<大阪杯>◇1日=阪神◇G1◇芝2000メートル◇4歳上◇出走16頭

 新スター誕生だ。M・デムーロ騎手騎乗の1番人気スワーヴリチャード(牡4、庄野)がG1馬5頭の豪華メンバーを制し、G1初制覇を成し遂げた。勝ち時計は1分58秒2。感涙にむせんだ庄野靖志調教師(48)にとってはうれしい初タイトル。今後は宝塚記念(G1、芝2200メートル、6月24日=阪神)が次走候補。1~3着を独占した4歳世代を代表し、今後の中距離戦線をリードする。

 力でねじ伏せた。向正面で場内が沸いた。M・デムーロ騎手とスワーヴリチャードが中距離戦線制圧に動き出した。後方2番手から位置を上げ、3角では先頭をうかがう。手応えの差は歴然だった。残り200メートル。追いすがる他馬が鞍上の視界から消えた。「思った通りの競馬」。同じ4歳馬ペルシアンナイト、アルアインを従えての最先着。最強世代の超新星誕生だ。

 課題の右回りを克服をしての初タイトル。有馬記念4着の経験を生かし、策を巡らせた。M・デムーロ騎手は「有馬記念と同じ外枠。外々を回らされるのは嫌だった」と振り返る。直線で余力を無くしたグランプリは、手前を替えず、内にもたれた。ならば距離ロスをなくすために内に入ればいい。道中の緩流を見越して鮮やかに動いた。馬群を飲み込み、直線では手前変更も完了。「直線に入ったときにいい手応えだった。これで負けないと思った」。昨年G16勝の豪腕の手綱がさえ渡った。

 涙、涙のG1制覇だ。開業12年目の庄野師にとっても初のG1優勝。ゆがんだ視界の先には大きく、強くなった愛馬がいた。16年9月11日、同じ阪神2000メートルでデビューを迎えた愛馬は鼻差2着に敗れた。預託が決定した当歳時からG1を意識した馬。「おごりがあった」とレース直後にオーナーの胸で涙した。ダービー2着の悔し涙を経て、やっとつかんだ勲章。「ホッとしたと同時に、すごくうれしい。やっとですね。長かった」。3度目の涙はくしゃくしゃになった笑顔とともにあった。

 次はポスト・キタサンブラックを目指す。庄野師は「今年は飛躍の年にしたい。僕もキタサンブラックは好きな馬だった。昨年、大阪杯を勝って年度代表馬になったので、スワーヴもそれに追い付け追い越せで頑張りたい」とG1路線での活躍を誓った。満開の桜に見守られた仁川で、次世代の大器が完全に覚醒した。【松田直樹】

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