<ヴィクトリアマイル>◇13日=東京◇G1◇芝1600メートル◇4歳上牝◇出走18頭

 マイル界の新女王誕生だ。8番人気のジュールポレール(牝5、西園)が重賞初勝利をG1で飾った。鼻差で1番人気リスグラシューの猛追をしのいだ。幸英明騎手(42)はセイウンコウセイで制した昨年高松宮記念以来のG1・7勝目。がんで闘病中の父幸一さん(71)を勇気づける大きな金星となった。

 ラスト200メートル。先に抜け出したレッドアヴァンセをめがけてジュールポレールが加速した。幸騎手の右ムチがうなる。何とかゴール直前で捉えると、今度はすぐ右横に武豊騎手とリスグラシューの姿・・・。鼻面が合わさるような接戦に、鞍上同士も顔を見合わせた。

 武豊 どっちや?

 幸 分かりません・・・。

 写真判定にもつれた雨中の激闘は、約20センチだけ勝っていた。「何となく勝ってくれてるかなと思ったけど、もしかしたら外にかわされてるかもと思った。鼻差ですか。うれしいですね」。いつもの爽やかな笑顔で幸騎手がひと息ついた。

 馬のため、父のためにも、勝ちたかった。昨夏、父幸一さん(71)が病に倒れた。血液のがん、だった。一時は命も危なかった。小倉で騎乗する前後に、実家の鹿児島・鹿屋市へと戻って看病した。京都、阪神と開催が移った秋以降も、時間をつくって故郷へ帰った。通算1000勝を達成した13年7月には中京競馬場に来て祝ってくれた父に、元気になってもらいたい一心だった。

 懸命の看病もあり、幸一さんは一命を取り留めた。「危機は乗り越えて、今は状態が安定しています。自宅療養まで戻ってきました」と幸騎手。競馬もテレビ観戦できるようになった父には、大舞台での勝利が何よりの薬になることも分かっていた。「元気に応援してくれてるので。またG1を勝てて良かったです」と目を細めた。

 昨年3着の雪辱をしたジュールポレールにとっても、大きな勝利だ。収得賞金最下位で、2週前まで出走できるかどうか危なかった。他馬の出走状況を何度も確認した西園師は「福島牝馬Sを使うことも考えたからね。我慢して良かった。もう賞金の心配はいらないね」。半兄サダムパテックとつかんだ12年マイルCS以来のG1・4勝目は“下克上V”でもあった。

 脚部不安が解消して急成長した相棒を、鞍上は「これからも大きいところを取れる馬」と期待する。闘病中の父をまだまだ勇気づけるため、マイル界の新女王とともに勝利を重ねていく。【木村有三】

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