<マイルCS>◇19日=京都◇G1◇芝1600メートル◇3歳上◇出走18頭

 混戦のマイル界に新王者が誕生した。4番人気のペルシアンナイト(牡3、池江)が後方から馬群を割って差し切り、G1初制覇を果たした。3歳馬の優勝は00年アグネスデジタル以来17年ぶり。鞍上のミルコ・デムーロ騎手(38)はJRA・G1年間最多勝に並ぶ6勝目で、オークスから続く騎乗馬のG1連続3着以内記録を「10」に伸ばした。2着はエアスピネル。1番人気イスラボニータは5着に敗れた。

 寒気に覆われた淀のターフ上で、絶好調男と若駒が熱く躍動した。大混戦のマイル界を制したのは、ミルコと3歳馬ペルシアンナイトだ。「とてもうれしい。良かった。本当にいつも頑張ってくれるから」。ウイナーズサークルに戻った鞍上は、愛馬の首筋に口づけして感謝した。

 ミルコマジックがさく裂した。4コーナー13番手で迎えた直線。内を突いたが、前走まで手綱を取っていたレッドファルクスに阻まれる。すると、すぐに外へと切り替えた。目の前に、名手ムーアが乗るエアスピネルが見えた。その後を追ってムチを振るう。レース直前に拳1つ分だけ前にずらした鞍から腰を浮かし、懸命に追い続けると、最後の最後で約20センチ、鼻差、かわしきった。不利と言われた大外18番と、渋った馬場。その二重苦を乗り越えた。「枠順はいちばん悪いところだと思った」とミルコ。だが、抜群のスタートから、いったん距離ロスのない内へ。前日までの重馬場ではそこで脚を取られたかもしれないが、幸運にもやや重まで回復していた。「少し馬場が良くなってて良かった」。しっかり脚をため、ラスト33秒9の末脚を引き出した。

 愛する家族の力も働いていた。イタリアから父ジョヴァンニさん(65)と母ラファエラさん(63)が来日中で、生観戦。03年にネオユニヴァースで制した皐月賞以来、14年ぶりに訪れた両親の前で成し遂げた、JRA・G1年間最多タイの6勝目だった。しかも、すべて異なる馬では史上初。オークスから続くG1・3着以内の記録も10戦連続まで伸びた。「本当に家族のパワー」と目を細めた。

 3歳馬として17年ぶりに制したペルシアンナイトの未来も明るい。馬体は前走から12キロ増とまだまだ成長中。皐月賞2着の実績もあり、対応距離にも幅がある。マイル界制圧から、中距離の王者へと突き進む。【木村有三】

 ◆JRA・G1・6勝 グレード制導入の84年以降、JRA・G1年間6勝を達成したのは05、06年の武豊騎手、07年安藤勝騎手、11年池添騎手、12年岩田騎手。今年のM・デムーロ騎手がのべ6人目となった。ただ、過去4人(5回)は同じ馬で複数のG1を勝利しており、1勝ずつすべて異なる馬での達成はM・デムーロ騎手が初めてとなる。

 ◆単勝4番人気の勝利 15年モーリス以来2年ぶり7回目。

 ◆マイルCSの大外枠勝利 92年ダイタクヘリオス以来25年ぶり2回目。

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