<ベルモントS>◇11日=ベルモントパーク(米国)◇G1◇ダート2400メートル◇3歳◇出走13頭

 日本調教馬として初めて出走したラニ(牡3、松永幹)は3着に大健闘した。直線は外から豪脚を発揮し、日本馬として初めて“皆勤”した米3冠の中で、最も見せ場のあるレースだった。1着は前走ケンタッキーダービー13着から巻き返したクリエイター。プリークネスS勝利に続く2冠を狙ったエグザジャレイターは11着に沈んだ。

 “ゴジラ”がアメリカに大きな足跡を刻んだ。米3冠最終戦ベルモントSに挑んだラニは3着に健闘。日本馬の意地を見せた。

 道中はいつも通り後方のポジションだったが、向正面では中団まで進出。直線に入ると、全馬を差し切るかの勢いで外から追い上げた。前の2頭には届かなかったものの、鼻+1馬身半差の3着に大健闘。現地での前評判は決して高くなかったが、全米を驚かせた。武豊騎手は「いいレースでした。直線を向いて勝利を意識する瞬間があったほどで、悔しい気持ちも感じています」とコメントした。

 勝利こそつかめなかったが、ケンタッキーダービー9着、プリークネスS5着、そして今回3着と一戦ごとに着順を上げた。鞍上は「アメリカのタフな3冠レースすべてに参加し、しかも進歩しながら3冠を盛り上げたラニは素晴らしいと思います」と愛馬をたたえた。調教中でも人馬にほえる激しい気性のため、現地のマスコミから“ゴジラ”と称されたが、その愛称に負けず劣らずの、存在感たっぷりの内容だった。

 米3冠皆勤は日本馬では初めて。新たな歴史を作り松永幹師も胸を張る。「ラニの競馬はできましたが、もう1歩でしたね。十分に世界で戦える力を見せてくれたので、また海外のレースにチャレンジしてみたいです」と目標も掲げた。

 ラニはこの後、帰国の予定だが、武豊騎手はエイシンヒカリが滞在する欧州へ移動。プリンスオブウェールズS(英G1、芝2000メートル、15日=アスコット)で海外G13連勝を目指す。今度はイギリスの地で、日本馬の強さを見せつける。

 ◆過酷な3連戦 ケンタッキーダービーから1カ月強の間に3つのレースが行われる米3冠。すべてに出走するには相当のタフさが要求される。昨年のフル出走馬は、37年ぶりの3冠馬アメリカンファラオのみ。過去5年を振り返っても最大で3頭という少なさで、今年もラニと、プリークネスSの覇者エグザジャレイターの2頭だけだった。

 ◆ベルモントS ニューヨーク郊外で行われる米3冠競走の最終戦。創設は1867年。ダート2400メートル戦で最大着差&レコードは73年セクレタリアトの31馬身差&2分24秒0。92年に日本人馬主の鶴巻智徳氏がエーピーインディで制している。

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