<函館スプリントS>◇17日=函館◇G3◇芝1200メートル◇3歳上◇出走16頭

 北の大地でG1馬が再び輝いた。3番人気セイウンコウセイ(牡5、上原)が逃げ切り、重賞2勝目を挙げた。勝ち時計は1分7秒6。昨年の高松宮記念優勝以来、1年2カ月ぶりの勝利で復活を遂げた。上原博之調教師(61)は同レース単独トップの3勝目。今後は9月30日中山のスプリンターズS(G1、芝1200メートル)参戦を視野に入れつつ、放牧で英気を養う。

 津軽海峡の浜風に乗って、セイウンコウセイが加速した。好発と同時に人馬が意地を見せる。唯一のG1馬とテン乗りの池添騎手が最内枠からハナに立った。

 「控える競馬も考えたけど、いいスタートを切ってくれたので自分の形でレースをしようと思った。(最後は)詰め寄られたけど、よく頑張ってくれました」

 競りかけるワンスインナムーンを強固な意志で退けると、ゴールまで勢いは止まらない。1年2カ月ぶりの勝利を鼻差でつかんだ。

 昨年の高松宮記念優勝馬。その次走、G1馬として初めて臨んだ1年前の函館SSでも実力を誇示するはずだった。が、直線失速の4着。前半3ハロン32秒2の激流にのみ込まれ、以降はスランプに陥った。

 前走・京王杯SC12着を含めて2桁着順は3回。こんなはずじゃない。この中間は1週前追い切りからチークピーシズを着用し、復活を信じた。「調教でも乗りやすかった。復活の手伝いができてよかった」と池添騎手。最大まで集中力を引き出し、雪辱を遂げた。

 今後は放牧に出て秋に備える。夏の短距離王よりも、欲しいのは2つ目のG1タイトルだ。上原師は「ほっとしています。去年は異常な高速馬場で人馬とも戸惑ったが(今年は)順当に勝てた。暑さに弱い馬なのでね。直行か、1回レースを挟んでから行くか。あくまで様子を見てですけど」とスプリンターズS参戦を目標に掲げた。完全復活を印象付けた逃走劇。短距離界の中心にいるべき“恒星”がようやく輝きを取り戻した。【松田直樹】

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