<フェブラリーS>◇18日=東京◇G1◇ダート1600メートル◇4歳上◇出走16頭

 豪脚さく裂だ! 4番人気ノンコノユメ(せん6、加藤征)が、大外一気の末脚でJRA・G1初制覇を果たした。後方待機から直線で一気に加速。ゴール直前で1番人気ゴールドドリームを首差、差し切った。コンビ2戦目の内田博幸騎手(47)は14年ヴィクトリアM以来のJRA・G1・12勝目。米G1ブリーダーズCクラシック(ダート2000メートル、11月3日=チャーチルダウンズ)の優先出走権も獲得した。

 府中の長い直線に、夢への道が見えていた。全力で追う内田騎手に応えて、ノンコノユメが加速した。残り200メートル。先頭に立つゴールドドリームに、大外から襲いかかる。前年覇者の意地で差し返そうとする相手を、最後はねじ伏せるように首差捉えた。「馬を信じて乗ってました。いろんな人の思いがこの馬にこめられている。ホッとしました」。JRA・G1初制覇を遂げた相棒の首筋を、万感の思いで2度なでた。

 完璧だった。前半3ハロン34秒1のハイペース。道中は後方待機から外を回って、スパートの機を待った。「砂をかぶるとスピードが落ちるから」。直線でも、迷わず大外へ。上がり最速36秒1の鬼脚で、豪快に差し切った。

 7月で48歳になる鞍上にとっては、久々の美酒だ。JRA・G1はヴィルシーナで制した14年ヴィクトリアM以来となった。「今年、こんなに早く勝てるとは」と言うが、誰にも負けないという自負はある。地方に在籍していた20代の頃は、1日に25頭以上の調教をつけて技術を磨いた。「オレは20代の頃のおつりが残っている。年男と言われるけど、気持ちは半分くらいだよ」。この日競った相手が世界の名手ムーアでも、ひるまない。「世界一と言われるけど、向こうが上、こっちが下という気持ちはない」。結果で証明してみせた。

 ノンコノユメも険しい道を歩んできた。3歳で統一G1ジャパンダートダービーを制しながら、気性難から16年夏に去勢。結果の出ない期間が続き、ネットで痛烈な批判も浴びたという加藤征師だが、復活を信じてきた。「差してくれてホッとしました」と、念願成就の笑みがこぼれた。

 これで11月の米BCクラシックの優先出走権を獲得。「興味深い」と師が言えば、内田騎手も「砂質とか勉強しないと」と早くもイメージを膨らませた。海外で豪脚を披露する日も遠くはなさそうだ。【木村有三】

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