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柔道熊代佑輔「最後までもがきたい」役割示す決意

柔道熊代佑輔「最後までもがきたい」役割示す決意

グランプリ・テルアビブ大会に向け、気合を入れる熊代佑輔(撮影・峯岸佑樹)

柔道の強豪東海大男子柔道部の助監督で、男子100キロ超級代表の熊代佑輔(31=ALSOK)が21日、さらなる進化を誓った。グランプリ(GP)テルアビブ大会(23~25日、イスラエル)に出場するため成田空港を出発。

熊代は、14年9月のアジア大会以来となる海外での国際大会に強い決意を示した。「海外の国際大会で本当の自分の実力が分かる。恐れるものは何もない。新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。(絶対王者の)リネールもエントリーしているので、もし戦えたら、良いアピールをしたい」。

昨年9月に減量苦のため100キロ級から100キロ超級に変更した。185センチ、120キロで臨んだ同11月の講道館杯全日本体重別選手権で優勝し、周囲を驚かせた。グランドスラム(GS)大阪大会では東海大の後輩、太田彪雅と影浦心に敗れて5位に終わったが、存在感を示した。

100キロ級時代には、国際大会で勝てない低迷期が続いた。14年世界選手権代表の最有力候補であったが、初の派遣見送りの屈辱を味わった。世界の厳しさを知っているからこそ、今大会は「特別な思い」で覚悟を持って臨む。母校の助監督に就任して以降、指導者と選手の二足のわらじを履く日々を送る。年齢を重ねながら稽古量は減り、乱取りを行わない日もある。しかし、学生を指導することで「考える力」を身に付けた。新年の抱負を「チャレンジ」とし、海外の強豪に立ち向かうため変則的な袖釣り込み腰などの担ぎ技を研究中だ。2月からは、新たにボクシングトレーニングを導入する考えもある。

中学まではサッカー少年で、大型GKとして関東大会にも出場した異色の経歴を持つ。元日本代表FW森本貴幸とも対戦したことがあり、強靱(きょうじん)な足腰はサッカーで鍛え上げた。「他競技から学ぶことは多い。そこから柔道に生かすためのヒントが見つかることもある。まずはやってみることが大事」。

東京五輪代表争いは、16年リオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜にリードされる中、熊代はこう言う。「まだ、(可能性は)0%ではない。ほぼほぼ無理という厳しい状況は分かっているが、最後までもがきたい。それが、自分の役割でもある。後輩たちには、『自分を超えて世界へ出ろ』と畳の上でメッセージを伝えたい」。進化し続ける31歳の柔道家が「若手の壁」となるため、イスラエルの地で意地を見せる。

グランプリ・テルアビブ大会への意気込みを語る熊代佑輔(撮影・峯岸佑樹)

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新発田・和泉が唯一公立勢V、父は柔道強豪私学教頭

男子81キロ級決勝 組む前に和泉は気合いを吐き出す

<全国高校柔道選手権・新潟大会>◇19日◇最終日◇男女個人戦各5階級◇新潟市鳥屋野総合体育館◇日刊スポーツ新聞社など後援

男子81キロ級は和泉亮汰(新発田2年)が涙の初優勝を決めた。山崎優太(新潟第一1年)との決勝は反則勝ちだった。男女個人戦全10階級を通じて公立校の優勝者は1人だけ。新発田から個人戦覇者誕生は、01年度の女子個人57キロ級以来、18年ぶりの快挙だった。男女各階級の優勝者は3月21、22日に群馬で行われる全国大会に出場する。

畳から下りると和泉はもう、泣きだしていた。昨年の決勝で手にできなかったタイトル。どうしても欲しかった優勝だけに勝ち方は、どんな形でも良かった。開始から21秒には両者に指導が入ったが気迫を前面に押しだした。34秒には再び相手の山崎に指導、2分32秒にも相手に指導が与えられ、反則勝ちで初優勝は転がり込んだ。「気持ちでは絶対、負けない。この大会のために毎日練習してきた」。

年末年始は元日しか練習を休まなかった。12月25日から30日は5泊6日の県外遠征。池裕司監督(45)の日体大時代の同級生が指導する習志野(千葉)、修徳(東京)で練習を積み、4日と5日には福島県の強化練習会に参加した。「大会にかける思いは誰より強い。遠征で最後の追い込みをしてベストの状態で臨めるように準備してきた」。

昨年の同大会決勝で負けて以来、優勝と縁がなかった。6月の県高校総体は8強止まり。11月のBSN杯も2位と、県レベルの大会で優勝経験はなかった。「勝つことの難しさを学んできた」。そう話した和泉は、ようやく勝つ喜びを涙で味わった。

新発田は県内有数の進学校。男子部員は4人と少数で普段の練習は1日1時間半と短い。和泉は「文武両道でやることが大事」と話した。「進学校だから、優勝できない」という声も耳に届いていたが優勝で雑音も吹き飛ばした。強豪校・開志国際の教頭を務める父哲三さん(50=県柔連事務局)が思わず「慌てるな」と声をかけた熱闘を制した。長い手足は懐が深く、得意な内股と大外刈りの切れ味は鋭い。「素早く自分の組み手を作って組んだらすぐに仕掛けることを徹底したい」と和泉は全国へのテーマを話した。【涌井幹雄】

◆和泉亮汰(わいずみ・りょうた)2002年(平14)6月5日生まれ、新潟市秋葉区出身。柔道は父の影響で3歳から始め、初段。新津一中3年時には全国中学大会66キロ級出場。183センチ、80キロ。血液型A。

インタビューに涙でこたえる男子81キロ級Vの和泉

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柔道大野将平「縁起の良い1年」宇賀アナと抽せん会

抽せん会に参加した大野将平と宇賀なつみアナウンサー(撮影・峯岸佑樹)

16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)柔道男子73キロ級金メダルの大野将平(27=旭化成)が19日、20年東京五輪への決意を示した。

都内で行われた「20年用年賀 お年玉くじ抽せん会」にはかま姿で登場。元テレビ朝日の宇賀なつみアナウンサー(33)らとお年玉くじの抽せんを行い、大野は1回目の抽せんで「1」を当てた。「心の中でガッツポーズした。良い数字を当てたので、縁起の良い1年を過ごしたい。(新年を迎え)五輪が近づいているのを実感するとともに、個人と(初採用される)男女混合団体で2つの金メダルを取って、五輪金メダルを3つにしたい」。

新年は男子代表のハワイ合宿に参加した。11日に帰国したが、都内近郊で稽古を続け、いまだ拠点の奈良・天理市へ帰宅していないという。イベント後に帰宅し、親交のある元テニスプレーヤーでタレントの松岡修造(52)から毎年届く「熱い、熱い、言葉が書かれている年賀状が楽しみ」と少し照れながら明かした。

お年玉くじの1等は現金30万円。旅行好きの宇賀アナが「当たったら貯金して、フィンランドでサウナに入りたい」と切望すると、柔道界の「サウナー」でもある大野は共感していた。強靱(きょうじん)な肉体を誇る金メダリストは減量以外でも、稽古後の疲労回復などで頻繁にサウナに通っている。

6カ月後の2度目の大舞台は、“聖地”こと日本武道館で開催される。五輪代表争いも佳境を迎え、大野は早ければ2月末に内定する可能性があるが、「今はまず出ることが目標」と気を引き締める。周囲からの期待と重圧を感じながら、日々を過ごし、27歳の柔道家はこう言う。「(自国発祥競技である)柔道界を背負う責任や使命もある。多くの方へ感動や勇気、希望を与えるためにも、金メダルしかない。そのために精進するだけ」。4年前の自身を超えるために、あくなき探求心が大野を進化させる。

抽せん会で笑みを見せる大野将平(撮影・峯岸佑樹)

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新潟第一・小池、残り23秒劇的一本で2連覇決めた

主審の右手が上がる中、喜びをかみしめる新潟第一の大将・小池(右)

<全国高校柔道選手権・新潟大会>◇18日◇第1日◇男女団体戦◇新潟市鳥屋野総合体育館◇日刊スポーツ新聞社など後援

女子は新潟第一が2連覇を果たした。1-1で迎えた大将戦で小池優佳(1年)が開志国際の杉山沙羅(2年)に残り23秒、起死回生の内股を決めた。兄は大相撲の東幕下3枚目・王輝(23=錣山部屋)で姉陽菜さん(新潟第一出身)は4年前の個人無差別級の覇者(団体戦も優勝)。格闘技一家の末っ子は1年生で大きな「仕事」をやってのけた。男子は開志国際がV2。男女団体優勝校は3月21、22日に群馬で行われる全国大会に出場する。

  ◇   ◇   ◇  

左足をはね上げた小池は、78キロの杉山を背中から畳にたたきつけた。試合時間残り23秒での一本。得意な内股で勝負をつけた。スタミナを使い果たし苦しそうだったが、全力を出し切った選手にふさわしい笑みも浮かべた。先鋒(せんぽう)と中堅の対戦が終了して1-1。大将戦も「片えり」で指導を2回取られ、劣勢の中、一瞬の投げ技。丸山剛広監督(39)は「残り1秒あれば逆転できると思っていた」と大将の1年生をたたえた。

「絶対勝ちたいという気持ちで(技を)掛けることができた」と小池は声を弾ませた。15年度の個人無差別級チャンプで団体Vを決めている姉陽菜さんからはLINEで「負けたら許さない」という愛のムチをもらっていた。だからこそ最終盤にパワーをさく裂させた。開始から組み手争いは後手に回っていた。だが後半は丸山監督の声に開き直った。「奥をたたいていってみろと言われた。勇気を出して自分から奥襟を取っていったら内股が決まった」。消耗が激しい試合中にも指揮官の声を聞き取る冷静さを持っていた。

この日、大相撲・東幕下3枚目で奮闘する王輝が今場所初白星(1勝3敗)を飾った。尊敬する兄には故障した時に練習法と心構えのアドバイスを伝授されていた。関川中3年時に右膝を脱臼したが「ケガはつきもの」という兄から膝の周囲を強化するトレーニングを教えてもらった。「17キロの重りを背負ってスクワットを何回もやり、周囲の筋肉をつけた」。強い下半身はリハビリトレーニングで培った。

「団体戦で全国大会に行きたくて新潟第一に入った」。団体での目標はクリアし、今日19日は個人無差別に挑む。勝てば姉の成績に1年生で並ぶ。【涌井幹雄】

内股を仕掛ける新潟第一の大将・小池

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柔道井上康生監督「誇らしい」山下氏IOC新委員

柔道男子日本代表の井上康生監督

柔道男子日本代表が11日、米ハワイでの強化合宿から成田空港に帰国した。井上康生監督(41)は山下泰裕氏がIOCの新委員に選ばれたことを受け「我々、柔道家としても嘉納先生以来ということで大変誇らしい。大変な重責のもとで仕事をされる。先生にしかできないことをぜひともやっていただきたいと思っております」と話した。

ハワイでは観光名所ココヘッドの登山やカヌー体験にも挑戦。リフレッシュを兼ね充実したトレーニングを消化してきた男子66キロ級の阿部一二三(22=日体大)は「この1年悔いのないよう柔道人生をかけてやっていきたい」と語った。

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玉置桃、努力&感謝で勝つ 病と闘う父に金メダルを

「上を見て努力 下を見て感謝」と記した色紙を手に笑顔を見せる玉置(撮影・浅水友輝)

<東京五輪 がんばりマウス>

柔道女子57キロ級の玉置桃(25=三井住友海上、岩見沢市出身)がオリンピック(五輪)代表争いを勝ち抜き、父新さん(52)への感謝を届ける。昨年は優勝した11月のグランドスラム(GS)大阪、2位だった12月のマスターズ大会で、同階級最有力候補の芳田司(24=コマツ)に勝って代表レースに踏みとどまった。柔道の基礎をたたき込まれた師匠であり、今は病気と闘う父への恩返しの舞台を目指す。

思いを背負い、勝負の畳に立つ。厳しい五輪代表選考レースの真っ最中。玉置は今年の目標を「上を見て努力 下を見て感謝」と力強く記した。

玉置 上には努力している人がいて、強い人がいる。それに負けないような努力。下には支えてくれている人もいれば、不幸な人もいる。感謝の気持ちを持って東京オリンピックに向けて準備をして戦いたい。

自らの柔道人生は出会いと感謝の繰り返しだった。始まりは6歳。社会人でも活躍した柔道家である父との稽古。後に「玉置塾」を開くことになる独特の指導法が土台を作った。

玉置 体はもちろんきつくて、頭も使うんですよ、お父さんのメニューは。理論、理屈から全部教えてくれて。その通りにやったら勝てるみたいな自信がありました。できるようになると楽しくて。柔道を嫌になることは1度もなかった。

父の教え子には東京五輪を目指す“戦友”もいる。男子60キロ級日本代表候補の永山竜樹(23=了徳寺大職)だ。実家裏にある約17畳のプレハブ道場で何度も何度も組み合った。

玉置 すごい力になります。ライバルじゃないけど、竜樹がいるから自分も頑張ろうとそういう気持ちにさせてもらっている。

柔道家としての礎を築いた北海道は今でも「一番の原点」と強調する。

玉置 そこがなかったら今の自分はいないし、柔道もできていない。たくさんの人に支えられて、たくさんの人に教えてもらった。

15歳で育てられた「原点」を後にした。今でも憧れる04年アテネ五輪女子52キロ級銀メダル横沢由貴(三井住友海上)。大好きな生まれ故郷を「オリンピックの近道だと思って」離れ、東京の藤村女高に進んだからこそ、出会った。

玉置 こちらに来て一番最初に横沢さんが高校生の私に丁寧に教えてくれて、技やら何やら。この人みたいになりたいって。

高校1年で全日本ジュニアを制し、世界ジュニアや講道館杯にも出場。五輪を夢見て卒業後に三井住友海上に進んだ。96年アトランタ五輪で同郷の恵本裕子が日本女子初の五輪金メダルを獲得した後に建てられた「世田谷道場」。上野雅恵、順恵らを輩出した道場の畳は1度も張り替えていない。その場所で、技を磨き続けた。

玉置 道産子がいるなら、自分もできるだろうって。根拠ない自信が。

04年のアテネ大会で初めて意識した五輪。20年東京大会への第1歩は代表選考を突破すること。18年世界選手権優勝の芳田がはだかる。それでもスタンスは変わらない。

玉置 (昨年は)すごい忙しいけど、逆に充実した1年だった。楽しめた。ワクワクした日々を送れた。プレッシャーは感じない。自分のやるべき事をやるだけ。常に進化、変化を求めてやってこられた。自分の敵は自分。

東京五輪ではどうしてもかなえたい夢がある。14年に脊髄の病気で手術し、現在は車いすで生活する父を日本武道館に招くこと。そして…

玉置 東京五輪に連れて行って、金メダルをかけてあげたい。

今でも大会後に電話で助言をくれる父。人一倍柔道を愛する父に、金色に光り輝くプレゼントを届ける。【浅水友輝】

◆玉置桃(たまおき・もも)1994年(平6)9月16日、岩見沢市生まれ。岩見沢光陵中3年の全国中学48キロ級を制し、東京・藤村女高では1年時に全日本ジュニア選手権48キロ級で優勝。三井住友海上では19年に講道館杯優勝、GS大阪優勝、マスターズ大会準優勝。家族は両親と弟玉、妹桜も柔道家。きょうだいでの食事が息抜き。最近の趣味は路上ライブ鑑賞で「人間観察? ファンの子たちの表情を見ているのも楽しい」と長いときは、1時間半も見続ける。162センチ。

◆東京五輪代表への道 世界選手権18年優勝、19年準優勝の芳田とほぼ一騎打ち。玉置は4月の全日本選抜体重別選手権決勝●、11月の講道館杯全日本体重別選手権準決勝○、12月のマスターズ大会準決勝○で3戦2勝1敗。今後は2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会の成績で判定。そこでも決まらなかった場合は4月の全日本選抜体重別選手権の結果をもとに選考される。

道場の名札を指さす玉置

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井上康生監督、今年のテーマは「攻め」インタビュー

真剣な表情でインタビューに答える男子柔道日本代表の井上康生監督(撮影・狩俣裕三)

16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)で柔道男子を全7階級メダルに導いた日本代表の井上康生監督(41)は、20年東京五輪で2度目の指揮を執る。

今年のテーマを「攻め」と掲げ、集大成となる大舞台へ、緻密な準備を進める。19年ラグビーW杯日本大会で史上初の8強入りを果たした日本代表に感銘を受け、柔道界も「ONE TEAM」となって、大勝負に臨む。【取材・構成=峯岸佑樹】

   ◇   ◇   ◇

勝負の年が幕を開けた。井上監督は、56年前と同じ日本武道館で行われる20年東京五輪へ並々ならぬ決意を示した。

「今年のテーマは『攻め』しかない。リオ五輪までの過程を含め、全てを東京五輪のために準備してきた。攻めの気持ちを忘れず、最後に大輪の花を咲かせたい」

男子代表が史上初の金メダルゼロに終わった12年ロンドン五輪後に監督に就任。リオ五輪では、金メダル2個を含む全7階級でメダルを獲得した。指導者として「熱意」「創意」「誠意」の3つの言葉を大切に、アスリートファーストの視点で変革を図った。選手に寄り添い、自主性を重んじた指導を貫いた。東京五輪代表は決まっていないが、昨年12月には10人以上の代表候補たちと面談し、代表になった場合のスケジュールを詰めた。五輪までを逆算し、情報共有しながら技術、体力、精神面などの計画を入念に練った。

「海外開催の五輪と同じような準備をしていては大きなマイナス。東京五輪は50年、100年に1度のとてつもなく特別な五輪だと捉えている。(競技発祥国として金メダル量産の)重圧や不安は当たり前。それがあるからこそ周到な準備ができる」

監督に就任して7年が経過した。多忙な合間を縫ってトレーニングに励み、現役時代より6キロ減量。筋骨隆々の肉体を維持し、戦う指導者として先頭に立ち続ける。全日本柔道連盟の内規で代表監督の任期は2期8年。節目の年に、自国で最後の大舞台を迎える。重圧で寝られない日々が続くが、自身を「幸せ者」と表現する。

「これほど生きがい、やりがいを感じられる瞬間はない。大好きな柔道で、集大成として戦えるなんてこれほど幸せなことはない。一生に1度、こんな大役を任されることも人生においてないと思う。支えてくれている方々に感謝し、腹をくくって完全燃焼したい」

19年ラグビーW杯日本大会から東京五輪につながる“ヒント”を得た。日本が準々決勝で南アフリカに敗れた直後、心が揺さぶられる出来事があった。大号泣した長男(9)から電話があり、「また、お母さんに怒られたのか?」と尋ねると「日本が負けたんだ…。あんなに頑張ってきたのに、これで終わりなんだよね。次は4年後なんでしょ。日本での開催は一生ないかもしれないんでしょう」と泣き続けた。

「ラグビーのすごさ、スポーツの力を改めて感じた瞬間だった。強烈な刺激を受けた。一番身近な9歳の息子からそんなことを言われてぐっときたし、考えさせられた。東京五輪も同じような気持ちになる人がいると思う。我々も柔道を通じて、スポーツの本質や価値を伝えたい」

その後、都内での強化合宿に、東海大の後輩のリーチ・マイケル主将(31=東芝)へ講演を依頼した。自国開催の大舞台に臨む心構えなどを説いてもらった。日本代表としての志や準備などについて聞いた。チーム力の大切さや、重圧から逃げずに楽しむ逆転の発想などを学んだ。

7カ月後の大舞台では個人戦だけでなく、男女混合団体も初めて実施される。五輪代表権を巡り、全階級で激しい争いは続いているが、「代表=チーム」としての位置づけもあると強調する。41歳の指揮官は、日本柔道界を背負う戦士たちにこう期待を寄せる。

「代表権は選手たちが勝ち取った努力の結晶。日本代表という誇りと責任を持って、胸を張って戦い抜いてほしい。不安や危機感がある中でも、選手たちは必ずやってくれると信じている。その思いで日々を歩んできた。最後は、選手、スタッフとともに、チームとなって攻めの気持ちで突っ走っていく」井上ジャパンの最終章が始まる。

◆柔道の東京五輪代表選考 男女各7階級1人で、選手の準備期間確保を重視した「3段階」による選考で決める。(1)19年世界選手権優勝者が同11月のグランドスラム(GS)大阪大会を制し、強化委員会で出席者の3分の2以上の賛成で代表入りが決定。男子は該当者なし(2)同12月のマスターズ大会(中国)、2月のGSパリ大会、GSデュッセルドルフ大会終了時点で、強化委の3分の2以上が1、2番手の差が歴然としていると判断すれば代表選出(3)最終選考は4月の全日本選抜体重別選手権で、強化委の過半数の賛成で代表決定する。

◆井上康生(いのうえ・こうせい)1978年(昭53)5月15日、宮崎市出身。5歳から柔道を始める。東海大相模高-東海大-ALSOKを経て東海大柔道部副監督。東海大体育学部准教授。00年シドニー五輪100キロ級金メダル。04年アテネ五輪では日本選手団主将。08年に現役引退後、指導者研究で英国に留学。12年11月に男子代表監督に就任。家族構成は妻、1男3女。183センチ。

大切にしている言葉「熱意・創意・誠意」と色紙に記し、穏やかな笑顔を見せる男子柔道日本代表の井上康生監督(撮影・狩俣裕三)
大切にしている言葉「熱意・創意・誠意」と記した色紙とミライトワを手に、穏やかな笑顔を見せる男子柔道日本代表の井上康生監督(撮影・狩俣裕三)

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柔道女子の増地監督、五輪イヤーのテーマ「極める」

選手たちの寝技を真剣な表情で確認する増地克之監督(撮影・峯岸佑樹)

柔道女子代表が7日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンターで強化合宿を行った。

増地克之監督(49)は、20年のテーマを「極める」と掲げた。東京五輪で「頂点を極めるとの意味を込めて『極める』にした。(五輪代表権を巡り)選手たちにとって人生を左右する大会が続くが、プレッシャーの中で気持ちを全面に出して戦ってほしい」と話した。

稽古では4年続けて、日本ブラジリアン柔術連盟の中井祐樹会長を講師に招き、寝技に取り組んだ。昨年11月に五輪代表第1号となった78キロ超級の素根輝(そね・あきら、19=環太平洋大)は「いろいろなパターンがあるので勉強になる。立ち技から寝技への移行でしっかり決められるように意識したい」。7カ月後の五輪までは2つの国際大会に出場予定で「足りないところを強化し、東京五輪では名前の通り金メダルをとって輝く1年にしたい」と抱負を語った。

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大野らワイキキ砂浜ダッシュ「新たな刺激」井上監督

柔道男子日本代表の井上康生監督(2019年5月4日撮影)

ハワイで強化合宿中の柔道日本男子は6日、ワイキキビーチと並び観光客に人気のアラモアナビーチでトレーニングを行った。

ヤシの木が立つ砂浜で、足腰と心肺機能を強化。井上康生監督は「ハワイの文化を学びながら、いろんなものを感じ取ってもらいたい。新たな刺激があった」と満足感を示した。

日の出前の午前6時から約40分間、数十メートルのダッシュを繰り返した。73キロ級で2016年リオデジャネイロオリンピック(五輪)覇者の大野将平(旭化成)らは表情をゆがめながらも、黙々と汗を流した。観光名所ココヘッドの登山やカヌー体験など多彩なメニューを組む井上監督は「1つのことだけにこだわらず、いろんな世界を見せることで選手の能力を伸ばしたい」と改めて狙いを語った。

7日には実業団の強豪の旭化成とパーク24の柔道部も合流する予定。ハワイでの練習は9日までで、選手団は10日に帰国の途に就く。(共同)

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ウルフ・アロンがユーチューブ挑戦 ハワイ合宿出発

新年の抱負を語るウルフ・アロン(撮影・峯岸佑樹)

柔道の17年世界選手権男子100キロ級金メダルのウルフ・アロン(23=了徳寺大職)が、動画投稿サイト「ユーチューブ」に挑戦していることを明かした。

3日夜、米ハワイでの男子代表強化合宿に参加するため成田空港を出発。搭乗前に取材に応じ、昨年12月から開始したユーチューブについて「幼い子供らが柔道を知るきっかけになれば良いと思った。ただ、柔道の試合やトレーニングだけの動画では物足りないので、それ以外の部分もアップしている」と説明した。

手先が器用で料理を得意とする。先日アップした動画は、正月と柔道の体さばきを懸けて「タイのさばき」を披露。タイトルは「正月でめでたいから鯛を捌いてみた」だ。専用器具を用いてうろこを丁寧に取り、自前の包丁でタイをきれいに3枚におろした。うろこを説明する部分では「(ドラゴンボールZの)ベジータで例えると戦闘服の肩パッドのようなもの」などと時折、シュールな表現を交えて実況している。タイのさばきの次は、ローストビーフの作り方を紹介している。動画公開はあくまでも競技普及を目的とし、「ユーチューバーになろうとしているわけではない」と否定している。

昨年12月下旬、マスターズ大会で負傷した右膝を手術した。順調に回復し、今月中旬から打ち込みを再開予定という。

米国出身の父と東京都出身の母を持ち、幼少期からの夢である「柔道界の3冠」を目指している。世界選手権のほか、昨年4月の体重無差別で争う全日本選手権も制し、残すは五輪のみ。7カ月後の大舞台に向け、「今年は勝負の年。やり残しがないよう、1つ1つの練習を大事にやりたい」と決意を語った。

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柔道井上康生監督、東京五輪へテーマは「攻め」

新年のテーマを説明する井上康生監督(撮影・峯岸佑樹)

柔道男子代表の井上康生監督(41)が3日、20年のテーマを「攻め」と掲げた。米・ハワイでの男子強化合宿を行うため選手らともに成田空港を出発。新年の仕事始めを迎え、「今年のテーマは『攻め』しかない。全ては東京五輪のために準備してきた。攻めの気持ちを忘れずに、最後に大輪の花を咲かせたい」と抱負を語った。

柔道は練習環境が整った国内での強化合宿が多く、新年の海外合宿は極めて異例だ。他競技と同様に温暖な気候で体作りを目的とする。さらに、ハワイは04年アテネ五輪前に女子代表が強化合宿を敢行し、五輪で金メダル5個を獲得した縁起の良い土地でもある。運も味方にしながら、「集中とリラックス」を意識しつつ、強化を進める狙いもある。

井上監督は、19年ラグビーW杯日本大会での日本代表のチーム力に感銘を受けた。昨年12月の都内での強化合宿では、東海大の後輩のリーチ・マイケル主将(31=東芝)に講演を依頼。自国開催の大舞台に臨む心構えなどを説いてもらった。日本代表としての志しやW杯への準備などを聞き、「チーム力の大切さ」と「メリハリ」を再確認した。

7カ月後の東京五輪では個人戦だけでなく、男女混合団体戦も初めて実施される。個人の五輪代表権を巡り、激しい争いが続く中、「代表=チーム」としての位置づけもあると強調する。ハワイ合宿では、トレーニングや稽古だけでなく、柔道では珍しい選手だけのBBQやチームビルディングなども実施予定という。「(ハワイ合宿に参加した)このチームは、ほぼ五輪代表と補欠メンバーであり、7月の戦いまで一緒にいることになる。そういう面も持ちながら強化を進めていきたい」。

ライバルでありながら仲間でもある。4年に1度の大舞台に向け、柔道でも「ONE TEAM」が求められているのかもしれない。

以下、ハワイ合宿参加メンバー

▽60キロ級 高藤直寿(パーク24)永山竜樹(了徳寺大職)

▽66キロ級 丸山城志郎(ミキハウス)阿部一二三(日体大)

▽73キロ級 大野将平(旭化成)橋本壮市、海老沼匡(ともにパーク24)

▽81キロ級 永瀬貴規(旭化成)藤原崇太郎(日体大)

▽90キロ 向翔一郎(ALSOK)長沢憲大(パーク24)村尾三四郎(東海大)

▽100キロ級 ウルフ・アロン(了徳寺大職)羽賀龍之介(旭化成)飯田健太郎(国士舘大)

▽100キロ超級 原沢久喜(百五銀行)影浦心(日本中央競馬会)

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阿部一二三、詩が初詣「きょうだいで五輪優勝を」

初詣で金メダルを祈願する柔道の阿部一二三(左)と詩のきょうだい(撮影・実藤健一)

東京オリンピック(五輪)の柔道で金メダルが期待される男子66キロ級の阿部一二三(22=日体大)と女子52キロ級の詩(19=同)のきょうだいが2日、神戸市の三石神社で初詣した。

兄の一二三は絵馬に「勝負に勝つ」としたためた。「すごいたくさんの経験をした」という昨年は、2連覇していた世界選手権代表の座を丸山城志郎(26=ミキハウス)に奪われ、世界王者の座も明け渡した。しかし11月のグランドスラム(GS)大阪大会決勝で勝ち、結果次第で可能性があったライバルの東京五輪代表内定を阻止して五輪イヤーを迎えた。「何がなんでも勝ちきる。(代表選考で)勝てないと、五輪でも勝てない。自分の柔道人生で最高の1年にしたい」という思いをこめた。

妹の詩は逆にGS大阪大会決勝で敗れ、代表内定が先送りとなった。絵馬には「優勝」と書いた。「ずっと追いかけてきた20年がやっときた。五輪で優勝しかない。年が明けた瞬間に感じるものがあった」。おみくじを詩は「いやなのを引いたらいやなんで。昨年、凶を引いたこともあって」と引かなかった。吉を引いた兄の一二三は「俺が大吉にします」と宣言した。

目標は一致している。一二三は「きょうだいで五輪優勝の目標を達成するだけ」。詩も「2人で1番になってこその1年」と意気込んだ。

初詣で絵馬を奉納する柔道の阿部一二三(左)と詩きょうだい(撮影・実藤健一)

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柔道五輪代表2・27多数決定へ

19年の世界選手権で優勝した大野将平

東京オリンピック(五輪)代表を選ぶ全日本柔道連盟(全柔連)の強化委員会が20年2月27日に東京・講道館で開かれることが12月31日、関係者の話で分かった。

選考の第2段階にあたり、2月に欧州で行われる主要国際2大会の結果次第で、代表が多数決まる可能性がある。有力なのは16年リオデジャネイロ五輪金メダリストで19年世界選手権を制した男子73キロ級の大野将平(旭化成)、女子52キロ級で2年連続世界一の阿部詩(日体大)ら。

19年世界選手権で優勝した阿部詩

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ラグビー・リーチ講演 井上監督「非常に伝わった」

男子柔道合宿で指示を出す井上監督(撮影・山崎安昭)

柔道男子日本代表の井上康生監督(41)は24日、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表の8強入りに貢献したフランカー、リーチ・マイケル主将(31=東芝)が22日の男子代表強化合宿で講演を行ったことを明かした。

非公開で実施された講演では、自国開催の大舞台に臨む心構えなどを説いてもらった。東海大の先輩の井上監督が進行役を務め、「日本代表としての志」や「主将としてのチーム作り」、「W杯への準備」などを聞いたという。「笑いもあり、真剣に聞ける場面もあり、リーチ選手の誠実さが非常に伝わった。20年を迎える選手たちにとっても、ぐっと気持ちが引き締まる内容だった」と感謝した。

20年東京オリンピック(五輪)では、個人戦だけでなく、男女混合団体戦が初めて実施される。選手、スタッフを含めたチーム作りを大切にする井上監督は「来年は大輪の花を咲かせるための1年になる。周到な準備をした上で、五輪に全てを出していけるような戦いをしたい」と7カ月後の大舞台に向け、気持ちを引き締めた。

練習後に囲み取材に応じる井上監督(撮影・山崎安昭)

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柔道WマスターズV永山「ジンギスカン効果かも」

マスターズ大会を振り返る永山竜樹(撮影・峯岸佑樹)

柔道の世界ランキング上位で争うワールドマスターズ大会(中国・青島)男子60キロ級金メダルの永山竜樹(23=了徳寺大職)が15日、成田空港に帰国した。

圧巻の全5試合オール一本勝ちを収め、「今回は減量もスムーズで、コンディション調整がうまくいったことが勝因。ジンギスカン効果かもしれない。勝負肉にしたい」と話した。大会前、永山の弟が経営する都内のジンギスカン専門店で大好物のヘルシーな羊肉を口にして、エネルギーチャージしたという。

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原沢久喜V、ウルフ2位 女子は梅木初戦敗退 柔道

東京五輪代表選考会の一つである柔道のマスターズ大会最終日は14日、中国の青島で男女計5階級が行われ、男子100キロ超級では2016年リオデジャネイロ五輪銀メダルで世界選手権2位の原沢久喜(百五銀行)が優勝した。

決勝は同選手権決勝で敗れたルカシュ・クルパレク(チェコ)が棄権し、不戦勝だった。

男子100キロ級は世界選手権3位のウルフ・アロン(了徳寺大職)が決勝で同3位のミカエル・コレル(オランダ)に延長で敗れた。男子100キロ超級の影浦心(日本中央競馬会)は準々決勝で敗れたが、敗者復活戦から3位決定戦を制した。

男子90キロ級で長沢憲大(パーク24)、村尾三四郎(東海大)はともに準々決勝で敗戦。長沢は3位決定戦で敗れ、村尾は敗者復活戦で屈した。

女子78キロ級でリオ五輪代表の梅木真美(ALSOK)は初戦の2回戦で敗退。同78キロ超級に日本勢は出場していない。

マスターズ大会は五輪、世界選手権に次ぐ格付け。原則として世界ランキング36位以内が出場する。(共同)

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柔道永山竜樹オール一本で優勝、志々目V、玉置2位

<柔道:マスターズ大会>◇第1日◇12日◇中国・青島◇男女計5階級

東京オリンピック(五輪)代表選考会の一つの大会で、男子60キロ級で世界ランキング1位の永山竜樹(了徳寺大職)が決勝でフランシスコ・ガリゴス(スペイン)を下して優勝した。5試合全て一本勝ちだった。

女子57キロ級は玉置桃(三井住友海上)が準決勝で今夏の世界選手権2位の芳田司(コマツ)を延長の末に下したが、決勝でキム・ジンア(北朝鮮)に敗れた。芳田は3位決定戦でジェシカ・クルムカイト(カナダ)に敗れて5位。世界女王で世界ランク1位の出口クリスタ(カナダ)は初戦の2回戦で敗退した。

女子52キロ級で元世界女王の志々目愛(了徳寺大職)は決勝で世界ランク1位のアマンディーヌ・ブシャール(フランス)との延長戦を制し、優勝した。

マスターズ大会は五輪、世界選手権に次ぐ格付け。原則として世界ランク36位以内が出場する。(共同)

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井上監督ベイカー茉秋欠場で東京五輪「難しい形に」

成田空港で取材に応じる井上康生監督(撮影・峯岸佑樹)

柔道の世界ランキング上位で争うワールドマスターズ大会(12~14日、中国・青島)の男女日本代表が11日、成田空港を出発した。男子代表の井上康生監督(41)は、今大会を右肘関節脱臼で欠場する90キロ級ベイカー茉秋(25=日本中央競馬会)の東京五輪代表争いについて言及した。

「彼が立たされている立場と位置において、(東京五輪代表選考会を兼ねる)今大会に出場出来なかったことは、東京五輪に向けて非常に難しい形になった。この大事な大会を見送ることは、彼自身も苦しんでいるし、思い切り戦わせてあげたかったという残念な気持ちでいっぱい」

ベイカーは9日の稽古中に右肘を負傷した。井上監督は10日に電話でけがの状態を確認し、「東京五輪の話をした時は非常に残念な声になっていたと感じ取れた。しかし、戦いはこれからも続く。彼が戦いをやめない以上、いろいろな形で応援したい」と気遣った。

激戦の男子90キロ級は16年リオデジャネイロ五輪金メダルのベイカーを含め、19年世界選手権銀メダルの向翔一郎(ALSOK)、同男女混合団体代表の村尾三四郎(東海大)、18年世界選手権銅メダルの長沢憲大(パーク24)の4人で五輪代表を争っている。

マスターズ大会は、五輪、世界選手権に次ぐ格付けで、原則として世界ランキング36位以内の選手が出場出来る。

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柔道ベイカーがWマスターズ欠場 右ひじ関節脱臼

ベイカー茉秋(2019年11月3日撮影)

全日本柔道連盟(全柔連)は10日、16年リオデジャネイロ五輪男子90キロ級金メダルのベイカー茉秋(25=日本中央競馬会)がワールドマスターズ大会(12~14日、中国・青島)を欠場することを発表した。

全柔連によると、9日の稽古中に右肘関節を脱臼した。11月のグランドスラム・大阪大会(兼20年東京五輪代表選考会)では3回戦で敗退し、東京五輪については「厳しいかと思う」と話していた。

マスターズ大会は、五輪、世界選手権に次ぐ格付けで、原則として世界ランキング36位以内の選手が出場出来る。

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山下泰裕氏「涙が出るほど…」井上康生監督に感謝

タキシード姿で表彰式に出席した山下泰裕氏(撮影・峯岸佑樹)

全日本柔道連盟(全柔連)の山下泰裕会長(62)が9日夜、都内で行われたアスリートによる社会貢献活動を表彰する「HEROs AWARD」に出席し、柔道男子代表の井上康生監督(41)に感謝の言葉を伝えた。

山下氏が理事長を務め、国際貢献活動を続けてきたNPO法人「柔道教育ソリダリティー」が特別賞を受賞した。今年6月に解散したが、現在は井上監督が設立したNPO法人「JUDOs」が活動の一部を引き継いでいる。

タキシード姿でステージに登壇した山下氏は「教え子の井上監督が解散を知り、昨年末に私のところへ来て『NPOを立ち上げたい』と言ってくれてた。涙が出るほどうれしかった。本当にありがとう。スポーツには力がある。みんなで力を合わせて何が出来るかを考え、より良い社会づくりに貢献したい」とあいさつした。

06年から柔道を通じた国際友好プロジェクトを進め、これまで70以上の国や地域に向けて、柔道着約1万着、畳約2000枚を寄贈した。海外の指導者を受け入れて、指導方法を学んでもらうコーチングセミナーなども実施した。

山下氏は全柔連や国際柔道連盟(IJF)理事の業務、さらに日本オリンピック委員会(JOC)会長としての役割が多忙を極め、解散を決めた。柔道着や畳の寄贈などの活動は全柔連が引き継ぎ、井上監督が4月に設立した「JUDOs」が、一部の活動を継承するとともに新たな国際貢献活動を展開している。

タキシード姿で表彰式に出席した山下泰裕氏(撮影・峯岸佑樹)
タキシード姿で表彰式に出席した井上康生監督(撮影・峯岸佑樹)

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永瀬を追う柔道藤原崇太郎は短髪で出陣「集中して」

ワールドマスターズ大会への意気込みを語る藤原崇太郎(撮影・峯岸佑樹)

柔道の世界ランキング上位者で争われるワールドマスターズ大会(12~14日、中国・青島)の男女日本代表が9日、成田空港を出発した。従来は世界ランク16位以内のみがエントリー可能だったが、今回は36位まで広げられた。

18年世界選手権男子81キロ級銀メダルで世界ランク8位の藤原崇太郎(21=日体大)は、自身の柔道スタイルを貫くことを誓った。11月のグランドスラム・大阪大会(兼東京五輪代表選考会)決勝では、16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの永瀬貴規(旭化成)に指導3で敗れた。ライバルに五輪代表争いで1歩リードを許す展開となり「負けて良い試合はない。(強豪が集結する今大会は)自分の力がどんなものか分かるので、精いっぱいやりたい。目の前の試合に集中して、自分の柔道をするだけ」と静かに闘志を燃やした。

これまでの大会前には、お気に入りの理髪店で散髪し、気合を入れた。パンチパーマやEXILEのAKIRA風ヘアなどを披露し、その髪形にも注目が集まった。

今大会は「まじめでいきたい」として、理髪店には行かず、落ち着いた短髪にした。「やりたい髪形がなくなった。パーマもいろいろやったけど、これまでとかぶりたくなく、ちょっと悩んでいる」と理由を説明した。

世界選手権男子60キロ級2大会連続銅メダルで世界ランク1位の永山竜樹(了徳寺大職)は、リオ五輪銅メダルの高藤直寿(パーク24)との五輪代表争いが続く。結果次第で年間王者になる可能性が高いが、「ランキングは気にしていない。試合で勝つことしか考えていない。結果も内容も自分らしい一本を取る柔道をしたい」と目の前の試合に集中した。

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松本薫さん第2子長男出産「一緒に成長できるよう」

松本薫さん

12年ロンドンオリンピック(五輪)柔道女子57キロ級金メダルで、今年2月に現役引退した松本薫さん(32)が5日、3日に都内の病院で第2子となる長男を出産したことを発表した。

所属先のベネシードを通じて「12月3日に第2子となる野性味あふれる元気な男の子が生まれました。おかげさまで、母子ともに健康で元気に過ごしています。これからは2児の母として一緒に成長できるよう励んでまいります」とコメントした。

松本さんは現役時代、闘争心あふれる柔道スタイルで「野獣」の異名を取った。金メダルを獲得したロンドン五輪での勝利インタビューで「私、ミスしないので」の発言が、テレビ朝日系人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の名せりふ「私、失敗しないので」の語源となり、話題にもなった。

銅メダルだった16年リオデジャネイロ五輪後の同11月に一般男性と結婚。17年6月に長女を出産した。「ママでも『野獣』で頑張りたい」と東京五輪代表を目指していたが、18年11月の講道館杯1回戦で敗れるなどして今年2月に現役引退。会見で「優先順位が柔道よりも子供になった。子育てと両立しながら野獣スタイルを維持していくのは難しかった」などと話していた。引退後は、ベネシードの関連会社が運営するアイスクリーム店「ダシーズ」の商品開発に携わっている。

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五輪で使用の柔道の畳をナショナルトレセンに導入

GS大阪で使用された場内が黄色、場外が赤の畳(撮影・峯岸佑樹)

20年東京五輪の柔道で使用する中国のタイシャン社製の畳が、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターに導入されたことが3日、明らかになった。

関係者によると、11月下旬に場内が黄色、場外が赤の同社製の畳に張り替えられた。選手が感触などを確認出来るように全6面中1面を変更した。

東京五輪の畳を巡っては、国際柔道連盟(IJF)の合意の上、全日本柔道連盟が今年3月、テレビ視聴者や観客を意識して、場内が水色で場外が赤の「新色畳」を採用することを発表した。しかし、今夏の世界選手権(日本武道館)でテストすると、照明を受けた場内の水色が白色の柔道着に反射することが判明し、変更が決まった。国際映像を供給する五輪放送サービス(OBS)とIJFが現在も協議を続けている。

畳の色は、世界選手権や五輪開催国の風土や国旗などによって多様化した。00年シドニー五輪はわさび色、04年アテネ五輪はクリーム色、09年世界選手権オランダ大会では同国のナショナルカラーのオレンジ色だった。

近年は、白と青の柔道着がテレビ映えするなどの理由で、12年ロンドン五輪で採用された場内は黄色、場外は赤が主流となっていた。先月のグランドスラム(GS)大阪大会(兼東京五輪代表選考会)でも黄色と赤の畳が使われていた。

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五輪王者に有罪 教え子に性的暴行、オーストリア

オーストリアの裁判所は柔道男子86キロ級で1984年ロサンゼルス、88年ソウルオリンピック(五輪)を連覇した同国のペーター・ザイゼンバッハ氏(59)に、教え子の女子選手2人に対する性的暴行により禁錮5年の有罪判決を下した。2日、AP通信が報じた。

同氏の弁護人は上訴を検討するとしている。

99年から2004年にかけて、当時10代だった教え子に性的暴行を加えたという。ザイゼンバッハ氏はアゼルバイジャンの代表監督として、16年リオデジャネイロ五輪にも参加した。(共同)

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モラエイがモンゴル国籍 イラン政府から棄権圧力

国際柔道連盟(IJF)は2日、イラン代表として昨年の世界選手権男子81キロ級を制したサイード・モラエイがモンゴル国籍を取得したと発表した。

モラエイは今夏の東京での世界選手権で敵対するイスラエルの選手との試合を棄権するようイラン政府から圧力をかけられたが従わず、安全確保のために渡ったドイツで難民認定を受けていた。

先月のグランドスラム大阪大会には難民選手団として出場。12~14日のマスターズ大会(中国)からはモンゴル代表として、東京オリンピック(五輪)を目指すという。(共同)

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五輪代表の素根輝「臆病」ゆえの警戒心が強さの秘訣

24日、柔道東京五輪代表内定第1号となり、笑顔でポーズを決める素根

女子78キロ超級で世界女王の素根輝(そね・あきら、19=環太平洋大)が20年東京オリンピック(五輪)代表に決まった。柔道日本勢では、男女を通じて第1号となった。決勝で12年ロンドン五輪金メダルのイダリス・オルティス(キューバ)に延長の末、大内刈りで技ありを奪って初優勝した。

素根の強さの秘訣(ひけつ)は、「警戒心の強さ」なのかもしれない。代表合宿や遠征などで海外を訪れる際に、食べたことがないものは決して口にしない。魚介類やフルーツなどの生もの以外も、仲の良い52キロ級世界女王の阿部詩や兄の勝さんに必ず試食してもらってから口にする。最重量級の世界女王でありながら、「びっくりするぐらい臆病な性格」と打ち明ける。その対策として、海外遠征では大好物の駄菓子が必需品となっている。特に、パンダのデザインが特徴的な一口サラミ「おやつカルパス」が大好きで、機内や宿舎などでサクッと「いつもの味」を食べると安心するという。

柔道でも共通する部分があり、警戒心が強いため「ライバルはもっと稽古しているかも」と考え、稽古を重ねる。試合翌日でも完全オフはなく、365日トレーニングに励む。猛稽古は当たり前-。それが素根の強さにつながっている。

24日、女子78キロ超級決勝 オルティスを破り優勝する素根
素根輝の好物の「おやつカルパス」(撮影・峯岸佑樹)
素根輝の好物の「おやつカルパス」(撮影・峯岸佑樹)

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素根輝、3倍努力の体現で五輪切符「勝負ここから」

女子78キロ級決勝 オルティスを破り優勝する素根(撮影・前田充)

<柔道:グランドスラム(GS)東京五輪代表選考会兼大阪大会>◇最終日◇24日◇丸善インテックアリーナ大阪

女子78キロ超級で世界女王の素根輝(そね・あきら、19=環太平洋大)が20年東京オリンピック(五輪)代表に決まった。柔道日本勢では、男女を通じて第1号となった。決勝で12年ロンドン五輪金メダルのイダリス・オルティス(キューバ)に延長の末、大内刈りで技ありを奪って初優勝。男子100キロ級は16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽賀龍之介(旭化成)が4年ぶり2度目の優勝を飾った。

◇   ◇   ◇

19歳の世界女王が、夢舞台の切符を勝ち取った。決勝は、8月の世界選手権決勝と同じ相手。序盤はオルティスの奥襟をつかむ組み手に苦戦したが、持ち前の「攻める」姿勢を貫いた。前へ前へ-。延長1分53秒。体落としや足技で追い込みながら、最後は大内刈りで技ありを奪った。男女を通じて東京五輪代表第1号になった。「自分にプレッシャーをかけすぎず、1つの試合として臨んだ。最後は投げられて良かった。代表が決まるまでは落ち着かなかったけど、聞いてホッとした」。

4月には故郷の福岡県久留米市を離れ、岡山県の環太平洋大へ進学。母美香さんと稽古相手で柔道整復師の資格を持つ兄勝さんとともに引っ越した。一軒家を借りて2部屋をトレーニング室にして、実家から練習器具も持参。帰宅後、毎日午後11時過ぎまで勝さんと稽古に打ち込んだ。座右の銘の「3倍努力」を体現し、腕立て伏せ200回を就寝前の日課とした。

技の切れ味は78キロ超級で随一。身長162センチと上背はないが、下から突き上げる左手の釣り手を軸に、大柄な海外勢を揺さぶってきた。かつては、18年世界女王の朝比奈沙羅(23)らの大きい相手に押しつぶされ、持ち味が消されることが多かったが、小さい体を「武器」と言えるまで成長。92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダルで環太平洋大の古賀稔彦監督も「重量級だが、軽量級並みの柔道センスがある」と評価した。

5連勝中の朝比奈との直接対決はこの日、実現しなかったが、今大会銅メダルの朝比奈を上回る内容と結果で五輪代表を決めた。しかし、夢をかなえるまで慢心はない。「ここで終わりじゃない。支えてくれた方のためにも、東京五輪で絶対に金メダルを取る。勝負はここから」。九州で“無敵女子”と呼ばれた19歳の柔道家が、夢舞台に挑む。【峯岸佑樹】

柔道東京五輪代表内定第1号となり、笑顔でポーズを決める素根(撮影・前田充)
優勝し表彰式で笑顔を見せる素根(撮影・前田充)

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素根輝が五輪代表「必ず金を」満場一致で内定1号

柔道東京五輪代表内定第1号となり、笑顔でポーズを決める素根(撮影・前田充)

<柔道:グランドスラム(GS)東京五輪代表選考会兼大阪大会>◇最終日◇24日◇丸善インテックアリーナ大阪

女子78キロ超級で世界女王の素根輝(そね・あきら、19=環太平洋大)が20年東京オリンピック(五輪)代表に決まった。柔道日本勢では、男女を通じて第1号となった。決勝で12年ロンドン五輪金メダルのイダリス・オルティス(キューバ)に延長の末、大内刈りで技ありを奪って初優勝。男子100キロ級は16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの羽賀龍之介(旭化成)が4年ぶり2度目の優勝を飾った。

○…試合後、全柔連の強化委員会が開催された。この日、参加した強化委員34人の満場一致で、素根の五輪代表が内定した。会見で金野潤強化委員長は「8月の世界選手権とGS大阪の連続優勝は非常に評価している。心技体ともに1年前に比べて成長している。東京五輪でも必ず金メダルを獲得してくれるはず」と期待した。

女子78キロ級決勝 オルティスを破り優勝する素根(撮影・前田充)
東京五輪代表が内定し、会見で笑顔を見せる素根(撮影・前田充)

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素根輝が初V!東京五輪の柔道代表1号に前進

女子78キロ超級決勝 オルティスを破り優勝する素根(撮影・前田充)

<柔道:グランドスラム(GS)東京五輪代表選考会兼大阪大会>◇最終日◇24日◇丸善インテックアリーナ大阪◇女子78キロ超級

19年世界選手権女子78キロ超級金メダルの素根輝(19=環太平洋大)が決勝で12年ロンドン五輪金メダルのイダリス・オルティス(キューバ)を下し、初優勝を飾った。試合後、全日本柔道連盟の強化委員会が開かれ、出席者の3分の2以上の賛成を得ると日本柔道第1号となる東京五輪代表が決まる。

ライバルの18年世界女王の朝比奈沙羅(23=パーク24)は銅メダルだった。

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ベイカー茉秋が一本負け「頭真っ白…」復活戦回れず

男子90キロ級 3回戦で敗れるベイカー(右)(撮影・前田充)

<柔道:グランドスラム(GS)東京五輪代表選考会兼大阪大会>◇最終日◇24日◇丸善インテックアリーナ大阪◇男子90キロ級など男女全5階級

16年リオデジャネイロ五輪男子90キロ級金メダルのベイカー茉秋(25=日本中央競馬会)が3回戦で、ジョージア選手に延長の末、一本負けを喫した。敗者復活戦にも回れず「悔しいのひと言。完敗だった。まだ、頭が真っ白…。(東京五輪については)厳しいかと思う」と肩を落とした。

女子78キロ超級では、今大会に優勝すると東京五輪代表に決まる可能性がある19年世界女王の素根輝(環太平洋大)が準決勝に進出。ライバルの18年世界女王の朝比奈沙羅(パーク24)は準々決勝で敗れ、敗者復活戦に回った。

男子100キロ級では、ウルフ・アロン(了徳寺大職)、羽賀龍之介(旭化成)、男子100キロ超級では熊代佑輔(ALSOK)、女子78キロ級では浜田尚里(自衛隊)らが準決勝に駒を進めた。

男子90キロ級 3回戦で敗れたベイカー(右)(撮影・前田充)

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