、リーグ戦は残り8試合が予定されている。存在感を示したスミスは「前半の40分間、あれだけ素晴らしいことができた。自分のパフォーマンス、個人のレベルを上げないといけない。自分のやるべきラグビーを遂行する」と矢印を自らに向け、チームとしての成長につなげる。【松本航】

埼玉対トヨタ 後半、タックルされるトヨタSHアーロン・スミス(中央)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めるトヨタWTBヴィリアメ・ツイドラキ(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めたトヨタSHアーロン・スミス(左)はフィフティーンと喜び合う(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めるトヨタSHアーロン・スミス(右)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めるトヨタSHアーロン・スミス(撮影・浅見桂子)

関連するニュースを読む

【ラグビー】なぜ、埼玉は後半に大逆転できた?37歳の堀江翔太「いい教訓にせなアカン」

埼玉対トヨタ 後半、突進する埼玉フッカー堀江(撮影・浅見桂子)

<ラグビー・リーグワン1部:埼玉43-27トヨタ>◇第4節◇6日◇埼玉・熊谷ラグビー場◇観衆1万4544人

埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)が後半に地力を示す“お家芸”で、開幕4連勝を飾った。

キックの攻防などトヨタヴェルブリッツ(トヨタ)に攻め込まれる時間帯が続いた前半は、40分までに5-27と22点ビハインド。42分に日本代表SO松田力也(29)のPGで8-27とし、前半を折り返した。

ハーフタイムに劣勢の原因が擦り合わせられた。陣取りで優位に立った相手は、ラックにあるボールを持ち出すピック&ゴーを多用。タックルは受ける場面が目立ち、最後は外のスペースが空いていた。防御時に自分がマークする相手を伝える「ノミネート」を早くし、タックルの質を上げていく。

ロビー・ディーンズ監督(64)はコンディション不良の先発FB竹山晃暉(27)に代わって野口竜司(28)を投入し「チーム内に柔軟性があるのは強み。プレッシャーを受けても対応できる」と積極的に交代のカードを切った。

野口は蹴られたボールの競り合いで存在感を示し、徐々に埼玉の土俵へ相手を引きずり込んだ。後半6分には今季限りでの現役引退を表明している日本代表フッカー堀江翔太(37)が投入された。堀江は後半19分にトライ目前まで突破するなどプレー面だけでなく、ベテランらしい振る舞いで試合をコントロールした。

「リーグワンにオールブラックス(ニュージーランド=NZ)、南アフリカ、(南ア代表で静岡の)クワッガ・スミス、(NZ代表で神戸の)サベアとかがいる。お客さんもレフェリーも、もっていかれるんですよね。(21年にNTTドコモに在籍したNZ代表の)ペレナラの時もそう。レフェリーにプレッシャーがかかっていく。リスペクトするのはすごくいいことですが、リスペクトしすぎると、そっちに(判定などの主導権が)流れて良くない」

状況に応じて意思疎通し、プレーに表れない部分でも手綱を握った。後半は攻めては5トライ5ゴールで35得点、守っては無失点。先発フッカーで主将の坂手淳史(30)がかみしめた。

「後半は『入りの10分の精度を大事にしよう』と修正をかけました。ハーフタイムで修正して、相手にプレッシャーをかけられた。勢いに乗れたところに(途中で)入ってきた選手が違いを見せてくれた。堀江さんは落ち着きを取り戻し、(大西)樹はアグレッシブ。いろいろなところで違いを出せる選手がいた」

大型補強を敢行したチームもある中で、この日の埼玉は登録23人全員が昨季までも在籍していた面々だ。場内で解説を務めたOBで元日本代表の福岡堅樹さん(31)が「久しぶりのワイルドナイツ劇場」と後半の強さをたたえた一方、21日で38歳となる堀江は、言い聞かせるように口にした。

「クロスゲームを勝ったのは大きい。でも『前半負けていても(得点を)取れる』と思うのはダメですね。いい教訓にせなアカン」

リーグ戦16試合の4分の1が終わり、5月の終了時に上位4チームがプレーオフに進む。2季ぶりの奪還へ満足はない。【松本航】

埼玉対トヨタ 後半開始直後、頭から流血して交代する埼玉プロップ稲垣(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半開始直後、頭から流血して交代する埼玉プロップ稲垣(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半開始直後、流血して交代する埼玉プロップ稲垣(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、ライインアウトでボールを出す埼玉フッカー堀江(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 埼玉の大逆転勝利で、スコアボードの下、称え合う両チームの選手たち(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決める埼玉WTB長田(左)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、独走してトライを決める埼玉CTBディラン・ライリー(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、コンバージョンキックを決める埼玉SO松田(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、コンバージョンキックを決める埼玉SO松田(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、独走トライを決める埼玉SH小山(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、コンバージョンキックを決める埼玉SO松田(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、ゴール直前で倒される埼玉フッカー堀江(左)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、笑顔で指を突き上げながら独走トライを決める埼玉SH小山(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、笑顔で指を突き上げながら独走トライを決める埼玉SH小山(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決め、雄たけびを上げて喜ぶ埼玉FB大西(中央)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決める埼玉FB大西(中央)。左はトヨタSOボーデン・バレット(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決める埼玉NO.8ジャック・コーネルセン(右)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決め、雄たけびを上げて喜ぶ埼玉FB大西(中央)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、トライを決める埼玉FB大西(中央)。左はトヨタSOボーデン・バレット(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 会見に臨む埼玉のロビー・ディーンズ監督(撮影・浅見桂子)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園が決勝へ最終調整、NO8城央祐「自分たちが決めたことを完遂したい」

前日練習を行った桐蔭学園・城央祐(中央)(撮影・阪口孝志)

全国高校ラグビー大会で7日の決勝に進出した桐蔭学園(神奈川)は6日、神戸市内のグラウンドで翌日の東福岡(福岡)との大一番に向けて前日調整した。

約2時間のトレーニングでは、実戦形式も取り入れて決戦へ備えた。

藤原秀之監督(55)は、東福岡について「アタックが強烈。FWもすごく修正してきてるし、モールでトライを取る力もあるし、BKも非常にトライを取る力がある」と分析。選手には「私からは頭スッキリして戦おうと話すだけ。楽しんでこいってこと」と声をかけるつもりだと明かした。

主将でNO8の城央祐(しろ・おうすけ、3年)は「最後まで試合ができる喜びが大きい。前に出ることをやり抜いて、自分たちが決めたことを完遂したい」と意気込み、日本一への思いを新たにした。

大阪出身ながら「日本一のSOになるため」と桐蔭学園に進んだSO萩井耀司(3年)は高校ラストマッチを地元で戦えることへの喜びを口にした。

「感慨深い。ずっと目標にしてた舞台でもあったし、母にも高3で大阪での決勝戦に戻ってくるって約束もしていたので、うれしい。自分のランを生かしつつ、パスで周りを生かすプレーを見てもらいたい」

前回は県大会決勝で東海大相模に敗れて出場すらできなかた舞台で果たした決勝進出。それぞれが大舞台でのプレーを楽しんだ先に、3大会ぶり4度目の大会制覇を手にするつもりだ。

前日練習終了後、全員でグラウンドのゴミを拾う桐蔭学園の選手たち(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った桐蔭学園・萩井耀司(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った桐蔭学園・中森真翔(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った桐蔭学園フィフティーン(撮影・阪口孝志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】東福岡連覇へ 円陣組みJ1福岡「俺達が福岡」アレンジして熱唱 指揮官も驚く

前日練習を行った東福岡の高比良主将(右)(撮影・阪口孝志)

全国高校ラグビーの決勝は7日、大阪・花園ラグビー場で、2大会連続8度目の制覇を狙う東福岡と、3大会ぶり4度目の優勝を目指す桐蔭学園が対戦する。

決戦前日の6日、東福岡は神戸市内で約1時間半の最終調整を終え、決勝に備えた。

藤田雄一郎監督(51)は「コンタクトバトルがどれだけできるか。選手の状態はいいので、一番いいゲームができる」と手応えを口にした。

練習後には「何をやりだしたかと思って」と指揮官も驚くできごとがあった。選手全員が円陣を組んだのだ。

これは控えメンバーが考案。サッカーJ1アビスパ福岡の「俺達が福岡」の応援歌をアレンジしたという“ヒガシバージョン”を熱唱。気持ちを1つに、士気を高め合った。

練習を終え、円陣で士気を高める東福岡の選手たち(撮影・佐藤究)
前日練習を行う東福岡フィフティーン(撮影・阪口孝志)
前日練習を見守る東福岡の藤田雄一郎監督(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った東福岡の松尾佳大(写真中央)(撮影・阪口孝志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】大けが乗り越えた東福岡・WTB松尾佳大「全力でやり切る」大会連覇へ完全燃焼

東福岡・WTB松尾(撮影・佐藤究)

全国高校ラグビーの決勝は7日、大阪・花園ラグビー場で、2大会連続8度目の制覇を狙う東福岡と、3大会ぶり4度目の優勝を目指す桐蔭学園が対戦する。“東西横綱”による決戦に注目が集まる中、東福岡のWTB松尾佳大(けいと、3年)は6日、大けがを乗り越え、たどり着いた花園での完全燃焼を誓った。

決戦を翌日に控え、「まだ活躍できていない。最後は何があっても全力でやり切って、勝って終わりたい」と気持ちを奮い立たせた。泣いても、笑っても高校ラストマッチ。持てる力を存分に発揮する。

昨年10月だった。国体2回戦でアクシデントに見舞われた。「パキッ」。嫌な音が耳に響き、松尾は確信した。「折れた。終わったな」。その場でうずくまり、立ち上がることはできなかった。

診断結果は「右足腓骨(ひこつ)骨折」と「右足靱帯(じんたい)断裂」を告げられた。6時間に及ぶ大手術。全治は3カ月だった。「花園には出られないと思った。医者からは『頑張れば、ぎりぎり間に合うかも』と言われた」。焦る気持ちを抑え、懸命にリハビリ生活に励んだ。

チーム一の快足で50メートル走5秒9を誇る。練習中にはGPSの数値で時速35キロとミニバイク並みのスピードを計測したこともある。

ただ、今大会では、ケガの影響から「本調子ではない」と悔しさを募らせるが、それでも先発で2試合、途中出場で2試合と全4試合に出場している。

桐蔭学園との決勝は10年度以来の顔合わせ。当時は31-31のドローで両校優勝となった。現チームは昨春の選抜大会で敗れた宿敵の相手でもあり「勝つことが一番」と力を込めた。雪辱を果たし、同校史上2度目の花園連覇で大団円を迎えるつもりだ。【佐藤究】

東福岡・WTB松尾(撮影・佐藤究)
前日練習を行った東福岡の高比良主将(右)(撮影・阪口孝志)
前日練習を行う東福岡フィフティーン(撮影・阪口孝志)
練習を終え、円陣で士気を高める東福岡の選手たち(撮影・佐藤究)

関連するニュースを読む

【ラグビー】埼玉が大逆転で開幕4連勝!5-27から38得点でトヨタを43―27で下す

埼玉対トヨタ 後半、トライを決め、雄たけびを上げて喜ぶ埼玉FB大西(中央)(撮影・浅見桂子)

<ラグビー・リーグワン1部:埼玉43-27トヨタ>◇第4節◇6日◇埼玉・熊谷ラグビー場◇観衆1万4544人

2季ぶりの優勝を目指す埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)が、大逆転で開幕4連勝を飾った。

前半から陣地の取り合いで後手に回った。相手WTBヴィリアメ・ツイドラキ(26)の3トライなどで、前半40分までに5-27と22点ビハインド。それでも42分に日本代表SO松田力也(29)のPGで8-27とし、ハーフタイムに入った。

後半7分には日本代表NO8ジャック・コーネルセン(29)のトライで、ギアをさらに上げた。5点差に迫った25分にはSH小山大輝(29)が味方の突破をサポートして同点トライ。松田のゴールで逆転した。

その後も得点を重ね、後半は5トライ4ゴール。相手を無得点に封じ、常勝軍団の貫禄を示した。

埼玉は開幕4連勝。トヨタヴェルブリッツは2勝2敗となった。

埼玉対トヨタ 後半、トライを決め、雄たけびを上げて喜ぶ埼玉FB大西(中央)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、笑顔で指を突き上げながら独走トライを決める埼玉SH小山(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 後半、笑顔で指を突き上げながら独走トライを決める埼玉SH小山(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めるトヨタWTBヴィリアメ・ツイドラキ(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 前半、トライを決めるトヨタSHアーロン・スミス(右)(撮影・浅見桂子)
埼玉対トヨタ 試合前、能登半島地震の被災者をしのび、黙とうをささげる埼玉、トヨタの両チームの選手たち(撮影・浅見桂子)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】東福岡が決勝 CTB村上50m独走先制トライ、連覇へ「絶対に勝ちます」

後半、トライを決める東福岡NO8高比良(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:東福岡50-28佐賀工>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

春の選抜大会を制覇した桐蔭学園(神奈川)と、前回大会王者の東福岡(福岡)が決勝に進出した。2大会連続8度目の頂点を狙う東福岡は、佐賀工(佐賀)との九州勢対決を50-28で制した。7日の決勝は両校優勝となった10年度以来の“東西横綱決戦”となった。

    ◇    ◇    ◇  

快走劇で口火を切った。前半3分。東福岡・CTB村上は2バウンドしたパスを受け取る。ダミーパスを仕掛け、50メートル6秒1の快足を飛ばした。「スペースを見つけていたので『いける』と思った」。約50メートル先のインゴールに向かって一直線。独走トライで先制点を奪い、「チームで『試合の入りを大事にしよう』と言っていた」。プラン通りの立ち上がりで、終わってみれば計8トライを奪っての圧勝だった。

スタンドで見守る父俊洋さんに勇姿を届けた。岐阜県郡上市出身。中学3年時には同校OBで三重に所属するFB藤田慶和の父久和氏が塾長を務めるラグビースクール「藤田塾」に入塾した。週に1回。自宅から名古屋までは車で片道約1時間半だった。送迎してくれた父には感謝しかない。「藤田塾でラグビーをしていなければ、東福岡の自分はいない」。今大会4試合に出場し、チーム最多タイの5トライと大活躍中だ。「花園で両親にいいところを見せたい」と恩返しを胸に刻む。

決勝を懸けた一戦は大会初の“九州勢対決”による準決勝だった。隣県のライバル同士で現チームは今回で公式戦4度目の顔合わせ。全勝中で迎えていただけに「九州同士で自分は負けられない存在だと思っている。意識はしていた」。後半に3連続トライを許すも、地力で勝った。

有志(ありし)の名前は「志のある子になってほしい」と両親から命名された。大会連覇まであと1つ。「今は日本一の志を持って、グラウンドに立っている。絶対に勝ちます」。東西横綱決戦へ気持ちを高ぶらせた。【佐藤究】

前半、右中間にトライを挙げるCTB村上(撮影・和賀正仁)
決勝戦の両校比較

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園2冠へ東福岡と“東西横綱決戦”WTB古賀「しっかり取り切りたい」

後半、突進する桐蔭学園ロック中野(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園25-0大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

春の選抜大会を制覇した桐蔭学園(神奈川)と、前回大会王者の東福岡(福岡)が決勝に進出した。3大会ぶり4度目の日本一と今季「2冠」を目指す桐蔭学園は、大阪桐蔭(大阪第2)に25-0で勝利。7日の決勝は両校優勝となった10年度以来の“東西横綱決戦”となった。

    ◇    ◇    ◇  

10-0の後半11分に2年生WTB古賀が決めたチーム2つ目のトライが、桐蔭学園の「王手」を決定づけた。中央でのラックからSH渡辺、SO萩井、FB吉田、WTB田中健想が流れるように左サイドへ展開。ライン際で受けた古賀が前方へ蹴り出し、一気に相手を追い抜いて転がるボールをたたきつけた。

「キックで裏を取るのは(2回戦の)松山聖陵戦でもやっていて頭にあった。うまく転がってくれて、3年生がつないだボールから取れて良かった」と喜んだ。

今大会8トライと躍動する古賀だが、現チームの始動後はボールが回ってこなくて悩んだという。その時に大切にしたのが、チームメートへの声かけだった。「どうしたらいいかと考えて、コミュニケーションを大切にするようにした」。それで状況が好転してきた。

今大会では初戦の2回戦で4トライ、3回戦で3トライを決めたが、準々決勝はノートライ。その反省から、この日は「ボールを要求することにフォーカスを当てて、タッチ回数を増やしていこうと臨んだ」。貴重なトライは、原点に立ち返ることで生まれた。

昨季は花園に来られなかったが、春の選抜大会では全国の頂点に立った。達成できた要因を古賀は「3年生全員がそれまで以上のリーダーシップで引っ張ってくれたから」と振り返る。その先輩と戦えるラストマッチは決勝に決まった。「あと1つ。3年生がつないでくれたボールを大切にして、最後しっかり取り切りたい」。古賀は決勝でもサイドでボールを呼び込み続ける。【永田淳】

前半、プロップ前田の先制トライで喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
決勝戦の両校比較

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】大阪桐蔭“必中モール戦法”もトライ奪えず「慌ててしまった」林田力主将

桐蔭学園対大阪桐蔭 3位表彰を受ける大阪桐蔭林田(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園25-0大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

大阪桐蔭(大阪第2)は桐蔭学園(神奈川)に完敗。昨春の選抜大会のリベンジはならなかった。

ロースコア決着を望み、優勝候補の桐蔭学園を相手に前半を10-0で折り返した。後半8分、相手ゴールに迫り、トライ直前まで持っていったが押し返された。後半15分には、これまでの戦いで何度も得点を挙げてきたラインアウトからの“必中モール戦法”で迫ったが、あと1歩が届かず。桐蔭学園FWの堅い壁に跳ね返された。

ロックの中谷陸人(3年)は得点パターンが通用しなかったことに「フィジカルの差はそんな感じなかったんですけど、ラインアウトの精度の差は感じた」。大阪桐蔭のタックルが桐蔭学園にうまく決まらない場面もあり、「FWの1対1は負けていないと思いますが、相手のBKとミスマッチになったときにタックルをずらされましたね」と振り返った。

主将のCTB林田力(3年)は、前半をロースコアで折り返したことには納得しつつ「桐蔭学園さんのプレッシャーのかけ方がうまかった。自分たちが想定していたところではなく慌ててしまった。精度が高かった」。

1年の冬に左膝の前十字靱帯(じんたい)を切る大けがを負い、その後1年間は練習に参加できなかった。今もテーピングが残っているが「万全ではなかったですけど、最後までもってくれてありがとうって感じです」と笑顔。主将として目標としていた花園の舞台に立ち「全員で花園にかけて頑張ってきた。自分自身も最初で最後の花園を目標にしてたので、最後まで戦いやり抜いた」と胸を張った。「年々順位も上がっている。今経験した下級生も多いので次は優勝を狙えると思う。そこはかけて欲しい」と夢を託した。

大阪桐蔭隊桐蔭学園 表彰式後、あいさつする大阪桐蔭と桐蔭学園の選手ら(撮影・和賀正仁)
桐蔭学園対大阪桐蔭 3位に終わり肩を落とす林田(右端)ら大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 桐蔭学園に敗れ肩を落とす大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 スタンドにあいさつする桐蔭学園に敗れた大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)
大阪桐蔭隊桐蔭学園 表彰式後、握手を交わす大阪桐蔭と桐蔭学園の選手ら(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】佐賀工決勝逃す「ホームランを狙ったキックをしている」キックで優位に立てず

東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ引き揚げる佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)

<全国高校ラグビー大会:東福岡50-28佐賀工>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

佐賀工(佐賀)は東福岡相手に“五度目の正直”とならなかった。

花園で過去4度敗れている相手に白星はつかめなかった。キックでチームを引っ張ってきたSH井上達木(3年)とSO服部亮太(3年)が思うようなプレーができず。服部は「自陣でラグビーをしたら負けるのはわかっていたので、いいキックを蹴ってみんなを楽にさせようという気持ちがちょっと出過ぎた」と反省。

枝吉巨樹監督(48)も「なかなかうちもエリア取りで負けたことがなかった。ホームランを狙ったキックをしている。距離も正確性も常に平均値でいいんだよと。もうちょっと手堅くいけば」と後手に回り苦しい展開を強いられた。

それでも後半から投入されたWTB内田慎之甫(2年)が縦横無尽にグラウンドを駆け回り、ハットトリックを達成。「彼のスピードを最大限発揮するんだったら後半発進でいった方がいいんじゃないか」という枝吉監督の起用もズバリはまった。

だが、終盤の追い上げも届かず。2000年度以来、23大会ぶりの決勝進出を逃した。CTB大和哲将主将(3年)は「いいランナーを止めきれなかった。カウンターが来るのはわかっていたけど。自分たちのディフェンスの甘さが出た」と涙だった。

東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ肩を落とす佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 ノーサイドとなり握手を交わす東福岡と佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、中央付近から抜け出しトライのお膳立てをする佐賀工SO服部(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ引き揚げる佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ肩を落とす佐賀工フィフティーン(撮影・藤尾明華)
東福岡対佐賀工 後半、オフロードパスをすつなぐ佐賀工SO服部(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、右タッチライン沿いを走りきりトライする途中出場の佐賀工・内田(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 3位表彰を受ける佐賀工・大和(撮影・藤尾明華)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】決勝進出の桐蔭学園 WTB古賀「3年生がつないだボールを大切に」トライ狙う

桐蔭学園対大阪桐蔭 後半、WTB田中健想のキックパスをそのままトライするWTB古賀(撮影・藤尾明華)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園25-0大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

3大会ぶり4度目の日本一を目指す桐蔭学園(神奈川)が、大阪桐蔭(大阪第2)を破って、7日の決勝に駒を進めた。

10-0の後半11分に決めたこの日2つ目のトライが、桐蔭学園の勝利を大きく引き寄せるものになった。中央でのラックからSH渡辺晃樹(3年)、SO萩井耀司(3年)、FB吉田晃己(3年)、WTB田中健想(3年)が流れるように左サイドへ展開。最後はライン際で受けたWTB古賀龍人(2年)が前方へ蹴り出し、一気に相手を追い抜いた後、転がるボールをたたきつけた。

古賀は「(2回戦の)松山聖陵戦でもやっていて、キックを使って裏を取るっていう考えが頭にあった。うまく転がってくれて、3年生がつないだボールからトライを取れて良かった」。チーム全体が連動したアタックからの得点を喜んだ。

今大会では、初戦の2回戦で4トライ、3回戦で3トライを決めて、一時はトライ数トップに躍り出た。準々決勝ではノートライに終わったが「味方からボールを要求することにフォーカスを当てて、ボールタッチ回数を増やしていこうと臨みました」というこの日、貴重なトライでチームを決勝の舞台に導いた。

「あと1つ。3年生の方々がつないでくれたボールを大切にして、最後しっかり取り切りたいです」。3年生と戦うラストマッチでも、古賀は果敢にトライを狙う。【永田淳】

桐蔭学園対大阪桐蔭 後半、WTB田中健想のキックパスをそのままトライするWTB古賀(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 前半、プロップ前田の先制トライで喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 後半、桐蔭学園WTB田中健想がトライに繋がるキックパスを出す(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 後半、パスを出すFB吉田(撮影・藤尾明華)
大阪桐蔭隊桐蔭学園 大阪桐蔭に勝利しガッツポーズで喜ぶ桐蔭学園の選手ら(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】就職の佐賀工・北村捷真、号泣しながら「出し切れました。悔いはないです」

東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ引き揚げる佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)

<全国高校ラグビー大会:東福岡50-28佐賀工>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

佐賀工CTB北村捷真(3年)が完全燃焼でラグビー人生に別れを告げた。

北村は卒業後、大塚製薬に就職する道を選んだ。今後ラグビーを続ける気持ちはなく、仲間と臨んだ花園はラグビー人生の集大成だった。

試合後、号泣しながらピッチを後にした北村は「自分の出し切れる力を最後まで出し切って、60分走り続けました」。終盤に意地の追い上げを見せたものの東福岡に敗れ、「負けてしまって悔いが残って、辞めたくない気持ちは大きいです」と話しながらも「1年生の時から就職を考えて、高校でラグビーを辞めるって言うのはずっと考えていました。出し切れました。悔いはないです」ときっぱり。涙を拭い、「来年。東福岡を絶対に倒して欲しい」と後輩に夢を託した。

東福岡対佐賀工 東福岡に敗れ引き揚げる佐賀工の選手ら(撮影・和賀正仁)
佐賀工対東福岡 前半、ドロップゴールを決める佐賀工SO服部(撮影・藤尾明華)
東福岡対佐賀工 後半、東福岡の激しいタックルを受ける佐賀工CTB大和(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、中央付近から抜け出しトライのお膳立てをする佐賀工SO服部(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、中央付近からつなぎ最後トライする途中出場の佐賀工・内田(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、中央付近からキックしたボールを拾いトライする途中出場の佐賀工・内田(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 後半、右タッチライン沿いを走りきりトライする途中出場の佐賀工・内田(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】東福岡、2大会連続8回目V王手!佐賀工とのAシード対決に完勝

東福岡対佐賀工 後半、右に展開した東福岡はNO8高比良がトライを奪い選手らから祝福される(撮影・和賀正仁)

<全国高校ラグビー大会:東福岡50-28佐賀工>◇5日◇準決勝◇大阪・花園ラグビー場

高校日本代表候補12人を擁す東福岡が、佐賀工とのAシード対決に圧勝して、2大会連続8回目の優勝へ王手をかけた。対佐賀工は、昨年から公式戦4戦全勝とした。

東福岡が先手を取った。前半3分、ハーフウエーライン付近からの右展開で抜けたCTB村上有志(3年)が先制トライ。序盤からエンジン全開の東福岡ペースかと思われた。

だが、同8分、佐賀工はSH井上達木(3年)のPGで3点返し、同11分、SO服部亮太(3年)のDGで逆転した。

だが、東福岡が前回王者の底力を見せた。同12分、自陣10メートル付近からの高速展開で翻弄(ほんろう)して2本目のトライで再び勝ち越し。相手2本目のPGで食いさがられたが、同20分、強みのFWで攻めてトライを奪うなど連続得点で突き放した。前半は東福岡が4トライを奪い圧倒。24-9で折り返した。

後半も東福岡の勢いは止まらない。敵陣22メートル付近からのラインアウトからつないでダメ押し。その後もトライを積み重ね、前後半計8トライを奪った。

日本代表候補6人を擁す昨夏7人制優勝の佐賀工でさえ、為す術なく攻守に粉砕された。

東福岡対佐賀工 前半、中央付近の密集から右に展開した東福岡はCTB村上が右中間にトライを挙げる(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 前半、中央付近の密集から右に展開した東福岡はCTB村上が右中間にトライを挙げる(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 前半、中央付近の密集から右に展開した東福岡はCTB村上(右)が右中間にトライを挙げる(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 前半、中央付近から右に展開し、東福岡CTB神がハンドオフで退けトライを奪う(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 前半、ゴール前のラックから東福岡SH利守が抜けだし中央右にトライを奪う(撮影・和賀正仁)
東福岡対佐賀工 前半、中央付近から左に展開した東福岡は最後WTB西浦岳優がタッチライン沿いを走りきりトライを奪う(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】大阪桐蔭・綾部正史監督「やっぱり強かったと思います。完敗だった」

大阪桐蔭隊桐蔭学園 表彰式後、握手を交わす大阪桐蔭と桐蔭学園の選手ら(撮影・和賀正仁)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園25-0大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

大阪桐蔭(大阪第2)は桐蔭学園(神奈川)に敗れて、決勝進出はならなかった。

大阪桐蔭の綾部正史監督(48)は「しっかりと準備してくれたんですけど、なかなか表現ができなかった。やっぱり強かったと思います。完敗だった。選手たちは少しでも前に自分たちの形をと意地を張ってくれていたので、この敗戦に関しては僕の責任ですし、選手は一生懸命やってくれた」と完敗を認めた。

当初予想していたゲームプランとは違う展開だったといい、「接点で押し上げてボールを動かしてというスタイルを求めているのでそれができるかなと思ってましたけど、ブレークダウンの部分で差し込まれていた部分が多くあったので、そこは普段のアタックテンポがあまりでなかったですね」と振り返った。

セットプレーでの“隠し玉”を準備していることを明かしていたが、「あまりできなかったですね。相手の方がボール保持率も高かったですし、ディフェンスする場面ばかりだった」とオフェンス面で理想的な展開を作り出せなかったことを悔やんだ。

大阪桐蔭隊桐蔭学園 表彰式後、あいさつする大阪桐蔭と桐蔭学園の選手ら(撮影・和賀正仁)
桐蔭学園対大阪桐蔭 3位表彰を受ける大阪桐蔭林田(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 3位に終わり肩を落とす林田(右端)ら大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 桐蔭学園に敗れ肩を落とす大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)
桐蔭学園対大阪桐蔭 スタンドにあいさつする桐蔭学園に敗れた大阪桐蔭フィフティーン(撮影・藤尾明華)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】“桐蔭”対決は桐蔭学園が攻守で圧倒し決勝進出、大阪桐蔭を25-0で撃破

大阪桐蔭隊桐蔭学園 前半、ゴール前のラックからサイドを突いた桐蔭学園プロップ前田が先制トライを挙げる(撮影・和賀正仁)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園25-0大阪桐蔭>◇5日◇準決勝◇大阪・花園ラグビー場

高校日本代表12人を擁す優勝候補のAシード桐蔭学園(神奈川)が大阪桐蔭(大阪第2)を下し、7日の決勝戦に進んだ。

平均体重100キロ超のFWが火を吹いた。前半7分、敵陣ゴール右直前のラックからFWで押し込んで、プロップ前田麟太朗(3年)が持ち込んで先制トライ。GKも決めて7点をリードした。さらに、同10分、敵陣10メートル付近からPGを決めて10-0に広げた。

後半も先手を取った。同11分、敵陣10メートルのラックから左へ高速展開。左端で受けたWTB古賀龍人(2年)が、相手の裏へ蹴ったボールを自ら押さえてトライ。15-0とした。

さらに、展開ラグビーから1トライなどで加点して25-0。大阪桐蔭に攻め込まれても、ターンオーバーで何度もピンチを脱した。アタックとディフェンスがかみ合い圧倒した。

大阪桐蔭隊桐蔭学園 前半、ゴール前のラックからサイドを突いた桐蔭学園プロップ前田が先制トライを挙げる(撮影・和賀正仁)
桐蔭学園対大阪桐蔭 前半、プロップ前田の先制トライで喜ぶ桐蔭学園フィフティーン(撮影・藤尾明華)
大阪桐蔭隊桐蔭学園 後半、失点し肩を落とす大阪桐蔭の選手ら(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】「桐蔭」ってどういう意味? 伝説の鳥が校名の由来、両校に一切の関係なし

4日、準決勝の前日練習でタックルする桐蔭学園NO8城央祐(中央、撮影・永田淳)

<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園-大阪桐蔭>◇準決勝◇5日◇大阪・花園ラグビー場

準決勝は「桐蔭」対決になった。ともに学業・スポーツで多方面に人材を輩出する有名校だが、ルーツも別で一切関係はない。

「桐蔭」は桐(きり)の木の下という意味。吉兆を意味する伝説の鳥「鳳凰(ほうおう)」は、桐の木の下で力を蓄えるという言い伝えが由来。和歌山にも文武両道の伝統校・桐蔭高校(旧制和歌山中)がある。

桐の紋をベースにした校章も似通っている。違うのは葉の数。桐蔭学園は「5・3の桐」、大阪桐蔭は豊臣秀吉の紋でもある「5・7の桐」を採用している。

前日練習で体をほぐす大阪桐蔭の西野陽(撮影・阪口孝志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】大阪桐蔭、決勝かけた“桐蔭対決”「このために頑張ってきた」昨春悔しさ晴らす

前日練習を行った大阪桐蔭フィフティーン(撮影・阪口孝志)

大阪桐蔭(大阪第2)が因縁の“桐蔭対決”に臨む。全国高校ラグビーは5日、大阪・花園ラグビー場で準決勝2試合が行われる。

初優勝した18年度以来の決勝進出を狙う大阪桐蔭は4日、大阪府内で約2時間練習して最終調整。セットプレーなどを入念に確認し、準決勝に備えた。

相手は、昨春の選抜大会で敗れた強豪。CTB林田力主将(3年)は「このために練習頑張ってきた」と強い思いを明かす。

「僕は桐蔭学園さんとやらせてもらったとき、前のゲームでけがして30分しか出られなくて、悔しい思いをしました」

左膝の前十字靱帯(じんたい)を故障。結果も10-38で悔しかったが、全力を尽くせなかったことにも心残りがあった。

いまだ完治しておらず「膝がパコパコいうような状態」。制限をかけながらのプレーが続いているが「最近は60分間出られるようになってきた」と笑った。

春の対戦からおよそ8カ月。相手が決まった瞬間は「やっとできるんか」という楽しみな気持ちが湧き上がった。

「絶対勝つぞ!」

練習最後。主将はそう叫びながら、部員の輪の中を走ってタックルダミーにぶつかる“伝統の儀式”を行い、準決勝前日の練習を終えた。

“伝統の儀式”タックルダミーへのタックルで前日練習を締めた大阪桐蔭・林田主将(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った大阪桐蔭の綾部正史監督(撮影・阪口孝志)
前日練習で体をほぐす大阪桐蔭の西野陽(撮影・阪口孝志)
前日練習を行った大阪桐蔭の野村俊介(撮影・阪口孝志)
前日練習で選手に指示を出す大阪桐蔭の綾部正史監督(撮影・阪口孝志)

関連するニュースを読む

【高校ラグビー】桐蔭学園、アウェーの戦いに城央祐「FWでバチバチやる」準決勝で大阪桐蔭戦

準決勝の前日練習でジャッカル対策をする桐蔭学園フィフティーン(撮影・永田淳)

全国高校ラグビー大会で4強入りした桐蔭学園(神奈川)は4日、大阪市内のグラウンドで翌日に大阪桐蔭(大阪第2)と戦う準決勝に向けて調整した。

この日は約2時間のトレーニングを行い、フォーメーションを組んだメニューではディフェンス面の確認を行った。藤原秀之監督(55)は大阪桐蔭の印象について「速いバックスのファストアタックと、FWの突進」と話し、続けて「FWが動けるようになってるし、ワンサイズ、ツーサイズぐらいでかくなってるんじゃないかなと思ってます。スキルも高くなっている」と、春の選抜大会で勝利した相手の成長を警戒。練習の中では、ジャッカル対策をするメニューも組み入れられた。

3日の準々決勝では、東海大大阪仰星(大阪第3)に終盤苦しめられ、2トライを奪われた。藤原監督は「大阪の地で大阪のチームに勝つことの大変さがわかったと思う」と話し、またも大阪代表と戦う準決勝は、この経験をどう生かせるかが、決勝進出のポイントの1つになると見込んでいる。

主将でNO8の城央祐(3年)が「自分たちがいいプレーをしたとしても、(観衆は)沸かないけど、相手がいいプレーしたら、わーっとなる。無意識の中で、それがプレッシャーだったり、ストレスにつながってるんじゃないかと思います」と話し、大阪出身のSO萩井耀司(3年)も「アウェーっていう感じがすごい。残りの10分ぐらいは雰囲気にのまれてたと思います」と口にする花園の空気。想像を上回る“アウェー感”に警戒を強めた。

それでもチームとして一度経験できたことはポジティブに捉えており、城は「慣れてはないと思うけど、知ることができたのは良かった」と話した。

終盤にアウェーの雰囲気が強くなる前に、いかに自分たちが主導権を握ることができるか。城は「最初はとにかくFWでバチバチやって、走り勝つこと。フィットネスとコンタクトでは負けないっていうところにこだわってやりたい」と開始直後から積極的に戦うことを誓った。

準決勝の前日練習でタックルする桐蔭学園NO8城央祐(中央、撮影・永田淳)
準決勝の前日練習で指示する桐蔭学園の藤原秀之監督(撮影・永田淳)
準決勝の前日練習でタックルする桐蔭学園NO8城央祐(中央、撮影・永田淳)

関連するニュースを読む