<追い斬り激論:オークス>
オークス(G1、芝2400メートル、20日=東京)の追い切りが16日、東西トレセンで行われた。美浦では桜花賞馬アーモンドアイ(国枝)が、併せ馬で併入した。その動きを山田、三上、木南の3記者が分析。2冠達成の可能性が高いと感じさせる絶好の動きを3人そろって絶賛した。その一方で山田はトーセンブレス(加藤征)、木南は抽選対象のゴージャスランチ(鹿戸)を気になる馬として挙げた。
山田 早速ですが、アーモンドはどうですか。
三上 なるべく食べるようにしているよ。ほら医師から悪玉コレステロールの値が高いと注意されてるからさ。アーモンドはそれを下げる効果があるらしいんだよ。
山田 そういう健康上の話、奥さんとしてください。アーモンドアイのことですよ、アーモンドアイ。
三上 素晴らしかった!
木南 マジですか。
三上 レッドローゼス(古馬1600万)を1馬身先行させたんだけれど、3角手前辺りでは差が3馬身くらいに広がっていたんだ。直線に入っても並ぶ気配がないし、前の馬を目標にする追い切りかと思ったら半ば過ぎから伸びて並んだところがゴール。ゴール後はさらに伸びていたよ。
木南 ゴール後に伸びても仕方ないでしょう。
三上 ルメール騎手によれば「少しゆっくり過ぎたので、ゴール後も伸ばした」とのこと。調教なんだから、意味はあるんだ。
山田 6ハロンで85秒0、しまいは無理させずに12秒0と時計も優秀。状態も良さそうですもんね。
三上 国枝師は「全く問題ないように思うし、気になるところがない」と。
木南 ならば、あと懸念するのは距離ですか。父ロードカナロアは短距離馬でしたから。
三上 父はそうだけれど、母はオークス2着のフサイチパンドラ。心配はないでしょう。国枝師は「アパパネのとき(※)も何とかなると思ったけれど、今回もそんな感じ」と。ルメールは「距離の心配はない。昨年(勝ったソウルスターリング)のときよりも自信がある」と言っていた。調教師、騎手ともにこのレースを勝っている。その比較は説得力があるよね。
山田 折り合いがしっかりつく馬だし距離は大丈夫そう。さすがに印は外せない感じですね。木南は他に気になった馬はいたか?
木南 抽選対象ですけれどゴージャスランチ。3歳未勝利との併せ馬でしたが、2馬身追走して2馬身先着と絶好でした。鹿戸師は「遅いペースで折り合いをつける調教。いろいろな競馬をやっているのが強み」。自在性が魅力です。
三上 山田の気になる馬は?
山田 トーセンブレスですね。単走でのびのびと走り、実にいい雰囲気。加藤征師は「この馬の母系の方を管理していたけれど、使い込むといらいらしたり、燃えてしまうところがある。それを落ち着けるようにしてきた」と。その成果が出てますね。
三上 アーモンドアイは末脚を確かめる、ゴージャスランチは遅いペースで折り合いをつける、トーセンブレスはリラックスさせる、とそれぞれしっかりとテーマがあって成功していた。どの馬もレースでは力が出せそうだ。
※10年の3冠牝馬アパパネの母ソルティビッドは、1000~1200メートルを中心に使われていた短距離馬だった。周囲には桜花賞からの距離延長を不安視する声があったが、能力の高さで克服(サンテミリオンと1着同着)した。