<ジャパンC>◇29日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走18頭

 今年も牝馬だ! 4番人気のショウナンパンドラ(牝4、高野)がゴール寸前で差し切り、大激戦を制した。勝ちタイムは2分24秒7。天皇賞・秋の悔しい4着敗戦を糧に、池添謙一騎手(36)高野友和師(39)が執念で勝利をつかみ取った。2着に7番人気のラストインパクトが入り、1番人気のラブリーデイは3着に敗れた。外国馬はイラプトの6着が最高着順だった。

 赤白の勝負服とゼッケン15番の人馬、池添とショウナンパンドラが最後の直線で密集した馬群から抜け出してきた。「かわしてくれ、かわしてくれ」。前を走るラブリーデイを外からねじ伏せ、最後はディープインパクト産駒同士のゴール前。最内を突いたラストインパクトと首差の決着を制し、4歳牝馬が世界一のゴールに先頭で飛び込んだ。「直線はすごい狭かったし、ぶつけられるシーンもあったけど、一生懸命走ってくれました」と池添。高野師は「どんなレースでも冷静に見ていられる人間なんですが、残り200メートルからはもう無理でした。最後も勝った感触はあったけど、手も足も震えて・・・」と興奮のゴール前を振り返った。

 会心の勝利だった。カレンミロティックが先手を主張。1コーナーでは中団の外を走っていたが、向正面から最後までラブリーデイの背後を譲らなかった。4着に敗れた天皇賞・秋と同じ15番枠に、鞍上には覚悟があった。「前回は言い訳になるけれど、外枠でいいポジションがとれなかった。コースも距離も違うけど、競馬の神様に試されているんだなと思った。絶対にミスしたくなかった。今日の(馬場の)傾向なら内。外を回すことを考えないでロスなく乗ろうと思った」。3コーナーすぎでゴールドシップが外を上昇すると、府中が歓声で揺れた。ごちゃついた直線入り口はミッキークイーンとの攻防もクリア。「パッと白い馬体が動いていくのが見えた。せわしくなったけど、ひるまなかったです」。442キロで小柄なパンドラと池添。人馬一体の競馬だった。

 陣営の執念が実った。牝馬相手のエリザベス女王杯ではなく、牡馬相手に王道路線を走った。「父から受け継いだ股関節、肩関節の柔軟性が長所。日本にこの馬より可動域の広い馬はいない」と高野師。厩舎前に景子夫人が植えたバラの名前と同じ「栄光」をつかんだ。今後については白紙を強調したが、「男馬に勝たせたいと思っていた。勲章を挙げられて良かった」とホッとした表情を見せた。

 「次に乗る日を楽しみにしたい」と池添。発走前にラグビー日本代表・五郎丸歩の来場で盛り上がった第35回の世界決戦、4歳牝馬ショウナンパンドラのステップが10万超のファンを、世界のファンを魅了した。【木南友輔】

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