<オジュウの挑戦(1)>

 2年連続最優秀障害馬のオジュウチョウサン(牡7、和田正)が7日福島の開成山特別(500万、芝2600メートル)に出走する。平地競走参戦は約4年8カ月ぶり。J・G1・5連勝を含む重賞9連勝、障害最多獲得賞金など数々の記録を作った最強馬がなぜ平地転向に踏み切ったのか。連載「オジュウの挑戦」で4回にわたって取り上げる。第1回は、長山尚義オーナー(73)に真意を聞いた。

 -単刀直入に聞きたい。平地挑戦の真意とは?

 オーナー 中山グランドジャンプのあのレコード・・・、3秒以上も更新したレコードを見て、「もしかしたら平地でもすごい馬、歴史的な名馬なのかもしれない」、そう思いました。もし走らせずにオジュウの可能性を終わらせてしまったとしたら申し訳ないと思ったんです。それが平地挑戦の理由です。

 -夏の福島で開成山特別を選んだ理由、そして、武豊騎手起用の理由とは?

 オーナー これだけ障害で結果を出した馬、ファンの多い馬を平地に挑戦させるんですから、目標はG1しかありません。最初は「宝塚記念に出られないかな」と思って調べてみたんだけど、未勝利馬は出られなかった。まずは1勝しなくては。目標も有馬記念になりました。

 障害では石神騎手が付きっきりで育ててくれた。ただ、今回はオジュウが平地で本当に日本一になれるのか、世界で戦えるような馬なのか、それを武豊騎手に教えてもらいたいんです。

 -個人ではなく、一口クラブではオルフェーヴル、ジェンティルドンナなど数々の名馬に出資してきた

 オーナー そういう馬たちと同じで、オジュウには「もしかしたら」という可能性を感じるんです。オルフェーヴルの凱旋門賞は2回とも現地で観戦しました。悔しかったですよ。武豊騎手には「来年のドバイや凱旋門賞に行きたい」と伝えました。当初は7日以外にも平場の500万条件で候補があって、打診したんですが、彼からは「特別競走にしましょう。オーナー、世界を目指すんですから」と力強い返事をいただいたんです。

 -武豊騎手と縁がある

 オーナー 個人馬主で初めて勝利を挙げたとき、一緒に口取り写真を撮ったのが彼でした。ウイナーズサークルで「また乗せてください」って言ってくれた言葉を今でもよく覚えています。彼が乗ってくれるのはうれしい。

 -障害馬として初めてヒーロー列伝ポスターになり、グランプリのファン投票でも多くの票を集める。多くのファンも期待している。競馬場ではオジュウグッズを持つ人がたくさん。JRA賞の表彰式でオーナーが語った「競馬界のアイドル」になろうとしている

 オーナー あの勝負服は馬主資格を取ったときにデザイナーに頼んだもの。こだわりがありますし、ファンの人が持っているのを見るとうれしい。業者の方には多くのファンに手にしてもらえるように、なるべく安く作ってください、とお願いしました。オジュウがどれだけの走りをしてくれるのか私も期待しています。競馬は夢とロマンを持つことが大事だと思いますからね。【取材=木南友輔】

 ◆長山尚義(ながやま・なおよし)1945年(昭20)5月25日、東京都生まれ。事務機器の販売やオフィスの総合管理を手掛ける株式会社エース事務機で代表取締役会長を務める。個人馬主資格取得は85年。家族は妻と2男1女。これまでに個人所有馬(チョウサン、ケイアイチョウサンなど)で34勝、クラブ出資馬(サッカーボーイ、バブルガムフェロー、ダンスインザダーク、ステイゴールド、レーヴディソール、オルフェーヴル、ソウルスターリング、パフォーマプロミスなど)で275勝を挙げている。「オジュウ」の由来は「次男が自分のことを俺と言えず、オジュウと呼んでいた」ことから。

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