日刊スポーツ

札幌山の手“リーチ2世”タモエフォラウ京産大合格

南北海道大会決勝で相手のタックルをハンドオフで振りきる札幌山の手FWヴェア

2年連続で全国高校ラグビー大会に出場する札幌山の手の高校日本代表候補、NO8ヴェア・タモエフォラウ(3年)が6日、京産大に合格した。「先輩もいるし、きれいな街。FWも強いし、日本一を目指したい」。全国大学選手権33度出場で7度4強の名門。来春、東芝入りする伊藤鐘平主将(4年)らOBも所属する強豪で実力を育む。

ニュージーランド出身で、同校出身の日本代表FWリーチ・マイケル主将(31)になぞらえ“リーチ2世”と期待されるFWには夢がある。「日本代表になって世界一を倒したい」。母国代表オールブラックスは、今年の日本大会は3位だが、W杯で最多タイの3度優勝。2年連続高校日本代表候補のタモエフォラウは「大学生で(代表に)なりたい」と次回23年W杯メンバー入りに意欲を見せる。

トンガ出身の父とサモア出身の母を持ち、身長186センチ、体重123キロ。太もも周りは76センチ、足は30センチと大型だが50メートル6秒2の快足だ。昨年の花園では熊本西との1回戦で約40メートルを独走し、トライを演出。同校5大会ぶり勝利に貢献した。リーチら多くの留学生を指導してきた佐藤幹夫監督(58)も「フィジカルとかはNO・1でしょう」と証言する。

チームは8日まで、花園5度優勝の常翔学園と大阪で練習中。右足故障で道大会は決勝しか出場していないヴェアの動きも軽快だ。7日に組み合わせが決まる全国での目標はベスト8。「全てを出し切りたい。試合が終わったらつかれて死んでしまうぐらいに」。リーチも果たせなかったシード校撃破の原動力になる。【浅水友輝】

◆ヴェア・タモエフォラウ 2001年11月5日、ニュージーランド生まれ。5歳から12歳までバレーボールをプレーしていたが、ラグビー経験のあった両親の影響で13歳から競技を始める。来日時は184センチ、100キロ。好物はみそラーメンとすし。すしはマグロとサーモンが好きで「50貫はいける」。憧れの選手はリーチ、元NZ代表WTB故ジョナ・ロムー。

【ラグビー】リーグワン神戸、新加入選手を発表 森脇光、伊藤大祐、船曳涼太の3選手がコメント

早大・伊藤大祐(2023年撮影)

ラグビー・リーグワン神戸は18日、24年度の新加入選手を発表した。

プロップ森脇光(21=流通経済大)SO・FB伊藤大祐(22=早大)WTB・FB船曳涼太(22=京産大)の3選手。新たな挑戦に向けて、各選手が所属チームを通じてコメントした。

森脇「素晴らしいコーチ陣、チームの方から多くのことを学び、日々成長していけるように頑張ります。1日でも早くチームに貢献できるよう尽力します」

伊藤「自分のやるべき事、チームに求められていることをやり続け、チームの目標に貢献し、神戸のみなさんに愛されるような選手になれるよう努力します」

船曳「このチームで素晴らしいコーチ陣やチームメートから多くのことを学び、日々成長し1日でも早く試合に出られるように頑張ります。そしてチームの掲げる目標に対し、力になれるようベストを尽くします」。

トライを挙げる京産大・船曳涼太(2021年10月撮影)

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ラグビー・ウェールズ代表WTBリースザミットがNFL挑戦「技術の幅を広げられる可能性ある」

ラグビーのウェールズ代表WTBリースザミット(22)が16日、NFL入りを目指すことを表明した。所属するグロスター(イングランド)との契約は解除となり、NFLの国際的な選手発掘プログラムに参加する。

昨年のワールドカップ(W杯)フランス大会で5トライを挙げたリースザミットは「必ずしもラグビーを引退するという意味ではない。この年齢で技術の幅を広げられる可能性がある、新たな挑戦ができることを楽しみにしている」とのコメントを出した。

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【ラグビー】東京ベイ、帝京大主将・江良颯、明大主将・広瀬雄也ら3人の加入を発表

帝京大フッカー江良颯(2023年12月2日撮影)

ラグビー・リーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ)は16日、24年度の新入団選手として江良颯(22)、広瀬雄也(22)、為房慶次朗(22)の3選手の加入を発表した。

全国大学選手権で3連覇した帝京大で主将を務めたフッカー江良は「クボタスピアーズ船橋・東京ベイの一員になれることを心よりうれしく思います。愚直に努力し続け1日も早く皆さまの前でプレー出来るよう頑張ります」とコメント。同選手権で準優勝した明大の主将でCTBの広瀬は「レベルが高い中でラグビーができる環境に感謝し、少しでも早くチームに貢献できる選手になれるように頑張ります」、同じく明大のプロップ為房は「自分の持ち味であるパワーでチームに貢献していけるように頑張ります」と意気込みを寄せた。

明大・広瀬雄也主将(2024年1月12日撮影)

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【ラグビー】“超速”エディージャパンのヒントは大谷翔平?他競技からの刺激も強化に生かす

会見するラグビー日本代表ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)

“オオタニサン”にもヒントがある? 9年ぶりにラグビー日本代表ヘッドコーチ(HC)へ復帰したエディー・ジョーンズHC(63)が15日、都内で代表強化プランを説明した。

世界一速い“超速ラグビー”を掲げ、実現した先に「世界一になれないことはない」と断言。米大リーグ・ドジャース大谷翔平投手(29)の名も挙げながら、世界で成功する他競技に学ぶ姿勢を示した。“超速”に行き着く複数の具体例を示し、27年W杯オーストラリア大会への強化策に言及した。

元日の代表HC復帰から半月。スーツ姿のジョーンズHCが熱く語りかけた。「ビッグプロジェクトだ。世界一速いラグビーに焦点を当て、本当に100%集中して取り組めば、世界一になれないことはない」。2度のW杯準優勝経験を持つ名将だが、自身も学びに貪欲な姿勢は変わらない。

◆他競技に学ぶ

15年W杯イングランド大会で日本を率い、南アフリカ戦で歴史的初勝利。以降はイングランド、オーストラリア代表監督を務めたが「日本代表の指導は独特」という。日本文化を深く知る指揮官は「大谷さんをレンタルできたら、いいNO8になる。無料でね」と笑わせると、刺激を欲した。

「日本代表監督で成功している人たちとつながっていく。秘訣(ひけつ)を聞きたい。(特に)バスケットと野球かなと思います」

◆目を使う

すでに“超速ラグビー”実現のプランを持つ。ニュートンの「運動の第2法則」を引き合いに「勢い=質量×速度」と説いた。質量は個人であり、チーム。速度を出す、最も重要な鍵は「目」という。前列の記者の前に歩み寄ると「人間が動物界のトップ。例えばゴリラ。ゴリラ同士では目を見ても、何を考えているか分からない」と切り出した。年末から高校、大学、リーグワンまで視察し、気づいたことがあったという。

「下を見ている選手が、あまりにも多すぎる。世界の中で本当にいい決断をしている選手は目を通して動きを見て、決断できる。AIも使いながら鍛えたい」

◆痛みを好きになる

9年前からぶれないのは、体が自然と動くまで鍛え上げる練習だ。データはボールが動く平均時間を30秒と示しており「スピードを反復できるか」を求める。

「例えばスクラム後、速く走る。繰り返し走る。痛みを好きになる。痛みを乗り越えるところまで、メンタリティーを持っていく」

◆一貫したセレクション

今後は自身も高校やU20(20歳以下)日本代表合宿に足を運ぶ。今年の代表活動から「1人入れようかな」と大学生以下の招集を検討。“超速”を掲げる日本のスタイルを浸透させる。

「一定レベルに行って満足し、椅子の後方に腰かける選手は、私たちのチームで役に立たない。常に前方に座る選手を見つけたい」

1時間の所信表明で頂への道を示した。【松本航】

会見するラグビー日本代表ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)
ラグビー日本代表ジョーンズHCの鋭い眼光(撮影・野上伸悟)

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【ラグビー】日本代表エディーHC「大谷さんをレンタルできたら良いNO8になる」「無料でね」

会見するラグビー日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)

元日に9年ぶりに代表ヘッドコーチ(HC)に復帰したラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHC(63)が“オオタニサン”にラブコールを送った。

15日、都内で代表強化プランを説明。南アフリカから歴史的勝利を挙げた15年W杯イングランド大会後、自身はイングランド代表監督として19年W杯準優勝、23年W杯ではオーストラリア代表を率いた。9年前からの自らの変化については「イングランド代表で7年監督をし、特にサッカーのところでたくさん学んだ。日本代表を指導するのも独特」と言及。そして「その情報を得るのは成功している監督から。バスケットボールがすごいし、野球もすごい。大谷さんをレンタルできたら、いいNO8になる。無料でね。(参考は)バスケットと野球かなと思います」と米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(29)の名を持ちだした。

日本ラグビーの核としては、あらためて「超速ラグビー」を掲げた。ニュートンの「運動の第2法則」を例えに出し「『勢い=質量×速度』。日本において体の大きさは(大きく)変えられない。変えられるところは速度。世界にいる誰もが、より速く動くことが可能。皆さんも頑張れば、もっと速く動ける。同じこと。速く動けるようにトレーニングする。質量と速度を変えたい」と力を込めた。【松本航】

会見するラグビー日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)
会見するラグビー日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)
会見するラグビー日本代表エディー・ジョーンズヘッドコーチ(撮影・野上伸悟)
【イラスト】ラグビー日本代表の今後の予定

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【ラグビー】リーグワン神戸が能登半島地震への募金を呼びかけ「少しでもできることを」山中亮平

能登半島地震への募金を呼びかけた神戸の選手(撮影・阪口孝志)

ラグビーのリーグワン1部、神戸FB山中亮平(35)らが14日、神戸・ノエスタで行われた東京ベイ戦の試合前に、能登半島地震への募金を呼びかけた。

試合登録メンバー外となった選手らが約40分間、募金を呼びかけた。募金を行ったファンとグータッチ。

山中は、多くの募金が集まったことに「僕たちが今できることはラグビーで頑張ること。こういう形でどうにか被災地を盛り上げられるようにというのが、今できることかなと思いますし、大勢のラグビーファンの方が募金をしてくれるのはうれしい。ラグビー界全体でサポートできたら」。

神戸は95年に阪神・淡路大震災を経験している。能登半島の被害にチーム内から自然と募金を呼びかけようとの声が上がり、今回の活動につながった。

キックオフ前には「1・17の神戸から北陸へ。『一緒に頑張ろう、北陸』」とのビデオメッセージが流され、会場全体で黙とうをささげた。

山中は「神戸は阪神大震災もありましたし、すごい重なるところもある。少しでもできることをやっていければ、と思いました」と被災地に思いを寄せた。

17日で阪神淡路大震災から29年になる。必勝を期した試合は東京ベイに敗れた。主将でロックのレタリックは「自分たちとして神戸という街のために、今日の勝利を得られるかということは大事に思っていた。それができなかったのは残念で悔しい。フラストレーションもたまる結果になった」と語った。【阪口孝志】

能登半島地震への募金を呼びかけた神戸の選手(撮影・阪口孝志)
能登半島地震への募金を呼びかけた山中亮平(右端)ら神戸の選手(撮影・阪口孝志)

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【ラグビー】神戸、阪神・淡路大震災起きた1・17前に必勝誓うも3敗目 レニーHCはミス悔やむ

能登半島地震への募金を呼びかけた神戸の選手(撮影・阪口孝志)

ラグビーのリーグワンは各地で第5節最終日が行われた。神戸・ノエスタでは昨季王者の東京ベイが、ニュージーランド代表フッカー、デイン・コールズ(37)の3トライの活躍などで、神戸を38-34で下した。BL東京は三重に40-12で勝利して開幕5連勝。トヨタは今季まだ勝ち星のない花園に47-14で勝利した。

   ◇   ◇   ◇   

神戸は阪神・淡路大震災が起きた17日を前に必勝を誓ったが、残り5分が耐えられなかった。前半を7-17の10点差で折り返したが、後半は反撃して接戦に。同35分にフランカー、アマナキのトライとCTB李のキック成功で1点リード。しかし同39分に逆転トライを許して、3敗目を喫した。レニー・ヘッドコーチは「試合を締め切らないといけなかった。ミスで勝利を手放している」と悔やんだ。

能登半島地震への募金を呼びかけた山中亮平(右端)ら神戸の選手(撮影・阪口孝志)
能登半島地震への募金を呼びかけた神戸の選手(撮影・阪口孝志)

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【ラグビー】東京ベイが神戸撃破 3トライのコールズ「3本目は体しんどかったけど頑張ったよ」

※写真はイメージ

<ラグビー・リーグワン1部:東京ベイ38-34神戸>◇第5節最終日◇14日◇神戸・ノエスタ◇観衆1万682人

ラグビーのリーグワンは各地で第5節最終日が行われた。神戸・ノエスタでは昨季王者の東京ベイが、ニュージーランド代表フッカー、デイン・コールズ(37)の3トライの活躍などで、神戸を38-34で下した。東京BLは三重に40-12で勝利して開幕5連勝。トヨタは今季まだ勝ち星のない花園に47-14で勝利した。

昨季王者の東京ベイが手に汗に握るシーソーゲームの末に、神戸を下した。

前半2分、ニュージーランド代表フッカーのデイン・コールズがゴール前の混戦から先制トライ。同20分にもラインアウトからモールで押し込み、再びコールズがトライを奪った。SH藤原忍のトライもあり、前半を17-7で折り返した。

後半に入ると、神戸が逆襲。7分までに2トライをあげ逆転した。その後はお互いにPGを決め合い、二転三転したが、同19分にデイン・コールズがタックルを受けながらも体を反転させ、この日3つ目のトライ。神戸を突き放した。

それでも、神戸はあきらめない。NO8ティエナン・コストリー、フランカーのサウマキ・アナマキの連続トライで33-34と再逆転。ホームの神戸ファンの興奮は最高潮に達した。

しかし、その4分後、東京ベイCTBリカス・プレトリアスが抜けだし左端にトライ。神戸ファンを沈黙させた。

プレトリアスは「良い気分だ。回りの選手のおかげで取れてうれしい」と笑顔。昨季王者も開幕から1勝3敗と波に乗れていなかっただけに「毎週、臨んだ結果ではなかったが、自分たちがやりたいことに自信を持ち、信頼して結果を残すことができた」と接戦を制したことに満足感をにじませた。

3トライのコールズは「1本目2本目はモールの他の皆が頑張ってくれたから、僕はボールを持ってただけで簡単だった。3本目はスペースが見えたので狙った。体がしんどかったけど頑張ったよ」笑顔を見せた。

フラン・ルディケ・ヘッドコーチも「こういう試合に勝ててグレート。ここ何週間かプレッシャーがかかる中で、結果につながり良い気持ち」。2週間後の次節BR東京戦に向け、「これでシーズンで自分たちがやりたい方向性にまた戻ってこれたと思うので、しっかりと備えたい」と先を見据えた。【阪口孝志】

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【ラグビー】リーグワン 埼玉が開幕5連勝、12トライで相模原を圧倒

※写真はイメージ

<ラグビー:NTTリーグワン1部>◇第5節第1日◇13日◇相模原ギオンスタジアムほか

3試合が行われ、埼玉は相模原に81-21で大勝し、開幕5連勝とした。前半に7トライを奪い、後半は5トライを追加した。相模原は2勝3敗。

東京SGは静岡に29-25で競り勝ち、4勝目(1敗)を挙げた。静岡は2勝3敗となった。横浜はBR東京を24-8で退けて4勝1敗とした。BR東京は1勝4敗。(共同)

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【ラグビー】明大、創部100周年V逃すも「ハイブリッド重戦車」躍動 101年目以降も前へ

帝京大対明大 優勝を逃し悔し涙を流す明大CTB広瀬隆(左)(撮影・滝沢徹郎)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇決勝◇東京・国立競技場

雷による中断明け。会場に「メイジ! メイジ!」の合唱が起きた。前半35分にCTB秋浜のトライで5-14、さらに同39分には相手のミスを見逃さず、1年生WTB海老沢が突破して12-14と迫る。連綿とつながる創部100年の節目の決勝戦に、伝統を誇るような声が雪空に響き渡った。

逆襲に、今季のテーマに掲げてきた「ハイブリッド重戦車」も躍動した。FWを前面に出すスタイルを更新する。始動時のミーティングで神鳥監督が、走行用ベルトではなくタイヤを装着した戦車の画像を示した。「インターネットで検索して。(選手に)刺さっているかはわからないけれど、絵で空想です。ハイブリッド感があります」。

今の時代に即した進化を目指した。ドシッと構えない、球出しは速くする。ただ、絶対に接点で押し負けない。そこに伝統を埋め込む。前半の最後、スクラムで渡り合い、展開もみせた。「相手に的を絞らせないアタックをする。FWも(攻撃の)オプションになる」。数年かけて醸成してきた「ハイブリッド」を結実させようとした。

前半はペナルティーからPGを狙わずに、FW戦を選んだ。後半、自軍でのミスから差を広げられ、CTB広瀬主将は「帝京さんに流れをつかまれた」と悔やんだが、同時に「重戦車を信じてやった」。同監督も「(FWは)相手の強みであることも間違いないですが、我々もこだわっていた。最後にやられた印象はあるが、スクラムはやり切った」と貫いた。

前へ、101年目へ。最新版の伝統を追求していく。【阿部健吾】

○…目を見張る加速力は初の決勝でも輝きを放った。173センチの1年生WTB海老沢にボールが収まると、会場のボルテージが上がる。「(試合では)緊張しない。固まったりしない」。前半39分には大外で受けると、短い助走で一気にトップスピードへ。トライを奪い、チームに勢いをもたらした。こぼれ球への反応など、感じた差は糧に。「4年生はみんな優しくて。来年は絶対に優勝します」と雪辱を誓った。

帝京大対明大 優勝を逃し悔しげな表情でスタッフと握手する明大・神鳥監督(右)撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 後半、気温低下と雪により選手たちの体からは湯気が立ち上る(撮影・横山健太)
帝京大対明大 前半、海老沢(中央)がトライを決め歓喜する明大の選手たち(撮影・横山健太)
【イラスト】全国大学選手権での全対戦

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【ラグビー】帝京大3連覇、コロナ拡大の20年入学した4年生中心に「ONE HEART」体現

帝京大対明大 優勝し、表彰式で歓喜する帝京大の選手たち(撮影・横山健太)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇決勝◇東京・国立競技場

帝京大(関東対抗戦1位)が3大会連続12度目の優勝を飾った。

創部100周年で5大会ぶり頂点を狙った明大(同2位)を34-15で下した。試合中に降り続けた雪に加え、雷の影響で前半23分に55分間中断。異例の展開の中、2トライのフッカー江良颯(4年)を中心に強力FWが前進を続けた。最上級生は新型コロナウイルスが世界的に拡大した20年春に入学。部員約140人が一致団結し、連覇のバトンを次に託した。

   ◇   ◇   ◇

夜空から降り続ける雪は風に揺られて渦巻き、国立の芝へ落ちた。吐く息は白く、足場が緩む。それでも帝京大は動じない。12点リードの後半37分、右ラインアウトからモールで前進。両足をつった江良がインゴールへ飛び込むと、仲間が次々乗りかかってきた。「ここで取れば、試合が決まると思っていた。みんなが喜んだ姿を見るとうれしかった」。足を引きずりながら途中交代すると、優勝の瞬間をベンチで見届けた。

「1年のプロセスは間違いなかった。『幸せだな』と実感した。今までに味わったことがない幸せで、仲間に感謝しかないです」

雪は想定内でも、雷の連続までは予想しなかった。7-0の前半23分に中断。ロッカー室に引き揚げると、前監督の岩出雅之顧問に「本当は(前後半)80分で終わるところが延びた」と声をかけられた。「もう1回、この仲間とラグビーができることをかみしめた」。14-12で折り返した後半は相手陣に入り、FB山口の正確なPGで加点した。全員が自らの持ち場で、仲間のために力を尽くした。

4年前の入学時、そこに“日常”はなかった。コロナ禍で4月7日に緊急事態宣言が出されて一時解散。再集合は7月となり、A~B(1~2軍)、C~D(3~4軍)は活動時間から全て分かれた。1年時から主力だった江良は、同学年の仲間との関係性を「3年間ともに歩んできた仲ではなかった」と振り返る。投票で主将になると、各学年のリーダーとの3日間の話し合いで「ONE HEART(心1つ)」を目標に定めた。岩出顧問には「前を見るのも大事だけれど、後ろには仲間がたくさんいる。12月31日までは、後ろを見ていていいよ」と助言され、その意味を考えた。

関東対抗戦で強豪との対戦を控えた11月。チームビルディング委員長のプロップ津村が呼びかけ、4年生全員で東京・調布市の居酒屋に集った。C~Dチームの仲間から「もっとA~Bも片付けをしてほしい」と聞き、酒を手に本音をぶつけ合った。決勝前日の最終調整前。強風で練習場に飛び散った落ち葉をメンバー外全員が掃除していた。皆の視線が日本一に向いた。

「最後に全員が観客席から降りてきて、下で喜んでいる姿を見た。『ONE HEARTになれたな』と思い、涙が出てきました」

中心に江良がいた。国立に響いたのは、腹の底から喜ぶ声だった。【松本航】

帝京大対明大 優勝を果たしチームメートに胴上げされる帝京大フッカー江良(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を果たしチームメートと抱き合う帝京大フッカー江良(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を決め胴上げされる帝京大・相馬監督(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 後半、トライを決める帝京大フッカー江良(下中央)。下右は明大CTB広瀬(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 優勝を果たし歓喜するフッカー江良(中央)ら帝京大の選手たち(撮影・横山健太)
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【今泉清】雪で滑るボール「想定外」を想定したか 帝京大「勝つために」日々の過ごしで明大に差

帝京大対明大 優勝を果たし歓喜する帝京大の選手たち(撮影・横山健太)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇東京・国立競技場◇観衆1万8374人

帝京大(関東対抗戦1位)が3大会連続12度目の優勝を飾った。創部100周年で5大会ぶり頂点を狙った明大(同2位)を34-15で下した。試合中に降り続けた雪に加え、雷の影響で前半23分に55分間中断。異例の展開の中、2トライのフッカー江良颯(4年)を中心に強力FWが前進を続けた。早稲田大やサントリー、日本代表で活躍した今泉清氏(56)が、現地で勝負の分かれ目を見届けた。

   ◇   ◇   ◇ 

差がついたのは「想定外」を想定しているかどうかにあった。雪、雷による中断。帝京には、それすらも想定しているのでは…と感じさせる強さがあった。

「最高最良を期待しつつ、最低最悪に備える」という言葉がある。学生なので練習時間は両校とも大きな差はないだろう。日々、いかに勝つことを考えて準備できているか。例えば、それは1つ1つのスキルの差として表れる。

この日で言えば、前半の最後に帝京が自軍深くで雪に滑るボールを拾い損ね、得点につなげられた場面があった。ただ、後半も含めて大きなミスはこの1回。逆に明治は追い上げたい後半にセービングのミスが続いた。重圧がかかる場面、環境をイメージして基本技術の練習も怠っていない印象を受けた。

「勝つために」を追求しているかは、前半の場面でも差を生んだ。明治はペナルティーから2回、タッチキックから重量級FWでのトライを狙ったが、ともに失敗した。PGを狙わずに「明治らしさ」を追ったと見たが、はたして勝つための選択だったか。一発勝負では先制点が重要。創部100年の「らしさ」のこだわりと、勝利に必要な選択。そのバランスを欠いた。

思い出すのは昨春の野球のWBC決勝だ。1点を追う9回に米国は無死1塁で送りバントをせず、大谷翔平選手を相手に送らず打ちにいってダブルプレー。それが「米国らしさ」だが、勝つためであったか。

勝てるチャンスは平等にあった。「想定外」「らしさ」も含め、勝利のための毎日を過ごしているか否かが勝敗を分けた。(元日本代表)

帝京大対明大 優勝を果たし歓喜するフッカー江良(中央)ら帝京大の選手たち(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を果たしチームメートに胴上げされる帝京大フッカー江良(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を逃し悔し涙を流す明大CTB広瀬隆(左)(撮影・滝沢徹郎)

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【ラグビー】帝京大3連覇「素晴らしい指導者に“なりつつ”ある」就任2季目の相馬監督へ岩出顧問

帝京大対明大 優勝を決め記念撮影に臨む帝京大・相馬監督(撮影・滝沢徹郎)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇決勝◇東京・国立競技場◇観衆1万8374人

平成の時代、大学ラグビー界における「3連覇」は重たかった。84年度に平尾誠二さんを擁した同大が達成。11年度に帝京大が27年ぶり快挙で並び、9連覇に至った。当時監督だった岩出雅之顧問(65)は「同志社さんの記録があった。現在は自分たちが果たしたことに対し、1年1年の積み重ね。監督も代わり、学生気質も変わっていく。世の中の変化と同じく、大切にする部分と、変化をミックスしないといけない」と3例目の3連覇を見つめた。

「石垣の大きな石を相馬(朋和)監督、僕は小さな石を詰める。小さな石だけでは何もできないけれど、大きい石だけでもぐらつく。ただ、もう大丈夫かな。去年以上にいいバトンタッチができた。素晴らしい指導者に“なりつつ”ある」

考えることを怠らない文化がある。就任2季目の相馬監督はある日、部員が大学でとる朝食の時間がルーズになっている話を耳にした。「我々にふさわしい行動って何だろうね。そもそも食堂への入室、食べ終わりの時間、どちらが守られるべきだろう?」。部員は慣例化したルールありきではなく、目的を考えた。時間をかけて食事する大切さ? 朝食後の練習に向けた準備? 「両方が大事」と出た結論にも意味がある。

スポーツ心理学の授業を持つ相馬監督は、自らの学びを生かした。実戦形式練習。遠隔で学生レフェリーに「今、反則吹いて」と伝える。本来は反則でない場面で笛が鳴り、初めは「何でだよ!」と選手が戸惑った。レフェリーが答えられずにいると、意図を察知し、先に次のプレーへ体を動かす習慣がついた。「試合への心持ち。(反則時は)それがふさわしい行動ですよね」。微妙な判定があった準決勝後、フッカー江良主将は「何を言ってもレフェリーさんが正解。フラストレーションをためずにできた」と動じなかった。

この日、相馬監督は試合中から部員の成長に表情を緩めた。「いつもと違ったプレッシャーを受けた学生たちを見ながら、1秒1秒を積み重ねていく姿を誇らしく、うれしく、楽しく見ていました」。そこに進化を続けながら頂に立つ、王者の姿がある。【松本航】

帝京大対明大 優勝し選手たちに胴上げされる帝京大・相馬監督(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を決め記念撮影する帝京大の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 優勝を果たし歓喜するフッカー江良(中央)ら帝京大の選手たち(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を果たしチームメートと抱き合う帝京大フッカー江良(撮影・横山健太)
帝京大対明大 優勝を果たし歓喜するフッカー江良(手前)ら帝京大の選手たち(撮影・横山健太)
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【ラグビー】帝京大4年生10人の進路 フッカー江良颯は東京ベイ、フランカー奥井章仁はトヨタへ

帝京大対明大 優勝を果たし歓喜する帝京大フッカー江良(撮影・横山健太)

ラグビーの全国大学選手権で3連覇を飾った帝京大(関東対抗戦1位)は、4年生が活躍の場をリーグワンに移す。

ともに大阪桐蔭高から入学したフッカー江良颯主将は昨季王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ)、フランカー奥井章仁はトヨタヴェルブリッツ(トヨタ)入り。決勝の明治大戦でスクラムを支えたプロップ津村大志、先制トライのWTB高本とむは、リコーブラックラムズ東京(BR東京)に進む。

ロックの尹礼温は東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)、NO8延原秀飛は埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)。プロップ上杉太郎は2部の九州電力キューデンヴォルテクス(九州)、FB山口泰輝はレッドハリケーンズ大阪(大阪)、SO井上陽公は3部のマツダスカイアクティブズ広島(広島)に入る。

CTB戒田慶都は一般企業で新たな道へ進む。

【イラスト】帝京大ラグビー部4年生の主な進路
帝京大対明大 後半、雄たけびを上げる帝京大NO8延原(撮影・横山健太)
帝京大対明大 後半、ゴールを決める帝京大FB山口(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 優勝を果たし歓喜するフッカー江良(手前)ら帝京大の選手たち(撮影・横山健太)

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日本ラグビーフットボール協会が全国大学選手権決勝で能登半島地震支援募金 151万円を寄付

帝京大対明大 優勝し選手たちに胴上げされる帝京大・相馬監督(撮影・横山健太)

日本ラグビーフットボール協会は13日、帝京大と明治大の全国大学選手権決勝戦が行われた国立競技場で、能登半島地震の支援の募金活動を行い、151万5072円を日本赤十字社へ寄付すると発表した。

帝京大対明大 前半、悪天候の中、プレーする選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【ラグビー】リーグワン静岡3連勝逃す 今季初本拠地戦で逆転負け 終了間際トライに観客ため息

相手攻撃を止めにかかる静岡ブルーレヴズの選手ら(奥)

ラグビー・リーグワン1部◇13日◇第5節◇磐田・ヤマハスタジアム

静岡ブルーレヴズが3連勝を逃した。今季初のホーム試合で東京SGに25-29と逆転負け。リーグトップ4の一角を相手に前半15-5とリードしていただけに、終了間際でトライ(T)された瞬間、スタンドからため息が漏れた。ただ勝ち点1はもぎ取り、同11として暫定順位を5位とした。

序盤で先制されるも、南アフリカ代表などスター選手がそろう強豪相手に前進を重ね、すぐに主導権を奪い返した。前半13分、SO家村健太(22)がPGを決めて2点差に迫ると、15分後にデビュー2戦目のSH岡崎航大(25)が敵陣5メートルラインでのスクラムから出た球を中央に公式戦初T。「チームに勢いをつけられた」と喜んだ。

その10分後には今季初先発のWTB奥村翔(25)が右隅にTで15-5。ただキッカーの奥村は強風に苦しんだ。この日のゴールキック(G)4本中、3本を風に流されるなどして外した。それでも奥村は「チームとしてやりたいラグビーは90%以上できた」。BKとして、ボールを動かす面での修正を口にした。

後半では16分、15-17と逆転を許した。しかし5分後、途中出場のWTBサム・グリーン(29)の快足Tで20-17と再逆転。チームはさらに5点を追加していたが、残り20分から終了間際までに2T1Gを献上して時間切れ。副将のWTBマロ・ツイタマ(27)は「自分たちのミスが糸口になり首を絞めてしまった」と唇をかんだ。27日の次節ホーム戦(対花園)に向け、勝ちきるための修正をはかる。【倉橋徹也】

試合に敗れて肩を落とす静岡ブルーレヴズのピウタウ(中央)ら
前半28分に公式戦初トライを決めた静岡ブルーレヴズの岡崎(手前から2人目)

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【ラグビー】帝京大3連覇!雷で55分間中断に初雪も明治大下す「悪天候…応援感謝」選手権決勝

帝京大対明大 前半、先制のトライを決め喜ぶ帝京大の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大34-15明治大>◇13日◇決勝◇東京・国立競技場◇観衆1万8374人

帝京大(関東対抗戦1位)が3連覇を飾った。雪に加え、雷の影響で前半23分に試合が中断。55分間を経て仕切り直しとなる異例のファイナルで、計4トライを奪い、創部100周年の明治大(同2位)を下した。

「セットプレー、フィジカル。この2つは絶対に負けない」

前日12日、フッカー江良颯主将(4年=大阪桐蔭)は言い切った。7-0で中断後には明大陣内へ侵入し、ラインアウトからモールを形成。前へと押し込むと、最後は言葉通り、江良が右へと持ち出して貴重なトライを奪った。

伝統を引き継ぎ、後輩へと伝えた。江良が高校に入学する前の日本選手権。帝京大に在学中だった、のちの日本代表フッカー坂手淳史(30)が、パナソニック(現埼玉)戦で体を張る姿が記憶に刻まれている。

「『すごすぎる…』というタックルが、坂手さんでした。『相手、トップリーグだよな』と思っちゃうぐらいのタックルでした」

高校2年時に全国高校大会(花園)優勝。進路は明治大と悩んでいた。伝統校に憧れる一方で、高校3年時まで無敗で駆け抜けるイメージができなかった。

「高校2年生で優勝して、帝京の9連覇のすごさを感じました。9連覇をしていた帝京に行けば『何かがある』と思いました」

大阪桐蔭高時代から同学年のフランカー奥井章仁と仲間を引っ張り、同じ大学へ進んだ。ともに帝京大でも主将を志し、昨季終了後に同学年の投票が行われた。奥井とは同数。チームに対するプレゼンテーションを経て、主将に決まった。

1年時から主力だった江良は変わった。行動を第一に、常にチームを俯瞰(ふかん)した。「僕自身、完璧を突き詰めてしまうことがある。その時にどういう声をかけるか。チームとして、いい方向に進んでいる時もある。自分勝手な考え方をすると、チームは壊れる」。就任2季目の相馬朋和監督(46)は「颯はキャプテンの経験がないし、奥井もバイス(副将)の経験がない。そうなることで『新たな2人の姿を見られるかな』と思った。大学スポーツで重要なのは4年生の力。全員が逃げずに向き合って進むには、4年生全員が納得して選んだキャプテンでないといけない」と4年生による選択を信じた。

雪が舞った決勝。凍えるような寒さの中、最後は王者が笑った。【松本航】

帝京大・江良主将「本当に感謝。ここでは言い切れないほどのサポートがあった。1年間、苦楽をともにして歩んできた仲間たち。部員140人という大人数の中でグラウンドに立てない悔しさも…全員がいい思いしたわけではない。それでも、このチームが日本一になるため、犠牲にしてきてくれた。本当に仲間には心から感謝しています。最後まで体がボロボロになっても、みんなの思い、全て強く戦い続ける仲間たち。本当にこのチームが日本一になれてうれしく思います。この悪天候の中で、待ち時間、寒い中で応援してくださり、ありがとうございました」

相馬監督「本当によく頑張りました…(涙で)1年間。(雷の中断もあった中)本当に明治大学さんが素晴らしいパフォーマンスを見せて、その中でも今こうやって仲間のために体を張り続けようとしてくれた。(2度目の3連覇に)このチームだけでなく、関わる全ての人たちがつくってきたものをさらに発展させたい」

帝京大対明大 前半、悪天候の中、プレーする選手たち(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 前半、トライを決め雄たけびを上げる帝京大フッカー江良(右)(撮影・横山健太)
【イラスト】全国大学選手権最近10大会の成績
【イラスト】全国大学選手権での全対戦
【イラスト】全国大学選手権優勝回数

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【ラグビー】大学選手権決勝が落雷の恐れから安全確保のため一時中断 16時40分に再開

帝京大対明大 前半、悪天候の中、プレーする選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<ラグビー全国大学選手権:帝京大-明治大>◇13日◇東京・国立競技場

みぞれ降る中の雷で試合が一時中断した。

7ー0で帝京大がリードした前半15分過ぎから降り始めた雪が強さを増す中で、国立競技場がどよめいた。同20分過ぎに空が光ると、雷が落ちた。ペナルティーからのプレー再開で、「近くに落雷が落ちたため」とアナウンスが入って主審が状況を判断したが、その時点ではプレー続行。だが、同22分過ぎに再び雷鳴がとどろくと、「安全確保の観点から一時的に試合を中断することになりました」とアナウンスが入り、時計は22分37秒の時点で両軍の選手がロッカールームに引き上げた。

午後3時44分に中断された試合はその後、午後4時33分過ぎに帝京大の選手が先にピッチに姿をみせ、円陣を組んで雄たけび。明大は同36分に登場して円陣を組み、両軍が体を動かした上で同40分にプレー再開。56分間の中断となった。

帝京大対明大 前半、悪天候の中、プレーする選手たち(撮影・滝沢徹郎)
帝京大対明大 前半、落雷の可能性があるため、安全確保の観点から一時的に試合中断となる(撮影・横山健太)
帝京大対明大 前半、落雷の可能性があるため、安全確保の観点から一時的に試合中断となる(撮影・横山健太)

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【ラグビー】日本代表が7月にジョージア&イタリア戦 イングランド戦は国立、NZ戦は日産ス

ラグビー日本代表HC就任が決定し記者会見で笑顔のエディー・ジョーンズ氏(撮影・小沢裕)

日本ラグビー協会は13日、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ体制となった日本代表(世界ランク12位)が7月にジョージア(同14位)、イタリア(同11位)と対戦すると発表した。

すでに予定されていた6月のイングランド(同5位)戦は東京・国立競技場、10月のニュージーランド(同3位)戦は神奈川・日産スタジアムに会場が決まった。

現時点で発表されている24年の日本代表戦は以下の通り。

◆6月22日 日本代表-イングランド(東京・国立競技場)

◆29日 JAPAN XV-マオリ・オールブラックス(未定)※キャップ非対象試合

◆7月6日 JAPAN XV-マオリ・オールブラックス(愛知・豊田スタジアム)※キャップ非対象試合

◆13日 日本代表-ジョージア(宮城・ユアテックスタジアム仙台)

◆21日 日本代表-イタリア(北海道・札幌ドーム)

◆10月26日 日本代表-ニュージーランド(神奈川・日産スタジアム)

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【ラグビー】仏ボルドーのタタフが代表復帰意欲 松島幸太朗から「チーズを食べ過ぎないように」

フランスでオンライン取材に応じ、笑顔を見せるボルドーのテビタ・タタフ

ラグビーのフランス1部ボルドーで1季目のシーズンを過ごす日本代表15キャップのNO8テビタ・タタフ(28)が12日、代表復帰に強い意欲を示した。フランスからオンラインで現状を報告し「また桜のジャージーを着たい」と思いを込めた。

トンガ出身で東京・目黒学院高から東海大、東京サントリーサンゴリアス(東京SG)でキャリアを積んだ。圧倒的なパワーを武器とした前進が魅力で、10月にフランス1部デビューを飾った。すでに大柄な相手が多い強豪国で存在感を示しているが「一番はフィジカルを伸ばしたい。レベルアップしたい」と誓った。

古巣東京SGに在籍し、フランス1部クレルモンでプレー経験がある日本代表WTB松島幸太朗(30)からは「チーズを食べ過ぎないように」と言われているという。食事面での不安はないといい「もっと強くなりたい」と意欲を示した。

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【ラグビー】帝京大・江良颯主将「自分たちの代で日本一になる」明大が誇る“重戦車”攻略を誓う

前日練習後にポーズを決める帝京大主将の江良(撮影・松本航)

ラグビーの全国大学選手権決勝は13日、東京・国立競技場で行われる。3連覇が懸かる帝京大はフッカー江良颯主将(4年)を中心とした自慢のFWで、明大が誇る「重戦車」攻略を誓った。

帝京大は決戦前日まで合言葉「ONE HEART(心ひとつ)」を貫いた。東京・日野市のクラブハウス。全部員約140人が集い、分析担当が制作した7分間の動画を見た。1年時からの写真が映し出され、ゆずの「栄光の架橋」が流れる。江良は歩みを思い返し「試合に出る23人だけじゃなく、最後に全員で勝って笑おう」と呼びかけた。

王者はぶれない。勝利への鍵を問われ、主将は「セットプレー、フィジカル。この2つは絶対に負けない」と即答した。前人未踏9連覇の黄金期前から、日本代表主将に成長した姫野和樹(トヨタ)ら歴代の先輩が築き上げた強みだ。準決勝では、明大が関西王者の京産大相手に8トライ。元代表で就任2季目の相馬朋和監督(46)は「スコアするだけの理由がある。攻撃の精度が増した」と相手を分析し「踏み込んでタックルするだけ。受けたら勝つのは到底無理」と説いた。

王者の立場だが、隙は消してきた。江良はチーム作りを進める過程で、W杯2大会連続出場のOB坂手淳史(埼玉)から「自分たちの代。『このチームをどれだけいいものにするか』を大切にしてほしい」と助言された。体を痛めて練習を抜けることもあった主将だが、相馬監督は「粘り強くなった。常に立ち続ける。チームが苦しい時、進むべき道を示すことができる」。先頭を歩む主将は誓う。

「勝って証明して『チャンピオン』と言える。自分たちの代で日本一になる」

重戦車を相手に回し、絶対に引かない。【松本航】

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【ラグビー】明大・広瀬雄也主将「100年の節目で優勝狙えるのは一生に1度」 決勝へ気合十分

全国大学ラグビー選手権決勝を見据える明大・広瀬主将

チームスローガン「ONE MEIJI」を胸に、強敵に挑む。

ラグビーの全国大学選手権決勝は明日13日、東京・国立競技場(午後3時10分開始予定)で行われる。5大会ぶり14度目の優勝を目指す明治大(明大)は12日、拠点の東京・八幡山グラウンドで前日練習。CTB広瀬雄也主将(4年)を中心に2連覇中の帝京大を倒し、創部100周年の節目の年に花を添える。

 ◇   ◇   ◇

大柄の男たちが輪をつくった。広瀬主将が声を響かせる。

「『ONE MEIJI』を体現していこう」

この1年で繰り返してきた標語を呼びかけると、チームメートも明るく応えた。活気あふれる練習で、大一番への士気を高めた。広瀬は「(試合に)出る、出ないに関係なく声を出して、良い雰囲気を作っていく」といつも通りの声かけに努めていた。

昨冬の同選手権。初陣の準々決勝で早大に21-27で敗れたところから、チームは始動した。

まずは新4年生で集まり、新スローガンを思案。「For MEIJI(明治のために)」「継承」など、多様な案が出されたが、その根底には共通の思いがあった。

「4年生がまとまらないと、下級生へは浸透しない。最上級生がチームをつくる」

その思いを端的に表したのが「ONE MEIJI」。チームミーティング用のスライドは、必ずこの言葉が刻まれたページから始まった。ことあるごとに呼びかけてきた広瀬も「自分たちが気付かないうちに浸透していった」と実感する。

それを象徴するのが、練習風景の変化。例年は「試合にあまり出られない選手たちは、ただグラウンドに来ているだけ」との状況も見られたが、今季は違う。実力が下位にあたるカテゴリーでも、レギュラー陣と同じように声をかけ合った。

主将は「自分が話さなくても、1年生たちが上級生と同じことを指摘していた。1つになってきている」と言い切る。神鳥裕之監督も「『ONE MEIJI』で勇気づけたり、叱咤(しった)したりしてきた。最後は優勝へのストーリーを描きたい」とうなずいた。

迎える決勝。これまで同選手権で4戦全敗の帝京大に挑む。創部100周年の伝統も誇りに、集大成に臨む。

「100年の節目で優勝を狙えるのは一生に1度。勝たないといけない」

チーム一丸で、新たな歴史を刻んでみせる。

全国大学ラグビー選手権決勝を見据える明大・広瀬主将
全国大学ラグビー選手権決勝の前日練習で真剣な表情を見せる明大・広瀬主将(右)
全国大学ラグビー選手権決勝の前日練習で明るい表情を浮かべる明大ラグビー部のメンバー
全国大学ラグビー選手権決勝の前日練習に臨む明大ラグビー部のメンバー

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【ラグビー】帝京大・青木恵斗“5年連続日本一”で4年生を送り出す「のびのびさせてもらった」

前日練習後に思いを語る帝京大・青木(撮影・松本航)

全国大学ラグビー選手権決勝(13日、東京・国立競技場)に臨む帝京大(関東対抗戦1位)のフランカー青木恵斗(3年=桐蔭学園)が、個人として5年連続の日本一で最上級生を送り出す。

明治大(同2位)との決戦に向け、12日は東京・日野市内の練習場で最終調整。187センチ、110キロの体格でボールを前に運ぶキーマンは「1年間、のびのびとラグビーをさせてもらった。いい形で送り出したい」と4年生に感謝した。

神奈川・桐蔭学園高では2~3年時に全国高校大会(花園)を制覇。帝京大入学後も1年時から主力に定着し、全国大学選手権2連覇に貢献した。フッカー江良颯主将(4年=大阪桐蔭)を中心に3連覇を狙う王者はこの日、練習後の全体ミーティングで、部員が作った映像を鑑賞して結束。青木は2年生の春に江良から体の当て方を学び「颯くんがいてくれたおかげで、コンタクトでの当たりが強くなった」と先輩を“教科書”としてきた。

自身は帝京大在学中の日本代表入りを掲げ、元代表の相馬朋和監督(46)と目標を共有しながら、伸びしろのボール争奪戦や、防御面に向き合ってきた。「去年より、いいタックルにいけるようになってきた」。成長した姿で明大との真っ向勝負に臨む。【松本航】

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【ラグビー】リーグワン静岡WTB奥村翔「めちゃくちゃ気合入ってます」初の3連勝へ今季初先発

キック練習する静岡ブルーレヴズの家村(左)と奥村

ラグビーリーグワン1部静岡ブルーレヴズが、新リーグ3季目で初の3連勝に挑む。あす13日、ホーム・ヤマハスタジアムで3位東京SGと対戦。11日には磐田市内で練習を公開し、登録メンバーも発表された。先発の大幅入れ替えはなかったが、前節で控えから後半25分に今季初出場したWTB奥村翔(25)が、今季初先発で名を連ねた。奥村は「めちゃくちゃ気合入ってます」と意欲を示した。

今プレシーズン、フランスにラグビー留学して1対1やボールの受け方などを学んだという奥村。藤井雄一郎監督(54)から「練習(内容)が良かった」と先発抜てきされ、留学での成長を披露してアピールするつもり。2連勝中のチームについて「勢いに乗っている。このまま波に乗れたら」。走りを中心に調子が良く、南アフリカ代表などスター選手がそろう相手を「しっかり止めたい。ウイングとしてトライ(T)も狙いたい」と意気込んだ。

第3節終盤、劇的Tでチームに勝利をもたらしたSO家村健太(22)も先発入りした。キッカーの家村は、前節までに1T11G8PGで51得点を挙げた。得点で現在、リーグトップだ。しかし前節でキック4本を外すなど、本人は満足していない。次戦は「キック1本が重要になる」と厳しい戦いと見据える。練習では最後まで入念にキックを繰り返した。昨季より周りの状況を見られるようになったという22歳は、タックルでも貢献するつもり。「相手のやりたいようにさせない」と続けた。3連勝して、6位からの浮上に勢いをつけたい。【倉橋徹也】

実戦練習する静岡ブルーレヴズの選手ら

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【ラグビー】明大主将CTB広瀬雄也が決勝戦先発、ベストBK陣で帝京大の3連覇止める 大学選手権

帝京大戦2日前の練習で円陣を組む明大(撮影・松本航)

ラグビーの全国大学選手権で5大会ぶり優勝を目指す明大(関東対抗戦2位)が、ベストBK陣で帝京大(同1位)の3連覇を止める。

11日は決勝(13日、東京・国立競技場)のメンバーが発表され、準決勝の京産大戦で故障から復帰したCTB広瀬雄也主将(東福岡)が先発。帝京大に11-43で完敗した11月19日の対抗戦は欠場していた。東京・世田谷区内での練習後、先発FB池戸将太郎(東海大相模)は「メンタルの部分でも大きい。キャプテンがいる、いないは違う」。SO伊藤耕太郎(国学院栃木)を含めた4年生トリオで、攻守をけん引していく。

帝京大はフッカー江良颯主将、フランカー奥井章仁(ともに4年=大阪桐蔭)ら、盤石の先発FW陣。最終学年の意地がぶつかる。【松本航】

帝京大戦2日前の練習で重りを引く明大FB池戸将太郎(撮影・松本航)

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【ラグビー】大学は新年度から公式戦ジャージー以外への広告掲出が可能に 日本協会理事会で決定

日本ラグビー協会の理事会後に取材対応した岩渕健輔専務理事(撮影・松本航)

日本ラグビー協会は10日、都内で理事会を開き、商業広告の規程改正が決まった。

大学生において、新年度から公式戦で着用するジャージー以外の服装(ウインドブレーカーやポロシャツなど)について広告掲出が認められる。

かねて現場の要望を受けて議論されており、岩渕健輔専務理事(48)は「コロナ禍から『活動が難しい』という、経済的な面での話があった。

試合のジャージーについては『未来永劫(えいごう)認められないのか』というと『現時点では認められない』が、今後検討されていく。今後については、より議論を深める必要がある」とのスタンスを示した。対象となる企業については、協会側が一定のガイドラインを示した上で、大学やチームが決めていくことになる。

この日は1日付で日本代表ヘッドコーチ(HC)に就任したエディー・ジョーンズ氏(63)と、U20(20歳以下)日本代表HCの大久保直弥氏(48)が、理事に今後の活動について説明した。岩渕専務理事は「W杯再招致を掲げており、最短で35年。約10年後に日本でW杯があり、代表の平均年齢が28歳とすると、今、花園で活躍した選手が(W杯)決勝でプレーしていないといけない。10年後への強化が始まっており、各カテゴリーで連携して進めないといけない。女子も同様で、今の高校生が(約10年後の)中心選手。それぞれのHCにも伝えています」と話した。【松本航】

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伝説のもみあげラガー、JPRウィリアムズさん死去 細菌性髄膜炎74歳「世界のラグビーの象徴」

JPRウィリアムズ(上)はブリティッシュ・ライオンズの一員として、1974年6月22日に南アフリカ代表と対戦した(AP)

ウェールズ代表の伝説のラグビー選手、JPRウィリアムズが亡くなった。74歳だった。フルバックとして活躍し、代表55キャップ。長いもみあげが目立ち、5カ国対抗で3度(1971、76、78年)のグラウンドスラム(全勝優勝)を果たしている。

英BBCによると、遺族は「JPRは、細菌性髄膜炎と勇敢に闘い、短い闘病生活の後、愛する妻と4人の子供たちに囲まれ、本日ウェールズ大学病院で静かに息を引き取りました」と声明を出した。

かつて所属したブリジェンド・レイブンズはSNSを通じて「JPRウィリアムズの訃報に心を痛めています。JPRはブリジェンドで最も栄誉あるプレーヤーの一人であり、世界のラグビーの象徴でした。私たちは、この悲しい時間をJPRのご家族とご友人とともに共有します」とコメントしている。

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【ラグビー】BL東京が開幕4連勝、昨季王者の東京ベイ相手に24-20 リーグワン

<ラグビー:NTTリーグワン1部>◇第4節最終日◇7日◇川崎市等々力陸上競技場ほか

3試合が行われ、BL東京が昨季王者の東京ベイに24-20で競り勝ち、開幕から4連勝とした。17-13の後半24分にWTB浜田がトライを奪い、逃げ切った。東京ベイは1勝3敗。

横浜は相模原を40-35で下し、初戦黒星から3連勝。相模原は2勝2敗。静岡は三重に62-13と大勝し、2勝2敗とした。三重は開幕4連敗。(共同)

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【高校ラグビー】東福岡を準Vに導いた藤田雄一郎監督の「藤田ノート」を公開「俺の宝物やね」

桐蔭学園対東福岡 惜しくも連覇を逃し曇天の空を見上げる東福岡・藤田監督(撮影・上田博志)

<全国高校ラグビー:桐蔭学園8-5東福岡>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場

前回王者・東福岡が桐蔭学園(神奈川)に競り負け、花園連覇を逃した。現3年生は中学3年時にコロナ禍が直撃。不完全燃焼のまま入学した最上級生は同校史上最多の計55人が集まった。背中で語るNO8高比良恭介主将(3年)が大所帯をけん引。集大成の冬は涙の準優勝も完全燃焼でやり遂げた藤田雄一郎監督(51)はメモを習慣化させており、「藤田ノート」を公開した。文面からマメな指導者としての一端がにじむ。

    ◇    ◇    ◇

東福岡・藤田監督は指導者としてメモ力を磨いた。

「メモしておけば後からも見返せる。3度くらいおいしいやん」

将来を見据え、東福岡で14年間務めたコーチ時代に読書とメモを習慣化させた。「監督になったらこうしたいなと思ったのがきっかけ」。これまでに他競技のアマチュア監督、昨春WBCで世界一に導いた栗山英樹氏、京セラ創業者の稲盛和夫氏のビジネス本なども手に取った。ジャンルは多岐に及び「他競技の監督、成功者から学ぶことはたくさんある。マネジメント論とかすごく勉強になる」。共感した文面にはマーカーで線を引いた。キャンパスノートには達筆な字でメモとしてしたためた。

読書を通じ、知識は増える。成功者からの金言に、自らになかった感性が養われる。「当然、指導に生きますよね」と言う。

「常勝チームを作った 最強のリーダー学」は興味深い1冊だった。著者は元青森山田サッカー部で監督を務め、現J1町田の黒田剛監督(53)。組織の先頭に立つリーダーのいろはが凝縮されていた。藤田監督は「組織づくり、人を動かすところ。指導に対して1つ1つのこだわりがあって理論がある」と10ページにまたいで、メモがびっしり書かれていた。

<有能なリーダーと言われる人達の共通点>

・常に相手の気持ちを察して動く

・どんな問題でも迅速に解決するために率先して自ら動く

・あらゆる世界との交流を好み、幅広い人脈を持つ

・隙のない日常生活を意図して送っている

・現状に満足することなく、さらに発展できるチャンスを常に狙っている

・正義感や犠牲心を持ち、困っている人を見逃せない

・組織に対して常に「厳しさ」と「ユーモア」を提供できる

・タイミングよく聞き手に適切な言葉をかけて相手の感情をコントロールできる

黒田監督は一昨年に高体連監督から異例のプロ監督に転身。就任1年目でクラブをJ2リーグ優勝に導き、J1昇格と結果も残した。藤田監督は「黒田さんにはお花を3回贈ってる」。第100回大会の高校サッカー選手権優勝、町田監督就任、J1昇格と祝福の花を添えてきた。

21年に対談がきっかけで知り合った2人の名将。今では「普通の居酒屋でな」と年に数回は食事をする間柄にある。その他にも福岡大大濠バスケ部の片峰聡太監督(35)と一回り年下の指導者からも刺激を受ける。「若いのにすごいよね」。

心に刺さったフレーズは数え切れない。読書は毎朝10分ほど。月1冊ペースで読み終える。地道にメモとしてつづってきた“藤田ノート”は計15冊。「これは俺の宝物やね」と誇らしげだ。「西の横綱」と呼ばれる名門を率いる藤田監督は、とことん貪欲で、マメな男なのだ。【佐藤究】

東福岡・藤田監督がコーチ時代からメモをしたためてきた15冊のノート(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(1ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(2ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(3ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(4ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(5ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(6ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(7ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(8ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(9ページ目)(撮影・佐藤究)
J1町田・黒田監督の著書を読んで、東福岡・藤田監督がメモした内容(10ページ目)(撮影・佐藤究)
東福岡・藤田監督がこれまでに読んだ本の一部(撮影・佐藤究)
桐蔭学園対東福岡 ピッチに立つ東福岡・藤田監督(右)と高比良主将(撮影・上田博志)
桐蔭学園対東福岡 試合後、桐蔭学園・城主将と握手を交わす東福岡・藤田監督(撮影・藤尾明華)

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【ラグビー】静岡が新年初戦を大勝し2勝目 藤井雄一郎監督「多少のミスはあったがプラン通り」

※写真はイメージ

<ラグビー・リーグワン1部:三重13-62静岡>◇第4節◇7日◇三重・三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場

静岡ブルーレヴズが新年初戦を大勝し、今季初の2連勝を飾った。勝ち星のない三重を相手に10トライ(T)の猛攻。前後半で各5T3コンバージョン(ゴールキック)と31得点ずつし、62-13で相手を下した。前半6分、ロックのマリー・ダグラス(34)が先制T。快勝の口火を切るとフッカー日野剛志(33)やフランカーのクワッガ・スミス(30)は2Tとチームをけん引。今季初TのWTB矢富洋則(28)らが続き、勝利をわしづかみにした。

序盤から、チームの強みのセットプレーで相手を圧倒した。先制場面では敵陣5メートルでの左ラインアウトからモールを押し込み得点。日野の2トライなども同様で、2度3度と自分たちの強みで相手を突き放した。藤井雄一郎監督(54)は「多少のミスはあったが、プラン通りできた」。守備に大崩れがなかった点も評価した。4季目で公式戦先発デビューを飾ったSH岡崎航大(25)は、堂々としたプレーで配球。指揮官から合格点を与えられた。

勝ち点を「10」に積み上げたチームは、9位から6位に浮上した。次節(13日)ホーム戦では3位の東京SGと対する。相手強度は上がるが、強みに磨きをかけて連勝を伸ばしたい。

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