JRAの二ノ宮敬宇調教師(65)が今月末で引退することが13日、JRAから発表された。65歳の節目を機に、外から競馬を見たいとの思いから勇退を決意。競馬界に大きな足跡を残した功労者が、定年まで5年を残し、惜しまれつつ競馬サークルを去ることになった。

<記者が見た「こんな人」>

 「おい、乗ってけよ」。美浦の南スタンドから徒歩で15分はかかる新厩舎地区の二ノ宮厩舎まで、師と歩いて行くと、さりげなく50ccのバイクの鍵を投げてくる。職人肌で仕事に厳しく、近寄りがたい雰囲気はあるが、実は気遣いにたけ、気さくで優しい人。師を慕う関係者は少なくない。

 以前取材で開業当時の苦労を聞いた。開業2~3年は成績が伸びず、理想と現実のズレを修正すべく、世界中のセリや欧米の厩舎で修業。10年目に実を結んだのがエルコンドルパサーでの凱旋門賞挑戦だった。「普通5年で一人前と言われるけど、僕は倍かかった」と話したのを覚えている。

 今後については「65歳になり、外から競馬を見ようと思い」とコメントするにとどめたが、馬への情熱は人一倍の師だけに、今後も馬に携わる可能性は十分ある。一方で、以前から競馬以外の人生も前向きに思い描いていたという関係者もおり、活躍の場は広がりそうだ。いずれにしても師が刻んだ28年の偉大な競馬人生は語り継がれる。【山田準】

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