<ダービー:追い切り>
本当の切れ味は本番までとっておく。ウッドで2頭の間から抜け出したサトノクラウン(牡、堀)は28日、省エネ調教で本番に備えた。
外ステラスターライト(3歳500万)を1馬身抜き去り、内で食い下がるスプリングアース(3歳未勝利)を半馬身突き放すと、最後は無理せず流して4ハロン54秒6-12秒5(馬なり)をマークした。ルメール騎手は「ハードにやらず状態確認の意味が強かった。コンディションは完璧」と笑った。
残り1ハロンを切ってから瞬時にパートナーを2馬身抜き去り、ゴール板を過ぎてさらに差を広げた皐月賞前の追い切りと比べると、派手さはない。だが、これが巻き返しへの布石だ。堀師は「前走は少しやりすぎてしまったという反省があった。装鞍(そうあん)所に入ってきた時に平常心を欠いたような状態。調子を落としてしまったのが一番の敗因」と振り返る。4角手前の不利以前に、出負けしたり行きっぷりが悪かったのは、状態面が大きいと分析する。
この中間は調子回復に主眼を置いた。放牧に出さず、厩舎でじっくり調整。馬体は弥生賞前とほぼ同じくらいまで増えた。「先週末ぐらいからグンと良くなってきた。今回はトップスピードに入れさせず、競馬まで取っておきましょうということでソフトな追い切りにしました」。改善点をすぐに修正し、立て直すのがトップステーブルの手腕。強いクラウンが帰ってきた。「レースぶりから2400メートルはこなせる。決め手がセールスポイント。切れ味を生かせれば、いい結果が出るのでは」。ドゥラメンテの最大の強敵は身内のこの馬かもしれない。【高木一成】