JRAの二ノ宮敬宇調教師(65)が今月末で引退することが13日、JRAから発表された。65歳の節目を機に、外から競馬を見たいとの思いから勇退を決意。競馬界に大きな足跡を残した功労者が、定年まで5年を残し、惜しまれつつ競馬サークルを去ることになった。

 二ノ宮師はこの日「突然で申し訳ございませんが、65歳になり、外から競馬を見ようと思い、2月末で退職させていただきたいと思います」とコメントを発表した。一般社会の定年延長の節目でもある65歳を機に、競馬の一線を離れ、外から競馬を見つつ、新たな人生を歩む決意をしたという。師は「支援していただいた馬主、協力してくれた牧場関係、支えてくれた従業員、応援していただいたファンの皆様に心より感謝いたします」と思いをつづり、最後に「そして、いとおしい馬達に対しありがとうございました」と馬への感謝で締めた。

 厩舎開業10年目の99年にエルコンドルパサーでフランスの凱旋門賞に参戦。スピードシンボリ(着外)、メジロムサシ(18着)、シリウスシンボリ(14着)と日本のトップホースが挑んでははね返された欧州最高峰のレースに、半年間にわたる長期滞在を敢行。惜しくもモンジューの半馬身差2着に敗れたが、果敢かつ綿密な挑戦は日本の競馬界に大きな希望を与えた。10年にはナカヤマフェスタで凱旋門賞に再度乗り込んで2着。世界の扉を開いた開拓者だった。

 14年3月には日本調教師会会長に就任。馬場、施設、労務関係の会議を何度も重ね、精力的に競馬サークルの底上げ、東西格差の是正などに尽力した。ファンには夢を、関係者には希望を与え、競馬の表舞台と舞台裏の両面で多大な貢献をした功労者。早すぎる引退を惜しむファン、関係者の声が相次ぎそうだ。

 ◆二ノ宮敬宇(にのみや・よしたか)1952年(昭27)9月5日、神奈川県生まれ。東京農大卒業後、サラリーマンを経て78年に美浦・橋本輝厩舎で調教助手に。90年開業。99年エルコンドルパサーでフランスのサンクルー大賞を勝ち、海外G1制覇。続く凱旋門賞2着。JRA通算676勝(13日現在)。重賞30勝、JRA・G1はエルコンドルパサーのジャパンC、ナカヤマフェスタの宝塚記念、ディーマジェスティの皐月賞など6勝。14年3月に日本調教師会12代会長に就任、16年2月まで務める。

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