11年3月11日、午後2時46分。この日、19度目の誕生日を迎えた菅原隆一騎手(25)は、まさに午後の厩舎回りへ出かけようとしていた。東日本大震災の激しい横揺れとごう音を思い出し、「衝撃的でした」と声が震える。当時は売り出し中のデビュー2年目。自分にとっての記念日は、日本中で忘れられない日に変貌した。

 今でも記憶は鮮明だ。騎手独身寮の天井にはヒビが入り、その破片は頭上に降り注いだ。「必死でテレビを押さえました」。恐怖、混乱、不安。わけの分からないまま、揺れが収まるのを待った。SNSを通じた友人との連絡も途絶え、寮も停電した。その後の惨状は手回し式のラジオで知った。

 悪夢のような1日から丸7年。11日に菅原騎手は26歳になる。「もうアラサーです」とほほえみながら、「1回でも参加することは大事だけど、(被災地を)継続的に支援することも必要」と説く。茨城県出身。幸いにも家族に被災者はいなかったが、これまでも騎手クラブの募金、チャリティーイベントにも積極的に参加し、できる限りのことはやってきたつもりだ。

 11日は中京3Rカイトセブンの騎乗依頼が舞い込んだ。当日は各競馬場で黙祷が行われることになっている。菅原騎手は「誕生日だからこそ、ずっと胸に刻んでいたい」と気持ちを奮い立たせた。誕生日当日は1鞍入魂。勝利を被災地へのエールに変える。【松田直樹】

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