<ダービーで春2冠へ エポカ堂々(5)>

 老舗クラブ法人のユニオンオーナーズクラブが、所有馬エポカドーロで創立33年目にしてダービー初参戦を果たす。「競馬に携わる人間にとってダービーは夢ですから」と、同クラブ栗東担当の樅山(もみやま)英樹さん(45)はテンションを上げる。

 ユニオンオーナーズクラブは、馬産が盛んな北海道日高地方にある牧場の共同体により、86年に設立された。「生産者と会員の距離が近いクラブで、よく日高の牧場を訪れるツアーや生産者と会員の懇親会を開催しています」。創成期にはサンドピアリスが89年エリザベス女王杯を勝ち、近年ではサンビスタが15年チャンピオンズCを勝利と、所属馬にはG1で活躍した馬も多い。

 クラブ30期生のエポカドーロは新ひだか町・田上徹氏の生産馬で、募集価格4500万円、口数500口(1口9万円)で募集された。「オルフェーヴルの初年度産駒ということもあり注目していました」と樅山さんは振り返るが「母の父がフォーティナイナーで、パワフルな体をしていたからダート馬かと思っていました・・・」。皐月賞を制したのはうれしい誤算だった。

 皐月賞の数日前、厩舎地区を歩いていた樅山さんは車で通りかかった藤原英師に呼び止められた。「(クラブは)皐月賞を勝ったことがあるのか?」。「いえ、ないです」。「そうか」と言って立ち去ったトレーナーの笑顔から大きな手応えを感じたという。だが、馬券で大勝はできなかった。「私は中山にいましたが、9Rにクラブ所属のサブライムカイザーが走っていて、その取材をしなければならなかったし、もしエポカドーロが勝った時、口取りに参加される会員さんの引率もしなければならなかった。あまり馬券を買う暇はなかった。でも、勝ってくれたことが一番なんです」とさわやかに笑う。

 本年度の募集は6月18日に開始されるが、新種牡馬キズナを父に持つエポカドーロの妹(牝1、母ダイワパッション)や、サンビスタの初子(牝1、父ルーラーシップ)も募集される。「クラブで活躍した馬ゆかりの子を募集できるのはうれしいものです」。いずれエポカドーロも種牡馬となり、その子がラインアップされるだろう。こうしてクラブの歴史は深まっていく。【岡本光男】(おわり)

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