<フローラS>◇26日=東京◇G2◇芝2000メートル◇3歳牝◇出走17頭◇3着までオークス優先出走権

 2番手追走から早めに抜け出したシングウィズジョイ(友道)が、しぶとく粘り込み重賞初Vを飾った。勝ちタイムは2分1秒8。内田博幸騎手(44)はこのレース4勝目。ゴール前で際どく迫った2着ディアマイダーリン(菊沢)、3着マキシマムドパリ(松元)までが、オークス(G1、芝2400メートル、5月24日=東京)の優先出走権を手に入れた。

 オークス切符請負人がきっちり仕事を果たした。道中2番手につけた内田騎手は直線半ばで左右を確認。仕掛けどころをじっくり待ちながら、残り1ハロンでシングウィズジョイを先頭に立たせた。内、外からライバルが迫ったが、手応えは十分。計算通りに首+首差の接戦をしのぎ切った。「切れ味のある馬なら抜け出すのが早かったかもしれないけど、前走も早めの競馬で押し切っている。脚を使い切らないよう意識しながら仕掛けました」。馬の特性をつかんだ会心の騎乗。自身4勝目となるフローラS勝ちに笑みがはじけた。

 不思議な縁がある。同馬を担当する田代一也助手は、母シングライクバードを担当した田代数秋厩務員の息子。「お母さん馬は、走る馬だからと父がずいぶん手をかけていた印象ですね。僕が子供を担当するとなっても特にアドバイスはないですが、この馬の競馬は気にして見てくれてるみたい」と照れ笑いを浮かべた。母は08年のフローラSで5着に敗れてオークス出走権を逃したが、その時の1着馬レッドアゲートに乗っていたのが内田騎手。母の出世を阻んだ相手が、今度は最高の味方となった。

 「デビュー時から桜花賞よりオークスと思っていた」と友道師が言えば、内田騎手も「自分から競馬をつくっていける馬。距離が延びてもやれる」と本番への手応えを隠さない。父から息子へ、母から娘へ。さまざまな思いを背負い桜花賞組逆転に挑む。【高木一成】

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