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【春高バレー】下北沢成徳、反撃及ばず3冠逃す「単発のミスが多かった」内沢明未主将

【春高バレー】下北沢成徳、反撃及ばず3冠逃す「単発のミスが多かった」内沢明未主将

女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セットに臨む下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

女子・下北沢成徳(東京)はストレート負けを喫し、昨年の全国高校総体、国体との3冠を逃した。

0-2で迎えた第3SではOP河俣らを軸に6連続得点で逆転。この試合で初めてリードを奪ったが、反撃もここまでだった。直後に再逆転を許し、点差を広げられた。主将のリベロ内沢は「単発のミスが多かった。(ボールの)つなぎが就実より劣っていた」と反省。主力のほとんどが2年生で、来季も経験者が数多く残る。「さらに強くなるはず。3冠は意識せず、1戦ずつ力を発揮してほしい」とエールを送った。

女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、チーム得点でガッツポーズを見せる下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子準優勝で写真に納まる下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セットに臨む下北沢成徳・内沢(中央)(撮影・江口和貴)
就実対下北沢成徳 就実に敗れ、整列するイェーモンミャ(左から2人目)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 試合後、応援席にあいさつする下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
女子準優勝で記念写真に納まる下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
表彰式で日本バレーボール協会川合会長(右)と写真に納まる下北沢成徳・内沢(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 下北沢成徳のベンチに置かれるぬいぐるみ(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット前、コートに入場する内沢(右端)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
春高バレー女子・過去10年の優勝、準優勝校

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【春高バレー】就実・福村心優美ら下級生で50点「強さを最高の形で証明できた」

女子の最優秀選手賞に輝いた就実・福村(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。最優秀選手賞は、福村心優美(こゆみ、2年=就実)が受賞した。

    ◇    ◇    ◇

福村心優美を中心とした2年生スパイカー陣がアタックで得点を量産した。第1Sを25-17で先取すると、第2Sも中盤に5連続得点で突き放し、25-17で連取。第3Sはこの日初めてリードを許したが、エースの強打で押し切り、25-21で勝利を引き寄せた。チームが挙げた54得点中50得点が下級生。両軍トップタイの14得点を挙げた福村は「強さを最高の形で証明できた」と胸を張った。

就実対下北沢成徳 第2セット、サーブに臨む就実・福村(撮影・江口和貴)
就実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする就実・福村(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第3セット、ガッツポーズを見せる就実・福村(撮影・江口和貴)
就実対下北沢成徳 第3セット、得点でガッツポーズする就実・福村(中央)(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 優勝し応援席にあいさつする就実・西畑監督(右端)ら(撮影・江口和貴)
女子優勝で記念写真に納まる就実の選手たち(撮影・江口和貴)
就実対下北沢成徳 優勝し写真に納まる就実の選手たち(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】悔し涙が上がり虹が架かった就実…主将の井上凜香は前主将の靴下でプレー

女子優勝で記念写真に納まる就実の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0下北沢成徳>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。最優秀選手賞は、福村心優美(こゆみ、2年=就実)が受賞した。

    ◇    ◇    ◇

「やったよって。恩返しできたよ。ありがとうって伝えたい」。就実のセッター河本菜々子の頬に、涙が伝った。このコートに立つことができなかった1学年上の先輩たちの姿が浮かび、万感の思いがあふれた。リベロ井上凜香主将とともに3年生のレギュラー。下級生が中心の強力攻撃陣を多彩なトスワークで支え、昨年のインターハイで苦杯をなめた難敵撃破へ導いた。初戦から1セットも落とさず頂点まで駆け上がり、「一番いい恩返しができた」とほほ笑んだ。

河本はあの日のことを忘れない。3連覇を目指した前回大会。直前の「コロナ陽性」で棄権となった。当時の主将で同じセッター岩本沙希が涙した横顔は脳裏に焼き付いている。その先輩は集大成の場がなくなったにもかかわらず、気丈に「頑張るんだよ」と声をかけてくれた。「自分たちが気にしないように接してくれたのだと思う」。引退後も相談や練習に何度も付き合ってくれた。後悔のような言葉は聞かなかった。強かった「憧れの人」の思いも胸に刻み、春高の舞台へと返ってきた。

井上も前主将の思いを背負う1人。昨年まで寮の同部屋だった間柄で、卒業時には2足の試合用ソックスを託された。今大会は先輩の汗が染み込んだ靴下を試合ごとに交互に身に着けた。決勝前日にも、岩本から「明日は全力で頑張って」とエールを送られた。「すごく心強かった」。この日も先輩の靴下で、苦しい時も踏ん張った。

棄権を通達された翌日も、試合出場の望みを捨てず朝6時から試合会場に立った西畑監督。寮の側に住み、自ら選手たちに夕食を振る舞うなど、頂点へ返り咲くべく生活面からも支え続けた。「誰かのための感謝、人への思い。すごく強い力を生み出してくれた」とかみしめた。悲劇を乗り越えるため、日本一だけを見据えて練習に明け暮れたメンバーたち。悔し涙は上がり、虹が架かった。【勝部晃多】

就実対下北沢成徳 優勝し就実の選手たちに胴上げされる西畑監督(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする就実・井上(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第2セット、チーム得点で喜ぶ就実・井上(左)(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第2セット、得点で喜ぶ就実の選手たち(撮影・江口和貴)
就実対下北沢成徳 第3セット、得点でガッツポーズする就実・福村(中央)(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第3セット、優勝を決め歓喜する就実の選手たち(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 優勝し応援席にあいさつする就実・西畑監督(右端)ら(撮影・江口和貴)
女子のベストリベロ賞に選ばれた就実・井上(撮影・江口和貴)
春高バレー女子・過去10年の優勝、準優勝校

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【春高バレー】V2駿台学園の強さの秘密“日本一”データ活用、科学的知見がチーム力を引き出す

駿台学園対福井工大福井 優勝し写真に納まる駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。最優秀選手賞は、亀岡聖成(せな、3年=駿台学園)が受賞した。

    ◇    ◇    ◇

わずか75分の完勝劇で優勝を決めると、選手たちは笑顔でコートになだれ込んだ。昨夏の全国高校総体を制しながら、秋の国体では準々決勝敗退。その悔しさを連覇で晴らした。亀岡主将(3年)は「最高のチームと最高の結果が出てうれしい」と胸を張った。

大黒柱こそ不在だが、チームワークで勝ち上がってきた。相手の強力なアタックに食らいつき、攻撃のリズムを生み出す。チームのアタック決定率は49・5%をマークし、相手を10%以上も上回った。観客からは「高校生のレベルじゃないぞ」との声ももれた。

その根源には、セッター三宅綜大(2年)が「日本一」と胸を張るほどのデータ活用術がある。4年前からトレーニングの専門コーチを招聘(しょうへい)し、試合では心拍数を計測するアームバンドを着用。緊張や疲労度などをリアルタイムでチェックするようにした。練習前後には垂直跳びの数値を測り、その差に基づいてリカバリーのメニューを決定する。「見ただけで誰が今どのような状態かが分かる」と三宅綜。科学的な知見がチーム力を引き出した。

強固な土台に加え、明るい雰囲気も好循環を生んだ。国体での敗退後は「俺たちは王者じゃないぞ」と繰り返し、挑戦者の立場であることを確認。一方で試合前夜のミーティングでは、仲間のプレーに対し「これは何をしているんだ?」と笑い合いながら指摘。決勝でも前向きさは健在。亀岡は「特に連覇は考えなかった」と平常心を貫いた。データとチーム力とを融合させ、“最高のチーム”で戴冠をつかんだ。【藤塚大輔】

男子優勝で記念写真に納まる駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、駿台学園・三宅雄(右端)のスパイクで優勝を決める(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、スパイクを決める駿台学園・三宅雄(右)。中央は福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、ポイントを奪い、ガッツポーズを見せる駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、ポイントを奪い、ガッツポーズを見せる駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第3セット、優勝を決め、コートに倒れ込んで喜ぶ駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第3セットに臨む駿台学園・亀岡(右)と三宅雄(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、ポイントを奪い喜ぶ駿台学園・亀岡(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、得点で喜ぶ駿台学園・亀岡(左)と秋本(中央)(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第2セット、レシーブする駿台学園・亀岡(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 優勝し喜ぶ三宅雄(右端)ら駿台学園の選手たち。右から2人目は秋本(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 優勝し喜ぶ三宅雄(右端)ら駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 優勝しチームメートに胴上げされる駿台学園・亀岡(撮影・江口和貴)
男子最優秀選手賞に輝いた駿台学園・亀岡(左)。右はフジテレビの港社長(撮影・江口和貴)
男子最優秀選手賞に輝いた駿台学園・亀岡(撮影・江口和貴)
優秀選手に選ばれた駿台学園・亀岡(左)と秋本(撮影・江口和貴)
男子のベストリベロ賞に選ばれた駿台学園・谷本(撮影・江口和貴)
春高バレー男子・過去10年の優勝、準優勝校

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【春高バレー】駿台学園3年生で47点、最多15得点の三宅雄大「ウエートトレのおかげ」

駿台学園対福井工大福井 優勝し写真に納まる駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。

    ◇    ◇    ◇

駿台学園は3年生だけで47得点を量産した。第1Sは、21-21から3連続得点で差を広げた。第2Sで6連続得点で突き放すと、第3Sもそのまま押し切った。チーム最多の15得点を挙げたOP三宅雄は身長177センチと決して大柄ではないが、存在感を発揮。「筋力が大事だと思い、ウエートトレーニングに取り組んできたおかげ」と誇った。

男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、ポイントを奪い、ガッツポーズを見せる駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、ポイントを奪い、ガッツポーズを見せる駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第3セット、優勝を決め、コートに倒れ込んで喜ぶ駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、駿台学園・三宅雄(右端)のスパイクで優勝を決める(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 優勝し喜ぶ三宅雄(右端)ら駿台学園の選手たち。右から2人目は秋本(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 優勝し喜ぶ三宅雄(右端)ら駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第3セットに臨む駿台学園・亀岡(右)と三宅雄(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、得点で喜ぶ駿台学園・亀岡(左)と秋本(中央)(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第3セット、スパイクを決める駿台学園・三宅雄(右)。中央は福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)
男子優勝で記念写真に納まる駿台学園の選手たち(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第2セット、ポイントを奪いガッツポーズの駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、ポイントを奪いガッツポーズを見せる駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、スパイクを決めた駿台学園・三宅雄(中央右)(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、スパイクを決める駿台学園・三宅雄(右)(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】MVPは男子が駿台学園・亀岡聖成、女子が就実・福村心優美/受賞一覧

男子最優秀選手賞に輝いた駿台学園・亀岡(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)>◇8日◇最終日◇男女決勝◇東京体育館

女子は就実(岡山)が2年ぶり5度目の日本一に輝いた。決勝でインターハイ、国体との「高校3冠」を狙った下北沢成徳(東京)を3-0のストレートで撃破。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会の無念を晴らした。男子は、駿台学園(東京)が2年連続3度目の優勝。福井県勢男女初の頂点を目指した福井工大福井をストレートで退け、インターハイとの2冠を達成した。

最優秀選手賞は、女子は福村心優美(こゆみ、2年=就実)、男子は亀岡聖成(せな、3年=駿台学園)が受賞した。

受賞は以下の通り。

◇最優秀選手賞

〈男子〉亀岡聖成(駿台学園)

〈女子〉福村心優美(就実)

◇優秀選手賞

〈男子〉秋本悠月(ゆづき、駿台学園)、亀岡聖成、堤凰惺(おうせ、福井工大福井)、丸山英祐(えいち、福井工大福井)、仲村正也(昇陽)、井坂太郎(鎮西)

〈女子〉福村心優美、高橋凪(就実)、イェーモンミャ(下北沢成徳)、後藤ビビアン愛音(下北沢成徳)、上村日菜(誠英)、笠井季璃(りり、旭川実)

◇ベストリベロ賞

〈男子〉谷本悦司(駿台学園)

〈女子〉井上凜香(就実)

◇勝利監督賞

〈男子〉梅川大介(駿台学園)

〈女子〉西畑美希(就実)

◇ベスト応援賞

習志野、福井工大福井、金沢商、明秀日立

男子最優秀選手賞に輝いた駿台学園・亀岡(左)。右はフジテレビの港社長(撮影・江口和貴)
女子の最優秀選手賞に輝いた就実・福村(撮影・江口和貴)
女子の最優秀選手賞に輝いた就実・福村(左)。右はフジテレビの港社長(撮影・江口和貴)
優秀選手に選ばれた駿台学園・亀岡(左)と秋本(撮影・江口和貴)
女子の優秀選手に選ばれた就実・高橋(右)と福村(撮影・江口和貴)
男子優秀選手に選ばれた福井工大福井・堤(左)と丸山(撮影・江口和貴)
女子の優秀選手に選ばれた下北沢成徳・イェーモンミャ(右)と後藤(左)(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】福井工大福井、県勢最高準V「3年で伸びた量負けない」“最弱”世代示した成長

駿台学園対福井工大福井 試合後、あいさつする福井工大福井の選手たち(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井0-3駿台学園>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

昨年8月のインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が0-3(22-25、15-25、21-25)で駿台学園(東京)にストレート負けを喫した。男女を通じ、福井県勢初優勝を逃したが、過去最高の準優勝を収めた。

  ◇  ◇  ◇

0-2で迎えた第3セット(S)。序盤に6点差をつけられながらも、諦めずに迫った。最後は21-25で力尽きたが、確かな進歩を示した。チームトップの19得点をマークした主将でアウトサイドヒッター(OH)の堤凰惺(おうせ)は「どんなに弱くても成長できると証明された」とうなずいた。「最弱」と呼ばれた世代でも、県勢初の決勝の舞台へたどり着くことができた。その誇りが胸を占めた。

入学当初は「春高出場」が現実的な目標だった。1年時は初戦で散り、2年時は8強敗退。年を重ねるごとに力をつけてはいたが、日本一は遠かった。

変化の兆しがあったのは昨春。同校OBの鈴木聖也さん(現愛知学院大)をアナリストとして迎え入れたことで、戦術の幅が広がった。昨夏のインターハイでは3位。セッター丸山英祐(3年)は「自分たちは基礎がなっていなかったが、バックアタックやクイックの決定率を高めることができた」と実感する。秋以降は選手主体でディフェンス強化に目を向け、守備練習の時間それまでの3倍以上となる1時間ほどに増えた。

今大会はその努力が結果に表れた。初戦から4試合連続でストレート勝利。堅実な守りがさえ、準決勝でも前回準Vの鎮西を3-0と圧倒した。この日の決勝では1セットも奪えなかったが、第3Sでは6点差から一時は2点差へと追い上げもみせた。

前回王者に力負けこそしたが、西田靖宏監督(47)は「もう1度スカウトできるなら、彼らをスカウトする」と最上級生をたたえた。試合前には、教え子たちにこう語りかけていた。

「ここまで来ると思っていなかった。駿台さんもいい選手がいっぱいいる。でもこの3年で伸びた量は負けていない」

堤主将はかみしめるように、指揮官の言葉を心に刻んでいた。

「監督が仰っていることは間違いない。試合前に自信にもなりました。その言葉のおかげで最後まで強きでプレーできたと思う」

最弱の世代が見せた進化。成長の跡を示した冬になった。

男子決勝 駿台学園対福井工大福井 試合後、審判にあいさつした福井工大福井・堤。後方右は駿台学園・秋本(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第1セット、声を出す福井工大福井・西田監督(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、レシーブする福井工大福井・能美(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第1セット、得点で喜ぶ福井工大福井・長谷川(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第1セット、厳しい表情を見せる福井工大福井・堤(右)(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、ポイントを奪いガッツポーズの福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第1セット、サーブを放つ福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)
男子決勝 駿台学園対福井工大福井 第2セットに臨む福井工大福井・西田監督(中央)ら(撮影・江口和貴)

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栗原恵さん&大山加奈さん「メグカナ」+竹下佳江さん3ショット 春高バレーにレジェンド集結 

栗原恵さんのインスタグラムから

元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん(39)が8日、インスタグラムを更新。「メグカナ」コンビとしてプレーした元女子日本代表の大山加奈さん(39)、2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンとオリンピック(五輪)3大会出場のセッター竹下佳江さん(45)との3ショットをアップした。

元日本代表の3人は、この日閉幕した春高バレーのテレビ解説で、東京体育館に集結していた。「決勝戦を解説という形でご一緒したテンさんとカナと写真を撮ってもらうこともできて

個人的にも嬉しい締めくくりとなりました」と竹下さんのニックネームのテンさんと、大山さんのニックネームのカナを入れながら2人に感謝した。

続けて、優勝経験のある春高について「高校生バレーボーラーたちの熱い試合に

年始から心が洗われるような素敵な時間を過ごさせていただきました」とつづった。

栗原恵さんのインスタグラムから

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【春高バレー】下北沢成徳、ストレート負けで3冠ならず…前回無念の欠場の就実に敗れる

女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、ポイントを奪いガッツポーズの下北沢成徳・イェーモンミャ(左)(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳0-3就実>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

下北沢成徳(東京)が0-3(17-25、17-25、21-25)で就実(岡山)にストレート負けを喫した。昨年のインターハイ(全国高校総体)、国体との「3冠」を逃した。

第1セット(S)では中盤以降に失点を重ね、最後は4連続失点で落とした。

第2Sでも前半で6連続失点。中盤はオポジット(OP)河俣心海(2年)を軸に得点を重ねる場面もあったが、相手の強打を返せず、流れを引き寄せられなかった。

第3Sでは6-11から6連続得点で逆転し、この試合で初めてリードを奪ったが、反撃もここまで。その後は再逆転を許し、点差を広げられた。

スタンドからの大声援を背に、アウトサイドヒッター(OH)後藤ビビアン愛音(2年)、同じくOHのイェーモン・ミャ(2年)、リベロ内沢明未主将(3年)らを軸に奮闘したが、最後まで相手の勢いを止められなかった。

勝利した就実は2年ぶり5度目の優勝。前回大会では無念の欠場となったが、その悔しさを乗り越え、2年ぶりに王座を奪還した。

女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、ポイントを奪う下北沢成徳・イェーモンミャ(後方左)(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セット、レシーブする下北沢成徳・後藤(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 第1セットを落とし整列する下北沢成徳の選手たち(撮影・江口和貴)
女子決勝 就実対下北沢成徳 下北沢成徳のベンチに置かれるぬいぐるみ(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】福井工大福井、男女通じて県勢初優勝ならず…駿台学園にストレート負けで力尽きる

駿台学園対福井工大福井 第1セット、ポイントを奪いガッツポーズの福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0福井工大福井>◇8日◇最終日◇決勝◇東京体育館

昨年8月のインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が0-3(22-25、15-25、21-25)で駿台学園(東京)にストレート負けを喫した。男女を通じ、福井県勢初優勝を逃した。

前回王者の相手の勢いを止められなかった。第1セット(S)を接戦の末に落とすと、第2Sでは5-7から6連続失点。強打をブロックされたり、コートギリギリを狙ったボールが拾われたりするなど、流れを引き寄せられなかった。

スタンドからの大声援を背に、アウトサイドヒッター(OH)で3年生主将の堤凰惺(おうせ)や左利きのオポジット(OP)山本快(2年)らが奮闘をみせたが、相手の堅守に阻まれた。【藤塚大輔】

駿台学園対福井工大福井 第1セット、サーブを放つ福井工大福井・堤(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 第2セット、ポイントを奪いガッツポーズの駿台学園・三宅雄(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 会場のカメラにつけられたバボちゃんのぬいぐるみ(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 会場を盛り上げるバボちゃん(撮影・江口和貴)
駿台学園対福井工大福井 会場を盛り上げるバボちゃん(撮影・江口和貴)

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【春高バレー】駿台学園の三宅兄弟、弟綜大から兄雄大へ勝利のホットライン

第3セット、ポイントを奪いガッツポーズする駿台学園・三宅雄(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

男子はインターハイとの2冠がかかる前回大会覇者の駿台学園(東京)が昇陽(大阪)を下し、連覇にあと1勝とした。

    ◇    ◇    ◇  

三宅兄弟のコンビネーションが光り、駿台学園が大会2連覇、そしてインターハイとの2冠に王手をかけた。セッターの弟綜大(2年)のバックトスを、オポジットの兄雄大(3年)がライトからたたき込む。「相手レフトの2人が身長があまりないので、そこから攻めるのを考えた」(綜大)。昇陽のブロックが身長170センチと172センチの選手になるコート右の穴を狙い、兄にチーム最多32本を打たせた。兄も20本を決めて62・5%の高い決定率で応え快勝に導いた。

小学校に入る頃から競技を始めた2人。177センチでサウスポーの兄雄大は「一緒にプレーするのは多分、明日が最後。2人で優勝できたら、家族に一番の恩返しになる」と力を込める。思いは172センチの弟綜大も同じ。ここまでの競技人生の大半が兄と同チームで、セッターとして数え切れないほどのトスを上げ続けてきた。「最後も兄弟で思い切り楽しみたい」とうなずいた。

ずっとコンビを組んできたからこそのあうんの呼吸だ。雄大は「自分が細かく要求したことに対して素直に応えてくれる。本当に助かる」と感謝。一方でコートを離れると「素直じゃなくて生意気」と笑う。綜大は2人の性格は「正反対」と言い「雄大は真面目で、もうばか正直って感じ。自分は好き勝手やっています」。そんなやりとりにも息の合ったところをみせる。

今日8日の大一番は2人にとっての集大成でもある。三宅兄弟が肩を組み“ファイナルゲーム”に臨む。【奥岡幹浩】

第3セット、トスを上げる駿台学園・三宅綜(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】福井工大福井・堤凰惺14得点も「目指しているのは日本一。まだ喜べない」

第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

男子はインターハイ3位の福井工大福井が、男女通じて県勢初の決勝進出を決めた。2年連続準優勝の鎮西(熊本)を3-0のストレートで撃破。昨年の準々決勝で敗れたリベンジを果たし、初優勝へ王手をかけた。

    ◇    ◇    ◇  

県勢の歴史を塗り替えても、福井工大福井のキャプテン堤凰惺(おうせ、3年)は表情を崩さなかった。「勝ったのは本当にうれしいんですけど、自分たちが目指しているのは日本一。まだ喜べない」。昨年の準々決勝で敗れた難敵に雪辱した直後。その目線はすでに、駿台学園との決勝戦へ一直線に向いていた。

この日も一戦必勝の思いだった。6日の準々決勝で清風(大阪)に快勝。福井県の先人たちが越えられなかった8強の壁を打ち破った。しかしチームには、手応えと同時に過度の緊張感が漂った。堤は「思い切りやって、自分に(ボールを)上げてくれればいい」と先頭で鼓舞。落ち着きを取り戻した仲間たちとともに、全員バレーをぶつけた。

サーブレシーブ成功率は相手を15%上回る67・9%をマーク。ブロックでは脅威の13得点を挙げた。粘りの守備からリズムを作り、堤はチームトップの14得点。鎮西・井坂とのエース対決も制し「去年は自分のミスで負けた。今年は絶対に負けたくないという気持ちで、井坂太郎に立ち向かいました」と拳を握った。

「凰惺」という名前には「貴重な存在になってほしい」との思いが込められている。血液の持病を持ち「子供は1人しか産めない」といわれていた母に名付けられた。幸いなことに「結局3人産んだんですけど(笑い)」という母は、この日もスタンドから見守ってくれた。名前通りの男になれているかは、まだ分からない。それでも「近づいてきてるのかな」とうなずいた。唯一無二のエースになるために県勢の悲願、頂点に立ってみせる。【勝部晃多】

鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ堤(右)ら福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】就実・福村心優美、高橋凪、押川結衣2年生トリオで53得点「強さ証明したい」

誠英に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ就実の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

女子は、5度目の頂点を目指す就実(岡山)が昨年準優勝の誠英(山口)を退けファイナル進出。決勝ではインターハイ、国体との3冠を狙う下北沢成徳(東京)と顔を合わせる。

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就実の枢軸を担う2年生トリオが、2年ぶり5度目の頂点へ弾みをつけた。スーパーエース福村心優美(こゆみ)と、押川結衣が強打を連発。同じ177センチの2人が、ともにアタックだけで両軍トップの20得点をたたき出すと、167センチの高橋凪はブロック2本、サービスエース1本を含む13得点で攻守に貢献した。

この日チームが挙げた71得点の9割となる64得点を下級生が稼ぎ出した。34年連続出場で、同じ中国地方のライバル誠英に付け入る隙を与えず。60%を超えるアタック決定率をマークした押川は「ここ(準決勝)まできたら、ただ打つだけでは決まらない。コースを狙ったり、パワーを生かして思いっきり打つことを意識した」と胸を張った。

先輩たちの無念を晴らす舞台だ。3連覇を目指した昨年大会。新潟中央との初戦(2回戦)直前に選手にコロナ陽性判定者が出たため、規定で欠場を余儀なくされた。チームは体育館に入ることなく春高を去っただけに、今大会へかける思いは強い。2学年上の先輩たちが全国制覇する姿をテレビで観戦し、同校への入学を決めた福村もその1人。「就実は強いということを改めて証明したい」と誓っていた。

8日の決勝の相手は、高校3冠を狙う下北沢成徳。同じく2年生を中心とする強豪には、昨年のインターハイ準々決勝でストレート負けを喫している。「悔しさをぶつけたい。今までやってきたことを信じて、最後はみんなで思いっきり楽しみたい」と押川。1年前の悔し涙を、うれし泣きに変える。【勝部晃多】

第2セット、スパイクを放つ就実・福村(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】下北沢成徳エース・イェーモンミャ13得点も反省「もう少しできるように」

第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・後藤(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館

女子は、5度目の頂点を目指す就実(岡山)が昨年準優勝の誠英(山口)を退けファイナル進出。決勝ではインターハイ、国体との3冠を狙う下北沢成徳(東京)と顔を合わせる。

    ◇    ◇    ◇  

2年生たちが躍動した下北沢成徳が、高校3冠達成まであと1勝とした。リベロを除く先発6人を占め、アウトサイドヒッター(OH)のイェーモンミャは13得点、同じくOHの後藤ビビアン愛音は12得点をマーク。そして183センチのミドルブロッカー(MB)柳千嘉は、ブロック3本を含むチーム最多14得点を挙げてストレート勝ちに導いた。

それでもエースのイェーモンミャは反省を忘れず。

「個人的には『これ』というプレーができなかった。明日はもう少しできるように頑張りたい」と引き締め直した。後藤は初めて体験するセンターコートでスコアを重ねた中、「天井が高いので、トスとのタイミングを合わせるのが大変と思った。試合前にしっかり打ち合わせて入れた」と、正確なトスで試合を組み立てたセッター小山明に感謝。オポジット河俣心海、MB中田藍美の身長180センチ台の2人も、要所で存在感を発揮した。

そんな2年生たちを150センチの主将、内沢明未(3年)がまとめ上げる。先発メンバーで唯一の最上級生。リベロとして旭川実のエース笠井季璃の強打を何度も拾い、流れを渡さなかった。そして競り合いとなった第3セットも、大きな声でメンバーを鼓舞し続けるリーダーシップで引っ張った。7年ぶりの大会制覇へ「最後はみんなで笑顔で終わりたい」。チーム一丸で3冠を成し遂げる。【奥岡幹浩】

第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモンミャ(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】駿台学園が連覇王手 三宅雄大&綜大の兄弟活躍「一緒にプレーは明日が最後」

駿台学園対昇陽 昇陽に勝利し決勝進出を決め、ガッツポーズする駿台学園・亀岡(手前)(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

大会2連覇とインターハイ(全国高校総体)に続く今季2冠が懸かる駿台学園(東京)が、昇陽(大阪)をストレートで下して決勝に進んだ。直近5大会で4度目の決勝進出となった。

三宅兄弟による息の合ったコンビネーションが光った。セッターの弟綜大(2年)がトスを上げ、オポジットの兄雄大(3年)が次々と打ち込んだ。

小学校に入るころから競技を始めた2人。177センチでサウスポーの兄雄大は「一緒にプレーするのは、たぶん明日が最後。2人で優勝できたら、家族に1番の恩返しになる。頑張りたい」。

172センチの弟綜大も「兄弟でコートに立てるのは、春高が人生で最後になると思う。思い切り楽しんで優勝したい」と声をそろえた。

兄雄大はセッターの弟に、「自分が細かく要求したことに対して、素直に応えてくれる。本当に助かる」と感謝。一方でコートを離れたときの性格については「素直ではなくて、ぜんぜん生意気」と笑った。

弟の綜大も、2人の性格は「正反対」と断言。「雄大は真面目で、もうばか正直って感じ。自分は好き勝手やっています」と、こちらも笑顔で口にした。

仲の良い兄弟が、肩を組んでファイナルに臨む。【奥岡幹浩】

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【春高バレー】U19代表の旭川実・笠井季璃「後輩に引き継ぎたい」両チーム最多22得点も涙

旭川実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館

旭川実が今季総体・国体の2冠を制し、3冠を狙う下北沢成徳(東京)に0-3で敗れた。U-19日本代表でエースの笠井季璃(3年)は、両チーム最多の22得点を挙げたが、身長180センチ台の大砲を3人そろえる女王を崩しきれず、準優勝した1992年(平4)以来31大会ぶりの決勝進出はならなかった。

決まれば同点。外れれば敗退-。セットカウント0-2、24-25で迎えた相手のマッチポイント。フルパワーで笠井の放ったバックアタックが、ボール下半分だけネットにかかって自コートに落ちた。「まだまだできたことはあったんじゃないかと思うので、これは後輩に引き継ぎたいと思います」。主将が涙をこらえながら言った。

競り合いになった第3セット中盤には「あとはすべて任せてほしい」と、セッター井関芹花(3年)に声がけし、ボールを自分に集中させた。全体練習後も2人で居残ってタイミングを合わせ、寮ではトランプを楽しんだ。かけがえのないパートナーに、高校生活最後のわがままを言い、2冠女王に立ち向かった。

ラストショットを失敗し、一瞬だけ悔しい表情を見せ、すぐに笑顔を取り戻したエースには、スタンドから大きな拍手が降り注いだ。「集中していたので歓声は味わえませんでしたが、試合後の拍手を見て、『応援されてたんだな』と感じました」と言った。

岡本祐子監督(45)は「堂々とベストを尽くし、堂々と帰れる結果。先輩の背中を見た後輩たちが、必ず何かを引き継いでくれる」と次世代に期待を寄せた。この日4得点を決めた堀田柚音(ゆね、2年)は「季璃さんのようなエースはいませんが、全員で点を取るチームを作って、またセンターコートに来ます」。大エースの残した余韻は、必ず次の時代の挑戦に、継承される。【中島洋尚】

旭川実対下北沢成徳 第2セット、スパイクを放つ旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、涙する旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の旭川実の選手たち。左は笠井(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】U19代表でエース笠井季璃は涙 旭川実、92年以来31大会ぶり決勝進出ならず

旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、涙する旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇準決勝◇第4日◇7日◇東京体育館

旭川実(北海道)はストレートで下北沢成徳(東京)に敗れ、92年以来31大会ぶりの決勝進出はならなかった。

U19日本代表で、エースの笠井季璃(りり、3年)は、0-2と追い込まれた第3セット終盤に、強烈なスパイクやバックアタックを連発。得点のたびに、ほぼ満員のスタンドを沸かせたが、24-26で競り負け、セットを奪うことはできなかった。

第3セット最終盤の24-25の場面。1度目のアタックが決まり切らず、ボールが自コートに戻ってきた。セッター井関芹花(3年)が上げた2度目のトスを強打したが、惜しくもネットにかかり、試合が終わった。火の玉のような渾身(こんしん)のバックアタックで、会場全体を味方につけ、両チーム最多20得点をマーク。活躍及ばずコートに倒れこむエースの姿に、涙ぐむ観客もいた。

「自分に託してくれてありがとう」。あふれる涙を抑えながら、笠井は井関らチームメートに、感謝の言葉をかけて、コートを去った。卒業後はVリーグ女子1部のトヨタ車体に入部する。試合後は早くも「目標は男子の石川祐希(28=ミラノ)さんのように、苦しい時に頼れる選手。日本(代表の)メダルに貢献できる選手になりたい」と、次のステップを見据えた。【中島洋尚】

旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の旭川実の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の旭川実の選手たち。左は笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、スパイクを放つ旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする旭川実・石崎(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、スパイクを放つ旭川実・大庭(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 旭川実に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ内沢(左)、イェーモン(右から2人目)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 旭川実に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ下北沢成徳の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、ポイントが入り、両手を広げ喜ぶ下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、ポイントが入り喜ぶ下北沢成徳・内沢(中央)(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・後藤(撮影・鈴木みどり)

【春高バレー】下北沢成徳が3冠王手 身長150センチの主将内沢明未「笑顔で終わりたい」

旭川実対下北沢成徳 第3セット、ポイントが入り、両手を広げ喜ぶ下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:下北沢成徳3-0旭川実>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

昨年のインターハイ(全国高校総体)と国体を制した下北沢成徳(東京)が決勝進出を決め、高校3冠に王手をかけた。準決勝で旭川実(北海道)を25-18、25-14、26-24のストレートで下した。

身長150センチの主将、内沢明未(3年)は先発メンバーで唯一の最上級生。リベロとして相手の強打を何度も拾い、大きな声でチームを鼓舞し続けた。

7年ぶりの大会制覇へ向けて、「最後はみんなで笑顔で終わりたい」。先頭に立って、チームを引っ張る。

旭川実対下北沢成徳 旭川実に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ内沢(左)、イェーモン(右から2人目)ら下北沢成徳の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 旭川実に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ下北沢成徳の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、涙する旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、レシーブする下北沢成徳・内沢(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第3セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、ポイントが入り喜ぶ下北沢成徳・内沢(中央)(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・イェーモン(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第1セット、スパイクを放つ下北沢成徳・後藤(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の旭川実の選手たち(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 下北沢成徳に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の旭川実の選手たち。左は笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、スパイクを放つ旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする旭川実・石崎(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、スパイクを放つ旭川実・大庭(撮影・鈴木みどり)
旭川実対下北沢成徳 第2セット、レシーブする旭川実・笠井(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】前年準V「泥んこ」誠英4強敗退も充実感「チームワーク高まった」エース上村日菜

就実対誠英 就実に敗れ決勝進出を逃し、うつむく誠英の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

前年準優勝の誠英(山口)は、2年ぶり頂点を目指す就実(岡山)に18-25、20-25、18-25のストレートで敗れた。

高さで劣るチームは「泥んこバレー」をキャッチフレーズに勝ち上がって来た。この日も相手の強打を何度も拾い、粘り強く戦った。エースとして奮闘した上村(かんむら)日菜(3年)は「去年の3年生は1人1人の技術が高かったけれど、自分たちはそうではない。だから1人で戦うのではなく、全員で戦うバレーを意識してやって来た」。

新チーム結成後は、なかなか思うような結果を残せなかった。しかし苦しい時期を経験したことで、個々の成長につながったと上村は強調する。「勝つためにはどうすればよいか。1人1人が考えることで、チームワークが高まった。そんな1年だった」と胸を張った。【奥岡幹浩】

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【春高バレー】就実が2年生スパイカー押川結衣らの活躍で2年ぶり決勝「最後はみんなで楽しむ」

就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ就実の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実3-0誠英>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

5度目の頂点を目指す就実(岡山)が、2年ぶりの決勝へ駒を進めた。「コロナ陽性」で棄権となった前回大会準優勝の誠英(山口)を3-0のストレートで退けた。

準々決勝の金蘭会戦で躍動した2年生エース福村心優美(こゆみ)だけに頼らない、多彩な攻撃で攻め立てた。高橋凪、押川結衣ら同じく2年生のスパイカー陣が奮起。第1セットから強気に打ち抜き、34年連続44度目の出場の同じ中国地方の名門校に、付け入る隙を与えなかった。

3連覇を狙った前回大会は出場がかなわず、この試合で初めてセンターコートに立った押川は「テレビで見てきた舞台。入った瞬間は緊張よりもワクワクが強かった」と楽しんだ。得意のバックアタック4本を含む20得点で、60%を超えるアタック決定率を記録。「ここ(準決勝)まできたら、ただ打つだけでは決まらない。コースを狙ったり、パワーを生かして思いっきり打つことを意識した」と振り返った。

8日の決勝は、旭川実(北海道)-下北沢成徳(東京)の勝者と対戦する。同じく2年生を中心とする下北沢成徳には、今季のインターハイ(全国高校総体)準々決勝でストレート負けを喫している。「悔しさをぶつけたい。今までやってきたことを信じて、最後はみんなで思いっきり楽しみたい」。今季の集大成を、満開の笑顔で飾る決意だ。【勝部晃多】

就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ就実の選手たち(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 誠英に勝利し決勝進出を決め、ガッツポーズする就実・福村(左)(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、スパイクを放つ就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ボールに食らい付く就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、打ち返す就実・福村(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ポイントを奪い喜ぶ就実・福村(右奥)(撮影・鈴木みどり)
就実対誠英 第2セット、ボールに食らい付く就実・井上(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】福井工大福井が昨年準V鎮西破り決勝進出 堤凰惺「井坂太郎に立ち向かいました」

福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

インターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が、男女通じて県勢初の決勝進出を決めた。準決勝で2年連続準優勝の名門、鎮西(熊本)と対戦。3-0のストレートで破り、初優勝へ王手をかけた。

昨年の準々決勝でフルセットで破れ、センターコート出場を阻まれたライバルに雪辱しても、キャプテン堤凰惺(おうせ、3年)の顔は引き締まっていた。「勝ったことは本当にうれしいんですけど、自分たちが目指しているところは日本一なので喜べない」。試合後はすぐに、初対戦となる強敵、駿台学園との決勝戦へ目線は向いていた。

前日6日、先輩たちが成し遂げられなかったベスト8の壁を越えた。この日、まだ見ぬ景色へメンバーに緊張はあったが、堤は「思い切りやって、自分に(ボールを)持ってくればいいよ」と鼓舞。主軸の声掛けに、チームメートが奮起した。

第1セット(S)は、2年生オポジット山本快が得点を量産すれば、第2Sは勝負どころで丸山英祐(3年)が2連続ブロックを決めて逆転に導いた。追いかける展開となった第3Sも森本泰地(2年)が、ブロックで流れを寸断。出場したメンバーがことごとく見せ場を作り、全員でストレート勝ちを引き寄せた。

今回は、絶対に負けたくない。エース堤は、その気持ちをボールに乗せた。昨年の準々決勝で苦杯をなめた、鎮西・井坂とのエース対決でリベンジを果たし、「去年(の準々決勝)は自分のミスで負けてしまった。負けたくないという気持ちで、井坂太郎に立ち向かいました」と拳を握った。

「凰惺」という名には「貴重な存在になってほしい」との想いが込められている。血液の持病を持ち、「子供は1人しか産めない」と言われていた母に名づけられた。幸いなことに「結局3人産んだんですけど(笑い)」という母は、この日も応援に駆けつけてくれた。名前通りの貴重な存在には? 「わからないですけど、それに近づいてきてるのかな?」と、白い歯を見せた。

初優勝へ-。唯一無二のエースが、県勢の夢をかなえる。【勝部晃多】

福井工大福井対鎮西 第2セットを取り、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・山本(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・能美(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第2セット、スパイクを放つ鎮西・井坂(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】昇陽は準決勝敗退、駿台学園に高校総体の雪辱できずも「大きく進化した」斉藤主将

駿台学園に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の昇陽の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園3-0昇陽>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

初の春高バレー4強進出を果たしたインターハイ3位の昇陽(大阪)が、準決勝で力尽きた。

前回大会覇者で昨夏の全国総体優勝との2冠を狙う駿台学園(東京)に、0-3のストレート負け。全国総体でも準決勝で敗れた相手に、リベンジを果たすことはできなかった。

全セットで序盤はサイドアウトの応酬となったが、中盤、終盤の勝負どころでの連続失点が響き、徐々に点差を広げられる展開となった。第1、第2セット(S)はアタック決定率が上がらなかったエース小山海皇(みこと、3年)が、第3Sに軟打を交えたアタックで得点を重ねて一時は2点リードしたものの、見せ場はここまでだった。

「サーブで崩されて的を絞らせてしまった」と斉藤拓海主将(3年)。それでも、昨夏からの成長を感じさせる内容だった。「攻撃面で通用するようになった。ブロックとレシーブの関係が大きく進化した」と、胸を張った。初めての春高バレーのセンターコートには「とても楽しかった。ここでバレーができたことはこれからのバレー人生がとても大きく動かされるし、心に残る」と、かみしめた。【勝部晃多】

駿台学園に敗れ決勝進出を逃し、浮かない表情の昇陽の選手たち(撮影・鈴木みどり)

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【春高バレー】福井工大福井、男女通じて県勢初の決勝進出 昨年準Vの鎮西をストレートで破る

福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:福井工大福井3-0鎮西>◇7日◇第4日◇準決勝◇東京体育館

男女通じて県勢初の優勝を目指すインターハイ(全国高校総体)3位の福井工大福井が、2年連続準優勝の名門、鎮西(熊本)を破り、決勝進出を果たした。

第1セット(S)。11-12のビハインドで、オポジット山本快が気を吐いた。アタックやブロックなど、一気の7連続得点で逆転に成功。2年生が流れを引き寄せると、エース堤凰惺主将(3年)がセットポイントからアタックを決め、25-19でセットカウントを先取した。

第2Sは、相手エース井坂太郎主将の鋭いスパイクに苦戦。追いかける展開が続いたが、最後まで集中力を切らさなかった。19-20の場面で、丸山英祐(3年)が2連続ブロックで逆転に成功。さらに長谷川翔大(3年)がサービスエースを決めて一気にリズムに乗ると、24-23で山本がブロックアウトを決めて連取した。

第3Sも立ち上がりから追いかける展開となったが、中盤にミドルブロッカー森本泰地(2年)の3本のブロックを含む6連続得点でひっくり返すと、完全に主導権を握った。最後はマッチポイントで1年生の能美偉時が井坂をブロックで仕留め、25-16でこのセットを取り、勝負を決めた。

出場した全選手が攻守にわたる活躍を見せ、完成度の高いバレーを披露した福井工大福井。県勢初の2強進出を決めた。決勝では、先に駒を進め、全国総体との2冠を狙う駿台学園と激突する。

福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 鎮西に勝利し決勝進出を決め、喜ぶ堤(右)ら福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第2セットを取り、喜ぶ福井工大福井の選手たち(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・堤(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・山本(撮影・鈴木みどり)
福井工大福井対鎮西 第1セット、スパイクを放つ福井工大福井・能美(撮影・鈴木みどり)

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東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートの肩に手を添える東北・坂本(撮影・相沢孔志)

<全日本高校バレー(春高バレー)>◇6日◇男女3回戦、準々決勝◇東京体育館

昨年全国高校総体8強の東北(宮城)が、準々決勝で昇陽(大阪1位)に0-2のストレート負け。坂本アンディ世凪主将(3年)が打点の高いスパイクでチームをけん引したが、勝利には届かなかった。前回大会優勝の古川学園(宮城)は3回戦で金蘭会(大阪1位)に1-2で敗れ、5大会連続8強入りを逃した。照井莉子主将(3年)が1年生主体のチームを引っ張り、新チームに日本一を託した。これで東北勢はすべて敗退した。

東北は3回戦で習志野(千葉)に逆転勝ちしたが、1日2試合の「鬼門」は突破できなかった。準々決勝は同総体4強の昇陽と激突し、第1セットは一時23-22とリードしたものの、そこから痛恨の3連続失点。同Sを奪取され、第2Sは要所でのサーブ失敗、サウスポーの小山海皇(みこと、3年)の切れのあるスパイクに苦しめられた。吉田康宏監督(53)は「要所で全部いいところを決めきられたことが敗因。一枚上手だった」と脱帽した。

前回大会は3回戦の鎮西(熊本)戦でフルセットにもつれ、26-25とマッチポイントと迎えたが、痛恨の連続失点で涙をのんだ。坂本を中心に再び東京体育館に戻り、昨年を超える1大会3勝を挙げた。試合後、涙を見せずに悔しげなチームメートに語りかけた主将は「自分が最後決めきれなかったことが一番。ここまで支えてくれたことにすごく感謝している」と前を向いた。

岩手から宮城の名門に進み、最終学年は主将を務めて人間的に成長した。02年以来となる悲願成就を後輩に託し、自身は大学でさらなる高みを目指す。「将来的には攻守ともに安定したプレーヤー。最後の1本やチームが必要な1点の時に取りきれる選手になりたい」。チームが苦しい時は得点を期待され、ボールが集まった。新天地でも高く跳び、打点の高いスパイクで坂本アンディ世凪の名をとどろかせる。【相沢孔志】

20年から4大会連続で準決勝進出を果たし、センターコートを経験した古川学園が3回戦で敗退した。第1セット(S)は昨年国体準V校に押され、磨いてきたレシーブ力が発揮できず、8点差で先取された。だが、照井は「もう1回、自分たちがやってきたことを信じて、出し切ろうという言葉を全員でかけ合った」。チームを鼓舞し、挑んだ第2Sは、17-16から5連続得点でリードを広げ、Sカウントをタイに。逆転勝利に望みをつなげた。

勝負の第3S。相手はVリーグ1部PFUに24年度の加入が内定した上村杏菜(3年)が本領を発揮。スパイクで得点を許し、苦しめられた女王は勝負どころで粘れず。岡崎典生監督(55)は「当たり前のことができなくなり、落ち着いてバレーができなくなった」。最後も上村の得点で勝敗は決まり、前チームの主力だった1学年先輩が観戦する中、連覇を阻まれた。

先発出場6人のうち、4人が1年生。全国大会の経験を積み、伸びしろや楽しみしかない新チームだ。妹南(1年)と戦う最後の大会が終わった姉は「この3年間で経験したことや岡崎先生に教えてもらったものを南に託し、南にこの東京体育館で輝いてほしい」と期待を寄せた。「(1年生は)目標をちゃんと持っている。来年は来年のいいチームをつくり、必ず帰ってきたい」と岡崎監督。涙や悔しさを糧に、全国屈指の名門が王座奪還に向かう。

昇陽に敗れ涙を流すチームメートに声をかける坂本(右)
東北対昇陽 第2S、サーブで狙いを定める東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 第2S、雄たけびを上げて得点を喜ぶ東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートに語りかける東北・坂本(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】4強入り逃すも浜松修学舎は初出場で3勝の快進撃 富士見は昨夏に続く8強進出

男子 浜松修学舎対西原 スパイクを決める浜松修学舎・関屋(撮影・横山健太)

バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)◇6日◇男女3回戦、準々決勝◇東京体育館

県勢2チームが準々決勝で力尽きた。4強入りを逃したが、両チームは過去最高のベスト8で大会を終えた。男子の浜松修学舎は3回戦で西原(沖縄)に2-1で辛勝。準々決勝では、2年連続準優勝の鎮西(熊本)に0-2。敗れはしたが、初出場で「全国3勝」の快進撃を見せた。女子の富士見は、3回戦で習志野(千葉)にストレート勝利を収め、昨夏全国総体に続く8強進出。準々決勝は、前回準Vの誠英(山口)に0-2で敗れた。

   ◇   ◇   ◇

浜松修学舎の快進撃が止まった。強豪・鎮西の前に第1セットから互角の展開を見せた。3回戦で20得点を挙げて勝利に貢献したエースOH扇谷暉琉(2年)や、勝負強さの光るOH赤堀悠人(1年)が得点を重ね、終盤まで点の取り合いが続いた。さらに3回戦に続き、ブロックとクイックで攻撃にアクセントを加えた188センチMB大塚奨(3年)も活躍。23-24まで追い詰めたが、第1セットを失った。

3回戦が終了し、短いインターバルで臨んだ準々決勝の第2セット。さすがに選手に疲れが見え始める中、セッター若杉宙(1年)は巧みにボールを散らし、同じ1年生のOP關屋幸馬も奮闘。最後まで粘りを見せたが16-25で終戦となった。

初出場ベスト8。新たな歴史を刻んだ技術集団は来年、1年生カルテットを中心に、再び春高の舞台でリベンジを果たす。

浜松修学舎・MB大塚奨(3年) 楽しむことは忘れず、3年間やってきたことを出し切った。1、2年生には感謝です。

浜松修学舎対西原 懸命にボールを拾う浜松修学舎・谷(撮影・横山健太)
浜松修学舎対西原 西原に勝利し歓喜する浜松修学舎の選手たち(撮影・横山健太)
浜松修学舎対鎮西 鎮西に敗れ肩を落とす浜松修学舎の選手たち(撮影・横山健太)
富士見対誠英 円陣を組む富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
富士見対誠英 準々決勝で敗退し、悔し涙を流す富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

【春高バレー】旭川実、92年以来31大会ぶり4強 U19代表エース笠井季璃がチームに勢い

旭川実対都市大塩尻 スパイクを決め雄たけびを上げる旭川実・笠井(撮影・横山健太)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:旭川実2-1都市大塩尻>◇準々決勝◇第3日◇6日◇東京体育館 

旭川実が2-1で都市大塩尻(長野)を下し、準優勝した1992年(平4)以来、31大会ぶりの4強進出を決めた。U19日本代表で、エースの笠井季璃(りり)主将(3年)が3回戦で37点、この日2試合目の準々決勝で29得点の計66点を挙げ、チームをけん引した。

グインと、たてに鋭く曲がり落ちるドライブサーブで、笠井がチームを勢い付けた。準々決勝第1セット7-4の場面から10本連続で相手コートに入れ、4本のサーブポイントを稼いだ。気が付けば17-4の大量リード。「目標」という日本代表男子の石川祐希(28=ミラノ)と同じ練習法で身につけた必殺技で、自身とチームの夢をつかんだ。「1年生の時から春高のセンターコート(準決勝)は、私にとって特別な場所です」と、にこやかな表情で言った。

2試合とも第2セットを落としたが、動じなかった。流れが相手に行きかけると鋭角なクロスで逆サイドギリギリにボールを打ち込んだ。ミスをして表情を硬くする後輩には「えがお、えがおー」と声をかけ続けた。谷川星奈(2年)は「苦しい時、必ずなんとかしてくれる頼もしい先輩」と、大エースを持ち上げた。

7日の準決勝は、高校総体、国体を制し、今大会で3冠を狙う下北沢成徳(東京)が相手になる。180センチ台の身長の選手が3人もいるが、一昨年はU18アジア選手権、昨年はU19世界選手権で、世界と渡り合ってきた経験がものを言う。「ここまで来たら楽しんだもの勝ち。壁をぶち抜かないと上にはいけない」と笠井。1年間言い続けた「日本一」まで、駆け上る。【中島洋尚】

大阪国際滝井・国際対旭川実 得点を奪い笑顔を見せる旭川実・笠井(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
大阪国際滝井・国際対旭川実 試合に勝利し歓喜する旭川実の選手たち(撮影・横山健太)
旭川実対都市大塩尻 都市大塩尻に勝利し歓喜する笠井(手前)ら旭川実の選手たち(撮影・横山健太)

【春高バレー】富士見は8強で力尽きる…甲斐監督「自分も感動するような最高の試合だった」

富士見対誠英 準々決勝で敗退し、悔し涙を流す富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<全日本バレーボール高校選手権:誠英0-2富士見>◇6日◇準々決勝◇東京体育館

県勢2チームが準々決勝で力尽きた。4強入りを逃したが、両チームは過去最高のベスト8で大会を終えた。女子の富士見は、3回戦で習志野(千葉)にストレート勝利を収め、昨夏全国総体に続く8強進出。準々決勝は、前回準Vの誠英(山口)に0-2で敗れた。男子の浜松修学舎は3回戦で西原(沖縄)に2-1で辛勝。準々決勝では、2年連続準優勝の鎮西(熊本)に0-2。敗れはしたが、初出場で「全国3勝」の快進撃を見せた。

  ◇  ◇  ◇

初のセンターコートには1歩及ばなかった。前回準Vチームを相手に、最後まで互角の戦いを見せたが、0-2で敗退した。

第1セットを落とした富士見は、第2セットで反撃に出た。17-18の場面からOH八田舞花(3年)が4得点を挙げると、今度は20-21の場面で福元さやか(1年)が4得点。ここまで活躍した2人が、最後までチームをけん引した。24-24の勝負どころで、2失点を許し万事休す。最後まで諦めないバレーを見せて、東京体育館を沸かせた。

前回大会はコロナ禍で大会直前に出場を辞退。先輩から託された思いを背負った選手が、見事に期待に応えた。平均身長170センチのチームは、全員が攻めのサーブを駆使し、全国総体に続くベスト8。スタメンに1年生4人を擁する若いチームが来年、雪辱を果たして新たな歴史を刻む。

富士見・甲斐健吾監督 選手は1番いい試合をしてくれ、自分も感動するような最高の試合だった。負けたことは悔しいが相手が1枚上。しかし、この子たちが、ここまでやってくれるとは思わなかった。

富士見対誠英 円陣を組む富士見の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】2連覇狙う駿台学園が4強進出、3回戦では国体覇者の高川学園に逆転勝利

駿台学園対川崎橘 準決勝進出を決めタッチをかわす駿台学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:駿台学園2-0川崎橘>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

前年覇者で今季インターハイ(全国高校総体)優勝の駿台学園(東京)が4強入りを決めた。

午前の3回戦で国体優勝の高川学園(山口)に2-1で逆転勝ち。優勝候補同士の一戦を制して勢いづくと、午後の準々決勝では川崎橘(神奈川)をストレートで下した。

ヤマ場を1つ乗り越えた。昨秋の国体で敗れた高川学園にリベンジ。駿台学園の梅川大介監督は、「高川学園との試合をモチベーションとして、この数カ月をやってきた。4強入りしたことよりも、(3回戦で)高川学園に勝てたことに、彼らは喜びを感じているのでは」と選手たちの思いを代弁した。

強豪が激突した注目カード。約1カ月前の抽選会で、順当なら3回戦で高川学園と顔を合わせることが決まったあと、選手たちは「完全ネガティブだった」と梅川監督は振り返る。組み合わせをどう感じているか、「良い」「普通」「悪い」の3段階で選手に尋ねたところ、8割が「悪い」に手を挙げた。しかし指揮官の見立ては異なった。高川学園は初戦から気の抜けない相手との対戦が続く。会場の東京体育館は自分たちにとって練習でも利用する“ホームコート”でもある。「自分たちのほうがアドバンテージがある。そんなことを伝えて、少しずつポジティブに変えながらやっていった」。

指揮官の言葉を胸に、選手たちは自信を持ってプレー。第1セット(S)を21-25で失っても、慌てることはなかった。ローテーションを大胆に変更しながらリズムを取り戻し、第2Sを25-19でタイに戻すと、最終3Sはさらに勢いづいて25-17で勝利をつかんだ。

鹿児島国体では現地入り後に発熱した影響で出場機会が限られていた川野琢磨(2年)が、その鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように躍動。196センチの長身を生かし、攻守で存在感を示した。「セッターが1対1の状況をつくってくれたので、ブロックを見て打ち切るだけだった。役割をしっかり果たせた」。インターハイとの2冠へ、そして大会連覇へ。このまま一気に駆け抜ける。【奥岡幹浩】

駿台学園対高川学園 試合に敗れた高川学園・門田(後方)は駿台学園・亀岡と抱き合う(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 サーブを放つ駿台学園・秋本(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 サーブを放つ駿台学園・秋本(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 準決勝進出を決め喜ぶ駿台学園の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
駿台学園対川崎橘 スパイクを放つ駿台学園・荒井(撮影・滝沢徹郎)

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【春高バレー】東北が昇陽にストレート負け 坂本アンディ世凪「3年間は決して無駄にならない」

昇陽に敗れ涙を流すチームメートに声をかける坂本(右)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)男子:昇陽2-0東北>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

昨年全国高校総体8強の東北(宮城)が、同4強の昇陽(大阪1位)にストレート負けした。これで東北勢は男女ともにすべて敗退した。

第1セット(S)は23-22から3連続失点で先取されると、第2Sは接戦でのサーブ失敗が響き、相手サウスポーの小山海皇(みこと、3年)の切れのあるスパイクに苦しめられた。先にマッチポイントとされ、身長193センチの坂本アンディ世凪(せな)主将(3年)がスパイクを打つもブロックされた。

試合後、涙を見せる選手や肩を落とす選手に語りかけた坂本は「チームに対して、最後決めきれなかった部分で申し訳ない気持ちになった。ここまで支えてくれたことに関してすごく感謝している」と振り返った。

岩手・雫石中から宮城の東北へ。02年以来の優勝には届かなかったが、大きく成長した。「きつい時もあったが、みんなで支え合ってきた。この3年間は決して無駄にはならない。今の3年生は上のカテゴリーでプレーする選手も多いので、この悔しさをバネにやっていきたい」と前を向いた。

東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートに語りかける東北・坂本(撮影・相沢孔志)
スパイクを放つ坂本
東北対昇陽 昇陽に敗れ、チームメートの肩に手を添える東北・坂本(撮影・相沢孔志)
東北対昇陽 第2S、雄たけびを上げて得点を喜ぶ東北・坂本(撮影・相沢孔志)

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【春高バレー】“コロナ棄権”で3連覇逃した就実4強 エース福村心優美「強い就実証明したい」

金蘭会対就実 準決勝進出を決め喜ぶ就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)

<バレーボール全日本高校選手権(春高バレー)女子:就実2-0金蘭会>◇6日◇第3日◇準々決勝◇東京体育館

2年ぶりの頂点を目指す就実(岡山)が、5年ぶり4度目の優勝を狙う大阪の名門、金蘭会を2-0のストレートで破り、準々決勝を突破した。

3連覇を目指した前回大会は、直前の「コロナ陽性」で棄権。昨年出場を果たせなかった先輩たちが応援席で見守る前で、センターコート進出を果たす万感の勝利を届けた。

試合を決めたのは2年生エース、福村心優美(こゆみ)の一撃だった。セットカウントを先取して迎えた第2セット。4連続失点を喫し、14-16と追いすがられた場面で、ギアを入れ直した。3枚ブロックの徹底マークを受けながらも「負ける気はしなかった」と右腕を振り抜く。強烈なアタックを決めて流れを引き戻すと、マッチポイントでもエンドラインぎりぎりに打ち抜いた。自身初の春高。センターコートへの切符をつかみ取り、「決めべき場面で決めきれて良かった」とうなずいた。

「マークの中でも打ち抜くのが就実のエース」。大会前、西畑美希監督から幾度となく説かれてきた。その信条を、大一番となった難敵との戦いで体現。現役時代、Vリーグユニチカなどで活躍した監督が「びっくりした。どんだけ打てるんだ」と驚く、満点のできだった。

それでも、慢心はまるでない。成長を続ける主軸は、まだ「70点」と評した。「苦しい時に自分が決められなかった場面がある。そこで決め切れたら」と力を込めた。昨年、大会直前の棄権で悔し涙を飲んだ岡山王者。福村は、先輩たちの思いも背負う。「就実は強いんだというところをもう1度いろんな人へに証明したい」。勝負と語る準決勝へ、迷い無く腕を振る。

金蘭会対就実 円陣を組む就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 ポイントを奪い喜ぶ就実の選手たち(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 トスを上げる就実・河本(撮影・滝沢徹郎)
金蘭会対就実 スパイクを放つ就実・福村(撮影・滝沢徹郎)

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