メイショウマンボなどでG1・6勝の武幸四郎騎手(38)が26日、阪神12Rメイショウオオカゼの9着を最後に、20年の騎手生活にピリオドを打った。この日の6鞍でJRA通算693勝の上積みはかなわなかったが、最終レース後の引退式は約2500人ものファンに見守られた。「これだけたくさんのファンや関係者が残ってくださって、最高の形で騎手人生を終えられました」。涙はなかった。
兄の武豊騎手、松本好雄オーナーから花束を受け取り、騎手仲間による胴上げで宙を舞った。「最後にたくさん馬を用意してもらって、引退式もしてもらえて幸せです」。昨年亡くなった父・武邦彦氏の遺影を手にすると「いてくれたら一番良かったとは思いますけどね・・・」と語った。
177センチと高身長での騎手生活は苦労もあった。重量49キロの馬に乗った時には「体重が落ちなければ、血を抜こうかとも考えた」と話したこともある。そんな苦労を乗り越え、3月からは調教師に転身する。「これまでたくさんの馬に教えられたことを、これから出会う馬に生かしていきたい。ファンの多い馬を出走させられたら」と最後まで笑顔だった。【平本果那】
◆武幸四郎(たけ・こうしろう)1978年(昭53)11月3日、滋賀県生まれ。97年3月1日に騎手デビュー。翌2日のマイラーズC(オースミタイクーン)で初勝利。00年秋華賞(ティコティコタック)でG1初制覇。JRA通算9121戦693勝。重賞28勝、G1・6勝。