<天皇賞・秋>◇27日=東京◇G1◇芝2000メートル◇3歳上◇出走16頭

最強牝馬の独り舞台だ。1番人気アーモンドアイ(牝4、国枝)が内ラチ沿いから抜け出し、G1・6勝目(うち海外1勝)を飾った。

G1馬10頭がそろった令和初の天皇賞を、レコードに0秒1差に迫る1分56秒2で圧勝。クリストフ・ルメール騎手(40)は天皇賞3連勝を飾った。牝馬の優勝は10年ブエナビスタ以来で15頭目。今後は香港C(G1、芝2000メートル、12月8日=シャティン)か、ジャパンC(G1、芝2400メートル、11月24日=東京)の連覇を目指す。

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不動心のルメール騎手も驚いた。内ラチ沿いにぽっかり空いた1頭分のスペースに、アーモンドアイと突っ込んだ。残り400メートル。残りゴールまでの道筋が見える。水玉模様の勝負服が最内から抜け出すと、10万大観衆がさらに沸いた。残り100メートル。鞍上は1度だけ後ろを振り返った。もう、独走だった。ゴールを迎える前に右手が挙がる。国内敵なしを自らの走りで再び証明した。

ルメール騎手 手綱を押したときはビュッと速い脚を使ってくれました。僕も彼女の上でびっくりしました。今日はあらためてポテンシャルを見せられた。特別な馬です。安心しました。素晴らしかったです。

アーモンドアイは世界最強-。凱旋門賞を断念しても、安田記念で3着に敗れても、信じる気持ちは変わらなかった。「エネイブルとは走っていないから分からないけど、世界でもトップの馬。今日もG1馬10頭がいて、ワンサイド(ゲーム)でしたから」。2角入り口でサートゥルナーリアに寄られても、ごく自然に位置を下げるだけ。「僕ももう40歳で経験もありますからね」。馬への信頼を自信に変えた。昨年の牝馬3冠達成時に「日本一」と称した馬は、1年の時をへて胸を張って世界一と言えるまでになった。

中146日で国内外G1・6勝目。国枝師は「私が驚いています。おっかないというか、すごいな、と。余計なことは全くしない。メンタルがすごい。常に我々の上をいってくる。まだ、この上があるような気もする」と話した。これまでレース後に見せていた熱中症のような症状はかろうじて出さなかったが、念には念を入れて口取り撮影は不参加。勝者の凱旋(がいせん)はなくても、鮮烈な勝ちっぷりは場内にさわやかな余韻を残した。

次は世界か、連覇か。今後は登録のある香港カップ、またはジャパンCの連覇を目指すことになる。昨秋のレイデオロから天皇賞3連勝のルメール騎手は「令和最初の天皇賞を勝つことができてすごくうれしいです。今回は休み明けなので、次は良くなると思います」と上積みを見込む。女王の強さは天井知らず。どこに行っても、最強の座を欲しいままにする。【松田直樹】

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