<クイーンS>◇30日=札幌◇G3◇芝1800メートル◇3歳上牝◇出走13頭
北の大地を知り尽くした男とG1馬が、ファンを魅了した。2頭のG1馬が出走した注目の牝馬重賞は、NHKマイルC覇者アエロリット(牝3、菊沢)が、コースレコードタイの1分45秒7で鮮やかに逃げ切った。鞍上の横山典弘騎手(49)は史上初の北海道重賞完全制覇。次走は未定も、出走してくれば秋華賞の最有力候補となる。
人馬そろって変幻自在のパフォーマンスだ。開幕週、内枠2番、好スタート。横山典騎手はアエロリットを迷わずハナに導いた。前半1000メートルは58秒3のハイラップを刻み、一時は10馬身近く後続を突き放した。4角で2馬身に引きつけると、直線で再加速。終わってみれば2着に2馬身半差をつける完勝だった。
史上初の北海道重賞完全制覇を成し遂げた鞍上は「馬の気分を損ねないように乗った。ペースが速いだろうなと思っていたが、52キロだし、そうは感じなかった。最後までよく踏ん張ってくれた。秋も大きなところを走れるように頑張ってほしい」としてやったり。記念撮影後にはジャンプして下馬。得意のフライング・ディスマウントで、北都のファンを沸かせた。
この中間、何度も愛馬に調教をつけてきた菊沢師も笑顔だ。「逃げてもいいよと言っていた。折り合えば位置取りにはこだわらなくていい」。歓喜のNHKマイルCから3カ月。18キロ増とパワーアップした馬体で、G1馬を含む初対戦の古馬勢を一蹴。「見た目も太くなかったし、いい時期に、いい成長をしたということかな」と目を細めた。
今後は未定だが、師は「まあ、3歳馬だしね」と秋華賞を視野に入れる。オークス馬ソウルスターリングは天皇賞・秋へ。距離を克服したマイル女王が出走を決断すれば、最有力候補の座は揺るぎない。【栗田文人】