日刊スポーツ

【柔道】天理大・穴井隆将監督、全日本シニア体重別にエントリー 昨秋から本格的にトレーニング

穴井隆将(2012年5月撮影)

柔道男子100キロ級元世界王者で天理大の穴井隆将監督(39)が12日、自身のX(旧ツイッター)で2月24、25日の全日本シニア体重別選手権(大浜だいしんアリーナ)の90キロ級にエントリーしたと明らかにした。「人間が再起にかける姿に何かを感じていただけたらと思います」と記した。

2012年ロンドン五輪代表で元全日本選手権覇者でもある穴井監督によると、昨秋から本格的にトレーニング。試合に向け、指導と並行しながら学生と一緒に稽古に励んでいるという。(共同)

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【柔道】高藤直寿、現役続行を明言「引退はしない。できるところまでやりたい」66キロ級変更も

2021年東京五輪の柔道男子60キロ級金メダルの高藤直寿(30=パーク24)が現役続行の意向を固めたことが、12日までに分かった。共同通信の取材に「引退はしない。できるところまでやりたい」と明言した。「新しい挑戦」として66キロ級への階級変更も模索。今夏のパリ五輪代表は逃していた。

栃木県出身の高藤は神奈川・東海大相模高-東海大で鍛えられ、独創的で豪快な技を次々と繰り出すスタイルで10代から活躍。16年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得し、世界選手権は日本男子最多に並ぶ優勝4度を誇る。

66キロ級はパリ五輪で2連覇を目指す阿部一二三(パーク24)が君臨し、28年ロサンゼルス五輪を目指すかどうかは未定。「一年一年、どう過ごしていくか」と述べ、競技普及や柔道人気復活に向けての活動にも力を入れていくという。(共同)

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【柔道】日本男子の鈴木桂治監督が東京・町田で道場開き「全 全力」パリ五輪に向けたテーマに

鈴木桂治監督(2023年8月23日撮影)

柔道日本男子の鈴木桂治監督が6日、東京都町田市に自身の道場をオープンした。新年の抱負には「全 全力」を掲げた。

周囲の支えも全て結集させて力を尽くすという決意で、今夏のパリ五輪へ「選手は金メダルに向けて命懸けで闘う。全力でサポートし、責任を果たしたい」と意気込んだ。

日本代表監督として初めて臨むオリンピック(五輪)イヤーを迎え「五輪のことを考える時間がめちゃくちゃ増え、胃がずーんと重くなる緊張感がある」と心境を吐露。「あと7カ月余り、選手の目標を達成させるための準備をして過ごしていく」と語った。

設立した道場には、多くの子供が体験に訪れた。趣味の和太鼓の演奏も披露して記念日を盛り上げた鈴木監督は「柔道の楽しさを伝え、明るく活気ある場所にしたい」と思いを述べた。

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【柔道】代表内定の永山竜樹「育った町に金メダル持ち帰って恩返し」美唄市出身初のオリンピアン

美唄市役所を表敬訪問した柔道男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)

<パリへGO!>

パリ五輪を目指す各競技の北海道関連選手を紹介する企画「パリへGO!」3回目は、柔道男子60キロ級で代表が内定している永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)。

柔道男子60キロ級の永山は夏、冬通じて北海道美唄市出身初のオリンピアンとなる。昨年12月3日のグランドスラム東京大会決勝で東京五輪金メダリストの高藤直寿(パーク24)に勝利し、念願の五輪切符を手にした。1カ月がたった。年末年始を地元で過ごしており、同市役所に掲出された祝福の横断幕や旗を見ながら、感謝の思いとともに実感をわかせる。

永山 小さい頃から目標だった五輪という舞台に立てる。やっとここまで来れたなって気持ち。育った町に金メダルを持ち帰って恩返しできたら。

東京五輪代表は世界ランク1位として、あと1歩まで迫ったが、東海大の3学年先輩、高藤との一騎打ちで敗れて逃した。大学時代からの良きライバル。練習中も高藤より1歩前へ、1本多くを意識して取り組んでいた。

永山 手が届きそうなところまでいったけど、人間的、精神的にまだ五輪代表になる器じゃなかったと感じた。大事な場面で勝ちきれない。勝つべきところで勝たないと。(パリの)代表選考でかなり差をつけられて、自分もここで終わっちゃうのかなって空気もあった。でも小さい頃からの目標の五輪を諦めたくなかった。あの悔しさがあったから、今回代表になれた。

4歳から近所の友達に誘われたことがきっかけで柔道を始め、美唄市総合体育館での練習中に04年アテネ五輪を見て、あこがれの舞台になった。柔道は素人だったが、息子を鍛えるために黒帯を取得した父修さん(50)から厳しく指導され、今がある。22年8月に自身に長男栄樹君(1)が誕生し、父親になってわかるありがたさ。最高の親孝行のためにも、狙うは頂点のみ。

永山 小さい時からいろんな技を練習しておいた。立ち技はどの技でも1本を取れるのが自分の強み。それをしっかり発揮できるように。自分らしい柔道で金メダルを。

◆永山竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年(平8)4月15日、北海道美唄市生まれ。4歳から柔道を始める。美唄峰延小から愛知・大成中-大成高-東海大-了徳寺大職をへてSBC湘南美容クリニック所属。18、19年世界選手権銅。17、19、23年マスターズ優勝。得意技は背負い投げ。家族は妻と1男。血液型A。156センチ。

柔道教室で背負い投げの手本を見せる男子60キロ級の永山(右)(撮影・保坂果那)
柔道教室で背負い投げのコツを指導する男子60キロ級の永山(中央)(撮影・保坂果那)
柔道教室で指導する男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)
美唄市役所を表敬訪問した柔道男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)
美唄市役所を表敬訪問した柔道男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)
柔道教室後、参加者と集合写真に収まる男子60キロ級の永山(前列左から5人目)(撮影・保坂果那)
23年12月、柔道グランドスラムで永山(右)は高藤を攻める

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【柔道】パリ五輪代表の永山竜樹が地元北海道美唄市に凱旋「金メダルを持って帰って来たい」

美唄市役所を表敬訪問した柔道男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)

パリ五輪柔道男子60キロ級代表の永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)が5日、地元の北海道美唄市内で記念講演と柔道教室を行った。同市出身では夏冬通じて初のオリンピアンとなる。昨年12月に悲願の五輪切符を手にして凱旋(がいせん)し、「金メダルを持って帰って来たい」と宣言した。

記念講演では参加した約300人の前で、4歳から始めた柔道人生を振り返った。空知管内の中学生以下約80人が参加した柔道教室では、得意技の背負い投げを手本を見せながら指導した。会場の美唄市総合体育館は、柔道を始めた時の道場の場所。五輪を目指すきっかけとなった04年アテネ五輪も、練習中に体育館内のテレビで見た。「すごい懐かしい気持ちになった。こうやって五輪代表としてこの体育館に戻って来られたというのは、すごい感慨深いものがある」と、うれしそうに語った。

元日には地元の峰延神社に初詣し、おみくじでは「いつもあまり良くないけど、珍しく大吉を引いた」と、五輪イヤーを幸先良くスタートした。

イベント続きの大忙しの1日となったが「最初は自分のこんなイベントをやって、人が集まるのかなってちょっと心配だったけど、すごいたくさんの方々が来てくれて、やっぱり五輪ってすごいんだなって改めて思った。よりいっそう金メダルを美唄市に持ち帰って来たいってすごく強く思った」と、気持ちを高めていた。【保坂果那】

柔道教室で指導する男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)
柔道教室で背負い投げのコツを指導する男子60キロ級の永山(中央)(撮影・保坂果那)
柔道教室で背負い投げの手本を見せる男子60キロ級の永山(右)(撮影・保坂果那)
美唄市役所を表敬訪問した柔道男子60キロ級の永山(撮影・保坂果那)
柔道教室後、参加者と集合写真に収まる男子60キロ級の永山(前列左から5人目)(撮影・保坂果那)

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【柔道】アテネ五輪銀メダル泉浩氏がエジプト代表ヘッドコーチに就任

柔道男子90キロ級で04年アテネ五輪銀メダルの泉浩氏(41)が21日、来年1月からエジプト代表ヘッドコーチに就任することを明らかにした。28年ロサンゼルス五輪を見据えた契約で「自分が持てる全てを教え、選手の可能性を広げたい」と意気込みを語った。

青森県出身の泉氏は中学進学と同時に上京して柔道私塾「講道学舎」で鍛え、明治大-旭化成で活躍。アテネ五輪翌年にカイロで開催された世界選手権で初優勝しており「エジプトで指導できるのは縁を感じる。情熱を抱いて楽しみたい」と胸を躍らせた。

08年北京五輪出場後は総合格闘技に転向。最近は魚の仲卸会社の社員として東京・大田市場で働きながら、柔道教室を開くなど草の根で普及に取り組んでいた。さまざまな経験を積み、巡ってきたチャンスに「自分らしく、エジプトの柔道に尽くす」と決意を示した。

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【柔道】女子57キロ級内定の舟久保遥香「金メダル持って帰れるように頑張る」地元で五輪へ抱負

舟久保遥香(2023年1月12日撮影)

来年のパリ五輪柔道女子57キロ級代表内定の舟久保遥香(三井住友海上)が19日、出身地の山梨県富士吉田市の堀内茂市長を表敬訪問し「地元に応援されていると改めて感じ、気が引き締まる思いだ。金メダルを持って帰れるように頑張りたい」と抱負を述べた。

25歳の舟久保は寝技を得意とし、昨年から世界選手権で2年連続2位などの実績を残している。初めて挑む五輪へ「次のチャンスがあるかは分からない。全力を出し、悔いのないようにやっていきたい」と力強く決意を語った。

富士吉田市内にある母校の富士学苑高も訪れ、柔道部の後輩部員から激励を受けた。

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【柔道】全日本2年連続3位西潟健太が初優勝、仕事忙しく練習できない状況も「昔頑張った貯金です」

男子決勝 技を仕掛ける西潟(右)

<全日本柔道選手権・新潟県予選>◇17日◇鳥屋野総合体育館

すご腕のベテラン、西潟健太(36=AKJOB)が圧倒的な強さで初優勝した。

25選手が出場した男子トーナメント戦の決勝は丸山晃志(24=新潟県警察)に開始2分49秒、横四方固めで一本勝ち。全日本選手権2年連続3位(14、15年)の実力者の貫禄を見せた。3選手のリーグ戦となった女子は花木実友(新潟第一高2年)が3年連続優勝。来年3月3日の北信越予選(長野)は男女各3人が進出。男子は決勝進出者と推薦選手の星野太駆(新潟県警察)が出場する。

   ◇   ◇   ◇

すさまじい重圧だった。男子決勝。193センチ、160キロの西潟はバランスを崩した丸山にすかさず覆いかぶさった。畳を背につけた相手は必死に足をからめてきたが、簡単に外すと上半身を預け、横四方に仕留める。登場した2回戦から決勝まで4試合すべて一本勝ち。勝負を4分の時間内につけた。「36歳で体力がないから、少ないチャンスに決めるしかなかった」。初王者は苦笑した。

旭化成で日本のトップに名を連ねてきた。「7年前に引退した」と話した西潟が、現役復帰したのは国体指導スタッフからメンバー入りを請われたからだった。国体の北信越予選で右太もも裏肉離れを起こしたが、鹿児島国体(団体戦初戦敗退)には出場。そして今回、新潟県から初めて全日本の挑戦を決めた。「新潟県から出るのを最後に終わってもいい」と過去に2度3位に入った国内最高峰の柔道大会で“2度目の引退”をする決意をした。

練習はほとんどしていない。保険関係の仕事が忙しく、普段は「たまに知り合いの道場で子供たちの相手をする程度。県の合同練習があれば行く」と言う。北信越予選に向けての「トレーニングの計画はない」。それでも強く、対戦相手を圧倒した。西潟は「昔に頑張った貯金です」と再び笑った。【涌井幹雄】

▼女子リーグ戦 (1)花木実友(新潟第一高)2勝(2)伊藤ななせ(新潟県警察)1勝1敗(3)岩本彩愛(新潟第一高)2敗

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【柔道】24年世界柔道はアブダビで実施、UAEで初 2年連続中東開催

国際柔道連盟(IJF)は15日、来年の世界選手権を5月19~24日にアブダビで実施すると発表した。7月開幕のパリ五輪の予選対象大会。アラブ首長国連邦(UAE)での世界選手権は初で、ドーハで行われた今年に続いて2年連続での中東開催となる。

IJFは東京五輪が行われた2021年も、五輪開幕直前に世界選手権を実施した。(共同)

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【柔道】男子90キロ級の村尾三四郎と女子70キロ級の新添左季が合宿でパリ五輪への意欲を語る

柔道の国際合宿が6日、東京都文京区の講道館で報道陣に公開され、来年のパリ五輪代表内定で男子90キロ級の村尾三四郎(JESグループ)は「海外勢の力強さや距離感をつかめる。五輪で優勝するためにやっていく」と収穫を語った。

村尾は2日のグランドスラム東京大会で優勝したばかりだが、積極的に稽古。「大会に出た強豪が残っており、もったいないと思って参加した。ここから五輪へ仕上げていく」と意欲を示した。

女子70キロ級で五輪代表内定の新添左季(自衛隊)も「非常に内容の濃い練習ができた。強い選手とたくさん組み、疲労がすごい」と充実した様子。海外勢では女子63キロ級で東京五輪覇者のクラリス・アグベニェヌ(フランス)も汗を流し「次が確実に最後の五輪。金メダルが最大の目標」と気合十分だった。

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【柔道】パリ五輪代表内定の高市未来は泰然「積み重ねれば金に近づく」自戒込め「突っ走り禁止」

パリでの活躍を誓った高山、高市、永山(左)

来夏のパリ五輪柔道日本代表に内定した男女3選手が4日に都内で報道陣の取材に応じ、女子63キロ級の高市未来(29=コマツ)は「突っ走り禁止」を言い聞かせた。

リオデジャネイロ(5位)、東京(2回戦敗退)に続く3度目の舞台になるが、「(過去は)気持ちだけで突っ走って、やっぱりケガも多かったので」と自戒。できない事に目を向けて焦った従来ではなく、「今できることを、こつこつと積み重ねれば金メダルに近づく」と泰然とした。

男子60キロ級で27歳の永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)は東京五輪王者の高藤直寿(パーク24)との激しい代表争いを逆転し、初の代表を決めた。「やっとスタートラインに立てた。本能で投げて一本を取る自分の柔道をすれば勝てる」と強気。女子78キロ級で29歳の高山莉加(三井住友海上)も初代表。「諦めなければ道は開くっていう言葉を証明できた。金メダルを持って帰ってきたい」と力強かった。

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【柔道】斉藤立3決棄権し5位、今年は個人戦の優勝なし「地獄のような1年。あとは上がるだけ」

男子100キロ超級、準決勝で敗れる斉藤(下)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子100キロ超級でパリ・オリンピック内定の21歳斉藤立は5位だった。

初出場Vへ序盤3勝は快調だったが、準々決勝で右太もも裏を肉離れ。準決勝でその右足が耐え切れず、韓国選手に払い腰からの寝技で技あり2つを奪われた。3位決定戦は棄権し、今年は個人戦の優勝なしで終わった。「地獄のような1年。落ちるところまで落ちて沈み切ったので、あとは上がるだけ」と来夏の巻き返しを期した。

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【柔道】18歳新井道大が衝撃のGS初出場準V 東京五輪金ウルフ、飯田ら敗退でパリ切符浮上

男子100キロ級で銀メダルとなった新井(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子100キロ級の18歳、ジュニアの世界王者新井道大(どうた、東海大)が、シニアのGS初出場でインパクトを残した。

決勝こそAIN(ロシア出身中立選手)のカニコフスキーに敗れ「意味がない」と笑顔はなかったが、世界王者のアダミアン(AIN)に2回戦で一本勝ち。大外刈りでぶん投げて、場内を沸かせた。今春まで高校生の日本勢4番手から、大逆転のパリ五輪代表へ前進した。

10月の世界ジュニア選手権をオール一本勝ちで制した18歳。内股、大外刈り、隅落としで次々と海外勢をなぎ倒した。この階級で1番手だった飯田は2回戦敗退。投げられた瞬間を見て「よし!」と野心を隠さず、東京五輪金のウルフも準々敗退の中、大学1年生の新井だけ決勝へ進んだ。

28年ロサンゼルス五輪の星のはずが“前倒し”。序列も最上位となった。「もし来年まで(内定を)先延ばしてくれるのであればチャンスをつかみたい」と言った後、その通りに。男女14階級で最も決め手に欠けていた階級の救世主になる。【木下淳】

男子100キロ級決勝、一本負けを喫する新井(左)(撮影・垰建太)
男子100キロ級決勝 一本負けを喫し厳しい表情の新井(撮影・垰建太)

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【柔道】女子78キロ級は高山莉加が初の五輪切符 海外選手対策へ信念の「真っ向勝負」改善誓った

女子78キロ級で3位となり表彰台で笑顔を見せる高山(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

三つどもえだった女子78キロ級を抜け出したのは29歳の高山莉加(三井住友海上)だった。

3位決定戦の前、オリンピック(五輪)2連覇の上野雅コーチから「ここで取らなきゃ次につながらない!」と背中をたたかれて送り出された。20歳の杉村を41秒の一本勝ちで下し、「メダル取る、取らないではやっぱり違う」と強調した。東京五輪金メダルの浜田尚里が2連敗で脱落し、リオデジャネイロ五輪代表の梅木真美も5位。差をつけて初の五輪切符を手に。信念は「真っ向勝負」だが、「海外選手とそれで戦ってもかなうわけじゃない」と改善も誓った。

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【柔道】東京金の高藤直寿のパリでの2連覇消える 決勝で永山に敗れ「僕の時代は終わった」

男子60キロ級で優勝を決め永山が抱く子どもの頭をそっとなでて引き揚げる高藤(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子60キロ級で東京五輪金メダルの高藤直寿(30=パーク24)の2連覇がついえた。

パリ五輪代表の座を争っていた元世界ランキング1位の永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)に決勝での直接対決で一本負けし、「そんなにたくさん欲張っちゃいけないなと。取るものは取ってきたし、僕の時代ってのは終わったのかなと思います」と敗北を受け入れた。

5月の世界選手権、8月の国際大会と優勝を逃し、永山の追撃を許す形で迎えた大一番だった。「ここ1年あまりいい試合できてなかったんで、今日は気持ち全面に出して、自分の子供たち、そして若い選手たちにも気迫の柔道を見せれたかなと思います」。準々決勝ではリードを許した残り10秒を切ってからの技ありで追いつき逆転勝ち。返し技の切れ味もさえ、決勝でもあと少しで有効技となる場面も作った。「最後、直接できてよかったっていう気持ちと、解放されたなって」とすがすがしく言った。

右胸に刻んだ文字も新たな駆動源だった。「ALBA」。国内規定の変更で、6月から代表道着にスポンサーなどのロゴを掲出可能となった。「今回初めて入れました」。アンバサダーを務めるeスポーツチーム「ALBA E-sports」のマークだった。

ゲーム好きが高じて就任した役割だったが、いま「eスポーツの選手を応援したい」と強く思う。大会への努力などを目の当たりにし、食事の節制などにも取り組む姿を知ると、「僕らアスリートと同じ。なので、こちらの経験で伝えられるものもある」と柔道を通じて学んだ事を伝授する意義を見いだした。

5月の世界選手権は5位、8月の国際大会では3位。代表を決めきれずに、「本当に五輪に出たいのか」と真夏に1カ月も悩んだ。東京の金メダルで頂点は取った。再びの答えを模索する中で、気づけば試合を見ている自分がいた。「本当に好き。これしかない」と原点を思い返した。「必死にやる姿をみなに見てもらいたい」。その中には、eスポーツ界の“後輩”たちの姿も思い浮かべていた。

10代で国際大会大会に出始め、最軽量級で長く時代を築いた。「やりたいこともいっぱいあります。でも、僕にとって、五輪が全てなので、それはぶれないんで、ちょっと考えます」。山あり谷ありの柔道人生の1つの区切りを迎えた。【阿部健吾】

男子60キロ級の表彰台でメダルを手に笑顔で写真に納まる高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝、試合中に口から出血した高藤はアゴにテーピングを巻き試合に戻る(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
男子60キロ級決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)

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【柔道】新たに3階級のパリ五輪代表決定 永山竜樹、高市未来、高山莉加が切符つかむ

男子60キロ級の表彰台でメダルを手に笑顔で写真に納まる高藤(左)と永山(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

全日本柔道連盟は3日、GS東京を終えた会場内で強化委員会を開き、来年7月開幕のパリ五輪へ新たに代表3人を承認し、その後に会見を開いた。

男子は60キロ級の永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)が初選出された。決勝で東京五輪金メダルの高藤直寿(パーク24)を下した。男子の鈴木桂治監督は「今回の大会での上位と決めていた。永山選手は土壇場の、大勝負の時の勝率がいままで低かった。今回、選考がかかった大一番でどのような試合をするか注目していた。高藤選手に直接対決で勝利。その点も踏まえて選出した」と理由付け。「高藤選手に関しましても、世界選手権、マスターズに比べても試合内容もふさわしく、代表になる気持ちを十分に出してくれたが、直接対決の勝敗が大きく分かれたところ」とおもんぱかった。

100キロ級は「今回選考せずに、来年の大会でさらに選考していく」とした。18歳の新井道大(東海大)が2位と躍進し、「まだまだ国際大会の経験が少ない選手が、世界王者に勝ち、素晴らしい柔道を見せてくれた。代表戦線に名乗りをあげた」と歓迎はしたが、未知な部分も残す。7位に終わった東京五輪金メダルのウルフ・アロン(パーク24)のみを対象に残し、見極めていく。

女子は63キロ級で高市未来(コマツ)が3大会連続の五輪出場を決めた。準々決勝で堀川恵との一騎打ちを制し、優勝も飾った。リオデジャネイロ、東京とメダルに届かなかった結果を受け、女子の増地克之監督は「東京で悔しい思いをして、三度目の正直ではないが、柔道人生の集大成として期待したい。2大会経験しており、五輪の怖さも知っている。今度こそはメダルを取れるようにサポートしていきたい」と述べた。

三つどもえとなっていた78キロ級は、銅メダルを獲得した高山莉加(三井住友海上)を選出。東京五輪金メダルの浜田尚里、リオデジャネイロ五輪代表の梅木真美がメダルを逃す中で差をつけた。同監督は「3名の中でメダルを獲得した。高山選手が勝った韓国選手に浜田、梅木選手が敗れていたことも考えた」と経緯を述べ、「彼女の良さは勢いに乗れば手を付けられない。その勢いを本番で出せるようにしていきたい」と掲げた。

■パリ五輪の代表内定選手

<男子>

60キロ級 永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)

66キロ級 阿部一二三(26=パーク24)

73キロ級 橋本壮市(32=パーク24)

81キロ級 永瀬貴規(30=旭化成)

90キロ級 村尾三四郎(22=JESグループ)

100キロ超級 斉藤立(21=国士舘大)

<女子>

48キロ級 角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)

52キロ級 阿部詩(23=パーク24)

57キロ級 舟久保遙香(25=三井住友海上)

63キロ級 高市未来(29=コマツ)

70キロ級 新添左季(27=自衛隊)

78キロ級 高山莉加(29=三井住友海上)

78キロ超級 素根輝(23=パーク24)

柔道パリ五輪代表
男子60キロ級決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
男子60キロ級で優勝を決め永山が抱く子どもの頭をそっとなでて引き揚げる高藤(撮影・垰建太)
女子63キロ級で優勝した高市は表彰台で涙を浮かべながらスタンドに手を振る(撮影・垰建太)

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【柔道】永山竜樹パリ五輪内定「諦めかけた」序列から大逆転、仏修行へて東京五輪王者の高藤破る

男子60キロ級決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子60キロ級の元世界ランキング1位、永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)が悲願の五輪切符を手にした。24年パリ五輪代表の座を争っていた、前回21年東京五輪金メダルの高藤直寿(30=パーク24)に決勝で一本勝ち。大会後、全日本柔道連盟の強化委員会で代表内定が承認された。

   ◇   ◇   ◇

永山が、ついに尊敬する男を差し切った。東海大の3年先輩、東京五輪王者、高藤との決勝。延長戦に突入後、相手の流血で2度の中断があっても集中を切らさない。「(19年)GS大阪で対戦した時、同じように中断から再開した後、ポイントを取られたので」。油断はない。反対に一本背負い投げを決めた。「無心で何の技をかけたか覚えていないんです」。勝者がパリ切符を得ると確実視されていた中で“ゾーン”に入り、逆転内定をつかんだ。

「やっとここまで来られた。高藤先輩に勝って代表にならないと意味がないと思っていたので良かった」

東京五輪の代表も高藤と争い、決勝で思い出したGS大阪で完敗。夢破れた。以降は国内すら勝てなくなる。「このまま終わっちゃうのかな。いや何か変えなければ」と苦悩し、今年4月から2カ月弱、自費でフランスへ武者修行に出た。

「柔道というより人間として成長したくて」。昨年の世界選手権を制した高藤がリードしていたが、異国で「ほぼほぼ諦めかけていた」気持ちが上向く。帰国後の8月にマスターズ大会で優勝するなど国際大会2連勝で猛追。「苦しい過去を乗り越えて」迎えた4年ぶりの直接対決を制した。

高藤から頭をなでられ「パリ、頑張れよ」と託された。直後の強化委で満場一致の内定。夫人と1歳の長男へ五輪切符を持ち帰る。日本の宿命か、東京大会は世界ランク1位ながら逃したが、舞台に立てば金メダルを取る自信があった。「日本の誇りを持って自分らしい柔道をしたい」。156センチの体を夢の畳で躍動させ、先輩との最軽量級の2連覇を果たす。【木下淳】

◆永山竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年(平8)4月15日、北海道・美唄市生まれ。4歳で柔道を始める。愛知・大成高-東海大-了徳寺大職-現所属。世界選手権は銅2回。次ぐ格のマスターズ大会は17、19、23年に制した。20年も世界ランク1位だったが、東京五輪は逃した。得意技は背負い投げ。右組み。家族は夫人と昨年8月に誕生の長男。血液型A。

男子60キロ級の表彰台でメダルを手に笑顔で写真に納まる高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級で優勝を決め永山が抱く子どもの頭をそっとなでて引き揚げる高藤(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)

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【柔道】高山莉加が女子78キロ級3位決定戦制す「メダル取る、取らないではやっぱり違う」

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

女子78キロ級の三つどもえを抜け出したのは高山莉加(29=三井住友海上)だった。

3位決定戦を制し「メダル取る、取らないではやっぱり違う」と振り返った。東京五輪金メダルの浜田尚里(33=自衛隊)が2連敗で脱落し、3位決定戦では梅木真美(29=ALSOK)が敗れて5位となって、差をつけた。信念は「真っ向勝負」だが、「海外選手とそれで戦ってもかなうわけじゃない」とパリへの改善も誓った。

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【柔道】52キロ級阿部詩オール一本勝ちV「今年は兄と無敗でよかった」軟骨負傷も危なげなし

女子52キロ級で優勝し金メダルを手に笑顔を見せる阿部詩(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

女子52キロ級の東京五輪女王、世界選手権2連覇中の阿部詩(23=パーク24)が5試合をオール一本勝ちで制した。

決勝もフランス選手を小内刈りで退け、応援団に笑顔で手を振り「ホッとしました」と喜んだ。大会前に肋(ろく)軟骨を負傷していたが、危なげなし。年明けは2試合を挟んでパリへ向かう計画で「今年は兄と無敗でよかった。自分の心と相談しながら試合の数を決めて調整する」とプランを明かした。

女子52キロ級で優勝し笑顔を見せる阿部詩(撮影・垰建太)
女子52キロ級で優勝し笑顔を見せる阿部詩(左)(撮影・垰建太)
女子52キロ級決勝、一本勝ちで優勝を決める阿部詩(撮影・垰建太)
女子52キロ級・決勝、一本勝ちで優勝を決める阿部詩(撮影・垰建太)
女子52キロ級・決勝、一本勝ちで優勝を決めガッツポーズする阿部詩(撮影・垰建太)

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【柔道】高市未来V3度目の五輪へ 旧姓「田代」でリオ、東京五輪出場 22年高市賢悟氏と結婚

女子63キロ級で優勝した高市は表彰台で涙を浮かべながらスタンドに手を振る(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

女子63キロ級は高市未来(29=コマツ)が3度目の五輪を決めた。

準々決勝でパリ切符を争う堀川と激突。組み手争いで有利にたち、延長戦で相手に3つ目の指導が入って勝負あり。優勝も果たし、「次につながった」と喜んだ。

旧姓の田代として出場したリオ五輪、東京五輪でメダルを逃し、22年2月には左膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂。引退も考えた。元世界選手権代表の高市賢悟氏と22年11月に結婚し、「高市」として気持ちも新たに夢舞台を目指した。

夫は台湾のコーチに就任し、いまも離れ離れ。ただ、「本当に、おかげですね」と感謝する。今秋には初めて台湾を訪れ、厳しい代表争いの日々で心が潤う時間を過ごせた。真面目な性格で常に自分を追い込み、以前は旅行は考えられなかった。「でも、そういうの必要かなと。心と体の健康って大切だな」。大きな転換をくれたのは夫だった。

「魔物を作って勝手に縮こまって挑んだ過去2大会の五輪だった。良い顔をして柔道をしてきたい」。三度目の正直はパリで。【阿部健吾】

女子63キロ級で優勝した高市は笑顔でスタンドに手を振る(撮影・垰建太)
女子63キロ級で優勝した高市(右)は対戦した山口梨と笑顔で握手を交わす(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(左)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級・決勝で山口(右)と対戦する高市(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で堀川(右)に勝利し拳を握る高市(撮影・垰建太)

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【柔道】決勝で敗れた高藤直寿「日本の60キロ級は強くないと。頑張って」永山竜樹にエール

男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子60キロ級で24年パリ五輪(オリンピック)代表の座を争っていた元世界ランキング1位の永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)が、前回21年東京オリンピック(五輪)金メダルの高藤直寿(30=パーク24)を決勝で破った。

大会終了後、全日本柔道連盟の強化委員会が開かれるが、勝った方がパリ切符をつかむことが確実となっていた中、永山が大外刈りで一本勝ちした。

  ◇  ◇  ◇

高藤直寿の顔にはすがすがしさが広がった。「最後(永山と)直接対決できて良かった。解放されたな」。

五輪2連覇は消滅見込みだが、充実感もにじませた。準々決勝では逆転勝ち、決勝でも「今日は気合」と思い切りが目立った。「日本の60キロ級は強くないといけない。頑張ってほしい」と永山へ伝え、自身の今後は「やりたいこともある。僕にとって五輪が全て。そこはぶれずに考えたい」とした。

男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級の表彰台でメダルを手に笑顔で写真に納まる高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)

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【柔道】元世界ランク1位の永山竜樹がパリ五輪へ大前進!決勝で東京五輪金メダル高藤直寿に勝利

男子60キロ級の表彰台でメダルを手に笑顔で写真に納まる高藤(左)と永山(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子60キロ級で24年パリ五輪(オリンピック)代表の座を争っていた元世界ランキング1位の永山竜樹(27=SBC湘南美容クリニック)が、前回21年東京五輪金メダルの高藤直寿(30=パーク24)を決勝で破った。

大会終了後、全日本柔道連盟の強化委員会が開かれるが、勝った方がパリ切符をつかむことが確実となっていた中、永山が大外刈りで一本勝ちした。

永山は2回戦から出場。イタリア選手を腕ひしぎ十字固めで下し、3回戦はキプロス選手に袖釣り込み腰と裏投げで合わせ一本。準々決勝はジョージア選手に指導3の反則勝ち、準決勝はAIN(中立)の選手を内股の技ありで破った。

16年リオデジャネイロ五輪で銅メダル、東京で金の高藤は1回戦から。フランス選手に隅返しの技あり、2回戦で台湾選手に小外掛けで一本勝ち、3回戦で韓国選手に反則勝ちと、さすがの勝ち上がりだった。

想定外の正念場は準々決勝だった。開始20秒でイタリア選手にリードを許す。肩車で技ありを奪われ、追いつけない展開。焦る場内の歓声が大きくなる中、残り9秒、起死回生の技ありを内股で奪い追いついた。あとは地力が違う。延長戦に入って35秒で浮き落としの一本勝ちを収めた。準決勝は日本勢対決。21歳の中村太樹(国士舘大)を内股すかしの技ありで退け、決勝へ駒を進めた。

この階級は昨年の世界選手権で優勝した高藤がリードしていたが、今年5月の世界選手権で連覇を逃す5位。8月のマスターズ大会も3位だった。

そのマスターズ大会で優勝した永山が国際大会2連勝で猛追。今大会の一騎打ちに持ち込んでいた。そして直接対決を制し、夢舞台へ大きく近付いた。【木下淳】

男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
高藤直寿(2023年4月13日撮影)
男子60キロ級・決勝で対戦し敗れた高藤(左)は笑顔で永山の頭をなで健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)
永山竜樹(2022年12月4日撮影)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(手前)から一本勝ちを決める永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)
男子60キロ級・決勝で対戦する高藤(左)と永山(撮影・垰建太)

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【柔道】最重量級でパリ五輪内定の斉藤立が準決勝で敗れる 韓国選手に一本負けで3位決定戦へ

男子100キロ超級、準決勝で敗れる斉藤(下)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子100キロ超級で来夏のパリ五輪(オリンピック)代表に内定している斉藤立(たつる、21=国士舘大4年)が3位決定戦へ回った。

3つ勝って迎えた準決勝で韓国選手と対戦。技が出ず指導2を受けた後に、払い腰の技ありから、けさ固めで、合わせ技の一本負けを喫した。

「自分の力をしっかり出し切ることが一番大事。気負いすぎず、思い切ってやっていく」と期していた大会。「小学校の時からずっと見ていた」という、毎年開催は国内唯一の国際大会に初出場していたが、初出場Vとはならなかった。

2回戦から登場。ルーマニア選手に大内刈りの技あり、体落としの一本で幸先よく勝ち上がると、続く3回戦もウクライナ選手に合わせ技(内股から上四方固め)で勝利。準々決勝ではモンゴル選手を横四方固めで下していた。

3位決定戦ではジョージア選手と対戦する。【木下淳】

男子100キロ超級、準決勝で敗れる斉藤(下)(撮影・垰建太)
男子100キロ超級、準決勝で敗れる斉藤(下)(撮影・垰建太)

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【柔道】東京五輪金メダルの寝技女王、浜田尚里は7位 パリ五輪でV2へ「強い人が行くべき」

女子78キロ級・準々決勝、一本負けを喫する浜田(右)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

女子78キロ級の東京オリンピック(五輪)金メダリスト、浜田尚里(33=自衛隊)は7位に終わった。

まだ来夏パリ五輪の代表が内定していない階級で、浜田は準々決勝までは順当に勝ち上がる。しかし、ベスト4を前にしてラニル(イスラエル)に投げられて一本負け。敗者復活戦でも敗れた。選考に関して「今日のような柔道ではほんとに厳しいと思います。みな強くて簡単にいくとは思ってなかった」と肩を落とした。

パリ五輪代表は、この日の全試合終了後に開かれる強化委員会で決まる。浜田は「一番強い人が行くべきだと思います」と言葉を絞り出した。

パリ切符を争う高山莉加(29=三井住友海上)と今年の皇后杯を制した梅木真美(29=ALSOK)は、ともに準決勝まで進んだものの敗退。表彰台を懸けた3位決定戦に回っている。

女子78キロ級・準々決勝、一本負けを喫する浜田(右)(撮影・垰建太)

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【柔道】18歳の新井道大が衝撃の決勝進出!東京五輪金ウルフ、1番手の飯田ら敗退でパリ切符浮上

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子100キロ級の18歳、世界ジュニア王者の新井道大(どうた、東海大)がシニアの国際大会で初の決勝へ進出した。日本勢4番手からの、大逆転でのパリ五輪(オリンピック)代表の座へ、猛アピールした。

10月に世界ジュニア選手権をオール一本勝ちで制した大学1年生。1回戦でインド選手に内股、2回戦でAIN(中立)選手を大外刈りで下すと、3回戦も日本出身のベテラン高橋徳三(米国)に内股で一本勝ちと破竹の快進撃を演じた。

準々決勝もオランダ選手を隅落としの技ありで退けると、さらには準決勝もイタリア選手に内股で一本勝ち。頭上で自身へ拍手し、沸きに沸く観客席へ向かって右拳を2度、突き上げて喜んだ。

この階級で1番手だったのは、世界選手権代表に3年連続で選ばれていた飯田健太郎(25=旭化成)だったが、力なく2回戦敗退。東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)も準々決勝で敗れ、回った敗者復活戦でも、新井に敗れたオランダ選手に一本負けした。新井が7位だった先月の講道館杯で優勝している植岡虎太朗(23=日本製鉄)も3回戦で敗れた。

新井は28年ロサンゼルス五輪を狙える新星として注目されていた。今大会への派遣も頭になかったほど序列は下だったが、一気に4番手から堂々の候補へ。勝ち上がればウルフと準決勝で当たる組み合わせだったが、終わってみれば、新井だけファイナルへ。この時点で既に大きなインパクトを残している。【木下淳】

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【柔道】高市未来が堀川恵に勝利!パリ五輪代表争い一騎打ち、準々の直接対決で指導3の反則勝ち

女子63キロ級、準々決勝で堀川(右)に勝利し拳を握る高市(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

女子63キロ級で来夏パリ五輪(オリンピック)代表の座を一騎打ちで争う、五輪3大会連続出場を目指す高市未来(29=コマツ)と、初出場を狙う堀川恵(28=パーク24)が準々決勝で直接対決し、高市に軍配が上がった。

五輪2大会連続出場中の高市(旧姓田代)と、昨年の世界選手権で優勝した堀川(旧姓津金)の大一番。

序盤から一進一退の攻防を繰り広げ、開始55秒でまず両者に指導。その後、組み手を両手で切った堀川へ2つ目の指導が飛ぶ。最後は延長戦突入後の1分30秒(計5分30秒)に、両者に消極的として指導が出る。3に達した堀川の反則負けが決まった。

注目された1日の組み合わせ抽選で、早くも準々決勝で当たることが決定。高市は初戦の2回戦でフィリピン選手に横四方固めで一本勝ち。3回戦でイタリア選手に小外掛けで一本勝ちした。

堀川(旧姓津金)も2回戦から登場。ドイツ選手の棄権で不戦勝となり、続く3回戦はメキシコ選手を(小内巻き込みからの崩れけさ固めで退けていた。

女子日本代表の増地克之監督は「本当に差がない状況。優勝すれば決まる」と大会前に言及しており、勝った高市が頂点に立てば、パリ切符の獲得が確実となる。堀川は敗者復活戦へ回った。【木下淳】

女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で高市(白)に敗れる堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)に敗れる堀川(撮影・垰建太)
女子63キロ級、準々決勝で対戦する高市(白)と堀川(撮影・垰建太)

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【柔道】阿部一二三は一本勝ち、阿部詩は不戦勝 東京五輪金メダリスト兄妹が初戦突破

男子66キロ級、一本勝ちで2回戦を突破する阿部一二三(右)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子66キロ級と女子52キロ級の東京オリンピック(五輪)金メダリスト兄妹、阿部一二三(26)と阿部詩(23=ともにパーク24)がそろって決勝に進出した。

まずは妹の詩が登場し、ベトナム選手に不戦勝。続いて1回戦はシードだった兄の一二三が初戦の2回戦を迎えた。韓国選手を、背負い投げに入る動きからの大外刈りで、豪快に畳へ背中をたたきつけた。涼しい顔で一本勝ちし、場内をどよめかせた。

その後、詩はブラジル選手に寝技で一本勝ちして準々決勝へ。アラブ首長国連邦(UAE)選手を袖釣り込み腰で、準決勝ではイスラエル選手を内股からの崩れけさ固めで退け、オール一本勝ちでファイナルへ進んだ。

一二三もイタリア選手に背負い投げで一本勝ちして準々決勝へ。モルドバ選手を大外刈りと袖釣り込み腰の合わせ一本で下した。準決勝こそモンゴル選手を相手に大外刈りの技あり止まりだったものの、危なげない展開で決勝に進出した。【木下淳】

女子52キロ級、不戦勝で初戦を突破する阿部詩(撮影・垰建太)

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【柔道】ウルフ・アロン準々、敗復2連敗「どこを目指すか、いま一度考えたい」パリ五輪、遠のく

男子100キロ級・準々決勝、攻められるウルフ(左)(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇3日◇最終日◇男女8階級◇東京体育館

男子100キロ級の東京オリンピック(五輪)金メダリスト、ウルフ・アロン(27=パーク24)が準々決勝で敗退した。さらには敗者復活戦でもオランダ選手に背負い投げで一本負け。表彰台を逃した。

1回戦はジョージア選手を相手に支え釣り込み足で一本勝ち。2回戦も本戦4分間の残り10秒を切ったところで、カナダ選手を相手に肩車で技ありを奪った。3回戦では韓国選手に大内刈りで技あり、大外刈りで技ありの合わせ一本。8強入りしていた。

しかし、準々決勝ではイタリア選手に早く仕掛けられ、技ありも取り消されるなど巻き返せず。指導3の反則負けで力尽きた。

昨年も敗れていた相手で「去年よりはうまく試合を運ぶことはできたんですけど、最後の最後で…。やっぱり先に技かけても相手がかけてつぶれるタイプの柔道なので、そういったところで、見栄えとしても、最後は避けられてるところで指導が積まれてしまいました。もう少し、スタミナっていうところを練習してきていれば、あそこでもう1つ、2つ、技が出てたんじゃないかな」と悔やんだ。

自国開催で頂点に立った21年東京五輪の後は、競技普及のためメディア出演に注力。体重も激増し、復帰が昨年10月まで遅れた。以降は国際大会5戦で優勝はなし。「考えなくても、心の底に満足しちゃってる部分とかあったのかな」という日々を送ってきた。

直近では9月の杭州アジア大会(中国)でも準々決勝で敗退。この大会でも結果が出なければ、目指す来夏パリ五輪代表の座には届かない覚悟だったが、遠のいた。

その切符を争う、この階級では1番手だった飯田健太郎(25=旭化成)は2回戦敗退。植岡虎太朗(23=日本製鉄)も3回戦で敗れた。

「特に、他の選手の試合は。自分のやることをしっかりと見ることの方が大事なんで、そこはあんまり考えずに」

自身にフォーカスこそしていたが「準備のところでは、かなりしてきたなっていうところはあったんですけど、それでも競り負けてしまうところがあったので…。ちょっと今そこまで深く考えることはできないんですけど、いま一度、考えて、今日の負けをどういう風にこれから先につなげていくのか考えていきたい」と振り返った。「どこを目指してやっていくのかっていうところも、いま一度、考えたいなと思います」とも話した。

東京五輪後の2年間については「うまく試合で勝つことができず、もどかしい気持ちだったり苦しい気持ちだったり、いっぱいしましたし、いい2年間だったとは言えないですけど。まあ、そうですね、苦しい2年間だったかなって思います」と打ち明けた。

パリ五輪への思いに関しては「目標を決めないと、そこに向かってモチベーションも上がっていかないので。パリのオリンピックで2連覇するっていうのを目標にやってきた感じ」とした。

一方で最も若い世界ジュニア王者の新井道大(18=東海大)は決勝へ。3回戦で日本出身のベテラン高橋徳三(米国)に内股で一本勝ちし、準々決勝でオランダ選手を隅落としの技ありで下した。準決勝もイタリア選手に内股で一本勝ち。互いに勝ち上がればウルフと準決勝で当たる組み合わせとなっていたが、大学1年の新井が衝撃的にファイナルへ勝ち残った。【木下淳】

男子100キロ級・準々決勝、攻められるウルフ(左)(撮影・垰建太)
ウルフ・アロン(22年7月撮影)

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【柔道】新井万央が78キロ超級初V「シニア相手に通用することが分かってうれしかった」

女子78キロ超級で優勝し、金メダルを手にする新井(撮影・垰建太)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇2日◇第1日◇男女6階級◇東京体育館

女子78キロ超級の日体大2年、新井万央が初優勝した。

決勝でフランス選手に寝技で一本勝ち。世界ジュニア個人、団体2年連続2冠の有望株は「ジュニア枠からの出場でシニア相手に通用することが分かってうれしかった」と喜んだ。

70キロ級は両膝負傷から復活した田中志歩(JR東日本)が2位。57キロ級は長野県出身でカナダ代表の世界女王、出口クリスタが初めて制した。この日はパリ・オリンピック(五輪)内定選手の出場はなかった。

女子78キロ超級・決勝、抑え込む新井(左)(撮影・垰建太)
女子78キロ超級・決勝、優勝した新井(左)(撮影・垰建太)

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【柔道】長野県出身の世界女王、出口クリスタがGS東京V「今度こそ五輪!パリで金」カナダ代表

出口クリスタ(2019年8月26日撮影)

<柔道:グランドスラム(GS)東京大会>◇2日◇第1日◇男女6階級◇東京体育館

女子57キロ級の世界女王、長野県出身でカナダ代表の出口クリスタ(28)が初優勝した。

順当に決勝へ勝ち進み、わずか54秒、大外刈りでブラジル選手を一蹴。4試合オール一本勝ちで「過去3位が最高だった」という苦い思い出があった母国大会を制して「率直にうれしい」と笑顔を見せた。

そして続ける。

「前回はうまくいかなかったので、今度こそ」

松商学園高から山梨学院大。3年時に、父が出身のカナダ代表となることを決断。東京オリンピック(五輪)を目指した。19年の世界選手権(東京)で優勝したが、新型コロナ禍による中止を挟んで迎えた21年の世界選手権(ブダペスト)で5位。優勝したジェシカ・クリムカイト(26)に逆転を許し、東京五輪の出場権を逃す悲劇に泣いた。

代表落選後、大学の恩師を通じてスポーツドクター辻秀一氏を紹介されたという。「スラムダンク勝利学」等の著書で知られ、フェンシング女子サーブルで世界選手権2連覇の江村美咲も師事する第一人者と、メンタルトレーニングに励んだ。

「気負いすぎていたんです。『勝とう!』ではなく自然体でいることが大事だって教えられました。イラッとすることもなくなったし、あ、たまに…まだまだ半人前です」と笑いながら「さらに丸く…そんなトゲトゲしているわけではないけど、より普段の自分で。どんな時も平常心で生活すること」を心掛ける。

結果、今年5月の世界選手権(ドーハ)で4年ぶりに頂点へ返り咲き。来夏、夢舞台に立ってみせる。

カナダの代表選考には、日本のような早期内定制度はないという。年1回の世界選手権と世界ランキングが重視され、ともに上位者へポイント(P)が入る。

22年の世界選手権はクリムカイトが3位で、出口が3回戦敗退=クリムカイトに1P。23年の同大会は出口が1位で、クリムカイトが3位=出口に2P。「今は私が1Pリードしてるんですけど、まだまだ分からない」。来年5月に行われる予定の世界選手権、そして世界ランキングの上位者が各2Pを獲得できる仕組みで、予断を許さない。

その中でGS東京を初めて制しランキングポイントを積み上げたが、満足はない。

「世界選手権の結果が大事なので。でも、いい締めくくりになりました。この調子で来年もいいスタートを切って、今度こそ絶対」

五輪切符を勝ち取る覚悟を示した上で「金メダルを取りたいです!」と、柔道大国で輝く来夏への気持ちを高めた。【木下淳】

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