<ミルコ魂:ダービー特別編>

 アドミラブルで3度目の頂点に挑むミルコ・デムーロ騎手(38)が、日刊スポーツで連載中のコラム「ミルコ魂」ダービー特別編で熱き思いと勝算を語った。

 Ciao ミルコだよ!!

 弟のクリスチャンがイタリアダービーを勝ったんだ! その前にはフランスのクラシック、プール・デッセ・デ・プーラン(仏2000ギニー=日本の皐月賞に相当)にも!! リアルタイムで見て応援したんだけど、自分のことのようにうれしかったよ。クリスチャンは本当にうまくなってる。去年は牝馬2冠を勝って、今年は牡馬クラシック。「また一緒にレースを乗りたいな」って強く思ってるよ。もちろん、その時の勝者は僕だけどね(笑い)。

 兄の僕も負けてられない。日本でクラシックを勝って、クリスチャンに兄の威厳を保ちたいよ。

 いよいよ頂上決戦、ダービーだね。生まれた日から関係者の全員が「この馬とダービーを!」と目指すレース。まるで自分の子供のように一緒に過ごして大事にして、勝利を願う。イタリアではダービーを2回勝たせてもらったんだけど、その時は、みんなの気持ちっていうよりも、ただ夢中で「やった!」って感じだったね。

 でも、初めて日本でダービーを勝たせてもらった時(03年)には、支えてくれた人すべての思いが見えるようになった。2回目に勝った時(15年)は、何日も眠れない日々が続くほどのプレッシャーがあった。「この馬とともに勝ちたい」「みんなの強い思いを現実にするためには、どうするべきか」って、眠れない間に何百回、何千回とレースのシミュレーションをした。勝てた時は「この馬の強さを証明できた!」ってうれし涙が出て、夜はいい夢を見られたよ。そして翌朝、起きた時に「本当に勝てたんだ」って、競馬ニュースを見ながら、もう1回実感したんだ。

 今年は、そのダービーをアドミラブルと戦わせてもらうことになった。初めて彼を見たのは新馬戦だったけど、あんまり覚えてなかった。でも、のどの手術が終わってから出たレースが驚きだった。僕はメルヴィンカズマ(2着)に乗っていて、最高の手応えで「よし! 勝てる!」と思って追った瞬間、どんどんと引き離されていったんだ。「なんだ、あの馬!?」って、すぐに確認して名前を覚えたよ。

 前走の青葉賞では、少し物見をしながらも勝つことができた。僕自身、タイムはそんなに速くないと感じていたのに、実はドゥラメンテのダービーレコードに近かった。本当にのびやかなストライドで、名馬によくある「速く感じさせないのにタイムが出ている」という感じ。もちろん、皐月賞に出ていたメンバーは、ものすごく強いし、アドミラブルにとっても、初めてのG1になる。だから、僕がそばにいて、彼が不安にならないようにしたい。「大丈夫だよ」って。

 今回もたくさんのシミュレーションをして、万全の準備で一緒に戦いたい。たくさんの思いに結果で応えたいんだ。みんなの大きな「ミルコ・コール」を聞けるように、応援よろしくお願いします。Ciao Ciao(第70、82回ダービージョッキー)

  1. お得な新入会プラン登場! 競馬情報サイト【極ウマ・プレミアム】
  2. 競馬予想に【ニッカンAI予想アプリ】