<有馬記念>◇24日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭

 有終V! さらばブラック、ありがとう。中山競馬場に10万人が詰めかけたクリスマスイブのグランプリ有馬記念は、ファン投票1位、単勝1・9倍の1番人気キタサンブラック(牡5、清水久)が逃げ切り勝ちで大声援に応えた。引退の花道を飾る勝利でJRA獲得賞金18億7684万3000円は歴代トップ。JRA・G1・7勝目は史上最多タイとなった。鞍上・武豊騎手(48)は「ごくろうさま」と感謝。北島三郎オーナー(81)は感動の涙とともに、引退セレモニーで感謝の新曲を披露した。来年1月7日京都での引退式後、北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入りする。

 ありがとう、キタサンブラック。武豊の騎手人生を進化させた名馬が、有終の美でターフを去った。

 好スタートを切ると迷わずハナを奪取。「1メートル、1メートル、丁寧に・・・」。体内時計とブラックの呼吸を全身で感じながら、綿密に、慎重にラップを刻んでいった。4コーナーの手応えは昨年以上。後続を待たずにゴーサインを出した。

 右ステッキで懸命に鼓舞すると、ライバルたちを引き離していく。1馬身半差でゴール。念願のグランプリ初制覇だ。10万人のユタカコールを聞きながら、愛馬にそっと声をかけた。

 「ありがとう、ごくろうさま」

 口癖のように「いい騎手になりたい」と渇望する。数々の歴史をつくってきた天才ジョッキーだが現状に満足しない。「もっとうまくなりたい」。貪欲な武豊を、またひと回り大きくさせたのがブラックだった。

 「迷いなくG1で先手を取ることはなかなかできないもの。シンプルに他の馬より速く走れば、他の馬より速くゴールができると、この馬で感じた。勉強になった。ジョッキーとして成長させてもらえたよ。こんな名馬に巡りあえて光栄」

 まだ見ぬ世界をブラックが見せてくれた。

 自らを奮い立たせる起爆剤にもなっていた。「この2年、トレーニングに身が入ったよ。今日はちょっとしんどいなとか、忙しいなという時はやっぱりある。でも『キタサンブラックの主戦をやっているんだから』ってね」。11月には調教中に落馬。右膝の靱帯(じんたい)を負傷するアクシデントもあったが「キタサンブラックに乗れるか、そればかり考えていたよ。非常に励まされてきた」。つらいリハビリ中もジャパンCと有馬記念のことを考え、勇気づけられてきた。

 引退セレモニーで北島オーナーの新曲「ありがとうキタサンブラック」が流れると、歌詞をじっくりかみしめた。「ありがとうしかない。本当に感謝。すごい馬だよ。絶対、種牡馬としても成功すると思う。楽しみ。騎手をやめられないね(笑い)」。ありがとう、さようなら。またいつかブラック産駒で頂点に立ってみせる。【平本果那】

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