香港チャンピオンズデーを控えた20日、シャティン競馬場でバリアトライアル(以下BT)と呼ばれる実戦形式の調教が行われました。

 4鞍が組まれたBTの最初のレースには29日のクイーンエリザベス2世C(G1、芝2000メートル=以下QE2世C)と、チャンピオンズマイル(G1、芝1600メートル)に出走予定の馬を交えた13頭が参加。日本で馬券が発売されるQE2世Cにエントリーする地元の6頭からは、昨年の2着馬パキスタンスターと香港ダービー馬のピンハイスター。それにパキスタンスターと同じA・クルーズ厩舎のゴールドマウント、ピンハイスターと同じJ・サイズ厩舎のディノーゾの4頭が騎手を乗せて芝1600メートルで最終調整をしました。

 結果はチャンピオンズマイルへ出走予定のシーズンズブルームが、良馬場を1分35秒60で走り、先頭でゴールを通過。本番でもコンビを組むモレイラ騎手で後方から直線大外を追い上げたピンハイスターが首差で2位。競走をやめた前科のある癖馬で、調教再審査を兼ねていたパキスタンスターは、T・ベリー騎手(本番はデソウサ騎手)を背に先頭から1馬身1/4差の5位で入線して無事に審査をパス。ディノーゾは6位、ゴールドマウントは8位で調整を終えました。

 パキスタンスターは悪癖矯正後、8カ月のブランクを経て今年2月に復帰。3戦を消化していずれも4着と足踏みを続けていますが、BTでは普段のレースぶりとは正反対の単騎逃げ。直線半ばで馬群にのみ込まれながらも差し返す根性を見せました。ゴールを過ぎてからも再加速して馬群を抜き去るなど、好調時のやんちゃで負けず嫌いの面が戻ってきました。

 本番はパートン騎手が乗るタイムワープの単騎逃げでレースが運ぶことが予想されていますが、元気なパキスタンスターが、この予定調和をかき乱してくれるかもしれません。

【奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)

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