日刊スポーツ

【春高バレー】東京学館新潟8強ならず 強豪鎮西に攻守で粘り接戦に持ち込むもあと1歩届かず

東京学館新潟対鎮西 スパイクを放つ東京学館新潟・斎藤(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:鎮西2-0東京学館新潟>◇6日◇男子3回戦◇東京体育館

新潟の男子代表、東京学館新潟(2年ぶり15度目)は、2年連続で春高準Vの鎮西(熊本、15年連続36度目)と接戦を演じたが、0-2で敗れ、07年以来の8強入りを逃した。

試合開始から一進一退の攻防戦。エースのOH皆木海人(3年)ら攻撃陣と、持ち前の守備力で粘った。だが、今大会注目アタッカー井坂太郎(3年)を擁し過去3度Vを誇る強豪校撃破へは、あと1歩届かなかった。それでも主力2年生が多数残る新チームへ、望みはつないだ。

  ◇  ◇  ◇

東京学館新潟は最後まで粘りを見せた。チームを41年間率い、今年3月で定年退職を迎える石山雅一総監督(65)が与えた「挑戦者!~こんにゃく魂~」のスローガンの下、まさに柔軟に鎮西に対応し、「粘り強いディフェンスからのコンビバレー」で36度の出場回数を誇る相手に真っ向勝負を挑んだ。

試合開始から激しい主導権争いを演じた。取っては取られのシーソーゲーム。そのなかで2年生セッターの相田悠一郎がクイックや左右、真ん中と使い分け、アタッカー陣も相田のトスに応えた。第1セット、20-23からはエース皆木も得点を重ね、4連続得点を奪い、逆転で先にマッチポイントを取った。だが鎮西の粘りでジュースに持ち込まれると、第1セットは25-27で落とした。

第2セットも点の取り合いだった。MB小林裕太(3年)が磨き上げてきたブロード攻撃も決まり出し、自慢のブロックも相手エースの井坂を要所で止めるなど「粘りのバレー」で食らいついた。それでもセットを奪うことは出来なかった。渡辺健太郎監督(39)は「ディフェンスは割としつこくやれていたと思いますし、攻撃もそれなりにできていた。だが鎮西が粘り強かった」と振り返った。

県3冠を達成し、乗り込んだ春高の舞台。「日本一」にこそ届かなかったが、確かな手応えもつかんだ。主将の高橋快(3年)は「残った悔いは1、2年生が春高に戻ってきて返してくれると思うので、頑張ってもらいたい」と後輩に思いを託した。新チームには今大会でエース級の活躍を見せたOH斎藤寿明ら主力だった2年生が残る。悔しさと経験を糧に、さらなる進化を遂げ、全国の大舞台に戻ってくる。【大島享也】

東京学館新潟対鎮西 スパイクを放つ東京学館新潟・小林(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 得点を奪いガッツポーズの東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 試合に敗れ涙する東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)
東京学館新潟対鎮西 試合を終えあいさつへ向かう高橋(手前)ら東京学館新潟の選手たち(撮影・横山健太)

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【春高バレー】旭川実、31年半ぶりのベスト8進出 笠井季璃が71得点中37点を取る活躍

大阪国際滝井・国際対旭川実 スパイクを放つ旭川実・笠井(右)(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:旭川実2-1大阪国際滝井・国際>◇6日◇3回戦◇第3日◇東京体育館

旭川実が、全日本高校選手権では、高校総体として開催され、準優勝した1992年(平4)夏以来、31年半ぶりのベスト8進出を決めた。U19日本代表でアウトサイドヒッターの笠井季璃(りり、3年)が、チームの71得点中37点をたたき出す活躍を見せ、3年前の準優勝校・大阪国際滝井・国際をフルセットで下した。

攻撃力の半減を狙った相手にサーブで狙いうちされても、笠井は全く動じなかった。正確で柔らかいレシーブでセッターに預け、上がったボールを相手コートに思い切りたたきつけた。第3セットの序盤では、柔らかいタッチで1度相手コートに入れたボールが、すぐに戻ってきたところを、そのまま強打のクロスで打ち返す離れ業も見せた。

「目標は日本一」。北海道大会から口癖のように言い続ける最高到達点へ、あと3勝に迫った。

女子3回戦 旭川実VS大阪国際滝井・国際 U19日本代表で旭川実の笠井主将は、右から強いスパイクを放つ(撮影・中島洋尚)
女子3回戦 旭川実VS大阪国際滝井・国際 U19日本代表で旭川実の笠井主将は、スパイクを決めた選手に向かって笑顔でサムアップ(撮影・中島洋尚)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)

【春高バレー】正智深谷はベスト16で敗退「超す勢いで」絶対エース白野大稀が石川祐希超え誓った

昇陽対正智深谷 スパイクを放つ正智深谷・白野(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:昇陽2-1正智深谷>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

11年ぶり2度目の出場となった正智深谷(埼玉)の夢は、3回戦でついえた。

昨年末の天皇杯で大学生を相手にフルセットまで持ち込んだ昇陽(大阪)にあと1歩及ばず、1-2で競り負け。ベスト16で敗退となった。

大会初勝利となった1回戦の東福岡、2回戦の東海大札幌(北海道)をともに2-1で撃破した勢いそのままに、この日も最高到達点347センチを誇る絶対エース白野大稀主将(3年)が、強打連発でけん引。第1セットを25-19で奪取した。

第2Sを22-25で失い、セットカウント1-1で迎えた最終第3S。終盤までサイドアウトの応酬となり、22-23となった。ここで、ここまで絶大な安定感で圧倒してきた白野のバックアタックが、アウトに。マッチポイントを握られると、再び白野のアタックがブロックに阻まれ、万事休すとなった。

ベンチ入りの3年生の平均身長は187センチ。同校を5年間指揮する鈴木康晋監督は、「最高の世代」と話す。初優勝の悲願を達することはできなかったが、白野には「最後にしっかりと思いを乗せることができて良かった」と悔いはなかった。「最後にこの舞台に出られて本当に楽しかったし、最高の舞台だった」と、かみしめた。

卒業後は順大に進学し、日本代表を目指す。「始めたときから日の丸を背負ってがんばりたいと思っていた」と目を輝かせた。理想の選手は代表の絶対エース石川祐希。レシーブからのスパイクで決めきる姿が憧れで、「動画を見て追求している」と成長に貪欲だ。「その人を超す勢いで自分もがんばりたい」。次なる目標へ、エースの躍進は続く。【勝部晃多】

昇陽対正智深谷 懸命にボールを拾う昇陽・小瀬(撮影・横山健太)

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【春高バレー】国体覇者の高川学園が敗退、連覇狙う駿台学園に逆転許す 3回戦屈指の一戦

駿台学園対高川学園 試合に敗れた高川学園・門田(後方)は駿台学園・亀岡と抱き合う(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-1高川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

国体に続く高校2冠を目指した高川学園(山口)が3回戦で姿を消した。

優勝候補対決となった屈指の好カードで、高校総体(インターハイ)王者の駿台学園(東京)に逆転負けを喫した。

敗れた瞬間、高川学園の選手たちが次々とコートに倒れ込んだ。それでもエース門田凌也(3年)だけは気丈に立ち続けた。「主将としてチームにずっと(何かを)与えることができなかった。最後ぐらいは主将として、2年生に来年への思いを託そうと思った」。悔し涙を流す仲間たちに手を差し伸べた。

前年覇者で高校総体との2冠が懸かる強敵から、第1セット(S)を25-21で先取した。しかし堅守を誇る相手にすかさず対応された。第2Sを19-25と落とすと、第3Sは17-25と力尽きた。自身のアタックも何度も拾われ、「最後は自分たちがムキになってしまった。駿台はレシーブに加えてブロックの堅さもある。崩すのは容易でなかった」。それでもエースとして、最後まで打ち続けた。

駿台学園の主将、亀岡聖成(せな)とは試合後にハグを交わして健闘をたたえ合った。「お手本にしていたチーム。練習中でも駿台の名前は出る。追いかけていたその背中を国体で追い越したけれど、気持ちとしては格上と思ってやってきた。ずっといい相手として戦ってこられたかな」

3年間を通じて心身ともに成長してきた。そんなエースに対して有吉健二監督は「この試合でも意地の一本を見せてくれた。さらなる上のカテゴリーで力を発揮して欲しい」とエールを送った。

身長187センチ、最高到達点は335センチに及ぶアウトサイドヒッターは、春から大学に進学予定。「体力や技術面をもっと磨いていければ、ラスト1点を決めれるようなエースになれると思う」。次のステージで、さらに大きく成長する。【奥岡幹浩】

駿台学園対高川学園 試合に敗れ悔しがる高川学園の選手たち。中央は門田(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対高川学園 試合に敗れ泣き崩れる選手に声をかける門田(中央)(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対高川学園 試合に敗れ倒れ込む高川学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】昨年優勝の古川学園が3回戦敗退 照井莉子「日本一目指して頑張ってほしい」

古川学園対金蘭会 金蘭会に敗れ、試合後に涙をぬぐう古川学園・中山(左)(撮影・相沢孔志)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:金蘭会2-1古川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

前回大会優勝の古川学園(宮城)が金蘭会(大阪1位)に1-2で敗れ、3回戦敗退した。

第1セット(S)は磨いてきた守備が崩れ、序盤に失点が増えて17-25で落としたが、照井莉子主将(3年)は「もう1回、自分たちがやってきたことを信じて出し切ろうという言葉を全員で掛け合った」。第2Sに立て直し、レシーブでボールを拾い、17-16から5連続得点でリードを広げ、Sカウントをタイに戻した。

第3Sは一進一退の展開で食らいついたが、勝負どころでの連続失点が響いた。これまで4大会連続で準決勝進出を果たし、センターコートを経験した名門の挑戦が終わった。

先発出場6人のうち、4人が1年生というフレッシュなチーム。照井莉は「今の主体は1年生で注目度も高く、期待も高まると思う。自分たち3年生の気持ちをもう1回託して、日本一を目指して頑張ってほしい」と新チームの飛躍を願った。

古川学園対金蘭会 試合に敗れ引き揚げる古川学園・照井(手前)(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 フルセットの末敗れ、肩を落とす古川学園・照井(左から4人目)ら(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 トスを上げる古川学園・照井(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 レシーブする古川学園・照井(手前)(撮影・滝沢徹郎)
古川学園対金蘭会 第1S、トスを上げる古川学園・照井(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 第2S、福田(左)に指示を与える古川学園・岡崎監督(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 第3S開始前、金蘭会の選手を見る古川学園・岡崎監督(手前)と選手たち(撮影・相沢孔志)
古川学園対金蘭会 金蘭会に敗れ、応援席にあいさつする古川学園・照井(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】金蘭会が昨年覇者を破り準々決勝進出 エース上村杏菜が勝負の第3Sに躍動

古川学園対金蘭会 フルセットの末敗れ、肩を落とす古川学園・照井(左から4人目)ら(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:金蘭会2-1古川学園>◇6日◇第3日◇3回戦◇東京体育館

5年ぶり4度目の優勝を目指す金蘭会(大阪)が、前回大会覇者の古川学園(宮城)との激戦を制し、ベスト8に進出した。

第1セット(S)は立ち上がりから点差をつけると、後半には扇谷葵衣(3年)、西村美波(2年)に連続ブロックが飛び出し、25-17でセットカウントを先取した。このまま勢いに乗っていくかと思われた第2Sだったが、王者の意地に押し返される。16-17の場面で一気に5連続得点を許し、21-25で取り返された。

それでも、第3Sはエース上村杏菜(3年)が爆発。サービスエースや要所での強烈スパイクで、180センチ超を2人擁する相手守備陣を翻弄(ほんろう)した。チームの枢軸が、故障により高校総体や国体を欠場した鬱屈(うっくつ)を晴らすかのような豪快な姿でけん引し、25-20でこのセットを奪取。午後に行われる準々決勝に駒を進めた。

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【春高バレー】鎮西エース井坂、途中出場から逆転勝ちけん引「1点1点取っていこうと」

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:鎮西2-1市立尼崎>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

途中出場のエース井坂太郎が鎮西(熊本)を逆転勝ちに導いた。

10月に右肩を痛めた影響でベンチスタート。しかし立ち上がりから劣勢を強いられ、第1セット終盤からコートに入り、巻き返しをけん引。昨年敗れた決勝でプレーしており「去年を経験していたので焦りはなく、1点1点しっかり取っていこうという気持ちだった」と涼しい表情。右肩はまだ痛む時もあると言うが「エースとしてチームを引っ張っていかないといけない」と責任感をにじませた。

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【春高バレー】就実2回戦快勝 2年生エース福村心優美ら攻撃陣圧倒も「あとは心」監督

第1セット、ポイントを決め喜ぶ就実の選手たち(撮影・浅見桂子)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実2-0高知中央>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

就実(岡山)は2年ぶり頂点へ死角はない。

4日の1回戦で7度の優勝を誇る名門、東九州龍谷(大分)を下した勢いそのまま、高知中央をストレートで下した。2年生エース福村心優美(こゆみ)ら攻撃陣が圧倒したが、西畑監督は「スパイカーがもっと気を吐いていかないと、これからの金蘭会さんとかには厳しい」と辛口評価。「あとは心の部分。ある程度の技術はついてきているので、それを出す勇気」と優勝のカギは強いマインドと説いた。

第1セット、スパイクを放つ就実・押川(左)(撮影・浅見桂子)

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【春高バレー】3冠へ下北沢成徳が快勝発進「中学時代から同じメンバー」イェーモンミャ躍動

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、チーム得点でガッツポーズを見せる下北沢成徳・イェーモン(右)(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳2-0郡山女大付>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

昨年の高校総体、国体との3冠を目指す下北沢成徳(東京)が快勝スタートを切った。初戦となった2回戦で郡山女大付(福島)をストレートで撃破。エースのイェーモンミャ(2年)が力強いプレーでけん引した。

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下北沢成徳の2年生エース、イェーモンミャが、悲願の高校3冠達成へ勢いをつけた。高さを生かしたプレーが武器のチーム内で、スタメン平均身長177センチ(リベロ除く)より低い175センチながら、パワフルなスパイクは別格。「プレーでも声でも引っ張っていきたい」という言葉通り、第2セットの先制点をたたき出すなど抜群の存在感で躍動した。

ミャンマー人の父と母を持つが、日本生まれの日本育ち。最高到達点300センチの身体能力は、元同国代表の父から受け継いだ一方で、「日本語しか話せないんです」と屈託ない笑顔で明かす。現在のスタメンは、リベロ内沢明未主将を除き2年生という若いチームだが、そのほとんどが北沢中3年時に全国準優勝した際の仲間たち。「中学時代から同じメンバーなので言葉にしなくても通じ合う部分がある」と、あうんの呼吸が強さの土台にある。

そんなメンバーと、日本代表の石川真佑らを輩出し、春高3度の優勝を誇る名門校で切磋琢磨(せっさたくま)する。だからこそ、「自分のスパイクももっと磨けるし、チームも落ちているボールが全然多い」と、プレーの精度向上にまず目を向ける。「そこ(3冠)よりも、まずは目の前のことに(集中)。『1戦1戦いこう』と話し合っている」。勝利を積み重ねた先にある栄冠へ-。仲間とともに、勝利と内容にこだわり尽くす。【勝部晃多】

◆イェーモンミャ 2006年(平成18)12月17日生まれ、東京都出身。北沢中3年時の全日本中学選手権で準優勝。父はバレーボールの元ミャンマー代表。4歳年上の兄カウンゼン・マラはサッカー東京Vユース-産業能率大。175センチ、最高到達点300センチのアウトサイドヒッター。

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、サーブを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 第1セットに臨む下北沢成徳・イェーモン(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 第1セットを奪い、喜ぶイェーモン(左後方)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
郡山女大付対下北沢成徳 試合前、整列する下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】駿台学園が王者の貫禄 2冠&2連覇へ「スタートからいい形で入れた」

駿台学園対佐賀学園 勝利しスタンドにあいさつする駿台学園・三宅(左から3人目)ら(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-0佐賀学園>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

高校総体との2冠を目指す昨年覇者の駿台学園(東京)が、快勝スタートを切った。佐賀学園に2-0のストレート勝ち。セッター三宅綜大(2年)が“丁寧な”トス回しで攻撃陣をけん引した。

◇  ◇  ◇

2連覇を目指す駿台学園が、王者の貫禄を示した。1、2年生を含め、さまざまなメンバーを起用しながらも流れを渡さず。25-14、25-11と圧倒した攻撃陣を、2年生セッターの三宅綜大が巧みに操った。「初戦でスパイカーが気持ち良く打てば『状態がいい』と思ってくれる。いつも以上に丁寧を意識しました」とうなずいた。

全国トップクラスの守備力を軸としたつなぎのバレーを武器に、昨夏の高校総体で優勝。12月の全日本選手権では1回戦で高知工科大を破った。続く2回戦は昨季Vリーグ王者の名古屋にストレート負けを喫したが、第2セットには20得点を奪うなど健闘をみせた。

高校では圧倒的な強さを誇るが、春高はさらなる成長を示す舞台となる。同校メンバー主体の東京選抜として出場した昨秋の国体では、山口県代表の高川学園に準々決勝で敗戦。三宅は「自分のせいで負けた」と責任を背負い込んだ。この数カ月間は、悔しさを糧にトスを改善。それまでは速いテンポを重視してきたが、「スパイカーが打てないと意味がない」と息を合わせることを意識した。

大舞台で成果を披露し「スタートからいい形で入れたので明日につながる」と手応えをつかんだ。今日6日の3回戦の相手は、煮え湯を飲まされた高川学園。「最後は、やっぱり今年は駿台だったと思わせられるようなバレーができればいい」。2年生の司令塔は、頼もしく言い切った。【勝部晃多】

駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪いタッチを交わす駿台学園・三宅(右から2人目)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左から2人目)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いガッツポーズする駿台学園・亀岡(手前左)(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 2回戦に勝利した駿台学園・亀岡(手前左端)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪う駿台学園・亀岡(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】浜松修学舎 初の全国舞台で3回戦進出決める 富士見と2校そろって16強入り

前橋商対浜松修学舎 第1S、スパイクを放つ浜松修学舎・大塚(撮影・足立雅史)

バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)◇5日◇男女2回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって、16強入りを決めた。2回戦で女子の富士見は、川崎橘(神奈川)に2-0のストレート勝ち。男子は初出場の浜松修学舎が、前橋商(群馬)を2-0で退けた。今日6日は、3回戦と準々決勝が行われ、ベスト8進出を懸けて富士見は習志野(千葉)、浜松修学舎は西原(沖縄)と対戦する。

浜松修学舎 初の全国舞台で3回戦進出を決めた。前橋商に2-0で快勝。初戦に続いてOH赤堀悠人(1年)が得点を量産し、第1セットを先取。第2セットも勢いそのまま、5連続得点で試合を優位に進めた。終盤は相手の粘りに押され、24-22と2点差まで詰め寄られたが、最後はピンチサーバー榑林心海主将(3年)が、鮮やかなサービスエースを決め、「全国16強」をたぐり寄せた。

前橋商対浜松修学舎 第2S、サービスエースを決めガッツポーズする浜松修学舎・赤堀(撮影・足立雅史)
前橋商対浜松修学舎 勝利し、笑顔を見せる浜松修学舎の選手たち(撮影・足立雅史)
前橋商対浜松修学舎 敗れた前橋商(撮影・足立雅史)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見・甲斐監督(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第2セット、スパイクを放つ富士見・石川(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見の選手たち(撮影・江口和貴)

【春高バレー】富士見5年ぶり16強入り OH八田舞花が初戦に続き躍動しストレート勝ち

富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:富士見2-0川崎橘>◇5日◇2回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって、16強入りを決めた。2回戦で女子の富士見は、川崎橘(神奈川)に2-0のストレート勝ち。男子は初出場の浜松修学舎が、前橋商(群馬)を2-0で退けた。今日6日は、3回戦と準々決勝が行われ、ベスト8進出を懸けて富士見は習志野(千葉)、浜松修学舎は西原(沖縄)と対戦する。

  ◇  ◇  ◇

富士見が、5年ぶりに3回戦進出を決めた。第1セット序盤から主導権争いが続くも、相手のコンビバレーと堅い守りに苦戦。14-19と最大5点差のリードを許した。しかし劣勢でも選手たちは焦ることがなかった。初戦(2○0奈良文化)の勝利の立役者・OH八田舞花(3年)が、この日も躍動。強烈なスパイクと柔らかなフェイントで得点を重ね18-20まで追い上げた。さらにセッター野口優奈(3年)の連続サービスエースで20-20の同点。完全にゲームの流れを引き寄せた。最後は勝負強いOH福元さやか(1年)のスパイクが決まり25-23でセットを先取した。

第2セットは、序盤からサーブで相手のレシーブを崩すと、多彩な攻撃で試合を優位に進めた。なかでもMB鈴木真優(1年)のセンター攻撃やブロックが要所で決まり存在感を示した。粘る相手を振り切って25-20。ストレート勝利を決めた瞬間、選手は右手を突き上げ、オレンジコートに笑顔がはじけた。

チームはこれで同大会の過去最高成績(16強)に並んだ。昨夏全国総体で創部初のベスト8を果たし、「16強の壁」を破った選手たちが、いよいよ春高でも、8強に王手をかけた。

富士見対川崎橘 第1セット、得点で喜ぶ富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 第2セット、スパイクを放つ富士見・石川(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見の選手たち(撮影・江口和貴)
富士見対川崎橘 試合後、あいさつする富士見・甲斐監督(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】前回V古川学園が初戦ストレート勝ち 1年生主体の若いチームが連覇へ向け好発進

第2S、アタックする中川

<全日本高校バレー:古川学園2-0細田学園、東北2-0宮崎日大>5日◇男女2回戦◇東京体育館

前回大会優勝の古川学園(宮城)が、細田学園(埼玉)に2-0のストレート勝ち。リベロを含む先発出場7人の半分以上が1年生という若いチームが、初めての春高バレーで躍動。6年連続の初戦突破で「連覇」に向け、好スタートを切った。男子の東北(宮城)は、都城工(宮崎)にストレート勝ちした。

   ◇   ◇   ◇

23大会ぶり4度目の優勝を成し遂げた前チームから世代交代し、頂点に1歩前進した。3年生レギュラーは照井莉子主将、本田凜和(りんな)の2人。1年生主体のチームは第1セット(S)から強気なサーブで相手の攻撃を崩し、レシーブでボールを上げて得点を重ねる好循環を生み出した。序盤からリードを広げると、同S終盤は本田が負けじとブロックを連続で成功。第2Sも5連続得点と主導権を握り、奪った2Sはいずれも10点差をつける快勝だった。

昨年の全国高校総体、国体も同様に臨み、下級生は貴重な経験を積んできた。春高デビュー戦だったが、三浦結衣奈(1年)は「夢見ていた舞台で緊張したけど、今までやってきたことは裏切らない。自信を持って臨んだ」と冷静だった。やるべきことを全うし、タレントぞろいだった昨年とは違う強さがある。岡崎典生監督(55)は「あの子たちにとってみれば全てが初めての道。すごく緊張したと思うが、最高の滑り出し」と評価した。

待ち受ける「鬼門」を突破してみせる。6日は3回戦で金蘭会(大阪1位)と対戦。勝ち上がれば、ダブルヘッダーとなる準々決勝は、前々回大会で2連覇を達成した就実(岡山)と当たる可能性がある。岡崎監督は「1年生は伸びしろしかない。逆に苦しいけど、こんなに恵まれた組み合わせはないので、3年分くらい伸びる、成長できる1日にしたい」。フレッシュな名門が西の名門に挑戦し、新たなステージへと進む。【相沢孔志】

○…東北(宮城)は都城工(宮崎)にストレート勝ち。1回戦の高岡第一戦は初戦の硬さもあり、第2Sは31-29ともつれたが、この日はエース坂本アンディ世凪主将(3年)をはじめ、野村達稀(2年)、手嶋友哉(3年)らが伸び伸びと躍動。バックアタック、クイック攻撃、ブロックがおもしろいように決まり、先発の平均身長183・9センチと全チーム中NO’1の威力を遺憾なく発揮した。

手嶋は「最初は緊張したが、応援が力になって、自分たちが得意とするブロックや高さを生かした攻撃ができた」と感謝した。3回戦は習志野(千葉)と対戦。坂本主将は「習志野は強いチーム。うまく相手のバレーに対応しながら、しっかりと自分たちのバレーをしていきたい」と語り、鎮西(熊本)に3回戦でフルセットの末敗退した昨年超えと、同日に行われる準々決勝進出を誓った。

古川学園対細田学園 第1S、サーブを打つ古川学園・三浦(撮影・相沢孔志)
第1S、得点を喜ぶ古川学園の左から本田、照井、三浦(撮影・相沢孔志)
第2S、スパイクを打つ渋谷
第1S、ツーアタックする照井
第1S、スパイクを打つ三浦
古川学園対細田学園 第2セットに臨む古川学園の選手たち(撮影・江口和貴)
第2S、得点を喜ぶ古川学園(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第1セット、スパイクを放つ古川学園・中川(中央)(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第2セット、ブロックする古川学園・本田(左)(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 第2セット、ブロックを決め、ガッツポーズの古川学園・本田(撮影・江口和貴)
古川学園対細田学園 古川学園・岡崎監督(撮影・江口和貴)
第1S、選手たちを鼓舞する岡崎監督(中央)

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【春高バレー】長岡商、ディフェンスで長いラリーに持ち込む粘りを見せるも16強入りかなわず

金蘭会対長岡商 2回戦で敗れ、涙する長岡商の選手たち(撮影・足立雅史)

<全日本バレーボール高校選手権:金蘭会2-0長岡商> ◇5日◇女子2回戦◇東京体育館

新潟の女子代表、長岡商(2年ぶり11度目)は金蘭会(大阪<1>、13年連続13度目)に0-2でストレート負けした。昨年の全国高校総体に続く、全国16強入りはかなわなかった。

全国の壁は高かった。過去3度Vを誇り、昨年春高でも4強入りしている金蘭会。長岡商は15年の出場時にも同じ2回戦で敗れている相手だ。第1セットは高さのあるブロックとスパイクに苦戦し、流れをつかめない。それでも粘りのディフェンスで長いラリーに持ち込む展開を作り、徐々に「らしさ」を取り戻した。だが、決定機をつかみきれず、17-25でセットを落とした。

あとがなくなった第2セット。MB冨田ひかり、MB森山来実、OH加納理美ら2年生が要所で得点を奪い、サウスポーのOP吉塚光優(3年)のサービスエースも出たが、最後まで相手の高さを克服出来なかった。最終的に17-25でセットを奪えず、ストレート負け。試合後、選手の目には涙があふれた。

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【春高バレー】東京学館新潟17年ぶりに16強進出 リベロからアタッカー転向の斎藤寿明が躍動

東京学館新潟対高知 第1セット、スパイクを放つ東京学館新潟・斎藤(右)(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:東京学館新潟2-0高知>◇5日◇男子2回戦◇東京体育館

新潟の男子代表、東京学館新潟(2年ぶり15度目)が17年ぶりに16強進出を決めた。高知(8年連続23度目)に2-0でストレート勝ち。OH斎藤寿明(2年)が立て続けに得点を重ね、勝利に導いた。6日は3回戦と準々決勝が行われ、東京学館新潟は3回戦で8強入りを懸けて鎮西(熊本、15年連続36度目)と対戦する。

  ◇  ◇  ◇

東京学館新潟の背番号「11」が念願のオレンジコートで躍動した。斎藤は「(春高は)憧れの場所。めっちゃ、ワクワクしている」と心を躍らせ、大会に乗り込んだ。前日4日の1回戦、東亜学園戦(東京、2-1)では安定したフォームから力強いスパイクを放ち、過去4度Vの強豪を打ち破る勝利に貢献。この日も好調を維持したまま、高い決定率で得点を重ねて、チームに勢いをもたらした。昨年2月にリベロからアタッカーに転向したばかりだが、“エース誕生”を感じさせる成長ぶりを見せつけた。

1回戦で見せた硬さは消えていた。第1セット開始から磨き上げてきた守備力を発揮する。ブロックで引っかけて、長いラリーを制す「粘り強いディフェンスからのコンビバレー」で主導権を握り、開始から8連続得点を奪った。その後もセッター相田悠一郎(2年)の多彩なセットアップで相手ブロックを揺さぶり、25-14と大差をつけてセットを奪取。続く第2セットは追い上げを見せる高知を振り払い、25-21で逃げ切った。

チームの大黒柱、皆木海人ら3年生を中心に、新潟県勢で初の春高4強入りを果たした07年以来、17年ぶりの16強進出を決めた。3年生の背中を追う斎藤は「いつかは自分がエースになりたい」と目標を話していた。全国の舞台で新境地を切り開いた新エースの勢いは、まだまだ止まらない。【大島享也】

東京学館新潟対高知 第1セット、得点で喜ぶ東京学館新潟・坪谷(右)(撮影・江口和貴)
東京学館新潟の応援席(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 第1セット、得点で喜ぶ東京学館新潟の選手たち(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 第2セット、得点で喜ぶ東京学館新潟・小林(右)と井嶋(撮影・江口和貴)
東京学館新潟対高知 名前の書かれたカードを掲げ応援する東京学館新潟(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】大阪国際滝井、昨年4強の熊本信愛女学院に競り勝つ「独特なテンポ」敗れた堤監督

大阪国際滝井対熊本信愛女 勝利しタッチを交わす大阪国際滝井(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:大阪国際滝井・国際2-1熊本信愛女学院>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

大阪国際滝井・国際が前回大会ベスト4の熊本信愛女学院をフルセット(25-19、16-25、25-17)で破り、2回戦を突破した。

4日の1回戦で、高校生唯一日本代表に選出された秋本美空擁する共栄学園(東京)を退けて勢いに乗るチームを、粘りのバレーで振り切った。

敗れた熊本信愛女学院の堤政博監督は「うちは悪くなかったけど、独特なテンポでバレーを展開されてしまい、ブロックの位置などがマッチしなかった」と首をかしげた。

大阪国際滝井対熊本信愛女 敗れた熊本信愛女(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】大村工、V候補の洛南に劇的逆転勝ち 土井優太「自分たちが圧倒的に強いと」

大村工対洛南 第3S、得点を奪い喜ぶ大村工の選手たち(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:大村工2-1洛南>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

2年連続20度目の出場となった大村工(長崎)が、優勝候補の一角に名を連ねた洛南(京都)をフルセットの末に下し、3回戦へ駒を進めた。

第1セット(S)は、世代を代表するエース中上烈(2年)を中心とした洛南の攻撃に押され、22-25で落とした。それでも、メンバーに焦りはなかった。主将でエースの土井優太(3年)が「『2セット目を取りきろう』と話し合った」と言うように、目線はすぐに第2Sに向いていた。

朝長監督が「あんな姿見たことない」と話す気迫のプレーでチームをけん引し、このセットを25-23で取り返す。すると最終第3Sも22-23と一時リードを許しながらも、勝負どころで集中力を発揮。3連続得点で勝負を決めた。

マッチポイントでスパイクを決め、エース対決を制した土井は「今日の試合が一番のヤマ場だと思っていたので、勝ち切れたのがホントにうれしい」と笑みをこぼした。

府予選決勝で高校総体準優勝の東山をフルセットの末に破った洛南。そんな難敵が相手でも、決して「チャレンジャー精神」ではなかった。4日のミーティングでは「自分たちの方が強いと思わないと勝てない」という話をし、勝者のマインドを徹底した。「挑戦者として挑んだら絶対に負けていたと思う。俺たちが圧倒的に強い。そう思ったから勝ちにつながった」。初優勝を目指し、自信を深めていく。

大村工対洛南 勝利し歓喜する大村工の選手(撮影・足立雅史)
大村工対洛南 2回戦で敗れうつむき引き揚げる洛南(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】札幌山の手3回戦進出「最後の1点は絶対に取ってやる」小松田凪紗が強打で締めた

札幌山の手対富山第一 第2セット、得点で喜ぶ札幌山の手・高橋(右)と吉田(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:札幌山の手2-0富山第一>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

札幌山の手が2-0で富山第一を下し、3回戦進出を果たした。1回戦で古豪・八王子実践を破った試合同様、粘り強いバレーを展開。8年ぶりのベスト8入りに王手をかけた。

第2セット24-21のマッチポイント。コートの右寄りからセッター吉田芽(めい、2年)が逆サイドに上げた長いトスを、左端の小松田凪紗(3年)が強打した。「最後の1点は絶対に取ってやると思ってました」と、ラストを締めたヒロインが笑った。

前夜の試合終了が夜9時過ぎ。宿舎に戻って夕食は同10時前、あわただしく入浴し、布団に入れたのは、深夜12時ごろだった。「今までにないルーティン」(小松田)の合間に届いた同級生のLINEメッセージが、メンバーの心を再び奮い立たせた。「おめでとう。次も頑張って」。昨年12月のウインターカップで4強に入ったバスケットボール部の大山瑚南菜(3年)からだった。

この日は朝8時からの練習中に、渡辺徹監督(59)が富山第一の試合動画を見て動きを研究。終始落ち着いたレシーブからターゲットを狙い撃ちし、試合を決めた。「バスケ部とはいつも仲良し。同じぐらいは勝ちたい」と小松田。6日の3回戦で一昨年優勝の就実(岡山)からも金星をもぎ取り、クラスメートに近づく。【中島洋尚】

札幌山の手対富山第一 第1セット、スパイクを放つ札幌山の手・小松田(右)(撮影・江口和貴)
札幌山の手対富山第一 第1セット、スパイクを放つ札幌山の手・黒田(右)(撮影・江口和貴)
札幌山の手対富山第一 第2セット、得点で喜ぶ札幌山の手・黒田(左)ら(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】駿台学園V2へ快勝スタート 三宅綜大「最後は駿台と」3回戦で早くも宿敵と対決

駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左)ら(撮影・足立雅史)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-0>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

高校総体との高校2冠を目指す昨年覇者の駿台学園(東京)が、快勝スタートを切った。

初戦となった2回戦で、佐賀学園と対戦。さまざまなメンバーを起用しながらも付け入る隙を与えず、25-14、25-11のストレート勝利を収めた。多彩な攻撃陣を操った2年生セッターの三宅綜大は「初戦でスパイカーが気持ち良く打てば状態がいいと思ってくれると思うので、いつも以上に丁寧に意識した」とうなずいた。

全国トップクラスの守備力を軸としたつなぎのバレーを武器に、昨夏の高校総体で優勝。しかし、同校を軸とする東京選抜として出場した昨秋の国体では、山口県代表の高川学園に敗れた。

三宅は「自分のせいで負けた」とその責任を痛感。国体では速いテンポのトスを重視していたが、この数カ月間は「スパイカーが打てないと意味が無い」と息を合わせることを意識してきた。連覇がかかる大舞台でその成果を見せ、「スタートからいい形で入れたので明日につながる」と力を込めた。

3回戦は早くも、因縁の相手、高川学園との対戦が実現する。「最後は『やっぱり今年は駿台だった』と思わせられるようなバレーができればいい」。2年生の司令塔が、頼もしく言い切った。

駿台学園対佐賀学園 第1S、ポイントを奪う駿台学園・亀岡(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 2回戦に勝利した駿台学園・亀岡(手前左端)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いタッチを交わす駿台学園・亀岡(左から2人目)ら(撮影・足立雅史)
駿台学園対佐賀学園 第2S、得点を奪いガッツポーズする駿台学園・亀岡(手前左)(撮影・足立雅史)

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【春高バレー】高校3冠目指す下北沢成徳が快勝発進 主軸のイェーモン「『1戦1戦いこう』と」

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、得点で喜ぶ下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳2-0郡山女大付>◇5日◇第2日◇2回戦◇東京体育館

高校総体、国体との高校3冠を目指す下北沢成徳(東京)が、順調に初戦となった2回戦を突破した。

4日の1回戦で愛知の誠信を破った郡山女大付(福島)と対戦。スタメン平均身長177センチ(リベロ除く)の高さを生かしたブロックディフェンスと、攻撃陣の鋭いスパイクで流れを呼び込み、2-0のストレート勝ちを収めた。

第1セット(S)にいきなり5連続得点で先制すると、13-11と追い上げを許した場面で再び7連続得点で突き放し、このセットを25-17で奪取。第2Sも中盤に4連続失点しながらも立て直し、25-21で取り切った。ゲームを通して1度もリードを許さなかった。

リベロ内沢明未主将を除くスタメン全員が2年生だが、抜群のチームワークを誇る。主軸を担うイェーモンミャは「中学時代から同じメンバーなので言葉にしなくても通じ合う部分がある」と明かす。

日本代表の石川真佑らを輩出し、3度の優勝を誇る名門校。好発進となったがイェーモンは「自分のスパイクももっと磨けるし、チームも落ちているボールが全然多い」と気を引き締めた。3冠への意識も、チーム内ではそれほど強くはないという。「そこよりもまずは目の前のことに(集中)。『1戦1戦いこう』と話し合っている」。その先にある栄冠へ、目先の勝利と試合内容にこだわり抜く。

郡山女大付対下北沢成徳 第1セット、得点で喜ぶイェーモン(右後方)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】札幌山の手が八王子実践破る金星で2回戦進出「最大の力を出せた」小松田凪紗

札幌山の手対八王子実践 第2セットを奪い、歓喜する札幌山の手の選手たち(撮影・菅敏)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:札幌山の手2-1八王子実践>◇1回戦◇第1日◇4日◇東京体育館

札幌山の手が選手権で5回、選抜大会で5回と、計10度の全国優勝を誇る八王子実践を逆転で破る金星を挙げ、2回戦に進出した。

第3セット24-22のマッチポイント。吉田芽(2年)が中央から左に上げたトスを、小松田凪紗(なぎさ、3年)が左手1本で押し込むと、コートの選手もベンチの選手も、スタンドの応援も、一斉に飛び上がった。勝負どころの第3セット中盤では、自らのサーブからの流れで7連続ポイント。朝練で毎日100本のサーブ練習を繰り返した成果が、最高の舞台で出た。小松田は「自分の今持っている最大の力を出せた」と胸を張った。

伝統校の強いスパイクやサーブには、160センチと小柄なリベロ西川倫呂(こころ、3年)が対応。鋭角に落ちてくるボールに転がるように飛び込み、前線のアタッカーにつないだ。「スタートが悪くて戸惑いもありましたが、1本(レシーブが)決まるとすごい、もう、うれしくて。明日は最初からいいパフォーマンスができるように頑張ります」と、表情を緩めた。

就任20年目の渡辺徹監督(59)は「サーブとレシーブがうち(札幌山の手)の方が若干良かった。西川は誰よりもバレーが大好きな子。今日もどこまでもボールを追っていってましたね。守りの要として、(チームに)勇気を与えていたんじゃないか」と、番狂わせのヒロインを優しい顔でほめた。

5日の2回戦では富山第一と対戦する。黒田百花主将(3年)は「抽選の時には、八王子実践と聞いて誰もが知っている学校でプレッシャーというか、怖いっていう部分もあった。でも勝てて、みんなが喜んでくれてうれしい。北海道でたくさん応援している人もいるので、次もみんなの気持ちに応えたい」と黒田百花主将(3年)。名門を下した勢いをそのままに、札幌山の手が、(たつ)年にふさわしい、昇り龍になる。【中島洋尚】

札幌山の手対八王子実践 第2セットを奪い、歓喜する札幌山の手の選手たち(撮影・菅敏)
札幌山の手に敗れ、肩を落とす八王子実践の選手たち(撮影・菅敏)
札幌山の手対八王子実践 第1セット、スパイクする札幌山の手・川嶋(左)(撮影・菅敏)
札幌山の手対八王子実践 第1セット、スパイクする札幌山の手・黒田(左)(撮影・菅敏)
八王子実践に勝利し、歓喜する札幌山の手の選手たち(撮影・菅敏)

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【春高バレー】郡山女大付5大会ぶり初戦突破 昨年の涙乗り越え佐藤監督「アレできて良かった」

1回戦で誠信を破り、喜ぶ郡山女大付の選手たち(撮影・菅敏)

<全日本高校バレー>4日◇男女1回戦◇東京体育館

郡山女大付(福島)がフルセットの末、誠信(愛知)に2-1で逆転勝ちした。チーム最高身長182センチの佐藤にじ(2年)が打点の高いスパイクとブロックで躍動し、5大会ぶり初戦突破に導いた。女子は米沢中央(山形)、秋田令和が初戦を突破。秋田令和は現校名でのうれしい初勝利となった。前回大会女子優勝の古川学園(宮城)は今日5日、細田学園(埼玉)との初戦を迎える。男子は全国高校総体8強の東北(宮城)が、高岡第一(富山)を下し、順当に2回戦に駒を進めた。

    ◇    ◇    ◇

4大会連続ではね返された初戦の壁を、郡山女大付がついに乗り越えた。第1セット(S)は硬さもあり、サーブレシーブで崩れて落としたが、勝利まで譲る気はない。第2S中盤、佐藤らの得点でリードを広げ、7点差でSカウントをタイに戻すと、第3S序盤から主導権を握った。セッター後藤涼風(すずか)主将(3年)のツーアタックも成功。相手を惑わすトスワークから得点を重ね、マッチポイントで佐藤がスパイクを決めた。

1年前の1月4日は、涙をのんだ。1-1の第3S、7点リードから文京学院大女(東京)の猛追を受け、ジュースの末に惜敗。佐藤は「1日でも多く、東京体育館でやりたいというのが今年のコンセプト。それが果たせて良かった」。得点する度に喜び、チームを鼓舞した佐藤浩明監督(55)は「(昨年が)フラッシュバックした。ドキドキしていたけど、よく頑張った」と選手をねぎらった。

2回戦は昨年の全国高校総体、国体を制し、今大会で「高校3冠」を狙う下北沢成徳(東京1位)と激突。郡山女大付が前回初戦を突破した19年では2回戦で対戦し、0-2のストレート負け。佐藤監督は「前からアレ(勝利)したかったからアレできて良かった。明日もアレしたい」と、闘志を燃やした。登録メンバーに身長180センチ台3人を擁する相手に対し、後藤は「レシーブで対応して決めきれるようにしたい」。粘り強く、楽しく、コートで戦う。【相沢孔志】

○…米沢中央(山形) 明秀学園日立(茨城)にストレート勝ちし、2大会ぶりに初戦を突破した。第1Sを2点差で先取すると、第2Sは同校の持ち味とするレシーブで粘り、サウスポーのエース亀井達子主将(3年)を中心に得点を積み上げた。100人以上の応援団も駆けつけ、亀井は「自分たちの力になった」と感謝した。石田和也監督(51)は「勝てたことは大変うれしい。2回戦も勝って上を目指したい」。2回戦の相手は、2大会連続3回戦進出を狙う福井工大福井。亀井は「チャレンジャーとして自分たちのやってきたものを最大限発揮し、しっかりやって勝ち切れれば」と力を込めた。

○…秋田令和 和歌山信愛に2-1の逆転勝ち。20年の校名変更後初の“全国1勝”を挙げた。石黒麻紀監督の戦術変更が当たった。第1Sを20-25で失うと、第2S開始前、エース石川花菜(2年)にきわどいコースにスパイクし、ブロックアウトを狙うよう指示。同S、20-20の同点から石川のスパイクで1点リードすると、土田楓華(1年)のサービスエース、石川のスパイクが決まり3連続得点。そのまま、このSをものにし波に乗った。石黒監督は「攻め方を変えて冷静に対応できた」と選手をたたえ、石川は校名変更後初勝利に「うれしい気持ちでいっぱい。“秋田令和”の名を刻めた」と胸を張った。

○…東北(宮城) 高岡第一(富山)を2-0で下し、2大会連続初戦突破を果たした。第1Sを先取し、迎えた第2Sはジュースまでもつれこんだが、最後は193センチの長身から放たれたエース坂本アンディ世凪(3年)のスパイクが勝負を決めた。主将も務める坂本は「チーム全体が焦ってはいけないので、自分にきたら確実に決める気持ちでいた」と冷静さを忘れず、混戦を制した。昨年度は3回戦で鎮西(熊本)にフルセットの末に敗れ、悔し涙をのんだ。当時からチームの大黒柱だった坂本は「1点の重み」を痛感。以降はワンプレーを追求し、チーム力を強化してきた。「苦しいときも我慢して試合を決めきれた」と大事な初戦で成長を実感した。

第1S、スパイクを打つ石井
第3S、サーブを打つ佐藤にじ
第3S、得点に大喜びの佐藤にじ(撮影・相沢孔志)
5大会ぶりの初戦突破にガッツポーズする佐藤監督
1回戦で誠信を破り、喜ぶ郡山女大付の選手たち(撮影・菅敏)
1回戦で誠信を破り、喜ぶ郡山女大付の選手たち(撮影・菅敏)
郡山女大付対誠信 アタックをする郡山女大付・浅利(撮影・菅敏)
第2S、アタックする亀井
2大会ぶりに初戦突破を果たし、応援席にあいさつする亀井(右)
第2S、小玉(右)とハイタッチして得点を喜ぶ石川
1回戦に勝利し応援席にあいさつする秋田令和
第2セット、スパイクを放つ坂本(中央)
高岡第一を破り、歓喜する東北

【春高バレー】「なまはげ」東京体育館に現れる 来訪神の応援で秋田令和「全国1勝」をマーク

秋田令和対和歌山信愛 秋田令和を応援するなまはげ(撮影・宮地輝)

<全日本バレーボール高校選手権>◇4日◇女子1回戦◇東京体育館

観客席に現れた「なまはげ」が会場を盛り上げた! 「なまはげ」は秋田県男鹿半島付近で大みそかの夜に行われる冬まつり。神の使いとも呼ばれ、厄を払い、豊作や豊漁をもたらす来訪神とされている。会場に現れた「なまはげ」は特定非営利法人「秋田ふるさと応援団」が、同県代表の雄物川(男子)、秋田令和(女子)へ声援を送るため、約600キロ離れた東京体育館に現れた。

同法人は2011年の結成以来、バレーボールを始め、幅広いスポーツの応援などに足を運んでいるという。今回は小野鐵雄さん(=赤)、大渕清一さん(=青)が「なまはげ」の衣装を身にまとった。一目見ようと多くの観客が来訪神のもとを訪れ、たちまち人だかりが…。小野さんは「ふるさとを代表して『勝たせたい』一心です。神のお使いなので『勝利』を届ける応援を心がけています」と語った。

来訪神が福を招き入れた。雄物川は初戦敗退となったが、秋田令和は20年の校名変更後初の「全国1勝」をマーク。秋田令和の鈴木乃愛(3年)は「『なまはげ』は人生で初めて見た。大規模な応援はプレーの後押しになっています」と語り、雄物川の最上航帆(かずは、3年)も「どんな時も(応援が)原動力になった。遠い地元(秋田)から来てくれて本当にありがたいです」と感謝した。

ふるさとを盛り上げるため、これからもさまざまなチームへ福を届ける。

秋田令和対和歌山信愛 秋田令和を応援するなまはげ(撮影・宮地輝)
岡谷工対雄物川 雄物川応援席で気合いを入れるなまはげ(撮影・小沢裕)
代表校の応援に駆けつけ、会場を盛り上げた秋田の来訪神「なまはげ」(撮影・木村有優)

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【春高バレー】富士見がフルセット制す 八田舞花&福元さやかのWアウトサイドヒッターがけん引

奈良文化対富士見 スパイクを放つ富士見・八田(撮影・小沢裕)

<全日本バレーボール高校選手権:富士見2-1奈良文化>◇4日◇女子1回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって初戦を突破した。男子は初出場の浜松修学舎が、崇徳(広島)を2-0で下し、悲願の全国初勝利を挙げた。女子は、11年連続16度目出場の富士見がフルセットの末、奈良文化(奈良)を2-1で下し、5大会ぶりに初戦の壁を越えた。5日の2回戦で、浜松修学舎は前橋商(群馬)、富士見は川崎橘(神奈川)と対戦する。

  ◇  ◇  ◇

富士見 2人のアウトサイドヒッター(OH)がチームを勝利に導いた。OH八田舞花(3年)が、試合開始から高い決定率で得点を重ねチームをけん引。25-23で接戦を制し、第1セットを先取した。第2セットも得点源となったが中盤、6連続失点などで相手に主導権を握られ、19-25でセットを落とした。

1-1で迎えた最終第3セット。勝負どころでもう1人のOH・福元さやか(1年)が圧巻のパフォーマンスを見せた。最終セットだけで2桁得点を記録。八田とともに強烈なスパイクでチームを救った。特に15-15の同点の場面では、2本のサーブで相手を崩し、勝負どころでチームに勢いをつけ勝負を決めた。

チームは前回、コロナ禍で大会直前に出場辞退。先輩から託された思いを後輩たちが結果で示し、過去最高となるベスト8進出に向けて好発進した。

奈良文化対富士見 ポイントを奪い喜ぶ富士見の選手たち(撮影・小沢裕)
奈良文化対富士見 第1セットを奪いガッツポーズする八田(中央)ら富士見の選手たち(撮影・小沢裕)
奈良文化対富士見 スパイクを放つ富士見・石川(撮影・小沢裕)

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【春高バレー】浜松修学舎悲願の全国初勝利 MB大塚奨が流れ引き寄せ、全国屈指の伝統校撃破

浜松修学舎対崇徳 ポイントを決め、喜ぶ浜松修学舎の選手たち(撮影・菅敏)

バレーボール全日本高校選手権◇4日◇男女1回戦◇東京体育館

県勢2チームがそろって初戦を突破した。

男子は初出場の浜松修学舎が、崇徳(広島)を2-0で下し、悲願の全国初勝利を挙げた。女子は、11年連続16度目出場の富士見がフルセットの末、奈良文化(奈良)を2-1で下し、5大会ぶりに初戦の壁を越えた。

今日5日の2回戦で、浜松修学舎は前橋商(群馬)、富士見は川崎橘(神奈川)と対戦する。

    ◇    ◇    ◇

浜松修学舎が新たな歴史の1ページを開いた。今大会最多50回出場の伝統校を相手に初勝利。初めて挑んだ春高の舞台で、堅実な戦いぶりを披露した。

第1セットは序盤、連続得点を奪われるなど11-15でリードを許した。中等部で全国制覇した1年生4人をスタメンに擁するチームは劣勢を強いられた中、3年生MB大塚奨が、チームに流れを引き寄せた。クイックやブロックなど4得点を重ねると、先輩に刺激を受けたOH赤堀悠人(1年)が終盤に躍動。高い打点から広角に打ち分けポイントを重ね21-20と逆転。両チーム合わせ7度のマッチポイントも、最後は赤堀がサービスエースを決め、31-29でセットを先取した。

第2セットは、終盤まで点を取り合う展開となったが、要所でポイントを決めた2年生エースOH扇谷暉琉(2年)などの活躍で、25-21で振り切り、ストレート勝利を収めた。

攻守で技術を持ったオールラウンダー集団が、春高のコートで持ち味を十分に発揮し初陣を飾った。全国屈指の伝統校を撃破したチームは次戦(対前橋商)も圧巻のパフォーマンスを見せ、チーム一丸で旋風を巻き起こす。

浜松修学舎対崇徳 ポイントを決め、喜ぶ浜松修学舎の選手たち(撮影・菅敏)
浜松修学舎対崇徳 相手のアタックに反応する浜松修学舎の選手たち(撮影・菅敏)

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【春高バレー】長岡商が15年以来の春高白星「エース不要の全員バレー」でシーソーゲーム制す

長岡商対純心女 ポイントを奪い喜び長岡商の選手たち(撮影・小沢裕)

<全日本バレーボール高校選手権:長岡商2-0純心女>◇4日◇女子1回戦◇東京体育館

新潟の女子代表、長岡商(2年ぶり11度目)は純心女(長崎、48年ぶり8度目)に2-0でストレート勝ちし、15年以来の春高白星を飾った。

第1セットは序盤に6点差をつけられたが、5-10から10連続得点で息を吹き返し、セッター外山杏奈(3年)の左右を使い分けたセットアップ、要所でのツーアタックもさえた。第2セットも序盤にリードを許すが、新潟県予選決勝で見せた粘り強さとチームが追い求める「エース不要の全員バレー」で一進一退のシーソーゲームを制し、2回戦進出を決めた。

5日の2回戦は金蘭会(大阪)と対戦する。

長岡商対純心女 長岡商・冨田は純心女・原口(手前)のスパイクをブロックする(撮影・小沢裕)

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【春高バレー】母は大友愛さん 高校生唯一の日本代表・秋本美空が1回戦敗退も得難い代表経験

共栄学園対熊本信愛女 1回戦負けを喫しがっくりする秋本(右)ら共栄学園の選手たち(撮影・小沢裕)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:熊本信愛女学院2-0共栄学園>◇1回戦◇第1日◇4日◇東京体育館

昨年、高校生で唯一の日本代表メンバー入りを果たした秋本美空(2年)が、初戦で姿を消した。

エースとしてけん引する前回大会ベスト8の共栄学園(東京)は、同ベスト4の熊本信愛女学院と対戦。0-2のストレート負けを喫した。

第1セットから徹底マークに苦しめられ、思うようにスパイクを打たせてもらえない。サーブで守備を崩す場面はあったものの、アタックの打数を増やせず、23-25、22-25で敗戦。目標とするセンターコート(準決勝以降)での試合は2年連続でかなわず、「自分が点数を決められなくて負けてしまったので悔しい」。不完全燃焼に、がっくりと肩を落とした。

勝利はお預けとなったが、スタンドで見守った母に勇姿は届けた。12年ロンドンオリンピック(五輪)銅メダルの大友愛さん。普段、寮生活で直接会話ができる機会は少ないが、大会前にはラインで応援メッセージをくれるという。そんな母へ「次の目標はインターハイに行って日本一を取ること」と、新たな目標を掲げ、必ず白星をプレゼントすることを誓った。

昨年4月。初めて代表に選出されると、6月の合宿で約1カ月間トップの選手たちと練習をともにした。コーチから「レシーブがうまいから、自信をもってやったほうがいい」と助言を受けるなど、自身の知らなかった一面に気付かされた。代表のエース古賀紗理那や石川真佑らと直接話す機会はなかったが、「オーラがすごかった」と日の丸を背負う者の覚悟に触れた。夏には世界U19選手権に全試合スタメン出場し、4位。「それより緊張するものはないと思う」と貴重な経験を積んだ。

高校生活は、あと1年ある。自他共に認める「人見知り」だが、最近は「自分がプレーで引っ張っていきたい」と自覚も備わってきた。中村監督からも「彼女なりに理解して責任感や自覚がついてきた。周りには理解されづらいかも知れないけど、がんばっている印象」と評される。「これからも春高に向けてがんばりたい」。世代ナンバーワンの信念を胸に、来春、再びこの舞台に帰ってくる。【勝部晃多】

◆秋本美空(あきもと・みく)2006年(平18)8月18日、神奈川県生まれ。小2で競技を始め、共栄学園中3年時に全日本中学生選抜認定選手に選ばれる。共栄学園高では1年時から全日本高校選手権に出場し、8強入りに貢献。23年に初めて日本代表登録メンバー入り。184センチのアウトサイドヒッター。

共栄学園対熊本信愛女 得点を奪いガッツポーズする共栄学園・秋本(撮影・宮地輝)
共栄学園対熊本信愛女 スパイクを決める共栄学園・秋本(撮影・宮地輝)
共栄学園対熊本信愛女 スパイクを放つ共栄学園・秋本(撮影・宮地輝)
共栄学園対熊本信愛女 得点を奪いタッチを交わす共栄学園・秋本(撮影・宮地輝)
共栄学園対熊本信愛女 サーブを放つ共栄学園・秋本(撮影・宮地輝)

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【春高バレー】東京学館新潟、宿敵相手から念願リベンジ 今年定年退職の石山総監督も感慨

東亜学園対東京学館新潟 東京学館新潟・斎藤(右)がポイントを奪う(撮影・小沢裕)

<全日本バレーボール高校選手権:東京学館新潟2-1東亜学園>◇4日◇男子1回戦◇東京体育館

2年ぶりに春高1勝をつかんだ。東京学館新潟がフルセットの末、2-1で東亜学園(東京<2>)を下した。序盤こそ相手のコンビバレーに苦しんだが、エース皆木海人(3年)を中心に多彩な攻撃と伝統の「粘り強さ」を見せ、07年から3連敗を喫していた強敵から全員バレーで勝利をもぎ取った。5日の2回戦は高知と対戦する。

    ◇    ◇    ◇

オレンジと赤のユニホームが入り交じるコートで、東京学館新潟のオレンジが最後に輝いた。24-14のマッチポイントで迎えた最終第3セット。得意のコンビバレーでセットポイントを奪い、県勢初の4強入りした07年以来、3連敗していた宿敵相手に念願のリベンジを果たした。

22-25で落とした第1セットは立ち上がりから過去4度のVを誇る相手に押される展開が続いた。だが、4-8となったタイミングでタイムアウトを取った渡辺監督は「攻撃を頑張んなきゃダメ」と選手を鼓舞。以降、最大5点差あったリードを追い付き、徐々に東京学館新潟の伝統である「粘り強さ」を取り戻していた。

後がない第2セットは、セッター相田悠一郎(2年)の多彩な攻撃で主導権を握り、エース皆木も相手の3枚ブロックを打ち破るなど、それぞれが持ち味を発揮。25-18で奪い、フルセットに持ち込んだ。

1-1の第3セット。いきなり4連続失点も、リベロからスパイカーに転向した1年のOH斎藤寿明や身長190センチのMB沢田一毅ら2年生が立て続けに得点を重ね、勢いを取り戻す。終盤にはOH小林裕太(3年)も意地を見せ、16-13からは8連続得点で一気にマッチポイントに持ち込み、25-14で勝負を決めた。

新潟県主要大会の1・2年生大会、県総体、春高予選の3大会でVを飾り「県3冠」で春高に乗り込んだ。主将の高橋快(3年)は戦前に「目標の全国制覇を常に頭に入れながら、いいパフォーマンスをする」と話していた。初の日本一へ、最高のスタートを切った。【大島享也】

○…83年創部から41年間チームに携わり、今年3月で定年退職を迎える石山雅一総監督(65)は「東亜学園は憧れであり、理想としていたチーム。勝ててうれしい」と喜んだ。監督として県勢初4強に導いた07年、そして勇退を発表した19年にも敗れていた相手。「組み合わせが決まった時から宿命的なものを感じた」と話し、「最後の時に東亜学園と試合が出来て良かった」と感慨深そうだった。

○…4年ぶりに制限なしの応援が解禁。1日の能登半島地震で新潟も被害を受け、応援の中止も一時は検討されたと言うが、100人を超える応援団が東京体育館に駆けつけ、選手を後押しした。石山総監督は「応援の力ってやっぱりすごいね。選手たちも元気づけられたと思う」と感謝していた。

東亜学園対東京学館新潟 東京学館新潟・斎藤(左から2人目)はポイントを奪いチームメートの祝福を受ける(撮影・小沢裕)
東亜学園対東京学館新潟 ポイントを奪い走り出す東京学館新潟・斎藤(撮影・小沢裕)

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【春高バレー】地震被災の金沢商が全力プレーで故郷に元気 他校のサポートや応援に背中押される

金沢商対今治精華 第2セットを前に「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられたメッセージを前に気合を入れる金沢商の選手たち(撮影・菅敏)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:今治精華2-0金沢商>◇1回戦◇第1日◇4日◇東京体育館

1日の能登半島地震で被災した石川県金沢市の金沢商が、全力プレーで故郷へ元気を届けた。

1回戦で今治精華(愛媛)と対戦。0-2(23-25、18-25)のストレート負けを喫したものの、最後までボールに食らい付き、諦めない姿勢を示した。

南桃花主将(3年)は「『地元に勇気や元気を与えよう』と言い合ってプレーした」と、目を赤らめて振り返った。

学校や寮に大きな被害はなく、全メンバーはそろったものの、震災の影響で直前の練習は中止に。この日は約200人の応援団が会場に駆けつける予定だったが、保護者のみに縮小となった。

それでも、応援席に掲げられた「力を合わせてがんばろう石川」のメッセージボードが選手たちの励みに。また、先に試合を行っていた明秀学園日立(茨城)からの提案で、友情応援も実現。ブラスバンドやチアリーダーの応援が背中を押した。

南は「応援はすごく自分たちの力になるんだなって感じた」とうなずいた。

実家が能登にある浜田結衣(3年)は「もっと長く試合をして勇気を与えたかった」と悔しがった。試合前に親族から「自分たちも頑張るから、思いっきり楽しんで頑張ってほしい」、と伝えられたという。

勝利を届けることはできなかったが、「点を取った時のガッツポーズや試合中の笑顔では、そういうのを伝えられたかな」と話した。

金沢商対今治精華 ポイントを奪い喜ぶ金沢商の選手たち。スタンドの応援席には「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられた(撮影・菅敏)
金沢商対今治精華 ポイントを奪う金沢商・小林千尋(右)。スタンドの応援席には「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられた(撮影・菅敏)
金沢商対今治精華 ポイントを奪う金沢商・小林千尋(右から2人目)。スタンドの応援席には「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられた(撮影・菅敏)
金沢商対今治精華 第2セット、「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられたメッセージを前にポイントを奪い喜ぶ金沢商の選手たち(撮影・菅敏)
金沢商対今治精華 第2セット、「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられたメッセージを前にポイントを奪い喜ぶ金沢商の選手たち(撮影・菅敏)
金沢商対今治精華 第2セット、「力を合わせてがんばろう石川」と掲げられたメッセージを前にポイントを奪い喜ぶ金沢商の選手たち(撮影・菅敏)

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【春高バレー】“コロナ棄権”で3連覇逃した就実が初陣星 19年度Vの東九州龍谷を破る

東九州龍谷対就実 勝利し、喜ぶ就実の選手たち(撮影・宮地輝)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実2-0東九州龍谷>◇1回戦◇第1日◇4日◇東京体育館

3連覇を目指した前回大会の初戦直前に「コロナ陽性」とされ、棄権を余儀なくされた就実(岡山)が2大会ぶりに春高のコートに立った。

相手は19年度優勝の東九州龍谷(大分)。1回戦屈指の好カードとなった。

試合前から集中した様子の就実は、序盤からリードする展開になった。第1セット(S)を25-17で先取。第2セットも強烈なスパイクと的確なブロックで点差を広げた。2-0(25-17、25-17)のストレート勝ち。“2年分”の思いを込めた初陣星だった。

前回大会は戦わずして3連覇が消えたが2大会ぶりの日本一へ、幸先のいいスタートを切った。

昨年1月5日、新潟中央との初戦(2回戦)の直前に大会側から抗原検査の再検査を求められて「陽性」とされ、体育館に入ることなく大会を去った。

大会側の再検査に疑問を抱いた学校側はすぐに都内の病院で選手にPCR検査を受けさせ、結果は「陰性」。医師による陰性証明書を大会側に提示しても、棄権は覆らなかった。

会場はほぼ満員。西畑美希監督は「とにかくこのコートに立つこと。勝つとか負けるのは、その後についてくることでした。見渡したら、こんなに大勢の人たちが応援してくれている。今日はみんな、全員が本当に頑張ってくれた」と感無量の様子。試合前の円陣では、選手へ「ここで戦えるのは幸せなことなんだよ」と伝えたという。

主将の井上凜香(3年)は「楽しみが半分、緊張も半分という気持ちでした。相手は伝統校。このコートに立つことができて、勝ててホッとしています」と笑顔で話した。

1年前にコロナ陽性とされて棄権し、2年ぶりにコートに戻ってきた就実は試合前に円陣を組む(撮影・益子浩一)
東九州龍谷対就実 勝利し、あいさつする就実の選手たち(撮影・宮地輝)
東九州龍谷対就実 得点を奪い、喜ぶ就実の選手たち(撮影・宮地輝)
東九州龍谷対就実 トスを上げる就実・大森(撮影・宮地輝)
東九州龍谷対就実 スパイクを決める就実・比留間(撮影・宮地輝)

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