7年ぶりの日本人F1ドライバーとして今季デビューする角田裕毅(20=アルファタウリ・ホンダ)が、26日開幕の第1戦バーレーンGPで攻めの走りを誓った。17日は、英国からリモート会見。合同テストでの手応えや日本人悲願の初優勝、10月10日日本GP(鈴鹿サーキット)への強い思いも口にした。
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日本人F1初優勝の可能性を秘める逸材が、熱い思いで開幕戦を待ちわびる。たった半年前には未知の世界だったF1が、テスト走行を経て徐々に自分の血となり肉となっていく。14日に、開幕戦のバーレーンで最後のテストを終えたばかりの角田は、自信にあふれていた。
「テストでもトップ3に入れたことは自信につながる。開幕戦は今もっているパフォーマンスを出し切って、思い切りプッシュして攻めていきたい」と抱負を語った。さらに「バーレーンは去年(下のカテゴリー0で)勝っているので自信はある。自分のすべてを出し切るので楽しみにしていてください」と強気の言葉も飛び出した。
16歳で初めてF1の原点ともいえるフォーミュラカーに乗ってからわずか4年。F1への階段を実力で駆け上がった。F1の登竜門で欧州のドライバーでも厳しいレッドブルのスカラシップを受け、その期待に昨年F2総合3位という結果で応え、F1へのキップをつかんだ。
昨年12月のアブダビで初めてF1マシンに乗ってから3カ月。バーレーンでの合同テストでは最終日の14日、優勝候補フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に次ぐ全体2番手のタイムを出して実力を証明した。「新しいマシンは乗りやすいです。最初のアブダビでは疲れたけど、バーレーンでは疲れなかったし、首も痛くなかった」と淡々と話した。
00年生まれのF1ドライバーは、欧米を含めても初めて。今季は、伝説のF1チャンピオン、ミハエル・シューマッハーの息子・ミックら3人がデビューするが、その中でも1番の評価を受ける。これまで17人の日本人が挑戦して果たせなかった、優勝や年間総合王者への期待も高まる。
そんな角田はあこがれの選手として、総合優勝7回のハミルトンや、レッドブルのエース、フェルスタッペンの名前を挙げた。あこがれの存在への第1歩となる今年の目標を「ポイントをできるだけ取れるような、その中で表彰台や優勝ももちろんしたい」と言ってのけた。さらに10月10日の日本GP。F1へのスタートを切った原点の鈴鹿サーキットでの凱旋(がいせん)試合に「日本のファンの前で走れるのは楽しみ」と思い募らせた。【桝田朗】
角田裕毅(つのだ・ゆうき)
◆生まれ 2000年(平12)5月11日、相模原市。
◆カートから ジムカーナ経験のある父の勧めで4歳からカートに乗る。15年の全日本カート選手権で総合2位。
◆中嶋悟が恩人 16歳で鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ部門に入校。当初の8人から4人に残り、フォーミュラカーに乗るためのスカラシップテストで3位。本来2位までが合格も、テストを見ていた当時校長の中嶋悟氏の推薦でフォーミュラカーのドライバーとなる。
◆全カテゴリーで優勝 17年F4の第2戦岡山で初優勝。18年には優勝7回で年間王者。18年夏に欧州F3合同テストに参加。その走りが認められ、F1の登竜門と呼ばれるレッドブル・ジュニアチームに所属。19年は欧州F3でも優勝。20年に昇格したF2でも優勝3回で総合3位。F2新人賞と、FIA(国際自動車連盟)新人賞をダブル受賞。
◆日本人初 20年の活躍が認められ、F1を含む新人ドライバー対象のFIAルーキー・オブ・ジ・イヤーを日本人として初めて受賞。
◆契約 昨年12月16日にF1のアルファタウリと契約。
◆住まい 将来のレッドブルチームへの昇格も期待され、同チームの英国の本拠地となるミルトンキーンズに住む
◆趣味 シューティングゲームなどのゲーム好き。しかしレースのゲームは「現実的ではないので、好きではない」
◆身長・体重 160センチ、53キロ。
◆角田裕毅(つのだ・ゆうき)2000年(平12)5月11日、相模原市生まれ。4歳でカートに乗り始め、16年にF4日本選手権に参戦。18年にF4日本選手権で総合優勝。19年にF1の登竜門、レッドブル・ジュニアチームに加入。同年F3選手権で総合4位。20年からはF2選手権に参戦し、3勝を挙げ年間3位。F2新人賞と、FIA(国際自動車連盟)新人賞をダブル受賞。12月16日にF1のアルファタウリと契約。160センチ、53キロ。