本気の“二刀流”だ。JBCスプリントの覇者ニシケンモノノフ(牡7、庄野)が28日京都のシルクロードS(G3、芝1200メートル)で3歳2月以来4年ぶりの芝レースに再挑戦する。芝とダートの双方で重賞を制したメイショウボーラーの産駒。横山典弘騎手(49)をはじめ、陣営も適性を見込んでおり、好走すれば高松宮記念(G1、芝1200メートル、3月25日=中京)への参戦も浮上しそうだ。

 はち切れそうなほどに隆起した肩とトモの筋肉には、7歳にして未知の可能性が詰まっている。統一ダートG1馬ニシケンモノノフが4年ぶりに芝へ出陣する。雨が雪へと変わった22日は厩舎内で静養。レース当日も馬場が渋るようなら、地の利も得られそうだ。

 転戦の決め手は名手の助言だった。担当の大野助手は「走りは芝に向いてそう。ダートでも(時計の速い)道悪の方が成績がいいし、3歳時に芝で上がり34秒0(クロッカスS7着=当時は領家厩舎在籍)を使っている。何よりもノリさんの進言なので」と明かす。16年12月から主戦を務める横山典騎手の勧めに加え、庄野師も「いつか芝に使ってみたかった」とかねてからプランを温めていた。

 1200メートルは地方在籍時も含めて全12勝中6勝のベスト距離。この時期にダートで適鞍がないこともあり、芝再挑戦に踏み切った。すでにドバイゴールデンシャヒーン(G1、ダート1200メートル、3月31日=メイダン)にも登録を済ませているが、今回の結果次第では高松宮記念へ参戦する可能性も出てくる。

 4年前に比べ、格段の成長と立身出世を果たした。大野助手は「どんどん良くなってる。見た目にも筋肉が増えた。以前よりうるさいし、引っ掛かるし、元気いっぱい。大変ですよ」と目を細める。芝では過去3戦で10、8、7着と結果が出ていないが、当時から体重も20キロ近く増えた。今はすべてが違う。

 “二刀流”の下地は十分にある。父メイショウボーラーはダートで05年フェブラリーSを勝ち、芝でも03年朝日杯FSと06年スプリンターズSで2着。その血統も魅力だ。誕生日は東日本大震災当日の11年3月11日。数奇な運命のもとに生まれた武士(もののふ)が、もう1本の刀で歴史に名を刻む。【太田尚樹】

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