県内初の卓球Tリーグ男子チームとして昨春、「静岡ジェード」が産声を上げた。同年8月には今季リーグに参戦。県卓球界に新風を吹き込んだキーマン2人がこのほど、日刊スポーツ静岡版のインタビューに応じ、チーム創設からの振り返りや今後の抱負などを述べた。監督兼選手としてチームをけん引する森薗政崇(28=BOBSON)は「所属の選手層を思えば、いい結果を出せている」。運営会社・静岡オクシズUUの河村水稀代表(30)は、地域とのかかわりやファンの応援などについて手ごたえを話した。【取材・構成=倉橋徹也】
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森薗は昨季まで所属した岡山リベッツを離れ、新チーム・静岡ジェードで現役選手のままリーグ初となる兼任監督に就任した。手探りの中でのチーム創設。大変なことも多かった半面、手ごたえも感じている。
森薗 河村代表と静岡という地にチームをつくって良かったと思う。街中で「新しいチームの」と声をかけてもらえる機会が増え、うれしい。場所を選ばず老若男女が楽しめるスポーツ。苦労も多かったが、廃校だった旧足久保小体育館をチーム本拠地として有効活用したり、各地に出向いて教室を開いた。地域との交流や貢献をもっと増やし、スポーツを通じて皆さんの生活を豊かにしたい。
チームにはベテランから高校生まで多彩な顔ぶれの選手が集まった。昨年末までに全20戦中、15戦を消化。6勝9敗、勝ち点21で6チーム中4位につける。
森薗 うちは五輪選手がいないし、世界選手権経験者も少なく、外国人選手も取らずに戦ってきた。さらに国内大会が重なって主力の一部が出られなかったことも5試合あった。それを思うと相当いい結果を出せている。日本人選手だけで、静岡で成長し強くなっていく場所にしたい思いが強い。実績の少ない選手が多い中、みんなで強くなっていこうと体現できている。
先月24日には富士宮市民体育館で待望のホーム初勝利(3-1岡山)を挙げ、ファンを喜ばせた。この試合を含め、森薗はダブルス全15試合に出場。主にエース龍崎東寅(とんいん、25=三井住友海上火災保険)とペアを組み、2人で初戦から6連勝を含む13戦中8勝を挙げた。
森薗 ホーム初勝利は、やれることを全力でやってきた結果。これからも準備を継続させていきたい。ダブルスは苦しいところも勝ち抜け、スタートダッシュを決められた。後半は攻略されたが、選手らに手本は示せたと思う。今季の残り5戦もこのまま全力でやり続け、個人的にも勝利を重ねて結果を示し続けたい。
◆森薗政崇(もりぞの・まさたか)1995年(平7)4月5日、西東京市生まれ。実業団選手だった父の影響で4歳の誕生日から卓球を始めた。青森山田中-同高-明大。主な戦歴は、2017年世界選手権ダブルス準優勝、20年全日本選手権で伊藤美誠とペアで混合ダブルス優勝(3連覇)、23年の同大会では張本智和とペアでダブルス優勝など。独身。161センチ、61キロ。血液型A。右利き。自慢は11歳の時、コブクロ「君という名の翼」のプロモーションビデオに父と出演したこと。
- 練習に集中する静岡ジェードの森薗
- 静岡ジェード初陣で第1試合のダブルス勝利を拍手で喜ぶ河村代表(右奥手前、昨年8月5日)
- 記者会見で静岡ジェードのチーム名やロゴを発表する河村代表(昨年2月1日)