<札幌記念>◇19日=札幌◇G2◇芝2000メートル◇3歳上◇出走16頭

 新星誕生だ。短距離から転戦したサングレーザー(牡4、浅見)がG1馬3頭を撃破して「スーパーG2」を制した。福永祐一騎手(41)が腹をくくった好騎乗で殊勲に導いた。次走は未定だが、距離延長を克服して念願のG1制覇へ選択肢が広がった。

 耐えて、待った。4コーナーから四方八方をライバルに囲まれ、馬群で動けない。直線を向いてゴールは迫るばかり。サングレーザーと福永が窮地に陥った。それでも焦らない。「慌てたらロスがある。我慢して突破口を見つけようと」。手綱をしごけないまま迎えた残り150メートル付近。前方2頭の間にやっと1頭分のスペースを見いだした。

 今だ。左ムチを振るうと、流星のような勢いでインを突き抜けた。マカヒキを鼻差でかわしての殊勲星。検量室前へ引き揚げてきてようやく勝利を知ると、白い手袋の右手をグッと握りしめて会心の笑みだ。「際どかった。出たなりで行って、距離がもたなかったらもたなかったで(仕方ない)という競馬。ひるまずに突っ込んでくれた。雰囲気も良かった。オーラが出てきた」と相棒をたたえた。

 ブレない心が光る。悲願をかなえた今春のダービーでは腹をくくって先行策を敢行。今回は厩舎側と話し合い「挑戦するいい機会」と2000メートルへの距離延長をオーナーサイドへ進言した。そしてレースでの覚悟ある騎乗。強い意志と勇気が好結果を生んでいる。

 サングレーザーにとって大きな1勝だ。G1馬3頭を破ってG2・3勝目。G1レーシングの吉田正志代表は次走を未定とした上で「がむしゃらな面があったけどリラックスして走れていた。視野が広がった。G1を目指したい」と野望を語った。中距離か、マイルか、はたまた二刀流か。充実の人馬なら、どこでも主役を張れる。【太田尚樹】

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