<パリへGO!>
パリ五輪を目指す各競技の北海道関連選手を紹介する企画6回目は、バレーボール男子元日本代表の古田史郎(35=DOTsー函館大有斗高)。
◇ ◇ ◇
古田がビーチバレーボールでのパリ五輪出場に急接近中だ。21年5月に、当時Vリーグ男子2部(V2)のヴォレアス北海道を退団し、ビーチバレーに転向。今年の6、7月に予定される五輪予選の結果次第で、本戦に手が届く。昨秋に再結成した辰巳遼(28=DOTs)との元ヴォレアスペアで、夢の舞台に挑む。
小3の時、担任の先生に誘われ、古田はバレーボールを始めた。ビーチバレーはジェイテクト所属時代にエキシビションに出場したことはあっても、公式戦経験は1度もなかった。転向わずか2年半で、夢だった舞台が目標に変わった。
古田 根拠はありませんが、小さいころから今まで「キャリアの最後はビーチバレーで(五輪の)メダルを取るんだ」という強い思いがありました。世界で挑戦し続けるという思いを表現できる競技ですし、過去にこの競技で五輪出場者のいない北海道から「こんな競技があるということを発信したい」という思いもありました。
転向から半年は、旭川から週末だけ石狩のビーチに通い、社会人の愛好家と一緒にプレーした。対戦結果は五分五分。慣れない砂浜に足を取られ、毎日のように両方のふくらはぎがつった。その冬、横浜で開催された国内大会に初出場。1回戦で敗退した。
古田 当時の日本のトップランカーと言われるペアと対戦して、ボコボコにやられました。(バレーで培った)プレー自体は鈍っていませんでしたが、勝負の嗅覚といいますか、ビーチバレーで勝つための基礎が全くありませんでした。
22年に高橋巧(32)、昨年は黒川寛輝ディラン(25) と、ともに日本代表選手と組んで世界各国の大会を回り、0だったランキングを一気に上げた。昨年8月のパリ五輪アジア予選の第1フェーズは黒川とのペアで2位に入り、今年6月に予定される予選第2フェーズの日本代表枠を獲得した。その後、黒川とのペアを解消。転向時の想定通り、辰巳とのコンビで、五輪シーズンを迎えることに決めた。
古田 最初から「辰巳とだから勝負できるな」と思って、この世界に飛び込んだので、昨年の10月から元に戻しました。それからジャパントップツアーに2戦出場し、世界で男女15チームずつしか出られないキング・オブ・ザ・コートという(カタール)ドーハの賞金大会にも日本人ペアで唯一出してもらい、貴重な経験を積みました。
16年リオデジャネイロ五輪金メダルのアリソン・セルッティ(38=ブラジル)は、35歳で出場した東京五輪でも5位入賞。経験がものを言う競技だけに、同じ35歳の古田にも十分チャンスはある。2月にはブラジルに辰巳と遠征し、コンビの成熟度を高め、パリ五輪出場権をかけた戦いに挑む。
古田 「この風の中なら、こういうボールタッチだな」といった個人的な細かい感覚は大分つかめています。あとはゲームの組み立てや、呼吸、コンビネーションの確立。ブラジルで鍛錬してきます。1年の半分ぐらい日本にいなくて、1歳半の息子には寂しい思いをさせていますが、スポンサーの方々や、練習場所を提供してもらっている旭川工業高校の皆さんに報いるためにも、まずは本気でパリ。そして次のロサンゼルス(五輪)でメダルを取ります。
- 古田はシーズンインに向けてトレーニングを積む(撮影・中島洋尚)
- 世界の強豪チームが集まるキング・オブ・ザ・コートに参戦した古田(右)・辰巳ペア(本人提供)